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日本人宇宙飛行士の躍動 ~アルテミス世代の始まり~

文部科学省研究開発局宇宙開発利用課

米国提案の国際宇宙探査計画「アルテミス計画」を契機に、宇宙開発時代が大きく動き出しています。
日本に期待されている役割は大きく、今後日本人宇宙飛行士が宇宙で活躍する機会が増えていきます。
今回は、日本人宇宙飛行士の「イマ」を御紹介します。

今から約50年前、アポロ11号が月面着陸に成功し、世界に夢と希望を与えました。現在、多くの国が月や火星の探査ミッションに乗り出す中、米国は、2030年代に火星へ人類を送ることを視野に、各国と協力し、月の周りを回る有人宇宙ステーション「ゲートウェイ」を建設するとともに、月で人類が持続的に活動することを可能とする技術の獲得を目指しています。

米国が構想したこの計画は、ギリシャ神話のアポローンの双子の女神の名前から、「アルテミス計画」と名付けられました。米国は、2024年に米国人2名の月面着陸を予定しており、成功すれば人類で初めて女性と白人以外の宇宙飛行士が月面へ降り立つこととなります。

50年ぶりとなる、人類の月面着陸を目撃する子供たちは、「アルテミス世代」と呼ばれ、アポロ11号の活躍に刺激を受けた子供たちが、その後宇宙分野で活躍したように、将来、月や火星をはじめとした深宇宙探査等で活躍することが期待されます。

我が国では、令和元年10月にアルテミス計画への参画を政府決定しました。参画に当たっては、今後の更なる深宇宙探査も視野にゲートウェイへの生命維持装置等の機器提供、物資補給、月面の着陸地点の選定等に資する各種データの取得・共有、月探査を支える移動手段となる有人与圧ローバの開発といった我が国にとっても有益な技術の獲得・蓄積を目指しつつ、協力していくこととしています。

同時に、アルテミス計画への参画機会を活用し、日本人宇宙飛行士の活躍の機会を確保する等、宇宙先進国としてのプレゼンスを十分に発揮しつつ、我が国にとって意義ある取組を戦略的・効率的に進めることとしています。

日本人宇宙飛行士の活躍へ向けた共同宣言・了解覚書に署名

令和2年7月には、萩生田文部科学大臣とブライデンスタインNASA前長官が「月探査協力に関する文部科学省と米国航空宇宙局の共同宣言(JEDI)」に署名しました。JEDIでは、アルテミス計画に対する我が国の協力内容を具体化するとともに、日本人宇宙飛行士をゲートウェイや月に送り出すことについて、詳細を今後更に協議することについて合意しました。JEDIにより、日本人が史上初めて月に降り立つ日へ向けて大きな一歩を踏み出しました。

JEDIに基づき、令和2年12月には、日米政府間で「民生用月周回有人拠点のための協力に関する日本政府とアメリカ合衆国航空宇宙局との間の了解覚書」が閣議決定され、同月31日に署名された後、発効しました。本覚書は、JEDIで合意した内容のうち、ゲートウェイにおける協力を可能とする法的枠組みであり、ゲートウェイへの機器提供や、NASAが日本人宇宙飛行士のゲートウェイへの搭乗機会を複数回提供することが約束され、将来の日本人宇宙飛行士の活動へ向け更に前進しました。

野口宇宙飛行士が宇宙から帰還

これまでの国際宇宙探査において、日本人宇宙飛行士はその存在感を発揮してきました。平成4年に毛利衛宇宙飛行士が日本人で初めてスペースシャトルに搭乗してから、これまで11名の日本人宇宙飛行士が宇宙へ飛び立ち、日本のプレゼンスを確立させてきました。

令和2年11月には、野口聡一宇宙飛行士が、米国人以外で初めて米国の民間宇宙船「クルードラゴン」に搭乗し、令和3年5月までの約半年間、国際宇宙ステーション(ISS)長期滞在ミッションを実施しました。長期滞在中、日本人として最多回数となる4回目の船外活動を実施し、日本人で最長となる合計27時間1分の船外活動を実施しました。また、iPS細胞を用いた立体臓器の創出に関する実験など様々な科学実験を行うとともに、その様子や成果をSNS等を通じて積極的に発信し、世界にファンを作りました。

このような活躍が、我が国の宇宙開発利用の拡大や、今後の国際宇宙探査の進展につながるものと期待されています。

星出宇宙飛行士の船長就任

野口宇宙飛行士に続き、星出彰彦宇宙飛行士が令和3年4月に、ISS長期滞在ミッションを開始しました。数日間、野口宇宙飛行士と共にISSに滞在し、11年ぶりに日本人2名が同時にISSに滞在しました。

星出宇宙飛行士は、前任のISSコマンダー(船長)から船長の証である鍵を引き継ぎ、若田宇宙飛行士以来、日本人2人目となる船長を務めています。船長として、搭乗員の安全を確保し、ミッション全体の成功へ向けて、ISS搭乗員を総括し、指揮を執るという重要な役割を担うこととなります。これは、星出宇宙飛行士の宇宙における活動実績に加えて、地上での日々の業務や訓練等で発揮される優れたリーダーシップが高く評価されたものと考えられます。

その他、将来の有人探査へ向けた生活水の再生システムの実証実験や、無重力環境の特性を活かしたバイオ実験などのミッションに取り組む予定であり、我が国の宇宙開発の未来につながるような活躍をされ、無事帰還することが期待されています。

若田宇宙飛行士と古川宇宙飛行士も宇宙へ

さらに、令和4年頃には若田光一宇宙飛行士、令和5年頃には古川聡宇宙飛行士がそれぞれISSへ長期滞在し、「きぼう」を含むISSの各施設の維持・保全、科学実験等を実施する予定です。

若田宇宙飛行士は4回の宇宙飛行経験があり、2014年には日本人初となるISSの船長を務めました。古川宇宙飛行士は2011年に宇宙飛行を行い、165日間のISS長期滞在において、医師としての経験を活かし、「きぼう」での生命科学実験等を担当しました。

2人は、令和2年11月に文部科学省を訪れ、萩生田大臣、高橋副大臣、三谷大臣政務官へ宇宙での活動に向けた意気込みを伝えています。若田宇宙飛行士は、「これまでの経験を生かして、野口宇宙飛行士・星出宇宙飛行士を地上で支えながら、訓練・準備を行い「きぼう」利用の成果創出に寄与できるよう努力したい。」と語りました。古川宇宙飛行士は、「ミッションでは、時には宇宙医学研究の被験者として、時には様々な科学研究のオペレーターとして貢献していきたい。」と話しました。

新たな日本人宇宙飛行士の募集

このように、日本人宇宙飛行士の活躍は目覚ましく、また、国際宇宙探査や月探査に向けた機運が高まっている中、令和2年10月に、萩生田文部科学大臣は、新しい宇宙飛行士の募集を令和3年秋頃に開始することを発表しました。

今後、一定数の宇宙飛行士を維持するため、5年に1度程度の頻度で募集を行うことも併せて発表しました。これにより、将来宇宙飛行士になることを希望する方々が、一定の予見性を持っていただけるようになります。

これから大きく展開する宇宙開発の目撃者となるアルテミス世代からの応募が期待されています。

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