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令和3年度 文部科学関係予算の概要

文部科学省大臣官房会計課

令和2年度 文部科学関係予算

令和3年度文部科学関係予算については、教育再生や科学技術・イノベーション、スポーツ、文化芸術の振興を、コロナ禍においても決して歩みを止めることがないよう、国民が安全・安心に過ごすための感染症対策等の充実に必要な経費とともに、「新たな日常」における幼・小・中・高・大学等をはじめ、スポーツ、文化芸術活動の支援、研究開発の推進などのための経費として5兆2,980億円を計上しております。

教育関係予算について

我が国が持続的に成長・発展するには、一人一人の能力や可能性を最大限引き出し、多様な個性を伸ばす教育が不可欠です。文教関係予算(いわゆる教育分野)については、4兆216億円の予算を確保しました。

教育政策推進のための基盤の整備

●小学校35人学級の計画的な整備やGIGAスクールにおける学びの充実など、新しい時代の学びの環境の整備及び学校における働き方改革の推進

教職員定数については、少人数によるきめ細かな指導体制を構築するため、義務標準法を改正し、小学校について学級編制の標準を5年かけ、学年進行で35人に計画的に引き下げるための整備を行うための改善を図るほか、教科指導の専門性を持った教員によるきめ細かな指導などによる教育の質の向上(対前年度2,397人増)などを図ります。
また、児童生徒一人一人にあったきめ細かな対応の実現のための学習指導員等の配置拡充(対前年度3,000人増)やスクール・サポート・スタッフの拡充(対前年度5,000人増)などにより学校における感染症対策や働き方改革を推進します。
また、GIGAスクール構想の加速など急速な学校ICT化を進める自治体等を支援するため、ICT環境整備等の知見を有するGIGAスクールサポーターの配置をはじめ、デジタル教科書やオンライン学習システムの全国展開、教育データ利活用等を推進します。これらにより、多様な子供たちを誰一人取り残すことなく、全ての子供たちの可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学びの実現に向けて、引き続き取り組んでまいります。

●幼・小・中・高等学校及び特別支援学校等において、幼児・児童・生徒や教職員が安全・安心に過ごせるよう、感染症対策等を充実

幼稚園の感染症対策を実施するために必要な保健衛生用品等の購入経費等を支援し、感染症対策を行いながら健やかに育む環境を確保します。また、校務支援システムに入力されているデータを活用した「学校等欠席者・感染症情報システム」など、デジタル時代にふさわしい児童生徒の健康を守るための情報システムの構築などによる児童生徒の生命と安全を守る取組を促進します。

●「新たな日常」に向けた教育研究の推進、基盤的経費の確保、評価や客観的指標に基づくメリハリある配分による改革徹底や、高専の高度化・国際化を推進

国立大学については、Society 5.0に向けた人材育成や、イノベーション創出の中核としての役割を果たすため、教育研究の基盤である運営費交付金等を確保するとともに、取組・成果に応じた手厚い支援と厳格な評価を徹底することにより、「教育」「研究」「ガバナンス」改革を加速化します。また、コロナ禍を踏まえた「新たな日常」に向けた、各大学の取組を支援します。
私立大学等については、客観的指標を活用したメリハリある配分により、大学等の運営に不可欠な教育研究に係る経常的経費について支援します。また、特色・強みや役割の明確化・伸長に向けた改革に全学的・組織的に取り組む大学等を重点的に支援します。
また、都道府県による私立高等学校等の基盤的経費への助成を支援するとともに、各私立高等学校等の特色ある取組を支援します。
国立高等専門学校については、社会変革に対応できる人材や地域に求められる人材を教育するための取組を重点的に支援するほか、令和2年度補正予算と合わせ施設・設備の集中的な改善・更新を行い、高度化を図ります。また、日本型高等専門学校教育制度(KOSEN)の海外展開を推進するとともに、国際的な教育モデルを確立し、質保証を図ります。

●学校施設等の整備の推進

児童生徒等の安全と健康を守り、計画的・効率的な長寿命化を図る整備を中心とした「新たな日常」を支える教育研究環境の改善等を推進します。

夢と志を持ち、可能性に挑戦するために必要となる力の育成

●地域の教育力の向上、子供の体験機会の充実、学校安全体制の整備推進

学校を核とした地域力強化のための仕組みづくりなどを推進するため、コミュニティ・スクールと地域学校協働活動との一体的推進等の地域活性化につながる多様な取組を展開することにより、地域の教育力の向上を図ります。また、新型コロナウイルス感染症の影響により減少した自然体験機会の充実等を図るため、体験活動を支援します。さらに、学校安全の確保に対応するため、警察や地域と連携し登下校時の安全確保に取り組みます。

●高等学校教育改革の推進、道徳教育の充実等

小規模高等学校の教育環境改善のためのネットワーク構築や産業界と一体・同期化した専門高校の職業人材育成の抜本的改革を図るなど、ポストコロナ時代における社会システムや産業社会の変化を見据えて、個別最適化された学びや社会とつながる協働的・探求的な学びを実現するための高等学校教育改革を推進します。また、地域の特色を生かした取組を支援するなど道徳教育の推進を図ります。

●教育相談体制等の充実によるいじめ・不登校、虐待対応等の推進

虐待、いじめ等対策や不登校支援については、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの従来の配置に加えて、いじめ・不登校対策のための重点配置を行うなど専門スタッフの配置充実を図ります。また、SNS等を活用した相談体制の構築や、学校以外の場における支援体制を整備し、不登校児童生徒等様々な悩みを抱える児童生徒へのきめ細やかな支援体制を整備するとともに、夜間中学の設置促進を図ります。

●感染症対策を含めた大学入学共通テストの円滑な実施

大学入学共通テストの感染症対策を含む円滑な実施や、新学習指導要領に対応した試験問題の調査研究に取り組みます。

社会の持続的な発展をけん引するための多様な力の育成

●新しい時代の学びの環境整備に向けた、在外教育施設の機能強化

少人数によるきめ細かな指導体制の計画的な整備のための在外教育施設への派遣教師数を拡充するなど、在外教育施設においても国内と同等の学びの環境を整備し、グローバル人材を育成するための取組を推進します。

●Society 5.0の実現及びウィズコロナ・ポストコロナに向けた人材育成の強化

数理・データサイエンス・AI教育の推進のために必要な教材開発や教育リソースの整備を進め、全国への普及・展開を一層加速させるほか、専修学校教育における職業人材の養成機能を強化・充実するため、先端技術利活用の実証研究を進めます。

生涯学び、活躍できる環境の整備

●人生100年時代や技術革新の進展等を見据え、リカレント教育等社会人が学び直す機会を拡充

人生100年時代や技術革新の進展等を見据え、社会のニーズに対応したリカレント教育の基盤整備や産学連携による実践的なプログラムの拡充等、誰もがいくつになっても新たなチャレンジができる社会を構築します。また、令和3年度よりAIや機械では代替できない人材育成を目指す新規事業を実施します。

●就学前から高等教育段階、卒業後まで、特別支援教育の生涯学習化を進める「障害者活躍推進プラン」推進

障害のある児童生徒等の自立と社会参加の加速化や共生社会の実現に向け、ICTの活用等を含めた取組の充実を図り、十分な教育を受けられる環境を構築するなど、特別支援学校や大学等の段階の取組を拡充するとともに、学校卒業後の学びやスポーツ、文化芸術等の取組を拡充します。

誰もが社会の担い手となるための学びのセーフティネットの構築

●高校等や高等教育の修学支援の確実な実施など、各教育段階の負担軽減により学びのセーフティネットを構築

高等学校等就学支援金の支給をはじめとした高校生等への修学支援の充実を図るとともに、低所得世帯(住民税非課税世帯やそれに準ずる世帯)であっても大学等に修学できるよう高等教育の修学支援を確実に実施するなど、各教育段階の負担軽減により学びのセーフティネットの構築を図ります。

●共生社会の実現を図るため、日本語教育・外国人児童生徒等への教育を充実

外国人の受入れ拡大に対応するため、生活者としての外国人への日本語教育の推進とともに、学校における日本語指導体制の充実や多言語翻訳システム等ICTの活用促進など、日本語教育が必要な児童生徒等に向けた教育を充実することを通じて、外国人が教育・就労・生活の場で円滑にコミュニケーションできる環境の整備を図ります。

スポーツ関係予算について

スポーツ立国の実現に向けたスポーツの振興を図るための予算として、対前年度3億円増の354億円を計上しています。
東京オリンピック・パラリンピック競技大会等への対応として、各競技団体が行う日常的・継続的な強化活動への支援、メダル獲得に向けた多方面からの専門的かつ高度な支援、ドーピング防止活動等に取り組むとともに、「新たな日常」におけるスポーツ施策の総合的な推進とスポーツ・レガシーの継承のため、子供の健やかな心身の育成、スポーツ参画人口の拡大、地域運動部活動の推進、スポーツ産業の成長促進、障害者スポーツ等を推進します。

文化芸術関係予算について

文化芸術立国の実現に向けて、対前年度8億円増の1,075億円を計上しています。
文化芸術活動の継続・発展・継承のため、文化芸術団体の活動継続の支援や「日本博」等の文化プログラムの全国展開、子供の文化芸術鑑賞・体験機会の充実など、文化芸術の創造・発展や人材育成を推進します。
また、文化財の次世代への確実な継承のため、修理や計画的な防火・防災対策、修理技術者等の育成、邦楽の普及拡大や伝統行事の継承等の推進、日本遺産等の地域の文化資源の磨き上げや文化観光の推進等による地域活性化を推進します。

科学技術予算について

令和3年度から開始する第6期科学技術・イノベーション基本計画の策定に向けた議論を踏まえ、我が国の研究力向上のため、大学ファンドの創設による世界レベルの研究基盤の構築、若手人材育成等の推進を着実に実施します。
また、Society 5.0を実現するためのイノベーションの創出に向けた取組等を推進するとともに、国家戦略上重要な技術等の研究開発を推進します。
このため、令和3年度科学技術予算については、対前年度6億円増の9,768億円を計上しています。

我が国の抜本的な研究力向上と優秀な人材の育成

●世界レベルの研究基盤を構築するための大学ファンドの創設

新型コロナウイルス感染症の影響により経済が低迷する中にあっても、科学技術イノベーション活動への力強い下支えを行うことが不可欠です。そのため、大学ファンドを創設し、その運用益を活用することで、世界トップレベルの研究大学を目指した研究基盤の強化を図ります。
研究大学が経営体として自律し、世界に伍する大学に成長することで、絶えずイノベーションが創出される仕組みを構築することを目指しております。

●我が国の研究力を総合的・抜本的に強化

まず、科研費については対前年度比3億円増となる2,377億円、戦略的創造研究推進事業では対前年度比10億円増となる428億円を計上しております。これらにより、優れた研究者への切れ目ない支援の充実を図ります。
また、博士後期課程学生の処遇向上のため、新規事業として「科学技術イノベーション創出に向けた大学フェローシップ創設事業」を立ち上げるとともに、若手を中心とした多様な研究者が自由で挑戦的・融合的な研究を進めるための資金と研究に専念できる環境の確保を一体的に支援する創発的研究支援事業を充実・強化します。
さらに、世界トップレベル研究拠点プログラムでは、新たなミッションの下、新規1拠点を形成します。加えて、研究と出産・育児等のライフイベントとの両立や女性研究者の研究力向上を通じたリーダーの育成を一体的に推進する大学等を支援します。

Society 5.0を実現し未来を切り拓くイノベーション創出とそれを支える基盤の強化

●コロナショック後の未来を先導するイノベーション・エコシステムの維持・強化

ポストコロナ社会や経済の変革をけん引する大学発ベンチャー創出やアントレプレナーの育成を推進し、スタートアップ・エコシステムを強化するとともに、本格的産学官連携を通じたオープンイノベーションの推進により、企業だけでは実現できない飛躍的なイノベーションの創出を実現し、大学等の研究シーズを基に地域内外の人材・技術を取り込みながら、地域から世界で戦える新産業の創出に資する取組を推進します。

●研究環境のデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進

我が国の研究力強化や生産性向上のため、産学官が有する研究施設・設備・機器の整備・共用を推進するとともに、リモート化・スマート化により研究者が距離や時間の制約を超えて研究を遂行できる環境を実現します。特にマテリアル分野においては、データ駆動型研究の加速に向け、産学官の高品質なデータの戦略的な収集・蓄積及び全国で共用・利活用を行うためのプラットフォームを整備します。

●世界最高水準の大型研究施設の整備・利活用の促進

我が国における世界最高水準の大型研究施設等の整備・利活用を推進します。
特に、昨年スパコンランキング4部門で世界一位となったスーパーコンピュータ「富岳」は、昨年4月から一部を試行的に利用し、新型コロナウイルス感染症対策に関する成果を創出してきました。本年3月には全面的な共用を開始しており引き続き我が国が直面する課題の解決や産業競争力の強化に貢献します。
また、研究力強化と生産性向上に貢献する次世代放射光施設については、12億円の予算を計上し、官民地域パートナーシップによる役割分担により着実に整備を進めます。

重点分野の戦略的推進と感染症対策等のための研究開発の推進

●AI、量子技術戦略等の国家戦略を踏まえた重点分野の研究開発を戦略的に推進

ビッグデータ等を活用した革新的な人工知能の研究開発や大量かつ複雑なデータを分析・解析するために必要な統計エキスパート人材の育成、経済・社会的な重要課題に対し光・量子技術を駆使して非連続的な解決を目指す光・量子飛躍フラッグシッププログラム(Q−LEAP)等を通じ、未来社会実現の鍵となる先端的な研究開発・人材育成を推進します。

●新型コロナウイルス感染症や将来の感染症対策に貢献する創薬研究支援等の健康・医療分野の研究開発を推進

新型コロナウイルス感染症関連の研究開発を推進するとともに、中長期的な視点で将来の感染症対策に貢献し得る基礎研究及びそれらを支える研究基盤の充実を図ります。加えて、iPS細胞等による世界最先端医療の実現や、ゲノム研究基盤の構築等の健康・医療を支える基礎的な研究開発を推進します。

大規模自然災害対策等の国民の安全・安心やフロンティアの開拓に資する課題解決型研究開発の推進

●宇宙・航空分野の研究開発の推進

新宇宙基本計画に基づく宇宙分野の研究開発に1,544億円を計上しています。具体的には、米国提案の「アルテミス計画」への参画を含む国際宇宙探査、令和3年度の初号機打上げを目指すH3ロケット、さらに、安全保障・防災、産業振興等につながる人工衛星等の研究開発を推進します。
加えて、安全性・環境適合性・経済性といった重要なニーズに対応する次世代航空科学技術の研究開発等を推進します。

●海洋・極域分野の研究開発の推進

海洋科学技術は、地球環境問題や災害等の我が国が直面する課題と密接に関連しています。これを踏まえ、地球環境の状況把握と変動予測のための研究開発や、南極地域観測事業等に必要な経費を計上しています。関係省庁や研究機関、産業界等と連携を図りながら、海洋・極域分野の研究開発に関する取組を推進していきます。
特に、北極域の国際研究プラットフォームとして、砕氷機能を有し、北極海海氷域の観測が可能な「北極域研究船」の建造に着手(令和8年就航予定)するなど、北極域研究を戦略的に推進します。

●防災・減災分野の研究開発の推進

防災ビッグデータの収集・整備・解析、官民一体となった総合防災力向上のための研究、地震、津波、火山、豪雨災害等に関する研究開発を推進することで、自然災害に対して強靭かつ安全・安心な社会の実現に貢献します。
また、南海トラフ地震の想定震源域のうち、観測網が設置されていない海域(高知県沖~日向灘)における新たな海底地震・津波観測網の構築については、引き続き着実に計画を推進していきます。

●環境エネルギー分野の研究開発の推進

2050年カーボンニュートラルを実現するために、環境問題とエネルギー問題の根本的解決が期待できる核融合エネルギーの実現を目指すITER(イーター)計画、BA活動等の実施、大幅な省エネを実現する革新的なパワーエレクトロニクスや、次世代蓄電池等の脱炭素化技術の研究開発、高精度な気候変動予測情報の創出や地球環境情報プラットフォームの運用・利用拡大などを推進します。

●原子力分野の研究開発・安全確保対策等の推進

新たな原子力利用技術の創出に貢献する基礎基盤研究の実施やJRR−3の安定運転等を通じた研究基盤の供用、高温ガス炉に係る研究開発、次代の原子力を担う人材育成やそのための基盤強化を推進します。また、東京電力(株)福島第一原子力発電所の安全な廃止措置等を着実に進めるため、国内外の英知を結集し、廃炉現場のニーズを一層踏まえた研究開発及び人材育成の推進に加え、原子力の安全研究、高速炉や加速器を用いた放射性廃棄物の減容化・有害度低減のための研究開発等を着実に進めるとともに、原子力施設の安全確保対策を行います。

最後に

文部科学省としては、ポストコロナの「新たな日常」や「Society 5.0」の到来を見据えながら、日本を誰にでもチャンスがあふれる国へと変えていくため、引き続き、教育再生、科学技術・イノベーション、スポーツ及び文化芸術の振興に全力で取り組んでまいります。

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