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私立学校の振興

文部科学省高等教育局私学部

私立学校の現状と課題

私立学校は、独自の建学の精神に基づく個性豊かな教育研究活動を積極的に展開し、我が国の学校教育の発展に大きく貢献しています。令和2年度の私立学校に在学する学生生徒などの割合は、大学・短大で約7割、高等学校で約3割、幼稚園で約9割、専修学校・各種学校で9割以上を占めます。また、知識基盤社会の中で、多様化する国民ニーズに応じた特色ある教育研究を行う私立学校の果たす役割は、今後も重要と考えられます。

一方、近年の少子化の進行等により、私立学校をめぐる経営環境が一層厳しさを増す中、各学校法人が経営基盤を安定させ、国民の期待に応える魅力あふれる学校づくりを推進することが求められます。このため、文部科学省では、各種施策を通じて私立学校の振興を図っています。

学校法人制度の改善

私立学校が今後も社会からの信頼と支援を得て重要な役割を果たし続けるため、学校法人のガバナンスの向上が強く求められています。このため、令和元年に私立学校法が改正され、令和2年4月1日に施行しました。この改正により、①役員の職務及び責任の明確化(学校法人や第三者に対する役員の損害賠償責任、監事による理事の行為の差止め請求権等)、②情報公開の充実(財務書類等及び役員報酬支給基準の一般閲覧及び公表(大臣所轄法人)、寄附行為・役員名簿の一般閲覧等)、③認証評価の結果を踏まえた中期的な計画の作成(大臣所轄法人)、④破綻処理手続の円滑化(所轄庁による清算人の選任)等が新たに規定されたほか、学校法人の責務規定が新設され、運営基盤の強化、設置する私立学校の教育の質の向上及びその運営の透明性の確保に努めることとされました。

また、この法改正の方向性を提言した大学設置・学校法人審議会では、自主的なガバナンスの一層の向上に向けて、私学団体自ら行動規範を定めることも提言されました。これを受けて、令和2年1月までに、全ての私立大学団体において、それぞれの理念に基づく「ガバナンス・コード」が策定され、加盟校の取組も始まっています。

さらに、国会の附帯決議や閣議決定を踏まえ、「学校法人のガバナンスに関する有識者会議」を開催し、学校法人制度のさらなる改善に向けて検討を行い、令和3年3月に大学を設置する法人に係る今後の取組の基本的な方向性に関する提言が取りまとめられました。この提言では、①評議員会の基本的な職務の強化(役員の選解任、運営の重要事項の議決等)、②評議員の在り方の見直し(評議員の構成、解任の訴えの仕組みの整備等)、③理事会の監督機能・監事の独立性の強化(理事長の選定・解職、監事の選解任手続等)④ガバナンス・コードの段階的な充実など、が提示されています。

これらを踏まえ、学校法人のガバナンスの発揮に向けて、今後更に具体的な検討を進めてまいります。

私立学校への助成

学校教育における私立学校の果たす重要な役割に鑑み、その教育条件の維持向上と修学上の経済的負担の軽減を図り、私立学校の経営の健全性を高めるために、私学助成を行っています。

私立大学等経常費補助は、私立の大学、短期大学、高等専門学校の教育又は研究にかかる経常的経費について補助するものです。令和3年度予算においては、新型コロナウイルス感染症の拡大以降も、効果的で質の高い教育研究に取り組む私立大学等や、数理・データサイエンス・AI教育や地域に貢献する私立大学等の他、新型コロナウイルス感染症等の拡大に対応した教育研究等に係る取組を実施する私立大学等に対する支援を強化するとして、2975億円を計上しています。そのうち、一般補助では、私立大学等の運営に不可欠な教育研究に係る経常的経費について支援するとともに、アウトカム指標を含む教育の質に係る客観的指標を強化し、メリハリある資金配分による教育の質の向上を更に促進することとして、2756億円を計上しています。また、特別補助では219億円を計上しており、人口減少・少子高齢化の進行や社会経済のグローバル化を背景に、「Society5.0」の実現や地方創生の推進等、我が国が取り組む課題を踏まえ、自らの特色をいかして改革に取り組む大学等を重点的に支援します。「私立大学等改革総合支援事業」においては、110億円を計上しており、特色ある教育研究の推進や、地域社会への貢献、研究の社会実装の推進など、特色や役割の明確化・伸長に向けた改革に全学的・組織的に取り組む大学等を重点的に支援しています。また、AI戦略等を踏まえ、すべての学生が一定の数理・データサイエンス・AIを習得することが可能となるよう、教材等の開発や全国への普及展開に資する大学等を支援するため、私立大学等における数理・データサイエンス・AI教育の充実として7億円を計上し、感染症対策の強化に資する取組や学修支援体制強化に資する取組など、新型コロナウイルス感染症等の拡大に対応した教育研究等に係る取組支援として11億円を計上しています。そのほか、高等教育修学支援新制度の対象者の授業料減免分として、別途1892億円を措置しています。

私立高等学校等経常費助成費補助は、私立の高等学校、中学校、小学校及び幼稚園等に経常費助成を行う都道府県に対して、国がその一部を補助するものです。

令和3年度予算においては、一般補助の幼児児童生徒数の増減を反映するとともに、一人当たり単価を増額しています。特別補助では、新型コロナウイルス感染症への対応として、学習指導員等の追加的人材を配置する学校への支援等のため(教育の質の向上を図る学校支援経費)18億円を、家計急変などの経済的理由から授業料の納付が困難となった児童生徒に対する授業料減免支援のため3億円を計上しています。

また、特別な支援が必要な幼児の受入れ(幼稚園等特別支援教育経費)への支援の充実や預かり保育を実施する園に対する支援を引き続き実施します。このほか、過疎高等学校特別経費に加えて、特別支援学校等に対して国がその教育の推進に必要な経費の一部を補助する、特定教育方法支援事業について、必要な経費を引き続き計上しています。

これらを含めた私立高等学校等経常費助成費等補助の総額は、対前年度2億円増の1019億円となっています(子ども・子育て支援新制度移行分を含む)。

私立学校施設・設備整備費補助は、建学の精神や特色を生かした質の高い教育研究活動等の基盤となる施設・設備等の整備を支援するものであり、令和3年度予算においては、総額で100億円を計上しております。令和2年度第3次補正予算の34億円と合わせて、耐震改築及び耐震補強等の防災機能強化に対して引き続き重点的に支援し、私立学校施設の耐震化の一層の促進を図ることとしています。

また、引き続き教育研究の質の向上のための装置・設備の高機能化等を支援することにより、多様で特色ある私立大学等の教育及び研究の一層の推進を図ることとしており、令和2年度第3次補正予算の69億円と合わせて、教育研究装置の高機能化等を支援することとしています。

なお、私立高等学校等におけるICT環境の整備を支援する経費として、13億円を計上しています。

そのほか、「GIGAスクール構想の実現」の推進のため、児童生徒1人1台コンピュータや高速通信ネットワークなどの整備への補助として、令和元年度補正予算において119億円、令和2年度第1次補正予算において86億円、令和2年度第3次補正予算において58億円を計上しています。

また、日本私立学校振興・共済事業団の貸付事業を活用した耐震改築等事業への利子助成(私立学校施設高度化推進事業費補助)について、耐震化促進等のため、8億円を計上しています。

私立学校に関する税制

私立学校を設置する学校法人については、その公益性を考慮して、収益事業を行う場合などを除き、法人税・所得税などの国税や、住民税・事業税などの地方税が非課税とされています。収益事業から生じた所得についても、法人税の軽減税率が適用されます。また、学校法人に対する寄附についても、税制上の優遇措置が設けられています。特定公益増進法人の証明を受けた学校法人への寄附については、個人の場合には所得控除、企業など法人の場合には一般の寄附金とは別枠の損金算入が認められています。

さらに、寄附実績等一定の要件を満たした学校法人等に対する個人からの寄附については、税額控除制度の適用も認められています。税額控除は、寄附者の所得や寄附金額の多寡にかかわらず、減税効果が一定であるため、学校法人にとっても、より幅広い関係者から小口の寄附金を期待することができます。

また、一定の要件を満たす学校法人に対して相続財産をその申告期限までに寄附した場合には、その相続財産に係る相続税は非課税とされています。加えて、土地や建物をはじめとする資産を学校法人に対して贈与等する場合で一定の要件を満たすものとして国税庁長官の承認を受けた場合は、贈与等がなかったものとみなして所得税を非課税とする措置が設けられており、このうち学校法人が当該資産を基本金として管理する等の一定の要件を満たすものについては、申請手続が簡素化される等の特例が設けられています。さらに、最近の税制改正では、祖父母等から孫等に対して一括贈与された教育資金を受けた場合の贈与税の非課税措置について、祖父母等が亡くなった場合、孫等が23歳以上であれば贈与の残額を相続財産に加算の上、2割加算を適用する(在学中の場合を除く)など、所要の見直しを行った上で、適用期限を2年延長することが認められました(令和5年3月31日まで)。

こうした税制上の優遇措置を活用し、収入源の多様化を通じて、財政基盤の強化を図り、魅力ある教育研究を一層進展させることが期待されます。

学校法人に対する経営支援の充実

日本私立学校振興・共済事業団の調べによると、令和2年度において入学定員の8割を満たしている私立大学は553校(約93・3%)、私立短期大学は189校(約64・9%)であり、入学者が入学定員の半分未満である私立大学は10校(約1・7%)、私立短期大学は14校(約4・8%)です。また、令和元年度決算において学納金、寄附金などの自己収入から人件費、教育研究経費などの支出を差し引いたものがマイナスの学校法人(大学を持つ学校法人)は42・5%となっています。

各学校法人においては、新しい時代の要請に応じた学部・学科の見直しや特色ある教育研究活動の展開はもとより、経費の削減など経営の効率化を図り経営基盤の安定のための努力を積極的に行っていくことが求められています。文部科学省は、学校法人の健全な経営の確保に資することを目的として、学校法人の管理運営の組織及びその活動状況、財務状況等について、学校法人運営調査委員による調査を実施し、必要な指導・助言を行っています。また、経営が悪化傾向にある学校法人に対しては、個別に指導・助言を行っていますが、令和元年度からは、新たな財務指標を設定し、日本私立学校振興・共済事業団とも連携の上、学校法人の自主的な経営改善を一層推進するとともに、著しく経営困難な学校法人に対しては、撤退を含む早期の経営判断を促す指導を実施するなど、経営改善に向けた指導の充実を図っています。また、学校法人がその自主性及び公共性を十分に発揮できるよう、学校法人の監事を対象とした専門性向上のための研修会の実施や、事務局長等を対象とした高等教育に関する施策の情報提供等を目的とした協議会を行っています。日本私立学校振興・共済事業団においては、各学校法人の理事長・学長等に対し「私学リーダーズセミナー」を、若手職員を対象に「私学スタッフセミナー」を開催したり、専門知識を有する人材を派遣する「専門家人材バンク」を設けたりしています。

私立学校教職員の共済制度

私立学校教職員共済制度は、我が国の学校教育における私立学校の重要性を踏まえ、その教職員に対して、国公立学校教職員と同等の医療及び年金給付をはじめとする福利厚生を保障し、私学振興に資する見地から創設されました。

近年の社会保障に係る動きとしては、年金制度において、長期化する高齢期の経済基盤の充実を図るため、年金の受給開始時期の選択肢の拡大等を内容とする法律が令和2年5月に成立したところです。

そのほか、マイナンバーの活用により様々な手続きにおいて添付書類の省略が可能となっております。

私学共済制度においても、これらの動向に則し、引き続き適切な対応を進めているところです。

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