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トップアスリートとの特別対談 スポーツ庁長官 室伏広治のアスリート近影
澤野大地選手(陸上競技)編

スポーツ庁競技スポーツ課

澤野 大地選手との対談

澤野 大地選手

アテネ(2004)、北京(2008)、リオデジャネイロ(2016)の3度のオリンピックに出場。前回のリオ大会では、日本人としてこの種目64年ぶりとなる7位入賞を果たす。現在は、東京大会を目指しながら、日本オリンピック委員会(JOC)のアスリート委員長も務める。

※この対談は、2021年2月に実施したものです。

室伏長官と澤野選手は旧知の仲でいらっしゃるのですよね。

室伏長官 同じ陸上競技で、しかも同じ千葉県の成田高校出身で、澤野選手は私の後輩にもなるのですが、競技会でもいつも一緒にいましたし、本当によく知っているアスリートです。

澤野選手 室伏さんがテグの世界選手権のときにメダルを獲られた際に、わたし自身、決勝の舞台で戦っていて、メダルのウイニングランをされているときにわたしのところに来ていただいて「頑張れよ」と握手をしていただいたのは、非常に強く覚えています。

 やはり、陸上競技のしかも投てき種目で金メダルを取るっていうのは、いま現時点でも全く信じられないぐらいの偉業を達成されたと思います。色んな場面で室伏さんが取り組まれていたトレーニングや考え方も全部拝見しているんですけれども、どうやってあそこまで行き着いたのかなっていうのは、やっぱり非常に興味がありますし、どれだけの努力をされたのか、想像もできないくらいのことなんだろうなという気がしています。

澤野選手は、JOCのアスリート委員長として今回のコロナ禍で様々な発信をされています。昨年4月に呼びかけられた『#いまスポーツにできること』プロジェクトについて教えてください。

澤野選手 JOCのアスリート委員会として、緊急事態宣言でみんなが思うような活動ができない中、また世の中が暗くなっている中、多くのアスリートが、日常のトレーニングに戻りたいとか、社会の一員として何かしたいという思いで出てきた案が、「#いまスポーツにできること」プロジェクトでした。アスリートが、世の中の人たちに何か元気づけることはできないか、また、日頃から応援していただいているファンの皆さんに感謝を伝えられないか、大変な最前線で戦ってこられている医療関係者の皆さんに感謝を伝えられないか、そういった応援のメッセージをアスリートが発信できないかということで、SNSを通じて、『#いまスポーツにできること』とハッシュタグをつけて活動を呼びかけました。本当に多くのアスリートに賛同いただいて、大きな反響をいただきましたし、本当にたくさんの方々にポジティブなメッセージをいただけたなと思っています。

室伏長官 わたしも、組織委員会にいたときに、澤野選手も参加されていたJOCのアスリートミーティングに、組織委員会のメンバーとして参加しましたが、そのときにも色んなことを感じました。今のアスリートは、1年もオリンピック・パラリンピックが延期してしまい、しかも競技をするトレーニング場が開いていないなど切実な問題を抱えている中で、本当によく、自分たちから明るい話題を提供しようとされていたなと思います。

室伏長官から紹介のあった昨年7月のJOCのアスリートミーティングでは、トレーニングの状況やモチベーションの共有などを図られたということですが、どのような狙いで開催されたのでしょうか。

澤野選手 世の中、日々コロナの状況が変わっていく中で、アスリートにとっても不安な毎日を過ごしていることが非常に多かったので、わたし自身も東京オリンピックを目指す現役のアスリートの一人として、やっぱり不安な気持ちを少なからず持っていました。そういった気持ちをアスリート同士で共有する、また、何か新しい施策などないかとか、アスリートの率直な生の意見を集約したいというところで、アスリートミーティングをやったらどうかという話がJOCのアスリート委員会で立ち上がり、それが実現したというところです。まず、「あっ、困っていたのは、不安だったのは自分だけじゃないんだ」ということを共有できたこと、それが一番大きかったのかなと思います。アスリートはそれぞれ一人で頑張っていたりするのですが、それぞれコロナ禍において集まることができなかったりとか、合宿ができなかったりしたんですけども、実際にそうやって悩んで、いろいろ工夫しながらやっていたのは自分だけじゃなかった、というところで、どんなにトップのアスリートでも、不安な気持ちを抱えながらトレーニングをしていたというところを共感できたっていうのはよかったのかなと思います。またさらに第2回、第3回と続けていく中で、実際に、じゃあどうしていけばいいかというところを、アスリートの率直な意見として集約できたことがよかったですし、実際にそこから出た意見というものを、アスリート委員会として、施策としてしっかりと、プロジェクトを実施して形にしたものもありましたので、そういったことは非常によかったのかなと思っています。

棒高跳びの魅力というのはどういった点でしょうか。

澤野選手 やっぱり技術性が非常に高い種目なので、技術を高めることによって、わたしみたいな年齢がいった選手でも十分に戦えること、また、単純に、魅力っていうと、棒一本で人間が身長の3倍もの高さを跳ぶことができる、これはひとつの芸術だとわたしは思っています。ハンマー投げもそうですけれども、室伏さんが投げられる姿っていうのは本当にロスがなくすごく綺麗な投てきをされるので、こういった技術種目に関しては、その芸術性っていうものがその種目の魅力なのではないかなと、わたし自身は思っています。

室伏長官 飛んでいるような感じなんでしょうね。

澤野選手 本当に、空を飛ぶっていうのがまさに当てはまるような種目ですね。バーを越えたときは、本当に空中を飛んでいるような気持ちになりますし、そこが気持ちいいから、今でもそこを突き詰めて続けているという気持ちはあります。

室伏長官 長く競技をされてきて、やはりスポーツが人生そのものだと思いますが、澤野選手にとって、スポーツって何ですか。

澤野選手 僕は、スポーツは、衣・食・住と同じところにある、生きていくためになければならないものかなと思っています。文化のひとつみたいな形ですね。スポーツがあるからこそ自分自身を体現できたり、自分自身が今棒高跳びをやっているのは、棒高跳びが人生の中で一番好きなことだからこそなんですけれども、そのスポーツによって、自分自身が何か満足感を得られたりとか、人に何かを伝えることができたりとか、また、あらゆるトップアスリートが活躍することによって、世の中の人たちに例えば元気を届けることができたりとか、そういったことだとわたしは思っています。

室伏長官 今後、国際舞台というところでは引退された後なども含めて、御自身のスポーツへの付き合い方については、どう思っていますか。

澤野選手 スポーツは素晴らしい、スポーツに価値があると思われているからこそ、こうやってスポーツを広めようっていう活動もいっぱいやっているのですが、もっと世の中に、特に日本の国民の皆さんにそういったことを浸透できるような活動をできればいいのかなと思っています。わたし自身が、やっぱりスポーツがあったからこそ今の自分があるとも思っていますし、スポーツからいろんなことを学ばせていただいて、今の自分があると思うので、そういったスポーツの価値、力というものを世の中にどんどんと広めていきたい。また、スポーツは、子どもたちの夢として非常に重要なものであったりするので、そういった子どもたちの夢にもなり得るスポーツというものを、ちゃんと確立させていきたいなと思っています。

この動画を御覧になっている国民の皆様へメッセージ

澤野選手 現在、まだまだ新型コロナウイルスの影響が非常に強く、特に医療現場の方々、また、飲食店などをされている方々が非常に大変な思いをされている中だと思います。その中で、アスリートは感染対策をしっかりしながら、東京大会が開かれることを信じてトレーニングを行っています。やはり、国民の皆さんに応援されてこそのパフォーマンスだと選手たちはみんな思っていますので、国民の皆さんに理解をいただいて、応援される形で開催をしていただきたいという思いが非常に強いです。そういった中で、開催されればそこでベストパフォーマンスができるように、選手たちはできる限りの調整をして、そこにピークを持っていき、パフォーマンスができるようにしていくと思いますので、わたし自身も含めて、国民の皆さんに応援される形で今までの目標を達成できるように頑張っていきたいなと思います。

全体の対談の様子はスポーツ庁HPから御覧ください。

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