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総合的・一体的なスポーツ行政の推進

スポーツ庁

Ⅰ 新しい生活様式の中でのスポーツとスポーツ活動継続・再開支援、東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた取組

1 新しい生活様式の中でのスポーツとスポーツ活動継続・再開支援

令和2年3月、東京オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、「東京2020大会」という。)の1年延期が決定され、4月には、緊急事態宣言が発令されました。新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、「新しい生活様式」を実践し、中長期にわたり感染症対策と向き合う生活を送ることになりました。

そのような中で、外出自粛による運動不足等から身体的及び精神的な健康を脅かす健康二次被害が懸念されています。適度に運動・スポーツを行うことは、健康の保持・増進だけでなく、ストレス解消、自己免疫力を高めてウイルス性感染症を予防することにも役立ちます。

スポーツ庁では、健康二次被害を防ぐために、①テレワークで座位時間が増えた方、②お子さんを持つご家族、③ご高齢の方、といったターゲット別に、運動・スポーツの実施啓発リーフレットを作成しました。特に運動不足による筋力や認知機能の低下等が懸念される高齢者向けには、スポーツを通じて健康二次被害を防ぐためのガイドラインを作成しました。

また、経済的な支援として、全国規模のスポーツイベントの主催者による会場での新型コロナウイルス感染症拡大防止対策、継続的な集客等のための広報、施設の確保、選手等の非感染状態確認のために必要な費用を補助することにより、コロナ禍における安全安心なスポーツイベントの実施を支援しています。また、今後新たな収益を生み出すような、デジタル技術を用いたリモート観戦など、スポーツの価値を最大限に活用した新たな取組も支援していきます。

さらに、スポーツ活動の継続を支援するため、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、活動自粛を余儀なくされたスポーツ関係団体や個人事業主に対し、感染対策をとりつつ、活動の再開・継続を行うための積極的取組に必要な経費を支援しました。

スポーツ活動の再開に向けて、スポーツ庁、各スポーツ関係団体は、感染拡大予防のためのガイドラインを作成し、感染対策をしながら、競技や観戦を楽しむ方法、オンラインによる開催方法を取り入れるなど新たなスポーツの在り方を模索してきました。東京2020大会は、この中で得られた知見を最大限に活用し、選手だけでなく大会に関わるすべての人が安全・安心に参加できるように、関係省庁や関係団体等と連携し、大会の成功に向けて取り組んでいきます。

2 東京オリンピック・パラリンピック競技大会等に向けた取組について

平成25年9月の国際オリンピック委員会(IOC)総会において、オリンピック・パラリンピック競技大会を東京で開催することが決定しました。

東京2020大会については、令和2年3月に延期が決定し、同月、オリンピック競技大会は令和3年7月23日から、パラリンピック競技大会は令和3年8月24日から開催されることが決定しました。スポーツ庁としては、この東京2020大会を、日本社会を元気にする契機とするだけでなく、大会開催の効果を全国に波及させるため、オリンピック・パラリンピックムーブメントの推進や、スポーツを通じた国民の健康増進、スポーツの成長産業化、我が国の文化の魅力を国内外に積極的に発信する文化プログラムの実施など、様々な取組を展開しています。

(1)オリンピック・パラリンピック教育の推進

東京2020大会を契機に、国民一人一人がスポーツの価値やオリンピック・パラリンピックの意義に触れることで、スポーツの価値を再認識し、多くの方がスポーツに親しむようになることは大会のレガシーの一つとして重要です。

また、平成27年11月に閣議決定された「二〇二〇年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会の準備及び運営に関する施策の推進を図るための基本方針」においても、次世代に誇れる有形・無形の遺産(レガシー)を全国に創出することとされており、スポーツ庁では、オリンピック・パラリンピック教育をこのレガシー創出の重要な取組の一つとして推進しています。

平成27年2月にはオリンピック・パラリンピック教育を推進するための方策等について、有識者会議を設置し、平成28年7月に「オリンピック・パラリンピック教育の推進にむけて」として最終報告を取りまとめました。

また、平成27年度から、オリンピック・パラリンピック教育の推進のための効果的な手法に関する調査研究事業として、大学が研究拠点となり、宮城県・京都府・福岡県の3府・県において初等中等教育機関等と連携した実践的な取組を開始しました。

平成28年度からは、オリンピック・パラリンピック・ムーブメント全国展開事業を実施しており、平成29年度は全国20の府・県・政令市で、平成30年度は全国35の道・府・県・政令市で、令和元年度及び令和2年度は全国45の道・府・県・政令市で事業が展開されています。なお、平成29年度からは全国中核拠点である筑波大学、早稲田大学、日本体育大学のほか、東京都や東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(東京2020組織委員会)、日本オリンピック委員会(JOC)、日本パラリンピック委員会(JPC)などと意見を共有する全国コンソーシアムを設け、ここで出た意見を地域拠点に還元することで充実した取組ができるように努めています。

さらに、令和2年度は、ICT機器を活用し遠隔地でもアスリートと子供たちが交流を深められるような環境づくりや、オンライン会議システムを活用して地域間の情報交換を促進するなど、新しい生活様式に対応したオリンピック・パラリンピック教育を推し進めました。今年度は、大会開催年ならではの取組を安全安心な環境のもと、推進していきます。

(2)ホストタウンの推進

政府では、東京2020大会の開催という機会を国全体で最大限活かし、全国津々浦々にまで大会の効果を行き渡らせ、地域活性化につなげていくことを目指しています。

特に、大会の開催により多くの選手・観客等が来訪することを契機に、地域の活性化等を推進するため、大会参加国・地域との人的・経済的・文化的な相互交流を図る地方公共団体を「ホストタウン」として、全国に広げるための取組を進めています。

令和3年3月30日には、ホストタウンの第二八次登録団体を公表し、登録数は453件となりました。

東京2020大会に向けて、今後も取組の推進が期待されています。

(3)国立競技場の竣工

東京2020大会のメインスタジアムとなる国立競技場については、世界の人々に感動を与える場となるよう、「アスリート第一、世界最高のユニバーサルデザイン、周辺環境等との調和・日本らしさ」を基本理念として、整備を進め、令和元年11月に竣工しました。竣工式や、一般公開のオープニングイベントなどを開催した後、令和2年1月からは東京2020組織委員会による仮設工事等が行われています。大会成功に向けて、着実に準備を進めていきます。

Ⅱ スポーツ庁が重点的に取り組む施策

スポーツ庁では第2期スポーツ基本計画(平成29年3月)の趣旨を踏まえ、国際競技力の向上はもとより、スポーツを通じた健康増進、地域・経済の活性化、国際交流・協力、障害者スポーツの振興、学校体育の充実など、関係省庁や民間企業と一体となってスポーツ行政を総合的・一体的に推進しています。

1 スポーツを通じた健康増進について

スポーツ基本法の前文で、「スポーツは、心身の健康の保持増進にも重要な役割を果たすものであり、健康で活力に満ちた長寿社会の実現に不可欠」であると規定されているとおり、我が国の国民医療費が年々増加傾向にある中、運動・スポーツを実施することによる効果として、健康増進、健康寿命の延伸が注目されるようになってきています。

スポーツを通じた健康増進を図っていくためには国民全体のスポーツへの参画を促進するとともに、国民の誰もが、いつでも、どこでも、いつまでもスポーツに親しむことのできる環境整備が必要です。このため一人でも多くの方がスポーツに親しむ社会の実現を目的とし、生活の中に自然とスポーツが取り込まれている「スポーツ・イン・ライフ」(生活の中にスポーツを)という姿を目指し、『Sport in Life プロジェクト』に取り組んでいます。本プロジェクトでは、趣旨に賛同し、コンソーシアムに加盟いただいた団体・企業とともに、多様なスポーツ機会を提供しています。特にスポーツ実施率の低い20代から50代のいわゆる「ビジネスパーソン」は、仕事や家事等によりスポーツに取り組む時間を確保しにくいとの声があることから、一日の大半を過ごす職場において、スポーツに親しむきっかけづくりを推進するため、『スポーツエールカンパニー』の認定や、通勤時間や休憩時間等を活用して気軽に運動・スポーツに取り組める環境整備に官民連携で取り組んでいます。そして、令和3年度は、新たに、スポーツ実施の機運を高めていくため、国民に向けた普及啓発やイベントを開催する「Sport in Lifeムーブメント」を展開していきます。

さらに、男性と比べてスポーツ実施率の低い女性に対しては、「女性スポーツ促進キャンペーン」で令和元年度に作成した、オリジナルダンスやMyスポーツメニューをリニューアルし、引き続きホームページやSNS等のコンテンツで発信しています。

加えて、地方公共団体におけるスポーツを通じた健康増進に関する施策を持続可能な取組とするため、域内の体制整備及び運動・スポーツに興味・関心を持ち、習慣化につながる取組を推進しています。

2 学校体育・運動部活動について

平成29年に小学校及び中学校、平成30年に高等学校の新学習指導要領が公示され、小学校は令和2年度、中学校は令和3年度から全面実施、高等学校は令和4年度入学生より年次進行での実施がなされることとなっています。体育科・保健体育科では、心と体を一体として捉え、生涯にわたって心身の健康を保持増進し、豊かなスポーツライフを実現するための資質・能力を育成することを目指しています。その中で、小学校から高等学校までを見通して、指導内容の系統化や明確化を図っています。スポーツ庁では、学習指導要領の改訂の趣旨を踏まえ、学校において体育科・保健体育科の指導の充実を図るため、引き続き、全国都道府県・指定都市教育委員会の学校体育を担当する指導主事向けの研究協議会や実技研修会等の開催を通じて、学習指導要領の趣旨の徹底を図ることとしています。また、これまでに作成した映像による参考資料等や全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果の学校等での活用も推進していきます。

学校における体育活動の安全確保については、死亡事故や重大な事故などの事例を分析し、基本的な安全対策についてまとめた「学校における体育活動中の事故防止について(報告書)」の内容を映像によって示した資料を作成して全国の小中高等学校等に配布しています。令和3年度も引き続き教育委員会や大学、スポーツ団体、医療機関などの関係者間において事故防止のための最新の知見や事例等に係る情報を共有し、全国各地で協議を行うこととしています。

運動部活動については、生徒にとって望ましいスポーツ環境を構築する観点に立ち、生徒がスポーツを楽しむことで運動習慣の確立を図り、生涯にわたって心身の健康を保持増進し、豊かなスポーツライフを実現するための資質・能力の育成を図ること等を重視して、地域、学校、競技種目等に応じた多様な形で最適に実施されることを目指すため、平成30年3月に「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」を作成し、公表しました。

本ガイドラインは、義務教育である中学校段階の運動部活動を主な対象(高等学校段階においても原則適用)とし、

  1. 適切な運営のための体制整備
  2. 合理的でかつ効率的・効果的な活動の推進のための取組
  3. 適切な休養日等の設定
  4. 生徒のニーズを踏まえたスポーツ環境の整備
  5. 学校単位で参加する大会等の見直し

について、学校や学校の設置者、地方公共団体、スポーツ団体が取り組む内容を示しています。

また、令和2年9月に、「学校の働き方改革を踏まえた部活動改革」について取りまとめ、改革の第一歩として、令和5年度から、休日の部活動を段階的に学校教育から切り離し、地域のスポーツ活動に移行することとしました。休日の部活動の段階的な地域移行に当たっては、教師に代わり、専門的な指導を担うことができる地域人材や、地域のスポーツ活動を運営する団体の確保、費用負担の在り方の整理等が必要であり、これらの課題に取り組むため、今年度から全国各地域で、国として実践研究を行います。

各地域の実情に応じた多様な取組を着実に進め、その成果を広く情報発信することで、休日の部活動の地域移行を全国展開していきたいと考えており、生徒にとって望ましい指導の実現と教師の負担軽減を両立できる部活動改革を進めていきます。

3 大学スポーツの振興について

大学におけるスポーツ活動には、大学の教育課程としての体育の授業、学問体系としてのスポーツ科学及び課外活動(体育会活動、サークル活動、ボランティア等)の側面があります。全ての学生がスポーツの価値を理解することは、大学の活性化やスポーツを通じた社会発展につながるものです。また、大学の持つスポーツ資源(学生、指導者、研究者、施設等)の活用は、国民の健康増進や障害者スポーツの振興に資するとともに、地域や経済の活性化の起爆剤となり得るものです。しかし、我が国の大学は、スポーツの振興に係る体制が不十分な場合が多く、また、大学スポーツ全体を統括し、その発展を戦略的に検討する組織が少ないのが現状です。

このため、文部科学省及びスポーツ庁は、平成28年4月から「大学スポーツの振興に関する検討会議」を開催して大学スポーツの活性化について議論を行い、29年3月に取りまとめを行いました。本取りまとめにおいては、大学スポーツの振興に向けて、大学トップ層の理解醸成、スポーツマネジメント人材の育成、各大学のスポーツ分野の取組を戦略的、一体的に行う部局の設置、大学スポーツ全体を統括し発展を戦略的に推進する組織の設置が重要であるとの方向性が示されました。

取りまとめを受け、平成30年7月より大学、学生競技連盟が中心となり開催された準備委員会を経て、大学横断的かつ競技横断的統括組織である一般社団法人大学スポーツ協会(英名:Japan Association for University Athletics and Sport 略称:UNIVAS)が31年3月1日に設立されました。令和2年度には同協会より新型コロナウイルス感染症対策として「UNIVAS大学スポーツ活動再開ガイドライン」が作成されました。

スポーツ庁は、大学スポーツ協会の設立理念に基づいた学業充実、安全安心・医科学、事業・マーケティング分野等の活動事業をサポートするとともに、大学内のスポーツ活動の企画立案、コーディネート、資金調達等を担う専門人材である大学スポーツアドミニストレーターの配置やスポーツ分野を一体的に統括する部局の設置を進めています。大学スポーツアドミニストレーターについては、令和3年度までに配置する大学を100大学にするという目標を掲げ、大学スポーツにおける先進的モデル事業を進めており、令和2年度には8大学を選定しました。

4 障害者スポーツについて

スポーツ基本計画の主な目標の一つに、スポーツを通じた共生社会の実現があります。このためには、多くの障害者がスポーツに親しめる環境を整備することにより、障害者スポーツの裾野を広げていくことが重要です。

このため、各地域における課題に対応して障害者スポーツの振興体制の強化や身近な場所でスポーツを実施できる環境を整えるとともに、障害者スポーツ団体相互の連携促進等、障害者スポーツ団体に対する体制整備の支援等の取組を進めています。さらに、令和3年度から、障害者スポーツを試したい方が、少ない負担で用具を利用でき、気軽にスポーツにアプローチできるようにするため、スポーツ用具活用普及拠点の整備に向けたモデル創出のための事業を実施します。

また、東京2020大会を契機に、全国の特別支援学校でスポーツ・文化・教育の祭典を実施するとともに、特別支援学校を地域の拠点としていくことを目指す「Special プロジェクト2020」を実施しています。

5 スポーツの成長産業化について

スポーツ産業の活性化による収益をスポーツ環境の充実に還元し、スポーツ人口の拡大へとつなげる自律的好循環を生み出していくことが重要です。

このため、令和2年7月に閣議決定された「成長戦略フォローアップ」でも、「スポーツ市場規模を令和2年までに10兆円、令和7年までに15兆円に拡大することを目指す」こと、及び「全国のスタジアム・アリーナについて、多様な世代が集う交流拠点として、平成29年から令和7年までに20拠点を実現する」ことが目標として掲げられています。

スポーツ庁では、①中央競技団体の経営力強化の推進、②スポーツオープンイノベーションの推進、③スタジアム・アリーナ改革の推進、④スポーツシェアリングエコノミー導入の促進等の施策に取り組んでいます。

スポーツ団体が、ガバナンスの確保やスポーツを通じた社会課題の解決といった社会的な要請に応えていくためには、収益の向上など安定的な経営基盤の確立が必要です。一方で、対象競技における唯一の国内統括団体である中央競技団体は、収益力向上に不可欠な普及(競技人口や愛好者の拡大等)及びマーケティング(収益の拡大)の重要性に関する認識が十分でなく、また、これらの活動を実施するための人材や資金が不足しています。このため、「中央競技団体による中長期普及・マーケティング戦略策定・実行に向けた手引き」を令和2年3月に策定するとともに、令和3年3月には戦略実行に向けた主体的な取組を促すための実践的なポイント集と事例集を作成しました。さらに、他の中央競技団体の参考となるモデル形成支援を通じて、スポーツ団体の経営力強化を図っています。

また、スポーツの成長産業化のための基盤を形成するため、スポーツの場におけるオープンイノベーションを推進し、スポーツへの投資促進やスポーツの価値高度化を図ることが必要です。その実現に向けて、スポーツ界が有するデータ・権利・施設等の多様なリソースと他の産業や学術機関等が有する技術・ノウハウ等のリソースとの融合を促し、新たな財・サービスの創出を促進するスポーツオープンイノベーションプラットフォーム(SOIP)の構築を推進しています。これまでにSOIP構築に向け、現場レベルでの人的交流を図るカンファレンスの開催、我が国初となる中央競技団体をイノベーションプラットフォームとした他産業との連携による新サービスの創出プロジェクトに取り組むとともに、令和2年度は、新しく、国内における先進的な取組を顕彰するコンテストを開催しました。引き続き、これらの取組を推進していくとともに、地域におけるSOIP構築の動きを後押しするなど、スポーツオープンイノベーションを推進していきます。

さらに「みるスポーツ」のためのスタジアム・アリーナは、地域活性化の起爆剤となる潜在力の高い基盤施設です。その潜在力を最大限発揮させるには民間活力の活用が必要であるため、平成29年6月に、スタジアム・アリーナ改革全体の方向性や国内外の先進事例、資金調達手法に係る検討事項、持続的な運営・管理に必要な事項等をまとめた「スタジアム・アリーナ改革ガイドブック(第2版)」を公表しました。また、平成31年3月には、スタジアム・アリーナが地域にもたらす経済的・社会的効果のロジックモデルを示した「社会的インパクト評価の手法を用いたスタジアム・アリーナ効果検証モデル」を公表しました。さらに、令和元年10月から、スタジアム・アリーナ改革の周知・普及を目的としたセミナーを全国10会場で開催するとともに、国の支援に係る一元的な相談窓口の設置(相談窓口URL:https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/sports/mcatetop02/list/detail/1406525.htm)や専門家派遣等を通じて、先進事例の形成に取り組んでいます。令和2年3月には、政府目標である20拠点の選定のための基準等を定めた「多様な世代が集う交流拠点としてのスタジアム・アリーナ選定要綱」を策定し、選定を開始しました。今後も必要な情報提供や各地域で進む先進的な取組を支援することにより、スタジアム・アリーナ改革を推進していきます。

加えて、スポーツ分野におけるシェアリングエコノミーを普及していくことは、スポーツ指導者と施設の稼働率・収益性を高め、スポーツ市場の拡大やスポーツ実施率向上にもつながる可能性があります。このため、平成30年6月からモデル形成に向けた実証事業を行うとともに、令和2年3月には、地方公共団体及び施設管理者向けに、施設情報のオープン化のためのプロセス等を示した「スポーツ指導スキルとスペースのシェアリングエコノミー導入手引き」を策定しました。今後、スポーツ分野におけるシェアリングエコノミーを推進していくため、先行するモデル事業を支援するとともに、指導者データのオープン化や導入の効果検証等を進めていきます。

6 スポーツを通じた地域活性化について

スポーツは感動を与えるだけでなく、地域への社会的効果や経済効果を創出することで地域活性化に大きな役割を果たすことが期待されています。スポーツ庁では各地域における推進役の「地域スポーツコミッション」が行うスポーツ大会・イベントの開催や、スポーツ合宿・キャンプの誘致等の活動を平成27年度から支援しています。

令和2年度には、地域資源とスポーツを掛け合わせた先進的な観光コンテンツの造成や磨き上げを行うため、3つのテーマ(スノースポーツ、サイクリング、武道)で全国6か所のモデル地域を選定し、先進的な取組を支援しました。また、地域資源のネットワークを形成するため、武道ツーリズムに関する施設情報を集約したデータベースを構築しました。

プロモーション事業では、平成30年3月に策定された「スポーツツーリズム需要拡大戦略」や令和2年3月に策定された「武道ツーリズム推進方針」に基づき、武道ツーリズムに関する疑似体験コンテンツやコンテンツウェブサイトの作成、デジタルプロモーションを実施しました。

スポーツ庁・文化庁・観光庁の3庁連携施策の一つである「スポーツ文化ツーリズムアワード2020」において、全国から優れた取組を募集して表彰するとともに、特集動画やパンフレットを作成して全国への広報を行いました。

合わせて、あらゆるスポーツシーンを支えるスポーツ施設が適切に整備・管理・運営されていくことも重要です。安全で魅力的で、多様な利用が可能となるスポーツ施設が、持続的に地域に存在していくための施策を展開しました。

今年度も引き続き、スポーツを通じた地域活性化の取組を進めてまいります。

7 スポーツを通じた国際交流・協力について

スポーツの持つ価値を共有し、広めていくためにはスポーツを通じた国際交流・協力を推進していくことが重要です。スポーツ庁では、平成30年9月に、スポーツ国際戦略を策定し、スポーツを通じた国際交流や国際協力の成果が効果的かつ効率的に他分野にも拡大するよう、関係機関と連携して取組を進めています。

まず、「スポーツ国際展開基盤形成事業」において、スポーツに関する国際政策を統合的に展開し、その効果を最大限に高めるべく、国際競技連盟(IF)等の役員ポスト獲得や、国際的な実務能力及びネットワークを有する人材の養成に対する支援を実施しています。また、国内外の情報を収集・分析し、戦略的な情報発信を行うことで、国際スポーツ界における我が国のプレゼンスの向上を図っています。

また、スポーツ国際展開の効果を他分野に拡大させるため、平成30年7月にスポーツ産業分野に関し、スポーツ庁、経済産業省、独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)及び独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)の4者で基本合意書を締結しており、連携を強化しながら取組を進めています。また令和2年には、我が国のスポーツ産業の国際展開を促進するため、国内外の先行事例を調査し、国としての支援の在り方等を検討しました。

さらに、スポーツ分野における各国との連携を強化するために、国際的な対話枠組みの構築も積極的に行っています。平成28年度より日中韓スポーツ大臣会合が、平成29年度より日・ASEANスポーツ大臣会合が隔年で開催されています。令和2年には、「第3回日中韓スポーツ大臣会合」がオンラインで開催され、3か国間のさらなるスポーツ交流の促進や協力強化について合意し、成果文書として「北京共同声明」に署名しました。

加えて、各国とのスポーツ協力をより密にするため、2国間のスポーツ分野における協力覚書を現在31か国と締結しています。

このほか、東京2020大会に向けて、①スポーツを通じた国際協力及び国際交流、②国際スポーツ人材育成拠点の構築、③国際的なアンチドーピング推進体制の強化支援を柱とする「Sport for Tomorrow(SFT)」プログラムに取り組んでいます。このプログラムは、開発途上国をはじめとする100か国以上の国において、1000万人以上を対象に、世界のより良い未来のために、未来を担う若者をはじめあらゆる世代の人々にスポーツの価値とオリンピック・パラリンピック・ムーブメントを広げていく取組です。具体的には、パラリンピック参加国・地域拡大支援、学校体育カリキュラム策定支援、長期・短期の人材養成プログラム等を行っています。令和元年9月末までに予定より早く100か国・1000万人以上の目標を達成しました。

令和4年には、世界水泳選手権とワールドマスターズゲームズ2021関西が開催されます。ワールドマスターズゲームズ2021関西は、主にトップアスリートが活躍するような大会とは異なり、おおむね30歳以上のスポーツ愛好者であれば誰でも参加できます。

我が国で国際競技大会を開催することは、我が国の競技力向上に資する環境の構築などスポーツの振興につながるだけでなく、世界のトップアスリートの競技を目の当たりにすることを通じて多くの国民に夢や感動を与えることにつながります。さらに、大会・イベントの開催は、地域の一体感の醸成やスポーツ人口・関心層の拡大等の社会的効果や、観光客数の増加等の経済効果の創出につながります。国際競技大会の積極的な招致・開催が円滑に行われるよう、関係団体等との連絡調整を行い、必要な協力・支援を行っています。引き続き、スポーツの力を活用しながら、国際交流・協力を戦略的に展開していきます。

8 我が国の国際競技力の向上について

オリンピック・パラリンピック競技大会をはじめとする国際競技大会における日本代表選手の活躍は、国民に夢と希望を与えるものであり、第2期スポーツ基本計画や「競技力強化のための今後の支援方針(鈴木プラン)」(平成28年10月)に基づき、国際競技力の向上に向けて以下の施策を実施しています。

一つ目は、各競技団体が行う日常的・継続的な強化活動の支援です。令和元年度から、東京大会に向けた「ラストスパート期」として、「メダル獲得の最大化」の考えのもと支援を柔軟かつ大胆に重点化しています。

また、各競技団体が中長期の強化戦略に基づいて競技力強化を行うことを支援するため、JSC・JOC・JPC等による相談体制をとっています。

二つ目は、次世代アスリートを発掘・育成する戦略的な体制等の構築です。JSC、JSPO、JOC、JPC及び地方公共団体等と連携し、全国各地の将来有望なアスリートの効果的な発掘・育成を支援するシステムの構築を進めています。

三つ目は、スポーツ医・科学、情報等による多面的で高度な支援の充実です。スポーツ医・科学研究、支援を行う中枢機関である国立スポーツ科学センター(JISS)と高度なトレーニング環境を提供するナショナルトレーニングセンター(NTC)の機能を一体的に捉えたハイパフォーマンススポーツセンター(HPSC)を中心に、メダル獲得の可能性が高い競技を対象に、スポーツ医・科学、情報による専門的かつ高度な支援を実施しています。

四つ目は、トップアスリートのニーズに対応できる拠点の充実です。NTCについては、オリンピック競技とパラリンピック競技の更なる共同利用化等を見据え拡充整備に取り組み、NTC屋内トレーニングセンター・イーストが、令和元年6月末に完成しました。

また、冬季、海洋・水辺系、屋外系のオリンピック競技、高地トレーニング及びパラリンピック競技のトレーニング環境の充実を図るため、既存施設をNTC競技別強化拠点施設として指定しています。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえ、令和3年度予算においては、感染症対策を徹底しつつ新しい生活様式を踏まえた強化活動を行う競技団体への支援を行うとともに、HPSCを中心に、感染症等の様々な制約を受ける状況にあっても継続的に選手強化が行われるレジリエント(強靱きょうじん)なシステムを構築するための経費を計上しています。具体的には、スポーツ医・科学的なアプローチに基づき、コンディショニング、リモートの活用など競技特性を踏まえた多様な支援手法の研究、競技用具の研究開発等を進めることとしています。

スポーツ庁では、東京2020大会及び2022年北京オリンピック・パラリンピック冬季競技大会に向けた支援の取組を進めていくとともに、それ以降も見据えて、競技力強化のための取組の更なる充実を図っていきます。

9 スポーツにおけるインテグリティの確保について

スポーツは本来、見る人々を感動させ、国民に勇気を与えるものです。しかしながら、昨今、スポーツ選手等による違法賭博や違法薬物、スポーツ団体での不正経理、スポーツ指導者による暴力、ファン等による人種差別や暴力行為、他者への不正行為等、スポーツの価値を損なう問題が頻発しています。そのため、第2期スポーツ基本計画では、東京2020大会に向けて、我が国のスポーツ・インテグリティ(誠実性・健全性・高潔性)を高め、クリーンでフェアなスポーツの推進に一体的に取り組むことを通じて、スポーツの価値の一層の向上を目指していくこととしています。

平成31年2月からスポーツ審議会スポーツ・インテグリティ部会において、スポーツ団体が遵守すべき原則・規範を定めた「スポーツ団体ガバナンスコード」に関する審議を開始し、令和元年6月に「スポーツ団体ガバナンスコード」〈中央競技団体向け〉、8月に「スポーツ団体ガバナンスコード」〈一般スポーツ団体向け〉をそれぞれ策定しました。同コードにおいては外部理事(25%以上)及び女性理事(40%以上)の目標割合を定めているほか、役職員、及び選手、指導者に対するコンプライアンス研修の実施、通報制度の構築等を求め、単に不祥事事案の未然防止にとどまらず、スポーツの価値が最大限発揮されるよう、その重要な担い手であるスポーツ団体における適正なガバナンスの確保を図ることとしています。同コードに基づき、令和2年度から、中央競技団体は自らの取組状況を説明・公表するとともに、自らが加盟する統括団体による適合性審査が実施されています。また、中央競技団体以外のスポーツ団体(一般スポーツ団体)においては、令和2年度に開設したJSCの専用ウェブサイトを活用し、同コードのセルフチェックシートに基づく自己説明を自主的に行うことが期待されます。

東京2020大会は、ドーピングのないクリーンな大会とすることが世界から求められていること等を踏まえ、スポーツ庁では、関係団体等と連携して、ドーピング防止体制の強化を図っています。

具体的には、公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構と協力し、世界各国から参加するアスリートのドーピング検査に対応できるよう、英語等の言語能力や豊富な実地経験を備えたドーピング検査員の育成に取り組んでいます。

また、JSCと連携し、禁止物質の不正取引や正当な理由のない禁止物質の保有など、ドーピング検査だけでは捕捉できないドーピング防止規則違反に対応するため、ドーピング通報窓口の運用等を通じた情報収集や専門的知見からの分析などのインテリジェンス活動を推進しています。

さらに、我が国のアスリート等からドーピング防止規則違反を出さないよう、若い世代への教育を強化するとともに、学校教育課程においてドーピング防止を含むスポーツの価値教育の促進にも取り組んでいます。これに加えて、令和元年度からは、アスリートを「意図しないドーピング」から守るため、医療従事者に対する情報提供等にも取り組んでいます。

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