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生涯学習社会の実現に向けた、学校教育・社会教育を通じた教育政策の総合的・横断的推進

文部科学省総合教育政策局

総合教育政策局は、
Ⅰ.学校教育・社会教育を通じた総合的かつ客観的根拠に基づく教育政策の推進
Ⅱ.生涯にわたる学び、地域における学び、ともに生きる学びの政策の総合的推進
を主なミッションとして、平成30年10月に発足した局です。
特に、
1 総合的かつ客観的根拠に基づく教育改革政策の推進
2 グローバル社会における教育の推進
3 教員の資質能力の向上等
4 生涯にわたる学びの推進
5 地域における学びの推進
6 ともに生きる学びの推進
等の政策課題に取り組んでいます。

以下に令和3年度の重要施策等について紹介します。

1 総合的かつ客観的根拠に基づく教育改革政策の推進

EBPMの推進

「経済財政運営と改革の基本方針2020」(骨太の方針2020)等に基づき、政府全体としてEBPM(証拠に基づく政策立案:Evidence-based Policymaking)の推進が求められています。「客観的な根拠を重視した教育政策の推進」を特に留意すべき視点として位置付けた第3期教育振興基本計画の趣旨を踏まえ、文部科学省においては、教育の特性を踏まえたEBPMの手法等の検討を推進するなど、政策立案に資するエビデンスの開発のほか、データの利活用を推進する環境の構築、EBPMに関する研修の実施などのEBPM推進策に取り組んでいます。

また、地方公共団体を対象に文部科学省が行った調査では、個々の施策を中心にエビデンスに基づくPDCAサイクル確立に着手し始めている状況にあるものの、組織的・体系的にEBPMを推進する体制整備には課題があることが分かりました。

こうした状況を踏まえ、文部科学省においては、全都道府県・指定都市及び多数の市町村が参画するコンソーシアムを立ち上げ、この場を通じて先進自治体の取組事例や文部科学省の取組などについて双方向性を意識した情報交換を実施しているほか、全国の学校に固有の「学校コード」を策定・公表し、これを活用して地方自治体等におけるデータに基づく施策等の推進環境を整備するなど、各地方公共団体における教育政策の立案や学校における取組の改善・充実等が、客観的な証拠に基づいて実施されるよう、取組を推進しています。

全国学力・学習状況調査

EBPMの推進や教育に関する継続的なPDCAサイクルを確立する観点から、全国学力・学習状況調査を活用していただくことが重要です。

本調査は、義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、

①全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握することによって、国や全ての教育委員会における教育施策の成果と課題を分析し、その改善を図る

②学校における個々の児童生徒への教育指導や学習状況の改善・充実等に役立てる

③そのような取組を通じて、教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立する

ことを目的として、平成19年度から実施しています。

令和3年度は、新型コロナウイルス感染症による学校教育への影響を考慮し、調査日を例年より約1か月後ろ倒しし、5月27日(木)に、小学校6年生と中学校3年生の全児童生徒を対象に教科に関する調査(国語、算数・数学)、質問紙調査を行う予定です。加えて、経年変化分析調査と保護者に対する調査を抽出で行う予定です。

教科に関する調査問題では、「解説資料」「報告書」「授業アイディア例」等を公表予定です。これらにより、本調査の結果の積極的な活用を通じた教育委員会や学校の取組がより充実したものとなるよう支援するとともに、各学校における授業の一層の改善と児童生徒の学習意欲の向上に役立てていただけるように努めてまいります。

また、全国学力・学習状況調査のCBT化(Computer Based Testing)については、令和2年4月よりワーキンググループを設置し、専門的・技術的な観点から検討を行っています。同年8月にワーキンググループとして論点整理(中間まとめ)を取りまとめ、引き続き個別の論点について検討を進めているところです。中間まとめを踏まえ、令和3年度から、小規模からの試行・検証に取り組むこととしています。

TIMSS2019

IEA(国際教育到達度評価学会)が実施した国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)の2019年調査結果が令和2(2020)年12月に公表されました。

本調査は、児童生徒の算数・数学、理科の教育到達度を国際的な尺度によって測定し、児童生徒の教育上の諸要因との関係を明らかにするため、1995年から4年ごとに実施されています。2019年調査には、小学校58か国・地域、中学校は39か国・地域が参加、我が国では、IEAの設定した基準に従い、小学校4年生約4200人、中学校2年生約4400人が参加しました。

2019年調査の結果から、教科について、小学校理科の平均得点が有意に低下したものの、小学校・中学校ともに引き続き高い水準を維持していることがわかりました。質問紙調査について、算数・数学、理科の「勉強は楽しい」と答えた児童生徒の割合は、小学校・中学校いずれも増加していますが、小学校理科以外ではその割合が国際平均を下回っているなどの課題もあります。

文部科学省としては、今回の結果も参考としてかしつつ、児童生徒の学力・学習意欲のさらなる向上に向け、新学習指導要領に基づく主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善や、理数教育の充実、情報活用能力の育成のための指導の充実等に取り組んでまいります。

教育の無償化・負担軽減

誰もが家庭の経済事情に関わらず希望する質の高い教育を受けられることは、大変重要です。また、我が国においては、教育費の負担が少子化の要因の一つとなっており、少子化対策の観点からも、教育の無償化・負担軽減を進めることが不可欠です。

このため令和元年10月から幼児教育・保育の無償化、令和2年4月から真に支援が必要な子供たちを対象とした高等教育の修学支援新制度を実施するなど、消費税財源を活用し、家庭の教育費負担軽減に取り組んでいます。また、高等学校段階においても、令和2年4月から私立高等学校授業料の実質無償化が実施されています。

また、新型コロナウイルス感染症の影響により子供たちの学びの機会が奪われることがないよう、各学校段階の特性を踏まえつつ、授業料等を納付することが困難な者への配慮の要請、家計急変世帯の学生等への授業料等の減免、「学びの継続」のための『学生支援緊急給付金』の給付、無利子奨学金の充実等の支援を行ってきたところです。

文部科学省としては、教育の無償化・負担軽減を推進するため、関係省庁と連携し、これらの制度の円滑な実施にしっかりと取り組んでまいります。

2 国際教育の推進

グローバル化が加速する社会において持続的な成長・発展を目指すためには、それに対応した教育環境の整備・人材育成の推進が必要不可欠です。

これを踏まえ、文部科学省においては、高校生留学の促進、在外教育施設における教育の充実、外国人児童生徒等への教育の充実等に取り組んでいます。

高校生留学の促進

第3期教育振興基本計画において、様々な分野でグローバルに活躍できる人材を育成することを目標に掲げていること等を踏まえ、高校生の海外留学をはじめ、グローバル人材の基盤形成に取り組む都道府県を支援しています。

新型コロナウイルス感染症の影響により、高校生の海外留学については大きな影響が出ているところではありますが、文部科学省としては、第3期教育振興基本計画の「令和4(2022)年度に6万人」という政府目標を実現すべく、令和3年度においても、各種取組を行ってまいります。

具体的には、地方公共団体、学校、民間団体等が主催する海外派遣プログラムへの参加に対し、都道府県を通じて留学費用の一部を支援する事業を実施しており、令和3年度は1,600人の高校生を対象とする予定です。

また、都道府県における高校生留学の機運の醸成を図るため、都道府県が主催する啓発活動や研修の実施、留学相談員の配置に必要な経費を支援することとしています。

さらに、グローバル人材の育成に国を挙げて取り組むため、これら国費による支援に加え、官民協働海外留学支援制度「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム」により、官民協働で日本人留学生を支援しています。平成27年度より高校生コースによる支援を開始し、令和3年度は800人の留学を支援することとしています。

在外教育施設における教育の充実

我が国の経済の国際化の進展に伴い多くの日本人が子供を海外に同伴しており、令和2年4月現在、日本人学校に約1・7万人、補習授業校に約2・2万人の子供が通学しています。

文部科学省では、日本人学校や補習授業校の教育の充実・向上を図るため、日本国内の義務教育諸学校の教師を派遣するとともに、退職教師をシニア派遣教師として、正規に採用される前の若手教師をプレ派遣教師として派遣しています。

また、派遣教師の魅力を高めるために取り組んでいる「トビタテ!教師プロジェクト」(平成29年度~)を立ち上げ、帰国教師の能力や知識、経験を国内の教育に還元・共有するため、帰国教師間のネットワーク作りに取り組んでいます。

さらに、これまで学校教育法第1条に定める学校(小学校、中学校、高等学校等)に実施が限られていた教育実習について、平成31年4月から、日本人学校及び私立在外教育施設においても可能となり、令和元年度にはジャカルタ日本人学校において、令和2年度には香港日本人学校において教育実習が行われました。

教育環境の整備については、義務教育教科書の無償給与、教材の整備、通信教育の実施などを行っていますが、令和2年度補正予算において、児童生徒1人1台のPC環境等の整備に必要な予算が措置されたことを受け、その実現に取り組んでいます。

令和2年度は新型コロナウイルス感染症の影響により、国内待機となった派遣教師に対する在勤基本手当及び国内の住居手当を創設しました。令和3年度においても、まずは在勤地への速やかな教師派遣に取り組むとともに、派遣教師が国内待機となった場合にはこれらの手当の支給を行い、派遣教師をサポートしていきます。

外国人児童生徒等への支援

外国人児童生徒や、保護者の国際結婚などによって日本国籍であっても日本語指導を必要とする児童生徒の増加等により、公立学校に在籍する日本語指導が必要な児童生徒は5万人を超え、その数は増加傾向にあります。

このような状況を踏まえ、「日本語教育の推進に関する施策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針」(令和2年6月23日閣議決定)に基づき、外国人の子供の就学促進等について地方公共団体が講ずべき事項を取りまとめた「外国人の子供の就学促進及び就学状況の把握等に関する指針」を策定し、同年7月に通知しました。

文部科学省では、外国人の子供の就学を促進するため、就学状況等に関する調査や、学校外における日本語指導・教科指導等の取組を行う地方公共団体への支援を拡充します。

また、学校における指導体制の整備充実のため、 令和8年度までに日本語指導が必要な児童生徒18人に対して1人の教員が基礎定数として措置されるよう、「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」の規定に基づいた着実な改善を図るとともに、公立学校における帰国・外国人児童生徒等に対するきめ細かな指導・支援体制を整備する地方公共団体への補助事業において、日本語指導補助者や母語支援員の派遣、多言語翻訳システム等ICTを活用した取組、外国人高校生等に対して日本語指導に限らずキャリア教育や居場所づくりなども含めた包括的な支援についても引き続き実施します。

また、令和2年度においては、外国人児童生徒等の指導を担う教師が、必要な知識を得られるような研修用動画コンテンツと、来日・帰国したばかりの外国人児童生徒等や保護者が日本での学校生活等について理解を深められるような多言語による動画コンテンツを作成しました。これらコンテンツについては、文部科学省ホームページにおいて公開します。

加えて、令和3年度の新規事業として、高校段階における日本語指導や教科指導等の充実を図るため、「特別の教育課程」による日本語指導等の実施に向けた検討を行うほか、カリキュラム作りや指導のためのガイドラインを作成します。

その他、引き続き外国人児童生徒等の集住・散在地域におけるそれぞれの課題を解決するため、先進的な教育プログラムの開発のための実践的な研究事業を推進するほか、教育委員会へのアドバイスや教員研修の充実のため、「外国人児童生徒等教育アドバイザー」の派遣、日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等の実態調査を実施します。また、外国人児童生徒等教育支援のための情報検索サイト「かすたねっと」についても、よく閲覧されている教材・資料を分かりやすく表示する機能の追加などの充実を図ってまいりますので、こちらも是非御活用ください。
(URL:https://casta-net.mext.go.jp/

3 教師の資質能力の向上等

子供たちの成長を担う教師に求められるのは、いかに時代が変化しようとも、その時代の背景や要請を踏まえつつ、自らが子供たちの道しるべとなるべく、その資質能力の向上を図り続けることです。ここでは、中央教育審議会においても御議論いただいている教師の養成・採用・研修を通じた資質能力向上に関する施策の状況等について紹介します。

教職員研修の効果的な実施について

学校の働き方改革を踏まえた教職員研修の効果的な実施については、都道府県と市町村の教育委員会間等で重複した内容の研修の整理や、夏季等の長期休業期間中の業務としての研修の精選、ICTの活用等による効果的で質の高い研修の実施などが求められています。

また、現職研修の一部を免許状更新講習として認定を受けることや、大学等が行う免許状更新講習を受講した教員については研修の一部を受講したとみなす取組など、現職研修と免許状更新講習の相互認定についても積極的な検討が求められています。

各地域においては、そのような要請を踏まえ、教職員研修の効果的な実施を図るとともに、教員の負担の軽減について積極的な検討をお願いします。

外部人材の活用促進について

優れた知識経験等を有する社会人等を教師として迎え入れることは、学校教育の多様化や活性化を図るために重要です。また、令和2年度から始まった新たな学習指導要領においては、「社会に開かれた教育課程」が掲げられており、学校教育を学校内に閉じることなく社会と連携しながら実現することとされています。教育委員会関係者の皆様におかれては、優れた外部人材の積極的活用を進めていただくようお願いします。

教員免許状を持っていない社会人等を学校現場に迎え入れるための仕組みとしては、特別非常勤講師制度や特別免許状があります。

特別非常勤講師制度は、届出により教員免許状を有しない非常勤講師を登用し、教科の領域の一部を担任させることができるものです。また、特別免許状は、専門的な知識経験や技能を有する者が、都道府県教育委員会の行う教育職員検定に合格した場合に授与されるものであり、これによって教科の全体を担任することができます。

各教育委員会においても、地域の特色ある教育課程を実施するに当たり、外部人材の活用について積極的な検討をお願いします。

教員資格認定試験の見直しについて

小学校教員資格認定試験は、社会人等の教員免許を取得していない方や、既に他の学校種の教員免許を持っている方が小学校に活動の場を広げようとする場合に免許取得の道を開く仕組みとして、昭和48年から実施されているものです。

これについて、社会人等の一層の活用が進むようにすることや、令和元年度は台風19号の影響により第2次試験が実施できずやむを得ず代替措置を取ったことも踏まえ、令和2年度以降の試験の実施内容等について、抜本的な見直しを行いました。

具体的には、①従来、3次まで計6日間にわたっていた試験を2次まで合計3日間とし、受験者の負担を軽減すること、②知識・技能の確認から、模擬授業など具体的な授業場面での指導能力の確認に重点を置く内容にすること、③自然災害等により試験が実施できなかった場合に備え予備日を設けること等です。

引き続き、教育に熱意のある優秀な方がより多く小学校教員を目指していただけることを期待しています。

4 生涯にわたる学びの推進

生涯にわたる多様な学習機会の提供

「生涯学習」とは、一般には人々が生涯に行うあらゆる学習、すなわち、学校教育や家庭教育、社会教育、文化活動、スポーツ活動、ボランティア活動、企業内研修、趣味など様々な場や機会において行う学習の意味で用いられます。

文部科学省は、「教育基本法」の精神にのっとり、国民一人一人が自己の人格を磨き、豊かな人生を送ることができるよう、その生涯にわたって、あらゆる機会にあらゆる場所において学習することができ、その成果を適切に生かすことのできる社会の実現を目指して、生涯学習の振興に取り組んでいます。以下では、生涯学習の機会の整備に関する具体的な取組について紹介します。

放送大学では、BSデジタル放送やインターネット等を活用して、大学教育の機会を幅広く国民に提供しています。放送大学の学生は職業・年齢・地域を問わず多様であり、現在約9万人が学んでいます。放送大学では、社会人の方々がキャリアアップや専門性を高めるために、学芸員や公認心理師・認定心理士などの資格に対応する科目を開講しているほか、教師向けにも教員免許更新講習や小学校の外国語指導力向上のための科目、小学校プログラミング教育指導に対応した講座(平成31年4月開始)を実施しています。さらに、全国に学習センター等を設置して学生の学習を支援するとともに、地域の生涯学習の振興にも寄与しており、我が国の生涯学習の中核的機関として大きな役割を担っています。

また、学校又は一般社団法人若しくは一般財団法人の行う通信教育のうち社会教育上奨励すべきものを文部科学大臣が認定し、その普及・奨励を図っています。令和3年3月末現在、文部科学省認定社会通信教育は26団体110課程であり、令和2年の延べ受講者数は約6万3,000人となっています。

民間教育事業者や教育分野で活動を行うNPO法人などの民間団体は、国民の多様な学習活動を支える上で大きな役割を果たしており、ますます重要なものになっています。文部科学省は、民間団体と行政の協働による取組の充実を図るとともに、民間教育事業の後援等を行うほか、民間団体の取組を紹介するなど、民間団体の取組の活性化や官民のネットワーク形成を支援しています。

このほか、文部科学省では、高等学校を卒業していない者などに対して高等学校卒業者と同程度以上の学力があることを認定する高等学校卒業程度認定試験を実施しています。この試験の合格者には、大学等の入学資格が付与されるとともに、就職などの機会においても学力を証明する手段として活用されています。令和2年度における受験者数は1万6,654人、合格者数は7,681人となっています。出願者のうち約半数を高等学校中途退学者が占めており、試験合格者の約半数は大学等に進学しています。また、令和2年度からは、高等学校中退者等を対象に学習相談や学習支援を行う地方公共団体への補助事業を実施しています。

加えて、第10期中央教育審議会生涯学習分科会において、第9期答申を踏まえつつ人生100年時代やSociety5.0 及び期中に発生した新型コロナウイルス感染症など社会の変化を踏まえた今後の生涯学習・社会教育の在り方や具体的な推進方策について審議を行い、令和2年9月に「第10期中央教育審議会生涯学習分科会における議論の整理」として取りまとめました。学びをより豊かなものにするために、ICTの活用やデジタル・ディバイド解消の重要性、また生涯学習・社会教育による学びや人のつながり、ICTの活用などは感染症や災害から身を守り、命を守ることに直結するという「命を守る生涯学習・社会教育」という視点を打ち出しました。さらに、議論の整理をふまえ、参考となる事例や施策を取りまとめて事例・施策集を作成し、令和2年10月に公表しました。

リカレント教育の推進

社会の変化が激しくなる今後の時代においては、学校を卒業し、社会人となった後も、大学等で更に学びを重ね、新たな知識や技能、教養を身に付けることが必要です。令和2年7月に取りまとめられた「経済財政運営と改革の基本方針2020」(骨太の方針2020)や「成長戦略実行計画」では、リカレント教育を拡充することが求められています。

こうした動きも踏まえ、文部科学省では、大学・専修学校における実践的なプログラムの開発・拡充や社会人が学びやすい環境の充実に努めています。

具体的には、IT技術者等を対象とした高度な実践的プログラムの開発・実施等、産学協働による人材育成システムの構築、放送大学における実践的な講座のインターネット配信・認証等の取組、専修学校におけるリカレント教育の実践モデルの開発、大学や専修学校等における企業等との連携による実践的・専門的な短期プログラムの文部科学大臣の認定(職業実践力育成プログラム(BP)、キャリア形成促進プログラム)のほか、新たに①非正規雇用労働者・失業者、希望する就職ができていない若者等を対象に大学と産業界、ハローワーク等が連携して即効性の高い講座の開設と円滑な就職・転職を促進する取組や、②社会人の創造性を育成するため、大学等において創造的な発想をビジネス等につなぐ教育プログラムの開発等の取組を推進しています。また、女性の学びとキャリア形成・再就職支援を一体的に行う仕組み作りを行うとともに、リカレント教育の講座情報等を提供するポータルサイト「マナパス」の整備を進めています。これらの施策を推進することで、リカレント教育の抜本的拡充に取り組んでいます。

専修学校教育の振興

専修学校は、柔軟で弾力的な制度の特色を生かして、社会の変化に即応した実践的な職業教育を行う中核的機関として、産業界を支える職業人の養成に大きな役割を果たしてきました。

中でも専門課程(専門学校)は、高等教育機関の重要な一翼を担うとともに、多様なキャリア形成を担う職業教育機関としても高く評価されており、令和2年度からの高等教育の修学支援新制度の対象にもなっています。また、高等課程(高等専修学校)においては、高等学校と並ぶもう一つの後期中等教育機関として、幅広い職業教育や個に応じた手厚い教育が実施されています。

社会の高度化・複雑化が進み、実践的に活躍する専門職業人を養成する専修学校の役割がますます重要になっていく中、文部科学省では、専修学校における地域の中核的人材養成に向けた産学官連携の取組等に対する支援や、「職業実践専門課程」を中心とした専修学校教育の質の保証・向上の推進など様々な振興策に取り組んでいます。

5 地域学習の推進

人口減少や高齢化をはじめとする急速な社会経済環境の変化や取り組むべき課題の複雑化を受け、今後、我が国の地域社会においては、住民主体でこれらの課題や変化に対応することが求められています。また、各地域において地域固有の魅力や特色を改めて見つめ直し、その維持発展に取り組むことが期待されているところです。こうした中で、地域における学びは、一人一人の知的欲求の充足や自己実現に寄与するとともに、住民相互のつながりの形成の促進、地域の持続的発展にも資することから、より一層重要になっています。文部科学省としては、以下のように、地域における学びの推進に努めているところです。

地域における学びを推進する専門人材(社会教育主事・社会教育士)

社会教育法に基づき、教育委員会に置かれている社会教育主事は、社会教育行政の中核として、地域の社会教育行政の企画・実施及び専門的技術的な助言と指導に当たることを通し、人々の自発的な学習活動を援助する役割を果たしています。今後は、更に「学びのオーガナイザー」としての中心的な役割を担っていくことが求められ、社会教育行政のみならず、地域における多様な主体の地域課題解決の取組においても、コーディネート能力やファシリテート能力等を発揮し、取組全体をけん引する重要な役割を担っています。

また、令和2年度からは、社会教育主事講習等の学習成果が、教育委員会事務局や首長部局、企業、NPO等の社会教育に携わる多様な主体の中で広く活用されるよう、令和2年度以降に社会教育主事講習を修了した者、大学において省令に定められた科目の単位をすべて修得した者は 「社会教育士」と称することが可能となりました。

多様な人材が社会教育士となり、社会教育施設における活動のみならず、環境や福祉、まちづくり等の各分野における学習活動の支援を通じて、人づくりや地域づくりに関する活動に積極的に携わっていくことが想定されています。
(社会教育士特設サイトURL:https://www.mext.go.jp/a_menu/01_l/08052911/mext_00667.html)

学校、家庭、地域の連携・協働

新学習指導要領の理念である「社会に開かれた教育課程」の実現には、学校教育を学校内に閉じずに、地域の人的・物的資源を活用しながら教育課程を実施することが重要です。

また、子供や学校の抱える課題の解決、未来を担う子供たちの豊かな成長のためには、学校のみならず、家庭、地域と連携した教育の実現が不可欠です。

文部科学省では、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」に基づき、学校と地域住民等が目標やビジョンを共有し、一体となって子供たちを育む学校づくりを実現するため、「コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)」の導入を推進しており、全ての公立学校に学校運営協議会が設置されることを目指しています。

また、「社会教育法」に基づき、幅広い地域住民等の参画により形成された緩やかなネットワークである「地域学校協働本部」の整備により、地域全体で子供たちの学びや成長を支える様々な活動である「地域学校協働活動」を推進しており、全ての小中学校区において地域学校協働活動が実施されることを目指しています。

こうした活動は、地域との信頼関係を醸成することや、幅広い地域ボランティアの参画による学校と地域の役割分担の観点から、学校における働き方改革にも資するものです。

さらに、地域と学校をつなぐコーディネーターである「地域学校協働活動推進員」を中心に「コミュニティ・スクール」と「地域学校協働本部」が一体的に機能することで、目標・ビジョンの共有を通じた学校と地域の更なる連携・協働が推進されるなどの相乗効果が期待されます。

家庭教育支援については、保護者が安心して家庭教育を行うことができるよう、支援が届きにくい家庭に支援を届けるアウトリーチ型支援を含め、地域の多様な人材を活用した家庭教育支援チーム等による保護者に対する学習機会や情報の提供、相談対応等、地域の実情に応じた家庭教育支援の取組を推進していきます。

読書・体験活動の推進

①読書活動の推進

読書は、言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、人生を深く生きる力を身に付ける上で欠かせないものです。文部科学省は「子どもの読書活動の推進に関する法律」及び「第四次子供の読書活動の推進に関する基本的な計画」を踏まえ、広く読書活動に対する国民の関心と理解を深めるため、4月23日を「子ども読書の日」としてキャンペーンを行うなど、様々な取組を実施しています。

地域における読書活動については、図書館が「地域の知の拠点」として住民にとって利用しやすく、身近な施設となるための環境の整備を進めており、「図書館の設置及び運営上の望ましい基準」に基づき、施設・設備や読み聞かせ等のサービスの充実の推進に努めています。

学校図書館については、公立義務教育諸学校における学校図書館の図書を充実するため、学校の規模に応じた蔵書数の目標を定めた「学校図書館図書標準」の達成と計画的な図書の更新等に向けて、平成29年度から令和3年度までの「学校図書館図書整備等5か年計画」を策定しています。

②体験活動の推進

青少年の体験活動は人づくりの「原点」であり、学校・家庭・地域が連携して社会総がかりでその機会を創出していくことが必要です。文部科学省では、家庭や企業などに対して体験活動の重要性等について普及啓発を行うとともに、学校・家庭・地域における体験活動を推進しています。

具体的には、体験活動の機会を充実させるための事業を実施するとともに、体験活動に関する普及啓発や調査研究、民間企業が実施する優れた取組に対しての顕彰事業を実施しています。

また、独立行政法人国立青少年教育振興機構においては、全国28か所の教育施設で、それぞれの立地条件を生かした特色ある活動を展開し、生きる力の育成に必要な自然体験活動、集団宿泊活動をはじめ、多様な体験活動の機会を提供しています。さらに、未来を担う夢を持った子供の健全育成を進めるため、「子どもゆめ基金」事業を通じて民間団体による様々な体験活動や読書活動などを助成し、草の根レベルの体験活動等を支援しています。

6 ともに生きる学びの推進

男女共同参画の推進

令和2年12月25日に、「第五次男女共同参画基本計画 ~すべての女性が輝く令和の社会へ~」が閣議決定されました。文部科学省では、この基本計画に示された施策の方向性等に基づき、男女共同参画を推進し多様な選択を可能にする教育・学習の充実を推進しています。

男女が共に仕事と家庭、地域における活動に参画し、活躍できるような社会の実現を目指すためには、個人の可能性を引き出すための学びが必要とされています。

このため、文部科学省では、令和2年度から、「女性の多様なチャレンジに寄り添う学びと社会参画支援事業」として、多様な年代の女性の社会参画を推進するため、関係機関との連携の下、キャリアアップやキャリアチェンジ等に向けた意識醸成や相談体制の充実を含め、学習プログラムの開発等、女性の多様なチャレンジを総合的に支援するモデルの開発や普及啓発を行っています。

また、「性犯罪・性暴力対策の強化の方針」(令和2年6月)を踏まえ、令和3年度からは「子供を性犯罪等の当事者にしないための安全教育推進事業」を実施します。当事業では、関係省庁や民間団体の協力の下、新たに性被害の未然防止を目的とした予防啓発教材を活用した指導モデルと、男女の尊重や、自分を大事にすること、固定的性別役割分担意識解消への理解を深める教育プログラムを開発し、普及を図ります。

障害者の生涯を通じた学習活動の充実

障害者の生涯学習の確保を規定した「障害者の権利に関する条約」の批准や、「障害者差別解消法」の施行等を踏まえ、障害者が、生涯にわたり自らの可能性を追求できる環境や、誰もが障害の有無にかかわらず、共に学び、生きる共生社会の実現に向けて、地域における学びの場を整備・拡大することが求められています。

文部科学省では、平成30年度から「学校卒業後における障害者の学びの支援に関する実践研究事業」を開始し、令和2年度は、全国16団体が、学校から社会への移行期や人生の各ステージにおける効果的な学習プログラム、実施体制等に関する実証的な研究等に取り組みました。

また、令和2年度より学校卒業後の学び場を拡充するため、4道県において、都道府県を中心に大学や民間団体等と連携した「地域コンソーシアム」を形成し、地域における持続可能な学びの支援に関する連携体制を構築する実践研究を開始しました。さらに、障害理解の促進、実践者同士の学び合いによる担い手の育成、障害者の学びの場の拡大を目的として、「共に学び、生きる共生社会コンファレンス」を全国7ブロックで開催しました。

令和3年度は、新たに市区町村を主な実施主体として、障害者を包摂する生涯学習プログラムを開発し、公民館等の社会教育施設をはじめ多様な学びの場の拡充を図ります。

その他、社会教育と特別支援教育、障害者福祉等の各分野において障害者の生涯学習推進を担う人材、及び各分野をつなぐ中核的人材の育成に向けて、「障害者の生涯学習の推進を担う人材育成の在り方検討会」を設置し、検討を進めています。また、特別支援学校高等部に在籍中の生徒や高等学校で通級を利用する生徒等が、学校卒業後の生涯にわたる学びについて考えるための啓発リーフレット「わかりやすい版 だれもがいつでも学べる社会へ~障害のある・なしに関係なく共に学べる生涯学習について~」を作成し、全国の特別支援学校等へ配布しました。 

令和3年度のブロック別コンファレンスの開催案内やこれまでの実践研究成果は、文部科学省ホームページに随時掲載してまいりますので、是非御覧ください。
https://www.mext.go.jp/a_menu/ikusei/gakusyushien/index.htm

学校安全の確保

東日本大震災以降も令和元年房総半島台風や令和元年東日本台風などの大規模な自然災害が発生しています。

また、SNSやスマートフォンの普及に伴う犯罪など児童生徒等を取り巻く安全に関する状況の変化とともに、新たな危機事象も発生しています。

このような中で、児童生徒等の安全を確保するためには、「安全管理」として、安全で安心な学校環境の整備や、子供たちの安全を確保するための組織的な取組を一層充実させること、「安全教育」として、子供たちにいかなる状況下でも自らの命を守り抜くとともに、安全で安心な生活や社会を実現するために主体的に行動する態度を育成することが不可欠です。

これらの実現のためには、学校だけでなく、家庭や地域、関係機関と連携・協働した実施体制を確保していくことが重要となります。

しかし、学校安全に関する意識や取組については、地域間・学校間・教職員間に差があるとともに、継続性が確保されていない状況が見られます。

このような現状を踏まえ、文部科学省では、平成28年3月に「学校事故対応に関する指針」を取りまとめ、令和2年3月には「学校事故対応に関する指針」に基づく詳細調査報告書の横断整理を行いました。また、学校安全資料『「生きる力」をはぐくむ学校での安全教育』の改訂を行い、平成31年3月に全ての学校等に配布しています。この資料では、学校における安全教育、安全管理、組織活動の各内容を網羅して解説しています。あわせて、令和2年3月には教職員の学校安全に関する資質・能力の向上に資するため、教職員のキャリアステージに応じたeラーニング教材を開発しました。

また、令和3年3月には、中央教育審議会に、令和4年度から令和8年度の学校安全の推進に関する施策の基本的方向性と具体的な方針を示す「第3次学校安全の推進に関する計画」の策定について諮問しました。

このほか、文部科学省としては、学校安全の取組の中核となる教職員を中心とした学校安全に関する組織的な取組の推進、平成29年・30年に改訂された学習指導要領を踏まえた教科等横断的なカリキュラム・マネジメントによる安全教育の充実に向け、自治体や学校における学校安全の取組が一層推進されるよう支援していきます。

なお、文部科学省や各地方公共団体が作成した資料等を掲載した学校安全ポータルサイト(URL:https://anzenkyouiku.mext.go.jp/)を開設していますので、是非御活用ください。

ハンセン病に対する差別・偏見の根絶

熊本地方裁判所におけるハンセン病家族国家賠償請求訴訟判決(令和元年6月28日)について、政府は、ハンセン病対策の歴史と筆舌に尽くしがたい経験をされた患者・元患者の方々の御労苦に思いを致し、控訴を行わない旨を決定しました。

「ハンセン病家族国家賠償請求訴訟の判決受入れに当たっての内閣総理大臣談話」(令和元年7月12日閣議決定)では、「患者・元患者とその家族の方々が強いられてきた苦痛と苦難に対し、政府として改めて深く反省し、心からお詫び」するとともに、「関係省庁が連携・協力し、患者・元患者やその家族がおかれていた境遇を踏まえた人権啓発、人権教育などの普及啓発活動の強化に取り組む」とされております。

これらを踏まえ、文部科学省として、ハンセン病の患者・元患者やその家族が置かれていた境遇を踏まえた人権教育を推進するため、省内の「ハンセン病家族国家賠償請求訴訟を踏まえた人権教育推進検討チーム」において、有識者からの意見聴取や現地視察等を行いつつ取組に関する検討を行ってまいりました。また、今後とも、御家族の皆様との協議も踏まえながら、厚生労働省や法務省等の関係省庁とも連携し、ハンセン病の患者・元患者や御家族が置かれていた境遇を踏まえた人権教育を推進するための取組の一層の充実を図ってまいります。

子供の貧困対策の推進

平成26年1月の「子どもの貧困対策の推進に関する法律」施行以降、政府は、子供の将来が生まれ育った環境によって左右されることのないよう、貧困の状況にある子供が健やかに育成される環境の整備に努めてきたところです。令和元年6月には同法が改正され、新たに市町村にも貧困対策計画策定の努力義務が課されるとともに、教育の機会均等が図られるべき趣旨が明確化されました。

また、同法改正等を踏まえ、令和元年11月には、政府として総合的に子供の貧困対策を推進するための基本的な施策を定めた、新たな「子供の貧困対策に関する大綱」が閣議決定されました。

新たな大綱では、子供の貧困対策を総合的に推進するに当たり、関係施策の実施状況や対策の効果等を検証し評価するため、スクールソーシャルワーカーによる対応実績のある学校の割合や子供の貧困率等の39の指標を設定し、貧困の実態をより多面的に捉えられるようにしています。あわせて、これらの指標の改善に向けて、「教育の支援」等の事項ごとに、当面取り組むべき重点施策を掲げています。

文部科学省としては、大綱も踏まえ、

等に引き続き、取り組んでいきます。

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