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初等中等教育の充実

文部科学省初等中等教育局

中央教育審議会「「令和の日本型学校教育」の構築を目指して」(答申)について

令和3年1月26日に中央教育審議会において「「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~」(答申)が取りまとめられました。本答申では、Society5.0時代の到来など、社会の在り方そのものが劇的に変わる社会状況を見据え、これからの初等中等教育の在り方について、第Ⅰ部を総論、第Ⅱ部を各論として、目指すべき改革の方向性が示されました。

急激に変化する時代の中で、我が国の学校教育には、一人一人の児童生徒が、自分のよさや可能性を認識するとともに、あらゆる他者を価値のある存在として尊重し、多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会の創り手となることができるよう、その資質・能力を育成することが求められているとされました。

この資質・能力の育成に向けては、これまでの日本型学校教育の成果と直面する課題を踏まえつつ、学校における働き方改革や、GIGAスクール構想の実現といった新たな動きも加速・充実させながら、新学習指導要領を着実に実施することが必要であるとされたところです。

その上で、2020年代を通じて実現を目指す学校教育が「令和の日本型学校教育」と名付けられ、その姿が「全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現」と描かれました。各学校においては、教科等の特質や児童生徒の実情を踏まえながら、「個別最適な学び」と「協働的な学び」を一体的に充実し、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善につなげていくことが求められています。

また、「令和の日本型学校教育」の実現に向けては、これまでの学校教育が果たしてきた、①学習機会と学力の保障、②全人的な発達・成長の保障、③安全・安心な居場所・セーフティネットとしての身体的、精神的な健康の保障の三つを学校教育の本質的な役割として重視・継承していくことが必要であるとされました。その上で、履修主義か修得主義か、遠隔・オンラインか対面・オフラインかといった「二項対立」のかんせいに陥らず、教育の質の向上のために、発達の段階や学習場面等により、どちらの良さも適切に組み合わせて生かしていくという考え方に立ち、必要な改革を進めていくべきとされています。

これらを踏まえた、今後の改革の方向性は次の通りです。

  1. 学校教育の質と多様性、包摂性を高め、教育の機会均等を実現する
  2. 連携・分担による学校マネジメントを実現する
  3. これまでの実践とICTとの最適な組合せを実現する
  4. 履修主義・修得主義等を適切に組み合わせる
  5. 感染症や災害の発生等を乗り越えて学びを保障する
  6. 社会構造の変化の中で、持続的で魅力ある学校教育を実現する

さらに、本答申においては、学校教育におけるICTの活用に関する基本的な考え方も示されました。「令和の日本型学校教育」の実現に向けて、ICTは基盤的なツールとして必要不可欠なものであり、これまでの実践とICTとを最適に組み合わせることで、学校教育が抱える様々な課題を解決し、教育の質の向上につなげていくことが必要とされました。一方で、ICTを活用すること自体が目的化してしまわないよう、十分に留意する必要があることが指摘されています。

これらの方向性を踏まえた本答申の具体化に当たっては、文部科学省をはじめとする関係府省及び教育委員会、首長部局、教職員、さらには家庭、地域等を含め、学校教育を支える全ての関係者がそれぞれの役割を果たし、互いにしっかりと連携することで、必要な改革を果敢に進めていくことが期待されています。文部科学省としましても、「令和の日本型学校教育」を実現し、教育の質の向上につなげるため、関連する取組に全力で取り組んでまいります。

本答申に関する資料はこちらを御覧ください。

少人数学級の推進について

少子化の進展や子供たちの多様化が進展する中で、多様な子供たちを誰一人取り残すことなく、全ての子供たちの可能性を引き出す教育へと転換し、個別最適な学びと協働的な学びを実現する必要があります。本年4月からの義務教育段階の全ての子供たちに対する一人一台端末環境の整備に加えて、その効果を最大化する少人数学級の取組を進めるため、義務標準法を改正し、約40年ぶりに小学校の学級編制の標準を引き下げました。具体的には、今年度より5年かけて小学校2年生から学年進行で段階的に40人から35人へ引き下げていきます。この、学級編制の標準の引下げにより、約1万4,000人の教職員定数の改善を図っていくこととしております。一人一台端末と少人数学級の環境が実現すれば、子供の反応や理解度に応じた指導や、特別な教育的ニーズに応じた指導、協働学習等の学習活動・機会の充実につながると考えています。また、個々の子供が抱える課題への丁寧な対応や、家庭との緊密な連携など、生徒指導面の充実や保護者との連携強化等にもつながり、よりきめ細かな指導が可能となると考えています。

今後、小学校35人学級を実施する中で、小学校での取組状況等も踏まえつつ、更なる指導体制の強化・充実に向けて、引き続き検討していきたいと考えています。

GIGAスクール構想の実現について

文部科学省では、Society 5.0時代を生きる子供たちに相応ふさわしい、全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと協働的な学びを実現するため、1人1台端末と高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備する「GIGAスクール構想」の実現に向けて取り組んでいます。

文部科学省が行った調査によると、令和3年4月の新学期からはほとんどの義務教育段階の学校において1人1台端末と校内通信ネットワーク環境が整うこととなり、いよいよそのような充実したICT環境を活用した学びが全国で本格的に始まります。

今後は、整備されたICT環境を最大限活用していくことが重要です。文部科学省では、日々子供たちと向き合う教師の皆様をはじめ、教育委員会など学校設置者に対する支援を充実するため、令和2年12月末に「GIGA StuDX 推進チーム」を立ち上げ、令和3年4月からは現場の教師8名もチームに迎え、活動を充実していきます。具体的には、各地域においてICTを活用した教育を中核的に担っている先生方とつながりながら、特設サイト「StuDX Styel」(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/mext_01097.html)における1人1台端末の活用方法に関する優良事例や課題への対応事例等に関する情報発信等に努めていますので、是非注目していただきたいと思います。

高校段階においても、義務教育段階において1人1台端末環境で学んだ児童生徒が引き続き同様の環境で学べるように取り組むことが重要です。文部科学省が令和3年1月から2月にかけて実施した調査によると、47都道府県中42の都道府県が1人1台端末の整備を目標としています。一方、高校段階の学習者用端末の整備については、既に公財政負担により整備を進める取組や、個人が所有する端末の持込みを進めようとする取組など、様々な実態があります。文部科学省としては、令和2年度第3次補正予算において高等学校段階の低所得世帯等の生徒が使用する端末整備を支援するための経費を計上したところであり、各学校設置者におかれては、こうした補助制度も活用しながら、計画的に整備を進めていっていただきたいと考えています。

学校における感染症対策及び児童生徒の学びの保障について

新型コロナウイルス感染症への対応に当たっては、感染症対策を徹底しつつ、最大限子供たちの健やかな学びを保障することが重要です。

学校においては、手洗いや咳エチケット、換気といった基本的な感染症対策に加え、感染拡大リスクが高い「3つの密(密閉・密集・密接)」を避ける、身体的距離を確保するといった感染症対策を徹底することが必要であり、文部科学省では、学校における衛生管理の指針となるよう、「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル」を作成し、逐次改訂・周知しています。マニュアルにおいては、学校の設置者から報告のあった学校関係者の感染者数及びその分析、感染状況に応じた具体的な活動場面ごとの感染症対策や、学校で感染者が発生した場合の対応等について示しています。

また、文部科学省では、令和2年6月に「学びの保障」総合対策パッケージを取りまとめ、各学校における時間割編成の工夫や長期休業期間の見直し、授業における学習活動の重点化等の工夫により指導を充実していただくようお願いしています。また、このような様々な工夫を行ってもなお、年度当初予定していた内容の指導を当該年度中に終えることが困難である場合の特例的な対応として、次年度以降を見通した教育課程編成や、学校の授業における学習活動の重点化などの特例的な対応も行って教育課程を見直すこと等により、学校ならではの学びを最大限に確保していただきたい旨も示しています。

さらに、修学旅行については、子供たちにとってかけがえのない貴重な思い出となる有意義な教育活動であるため、文部科学省としては、各学校や学校設置者に対し、適切な感染防止策を十分に講じた上でその実施について配慮いただくようお願いしているところであり、引き続き適切に対応していただきたいと考えています。

学校における感染症対策や教育活動の充実のため、これまでも、スクール・サポートスタッフ等の人的な支援、消毒液など保健衛生用品の整備等の物的な支援に必要な予算を措置してきたところですが、日々、感染症対策に配慮した工夫や取組を行っていただいている学校現場を支え、子供たちが安心して学校生活を送ることができるよう、文部科学省としても、引き続き、必要な助言や支援を行ってまいります。

学校雇用シェアリンクと学校・子供応援サポーター人材バンクについて

新型コロナウイルス感染症の影響等により従業員の雇用維持に苦慮され、雇用シェアを希望される「企業」と「教育委員会や私立学校等」をつなげるため、文部科学省ホームページ上に「学校雇用シェアリンク」を本年1月に開設いたしました。

昨年度の補正予算による外部人材の大規模配置を契機に、各自治体では、資格要件を緩和したり、広範囲で人材確保を行ったりしたことにより、現在、これまでにない規模で学生や地域人材など幅広い方々が学校にサポートに入っていただいています。

外部人材の力を学校の力にするということが学校現場に急速に浸透した今のこの状況を、あれは緊急時だったからとまた元に戻してしまうのではなく、この機運をより積極的に進めていくチャンスだと考えています。

学校側にとっても、企業の知見を学校教育に生かす非常に有益な機会になると考えており、是非、積極的に教育委員会や学校には御活用いただきたいと考えています。

また、学校における人材確保を後押しするため、学校に御協力いただける方の登録を全国から募集し、都道府県教育委員会等に名簿を提供する「学校・子供応援サポーター人材バンク」を昨年の4月に開設し、これまで、2万3,000人を超える方から御登録を頂き、各自治体の採用につなげています(令和3年4月5日時点)。

学校における働き方改革の推進について

世の中に染みつきつつある学校が大変な職場というイメージを払拭しつつ、教師が再び子供たちの憧れの職業となるよう、学校における働き方改革は喫緊の課題です。学校における働き方改革は何か一つをやれば解決するといったものではなく、特効薬のない総力戦です。

国・学校・教育委員会がそれぞれの立場において、教師が教師でなければできないことに全力投球できる環境を整備することが重要であり、そのために、あらゆる手立てを尽くして取組を進め成果を出していくことが重要です。

国としては、教員の業務削減につながるよう、公立小学校における35人学級の実現をはじめとした教職員定数の改善、外部人材の活用や部活動改革、免許更新制度の検証・見直し、学校向けの調査の精選・削減などの様々な取組を推進しています。

特に、教師の負担軽減に大きく資する外部人材の配置については、令和3年度予算において、例えば、スクール・サポート・スタッフを前年度当初予算に比べて倍増するなど、必要な経費を盛り込んだところです。

また、学校における働き方改革の自走サイクルの構築のため、各教育委員会や学校における状況について、都道府県・市区町村別に公表するとともに、好事例についても取組事例集の発行等を通じて、幅広く展開していきます。

新しい学習指導要領について

激しく変化するこれからの社会において、子供たちがしっかりと未来を切りひらくために必要な力を育むことを目指し、文部科学省では平成29・30・31年に学習指導要領を改訂しました。新しい学習指導要領は、小学校においては昨年度から、中学校においては今年度から全面実施され、高等学校においては令和4年度入学生から年次進行で、特別支援学校においては小・中・高等学校学習指導要領に合わせて実施されます。

学習指導要領は、全国どの学校でも一定の教育水準が保てるよう、文部科学省が定めている教育課程(カリキュラム)の基準です。時代の変化などに合わせておよそ10年に一度改訂しており、子供たちが学校で学ぶ教科書や時間割は、これを基に作られています。

新しい学習指導要領は、従来の学習指導要領で掲げられてきた子供たちの「生きる力」を育むという目標は引き続き大切にしながら、これからの時代において子供たちに必要となる力を確実に育むことを目指し、「何を学ぶか」だけでなく、「何ができるようになるか」、「どのように学ぶか」も重視して改善を図っています。

「何ができるようになるか」の点では、全ての教科等において、育成を目指す力を「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力等」「学びに向かう力、人間性等」の三つの柱で整理し、社会に出てからも学校で学んだことを生かせるよう、子供たちの力をバランスよく育みます。

そうした力をしっかりと育んでいくため、「どのように学ぶか」の点で、「主体的・対話的で深い学び」(いわゆる「アクティブ・ラーニング」)の視点から、授業を改善していくことを目指します。一つ一つの知識がつながり、「わかった!」、「おもしろい!」と思える授業、周りの人たちと共に考え、学び、新しい発見や豊かな発想が生まれる授業などを目指していくことで、子供たちの力を確実に育みます。また、各学校において「カリキュラム・マネジメント」を確立し、教育活動の質を向上させ、学習の効果の最大化を図ります。

子供たちの「生きる力」を確実に育むためには、新しい学習指導要領の趣旨・内容を多くの方々と共有することが大切です。保護者や地域の皆様のお力添えを頂きながら、学校教育がこれからも子供たちの「生きる力」を確実に育んでいけるよう、子供たちの学びを社会全体で応援していきたいと考えています。

新しい学習指導要領に関するより詳しい情報は、

「学習指導要領ウェブサイト」(http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/index.htm)を御覧ください。

外国語教育の強化について

小・中・高等学校を通じ、外国語活動及び外国語科では、「自分の考えや気持ちを伝え合う言語活動を通してコミュニケーションの資質・能力を育成」することを目標としています。

文部科学省では、小学校外国語教育の指導体制の整備に引き続き取り組むとともに、生徒の英語力向上に向け、教育委員会が行う教師の指導力向上のための取組への支援、オンラインを活用した教師の指導力向上等に努めてまいります。また、授業実践例や指導のポイント解説等の動画公開(令和3年4月現在計37本)など、授業改善に向けた支援を行っています。

「外国語教育はこう変わる!YouTube文部科学省 mextchannel 」へは、こちら から

新しい時代の高等学校教育の推進について

高等学校への進学率は、約99%まで上昇するなど、今日では高等学校は中学校を卒業したほぼ全ての子供たちが進学する教育機関となっています。それゆえ、高等学校には多様な入学動機や進路希望、学習経験など様々な背景を持つ生徒が在籍しているという現状を踏まえて教育活動を展開することが極めて重要です。高校生の現状の一つとして、その学習意欲に目を向けると、全体的な傾向として学校生活への満足度や学習意欲は中学校段階に比べて低下しており、こうした課題に対応するためにも、これからの高等学校には、それぞれの高等学校において特色・魅力ある教育を行い、生徒一人一人が主体的に学びに取り組むことを支援していくことが求められます。

また、現代社会は予測困難な時代とも言われ、実社会において求められる能力も刻々と変わり続けています。このため、特定の分野に関する知識及び能力だけではなく、他分野に関する理解や、新たなことを学び挑戦する意欲を育むことが欠かせません。さらに、選挙権年齢や成人年齢が18歳に引き下げられる等の状況を踏まえ、生徒が高等学校在学中に主権者の一人としての自覚を深めていくための学びが求められます。

こうした背景を踏まえ、中央教育審議会においては、平成31年4月17日以降、新しい時代の初等中等教育の在り方について専門的・実務的に検討が行われ、令和3年1月26日に「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して(答申)」が取りまとめられました。同答申を取りまとめるに当たっては、新しい時代の高等学校教育の在り方について集中的に調査審議を行うため、「新しい時代の高等学校教育の在り方ワーキンググループ」が設置され、同ワーキンググループにおいても「審議まとめ」が令和2年11月13日に取りまとめられています。

(1)スクール・ミッションの再定義とスクール・ポリシーの策定

同答申においては、まず、各高等学校が育成を目指す資質・能力を明確にするために、各学校の設置者が、各学校や所在する地方公共団体等の関係者と連携しつつ、在籍する生徒の状況や意向、期待に加え、学校の歴史や伝統、現在の社会や地域の実情を踏まえて、また、20年後30年後の社会像・地域像を見据えて、各学校の存在意義や各学校に期待されている社会的役割、目指すべき学校像を明確化し、いわゆるスクール・ミッションとして再定義することを提言しています。現在も各高等学校には学校教育目標等が掲げられていますが、ともすれば抽象的で特徴が分かりにくい、校内外への共有・浸透が十分ではないといった指摘もされており、生徒及び学校内外の関係者に対して分かりやすく高等学校の役割や理念を示すものとして検討されることが求められます。

また、そうしたスクール・ミッション等に基づき、学校全体の教育活動の組織的・計画的な改善を進めることが不可欠であり、高等学校教育の入口から出口までの教育活動を一貫した体系的なものに再構成するとともに、教育活動の継続性を担保するため、育成を目指す資質・能力に関する方針、教育課程編成及び実施に関する方針、入学者の受入れに関する方針(「スクール・ポリシー」と総称する。)を策定・公表することが提言されています。各高等学校においては、スクール・ポリシーを起点としたカリキュラムマネジメントを適切に行い、教育課程や個々の授業、入学者選抜の在り方等について組織的かつ計画的に実施するとともに、不断の改善を図ることが求められます。

(2)「普通教育を主とする学科」の弾力化

また、同答申は、高等学校の特色化・魅力化を促進する上で、普通科の在り方についても提言しています。すなわち、現行法令上、「普通教育を主とする学科」は普通科のみとされていますが、約7割の高校生が通う学科を普通科として一くくりにするのではなく、各学科の取組を可視化し、情報発信を強化するため、各設置者の判断により、当該学科の特色・魅力ある教育内容を表現する名称を学科名とすることを可能とするための制度的措置が提言されました。

どのような学科を設置するかについては各設置者が各地域や高等学校の多様な実態を踏まえて検討されるものですが、例えば、学際的な学びに重点的に取り組む学科、地域社会に関する学びに重点的に取り組む学科などが考えられます。こうした学科においては、現代的な諸課題に着目した学習を通じて、教育課程全体を通じて探究を重視し、各教科・科目等と総合的な探究の時間を往還する学習が行われ、他の学科における取組を牽引・先導する存在となることが期待されます。

(3)産業界と一体となって地域産業界を支える革新的職業人材の育成

加えて、職業教育を主とする学科を置く高等学校について、地域産業界を支える革新的職業人材を育成するため、産業界と一体となった社会に開かれた教育課程を推進することが提言されました。具体的には、地域の産官学の関係者が一体となり、将来の地域産業界の在り方を検討し、専門高校段階での人材育成の在り方を整理し、それに基づく教育課程の開発・実践、その他、教師の資質・能力の向上、施設・設備の充実が挙げられています。

また、高等教育機関等と連携し、先取り履修等の取組を推進すること、専攻科や高等専門学校への改編等必ずしも3年間に限らない教育課程や、高等教育機関と連携した一貫した教育課程の開発・実施を検討することも考えられるとしています。

(4)高等学校通信教育の質保証

同答申においては、通信制課程を置く高等学校で学ぶ全ての生徒が適切な教育環境のもとで存分に学ぶことができるよう、高等学校通信教育の質保証に向けた方策についても提言しています。具体的には、教育課程の編成・適正化の観点から通信教育実施計画の策定・明示、サテライト施設の教育水準の確保の観点から面接指導等実施施設の教育環境の基準の明確化、多様な生徒にきめ細かく対応するための指導体制の充実の観点から面接指導は少人数を基幹とすべきことの明確化、主体的な学校運営改善の徹底の観点から教育活動等の状況に関する情報公開の義務付け等の対応方策が示されています。

このほかにも、地域社会や高等教育機関等の関係機関と連携・協働した学びの実現、新しい時代に求められる総合学科の在り方、定時制・通信制課程等における多様な学習ニーズへの対応など、高等学校教育の全般にわたる提言が取りまとめられています。

文部科学省においては、こうした中央教育審議会の提言を踏まえて、全国の高等学校の特色化・魅力化に向けた取組を推進してまいります。

幼児教育の振興について

幼児期の教育は生涯にわたる人格形成の基礎を培うものであり、子供たちに質の高い幼児教育を提供することは極めて重要です。こうした幼児教育の重要性も踏まえ、令和元年10月より、幼児教育・保育の無償化が実施されているところ、国や地方公共団体は、幼児教育・保育に携わる全ての者と協力し、教育の更なる質の向上に取り組んでいく必要があります。

平成30年度から実施されている幼稚園教育要領等では、幼児教育において育みたい資質・能力の明確化や小学校教育との接続の推進に関する内容の充実が図られています。幼児期にふさわしい「社会に開かれた教育課程」を通じて、幼児一人一人が持続可能な社会の創り手として成長していくことができるよう、幼児教育の振興に努めてまいります。

令和3年度予算においては、新型コロナウイルス感染症対策をはじめとした新規課題に的確に対応しつつ、幼児を健やかに育むよう、幼児教育実践の質の向上をソフト・ハードの両面から総合的に推進してまいります。

ソフト面では、幼児教育アドバイザーの配置・育成など地方公共団体における幼児教育の推進体制の充実・活用強化、質の高い幼児教育・保育の実践の根幹となる幼稚園教諭の人材確保・キャリアアップの取組の推進、幼稚園のICT環境整備、指導の在り方に関する調査研究などを実施します。ハード面では、幼稚園・認定こども園の園舎の耐震化や感染症予防の観点からの衛生環境の改善に係る費用への補助を行います。

また、「子ども・子育て支援新制度」では、消費税財源を活用して、「量」と「質」の両面から子供の育ち、子育てを支えており、新制度移行後も、幼稚園教諭等の処遇改善を進めております。令和3年度予算においては、幼稚園の預かり保育に支援を行う一時預かり事業(幼稚園型Ⅰ)を充実し、質を伴う預かり保育を長時間行う幼稚園に対する加算額を増額します。また、幼稚園が満3歳未満の保育の必要性認定を受けた子供の受入れに支援を行う一時預かり事業(幼稚園型Ⅱ)を充実し、受入れ単価の増額等を行います。

特別支援教育の振興について

我が国では、平成26年1月に批准した「障害者の権利に関する条約」等を踏まえ、障害のある子供と障害のない子供が可能な限り共に教育を受けられるよう条件整備を行うとともに、障害のある子供の自立と社会参加を見据え、一人一人の教育的ニーズに最も的確に応える指導や支援を行うことができるよう、特別支援学校、小学校・中学校の特別支援学級、通級による指導、通常の学級による指導といった多様な学びの場の整備や、教師の専門性の向上、障害のある子供に対する合理的配慮の提供や切れ目ない支援体制構築の促進などに精力的に取り組んでいます。

現在、特別支援学校や小学校・中学校の特別支援学級、通級による指導(大部分の授業を通常の学級で受けながら、一部の授業について障害による学習上又は生活上の困難の改善・克服に必要な特別の指導を特別な場で受ける指導形態)においては、特別の教育課程や少人数の学級編制の下、特別な配慮により作成された教科書、専門的な知識・経験のある教職員、障害に配慮した施設・設備等を活用して指導が行われています。

特別支援教育の現状としては、令和元年5月1日現在、特別支援学校及び小学校・中学校の特別支援学級の在籍者並びに通級による指導を受けている幼児児童生徒の総数は約56万人となっており、増加傾向にあります。このうち義務教育段階の児童生徒については、約48万6000人で、これは全体の約5・0%に当たります。

平成30年度から、高等学校段階における通級による指導が開始され、令和元年度からは全都道府県において実施されています。

また、文部科学省では、平成29年4月に特別支援学校幼稚部教育要領、小学部・中学部学習指導要領、平成31年2月に特別支援学校高等部学習指導要領の改訂を行い、①重複障害者である子供や知的障害者である子供の学びの連続性、②障害の特性等に応じた指導上の配慮の充実、③キャリア教育の充実や生涯学習への意欲向上など自立と社会参加に向けた教育等を充実させました。(令和3年度から中学部が全面実施)

さらに、学校教育法施行規則を改正し、個別の教育支援計画について規定したりするなど、障害のある子供やその保護者に対する関係機関が連携した支援の充実に関する取組を行っています。

このほか、令和2年3月には、通級による指導を受ける児童生徒が増えている状況を踏まえ、「初めて通級による指導を担当する教師のためのガイド」を作成しました。ガイド本体は簡潔で分かりやすい内容とし、学習指導要領や通級による指導の手引きなど、適宜、既存の参考資料にリンクを貼り、詳細はそちらで確認できるような作りとしました。文部科学省のホームページで公表していますので、こちら から御覧ください。

令和2年4月には、病気療養児の遠隔教育について学校教育法施行規則が改正されました。この改正は、高等学校段階の生徒について、従来、多様なメディアを利用して行う同時双方向型の遠隔授業による単位修得数等の上限が定められていたところ、病気療養中等の生徒の教育機会の確保の観点から、単位修得数等の上限の緩和を行うものです。改正については、地方自治体等に対し通知を発出し、制度の周知が図られています。

令和2年11月には、交流及び共同学習をより一層充実させるため、「交流及び共同学習オンラインフォーラム」を開催し、地方自治体における取組の参考となる優れた実践事例を各20分程度、動画で紹介しました。このオンラインフォーラムの開催に当たっては、静岡県、福井県、仙台市、長野県南箕輪村、国土交通省に御協力いただいています。こちら から御視聴いただけますので、是非御覧ください。

令和元年9月には、医療や福祉との連携の推進、障害者の権利に係る国際的な議論の動向等を踏まえつつ、特別支援教育の現状と課題を整理し、一人一人のニーズに対応した新しい時代の特別支援教育の在り方や、その充実のための方策等について検討を行うために、「新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議」が設置されました。

この会議は、令和2年12月22日までに計13回開催され、障害のある子供の学びの場の整備・連係の強化や教師の専門性の向上、ICTの利活用、関係機関との連携強化などについて議論が行われました。これらの議論については、令和3年1月に「新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議 報告」として取りまとめられ、公表されています。

こうした取組を通じて、障害のある児童生徒が、障害の状態に応じた十分な教育を受けることができるよう、引き続き、切れ目ない支援体制を構築するなど、特別支援教育の充実を進めていきます。

いじめ対策・不登校児童生徒への支援について

いじめは決して許されないことですが、どの学校でもどの子供にも起こり得るものです。いじめの問題については、まず、「いじめは絶対に許されない」との意識を社会全体で共有し、子供を「加害者にも、被害者にも、傍観者にもしない」教育を実現することが必要です。そして、いじめの問題に対しては、全ての関係者が、その兆候をいち早く把握し、迅速に対応する必要があり、いじめの問題を隠さず、学校・教育委員会と家庭・地域が連携して対処していくことが重要です。

文部科学省では、これまでも、いじめ防止対策推進法や国のいじめ防止基本方針等に基づく対応が徹底されるよう、学校や教育委員会等に対する指導・助言や研修会の実施、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置等による教育相談体制の充実などの取組を進めてきました。また平成29年に、基本方針の改定及び「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」の策定を行いました。

さらに、文部科学省では、夜間・休日を含め24時間いつでも子供のSOSを受け止めることができるよう、通話料無料の「24時間子供SOSダイヤル」を整備しています。一方、近年、若年層の多くが、SNSを主なコミュニケーション手段としており、SNS上のいじめへの対応も大きな課題となっています。こうした状況を受け、文部科学省では、平成29年に有識者会議を立ち上げ、いじめを含む様々な悩みに関する児童生徒の相談に関して、SNS等を活用する利点・課題等について検討を行い、平成30年3月、「SNS等を活用した相談体制の構築に関する当面の考え方(最終報告)」を取りまとめました。また、平成30年から地方公共団体に対し、SNS等を活用した児童生徒向けの相談体制の構築を支援しており、令和2年度からは対象団体を拡充し、全国展開を図るとともに、継続的な支援制度に発展させることとしています。

また、不登校は、取り巻く環境によっては、どの児童生徒にも起こり得るものとして捉え、不登校というだけで「問題行動」と判断することなく、個々の状況に応じた支援を行うことが必要です。

こうした認識の下、平成28年12月に「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」が成立したことを受け、教育の機会の確保等に関する施策を総合的に推進するための基本指針を定めるなど、文部科学省として不登校児童生徒への支援体制の充実を図っております。

令和2年度からは、自治体における不登校児童生徒支援に係る関係機関の連携体制の整備や教育支援センターにおける相談・支援体制の強化のための取組を推進するため、「不登校児童生徒に対する支援推進事業」を実施するとともに、令和3年度からは新たに、不登校の未然防止等に向けた校内の別室における相談・指導の充実等に関する調査研究を実施することとしております。

引き続き、個々の不登校児童生徒の状況に応じた必要な支援の推進を図ってまいります。

キャリア教育の推進について

キャリア教育は、社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを目的とする教育です。新学習指導要領においては、特別活動を要としつつ各教科等の特質に応じて、キャリア教育の充実を図ることを、小・中・高等学校の総則にそれぞれ規定しました。学校における具体的な方向性としては、「学校における体系的・系統的なキャリア教育実践の促進」や「職場体験活動やインターンシップなどの職業に関する体験活動の充実」、「児童生徒が活動を記録し蓄積する教材等の活用」等があげられます。

その中で、「児童生徒が活動を記録し蓄積する教材」については「キャリア・パスポート」として、令和2年4月より小・中・高等学校で実施しています。「キャリア・パスポート」は学んできたことを振り返り、気付いたことや考えたことなどを児童生徒が記述して蓄積する、いわゆるポートフォリオ的な教材です。小・中・高等学校の各段階における学習や生活を振り返って蓄積していくことにより、発達の段階に応じた系統的なキャリア教育を充実させることが期待されます。

文部科学省では、各学校においてキャリア教育の更なる充実が図られるよう、小学校段階からの起業体験活動の推進や、地元への理解や愛着を深めるキャリア教育の推進など、必要となる取組を進めています。

学校健康教育の充実について

学校健康教育は、学校保健、学校安全、食育・学校給食に関する取組を充実することにより、子供の心身の健やかな育成を図るものです。このうち、朝食欠食の増加等の食生活の乱れや、アレルギー疾患等の現代的な健康課題が顕在化しており、文部科学省では、このような現状も踏まえ、各施策に取り組むこととしています。(学校安全に関する施策については20ページ参照)

(1)学校保健の推進

近年、アレルギー疾患やメンタルヘルスに関する問題等、子供の健康課題が多様化・複雑化していることから、学校保健に関する学校内の体制整備を促進するとともに、地域の医療機関等の専門性を取り入れるなど地域と一体となった学校保健を推進することが重要となっています。

文部科学省では、地域の医療機関等との連携による学校保健の課題解決に向けた取組を推進するとともに、「第3期がん対策推進基本計画」(平成30年3月閣議決定)を踏まえ、各地域の実情に応じたがん教育総合支援事業を展開しています。

また、経験の浅い養護教諭の配置校等で指導助言を行うスクールヘルスリーダーを学校へ派遣する取組を行うとともに、アレルギー疾患やメンタルヘルス等の現代的な健康課題に関する教職員向け研修会等を開催するなど、教職員の学校保健に関する資質向上を図っています。

さらに、「第五次薬物乱用防止五か年戦略」を踏まえ、薬物乱用防止教室の開催を推進するとともに、発達段階に応じた啓発教材の作成など、薬物乱用防止教育の充実を図っています。

(2)学校における食育・学校給食の推進

子供たちが食に関する正しい知識や望ましい食習慣を習得するとともに、適切な判断力を養い、主体的に自他の健康な食生活を実現できるようになることなどを目指し、各学校においては、学校給食法や学習指導要領等に沿って、各教科等、学校の教育活動全体を通じて食に関する指導が行われています。

また、学校給食における地場産物の活用は、子供たちが身近に実感をもって地域の自然や環境、食文化、産業について理解を深めたり、生産者や生産過程を理解し、食べ物への感謝の気持ちを抱くことができるなど、教育的意義を有するものです。このため、令和3年度予算において「学校給食地場産物使用促進事業」を実施し、学校側と生産・流通側とのコーディネートに係る経費等を支援することで、学校給食における地場産物の使用促進を図ります。

さらに、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、長期間の臨時休業に伴う子供たちの食生活の乱れや学校再開後の学校給食における衛生管理の徹底等、新たな課題が露見したことから、今後の施策の検討に資するため、調査研究を実施し、学校給食の衛生管理の改善・充実を図るとともに、児童生徒の健康の一層の保持・増進を図ります。

より良い教科書のために

教科書は、学校における教科の主たる教材として、児童生徒が学習を進める上で重要な役割を果たすものです。教育の機会均等を実質的に保障し、全国的な教育水準の維持向上を図るため、小・中・高等学校、特別支援学校等においては、文部科学省検定済教科書又は文部科学省著作教科書を使用しなければならないこととされています。

(1)教科書検定

教科書検定は、民間の発行者の創意工夫による多様な教科書の発行を期待するとともに、①全国的な教育水準の維持向上、②教育の機会均等の保障、③適正な教育内容の維持、④教育の中立性の確保などの要請に応えるため実施しているものです。

令和3年度には、主に、平成30年に公示された新学習指導要領に基づく高等学校(主として中学年)用の教科書検定を行うこととしています。

(2)教科書採択

教科書採択は、児童生徒が学校の授業や家庭における学習活動において用いる教科書を決定する重要な行為です。過日、複数の教科書発行者による、採択の公正性・透明性に疑念を生じさせかねない事案が相次いで発覚したことを受けて、文部科学省は、教科書採択の公正性・透明性がしっかりと確保されるよう取り組んでいます。

令和3年度には、新学習指導要領に基づく高等学校(主として低学年)用教科書の初めての採択が行われる予定です。

(3)教科書無償給与・教科用特定図書

文部科学省では、憲法第26条に掲げる義務教育無償の精神をより広く実現する施策として教科書無償給与制度を実施するとともに、障害のある児童及び生徒が検定済教科書等に代えて使用する拡大教科書や、通常の検定済教科書では文字等の認識が困難な発達障害児等の児童生徒向けの音声教材など、教科用特定図書等について、その普及を図っています。具体的には、拡大教科書の標準的な規格を定めるなど、教科書発行者による拡大教科書の発行を促しているほか、都道府県教育委員会等を対象とした音声教材の普及促進のための会議を実施するとともに、その整備充実を図るため、ボランティア団体の協力等を得ながら、調査研究などを行っています。

(4)学習者用デジタル教科書

平成31年4月から、紙の教科書を主たる教材として使用することを基本としつつ、文部科学大臣の定める範囲で、紙の教科書に代えて学習者用デジタル教科書を使用することができるようになりました。令和2年7月より開催している「デジタル教科書の今後の在り方等に関する検討会議」における議論を踏まえ、児童生徒の更なる学びの充実を図ることができるよう、学習者用デジタル教科書の使用の基準を定めた告示を改正し、令和3年度より、学習者用デジタル教科書を各教科等の授業時数の2分の1以上使用することができることとなりました。あわせて、文部科学省では、その効果的な活用の在り方等に関するガイドラインや実践事例集を公表するなど、学習者用デジタル教科書の円滑な導入に取り組むとともに、普及促進に向けた実証事業を行っているところです。

初等中等教育段階における教育費負担軽減について

高等学校段階については、令和2年度から、私立高校等に通う年収590万円未満世帯の生徒等を対象に、私立高等学校授業料の実質無償化を実現しました。さらに、低所得世帯の授業料以外の教育費を支援する「高校生等奨学給付金」について、令和2年度から、家計が急変して非課税相当になった世帯も対象としたことに加え、令和3年度には非課税世帯の給付額を増額するなど、更なる制度の充実を図っています。

また、義務教育段階においては、経済的理由により小中学校への就学が困難と認められる学齢児童生徒の保護者に対して、学用品の給与などの援助を行う就学援助を実施し、教育費の負担軽減に取り組んでいます。令和3年度には「オンライン通信費」等の予算単価を引き上げるなど、更なる制度の充実を図っています。

なお、被災により経済的理由から就学等が困難となった児童生徒の就学支援等については、「被災児童生徒就学支援等事業」を実施しており、令和3年度予算においては、大規模災害対応分として、令和元年台風第19号・令和2年7月豪雨を対象に、必要な額を計上しています。

夜間中学の設置・充実について

夜間中学は、義務教育未修了者のほか、不登校などにより十分な教育を受けられないまま中学校を卒業した者(入学希望既卒者)や、本国又は我が国において義務教育を修了できなかった外国籍の者などの、義務教育を受ける機会を実質的に保障するための様々な役割が期待されています。

本年4月に新たに開校した2校を含めて、夜間中学は全国12都府県30市区に36校が設置されています。

文部科学省では、平成28年12月に成立した「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律(以下「法」という。)」第7条に基づき策定した基本指針において、全ての都道府県に少なくとも一つは夜間中学が設置されるよう促進するとともに、既存の夜間中学における多様な生徒の受入れ拡大を図ること等を目標に掲げて取組を行っているところです。また、令和元年11月29日に閣議決定された「子供の貧困対策に関する大綱」においては「全ての指定都市における夜間中学の設置促進等」が盛り込まれました。

未設置の自治体においては、法の趣旨を踏まえ、令和3年度政府予算を活用するなどし、夜間中学の設置に向けた検討を進めることが望まれます。

夜間中学未設置の自治体に在住の潜在的入学希望者(当事者)御自身に加えて、その家族や友人(支援者)、潜在的入学希望者をサポートしている福祉関係者や外国人支援者(応援者)などは、お住まいの教育委員会にお問合せ、御相談ください。

公立小・中学校の適正規模・適正配置等について

今後、少子化等の更なる進展による学校の小規模化に伴い、児童生徒が集団の中で切磋琢磨しながら学んだり、社会性を高めたりすることが難しくなる等の課題の顕在化が懸念されており、公立小・中学校の設置者である市町村においては、教育的な視点からこうした課題の解消を図っていく必要があります。

その際、参考となるよう、基本的な方向性や考慮すべき要素、留意点等に加え、全国の教育委員会や学校現場の優れた取組事例や近年の政策動向等を踏まえつつ、具体的な工夫やアイデアの例を盛り込んだ「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引」を作成し、文部科学省のウェブサイトで公表するとともに、教育委員会の担当者が集まる会議等で周知しているところです。

地域コミュニティの核としての学校の機能を重視する観点から、①学校統合により魅力ある学校づくりを行い、地域の活性化を図ることを選択する場合や、②地域の総力を挙げ、創意工夫をいかして小規模校のメリットの最大化やデメリットの克服を図りつつ、学校の存続を選択する場合等の複数の選択があると考えられ、学校の設置者である市町村のいずれの選択も尊重されるべきものです。

また、広域の教育行政を担う各都道府県においても、域内全体の学校教育の充実発展に責任を持つ立場から、市町村のニーズや実情を踏まえ、適切な指導・助言・援助を行うことが期待されるところです。

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