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特集
社会教育士・社会教育主事のさらなる活躍に向けて

文部科学省総合教育政策局 地域学習推進課・教育人材政策課

今年度から始まった「社会教育士」について、社会教育士の特設サイトを開設するとともに、全国の社会教育主事有資格者の活躍を紹介するPR動画を公開しました!

「社会教育士」について
社会教育士は、社会教育の制度や仕組み、基礎的な知識に加え、下記の専門性の習得を狙いとした社会教育主事になるための講習や養成課程を修了した人たちの称号です。

ファリシテーション能力
人のやる気に火をつけたり、ものごとを自分事化していくプロセスを支えたりというような、活動への意欲・自発性を引き出しながら意識・行動の変化を促していく「学び」を支援するための基礎的な知識と技能

プレゼンテーション能力
地域のヒト、コト、モノや、地域で共有したい想いや願いなどの情報を、より多くの人に、わかりやすく、共感しやすい方法で積極的に伝えていくための基礎的な知識と技能

コーディネート能力
人どうし、活動どうし、組織どうしなど、異なる他者どうしが相互理解を深め、信頼し合い、互いを支え合うことができる関係(協働)へと調整するための基礎的な知識と技能

社会教育士は、このような専門性を活かしながら、地域の思いに寄り添った長期的な地域づくりのビジョンを持ち、地域活動や市民活動が持続的に展開していく支援をします。
今後、社会教育士は、社会教育施設や教育委員会事務局だけでなく、福祉やまちづくり等の地方公共団体の各部局や、NPO、企業、学校などの他、地域活動やボランティア活動などにおいても、活躍することが期待されています。

社会教育士の今後の活躍について
今後、社会教育士に活躍していただくに当たっては、「私は社会教育士です」と言ったら、行政の各部局ではもちろんのこと、企業やNPOにおいても通じるくらい認知度が高まり、理解が広がる必要があると考えています。
そのための第一歩として、この度文部科学省では、動画やマンガデザインによって社会教育士について分かりやすく説明した特設サイトを開設しました。
「文部科学広報」読者の皆様には、是非、特設サイトやPR動画本編を見ていただきたいのですが、誌面でも簡単に紹介させていただきます。


住民自治を支える「学び」の伴走者
[東京都]
杉並区教育委員会事務局学校支援課 社会教育主事
中曽根 聡さん
 
教育委員会事務局の社会教育主事として30年以上勤務し、地域の多様な大人のネットワークづくりなどに取り組まれている中曽根さんの取材では、社会教育には住民自治を活性化する力があり、社会教育が行政の様々な部署の基盤となって支える役割を担っていることや、いろいろな人が関わって学び合えることが社会教育の最大の魅力であるということを教えていただきました。
中曽根さんに関わりのある方々からのインタビューでは、中曽根さんが社会教育主事としてどのように地域住民や関係者と関わり、何を大切にしているのか、また、全国の社会教育主事の配置率が減少傾向にある中、行政にとって社会教育主事がなぜ必要なのかということを伺うことができました。
全国の教育行政に関わる皆様に、是非見ていただきたい動画・特設サイトの紹介ページとなっています。


これからの子供たちの学びには、社会教育の視点が必要
[岡山県]
浅口市立寄島小学校 校長
安田 隆人さん
 
岡山県浅口市立寄島小学校の安田校長先生は、14年間の社会教育主事としての経験を、校長としての学校経営に活かして、学校の働き方改革やコミュニティ・スクールを進めています。
安田校長先生のお話では、コミュニティ・スクール導入や学校の働き方改革推進の重要性に加えて、これらの施策を進める上で、学校が地域住民や企業等とつながり、様々なアイデアや意見を出し合いながら、その方針や課題解決策を見いだすというプロセスが重要であるということについてお話を頂きました。
その中で、社会教育士の専門性である、地域の「ひと・もの・こと」をつなぐコーディネート能力や、広い視野から学びをオーガナイズするファシリテーション能力が、教職員においていかに必要か、どのように学校経営や子供たちの学びに活かせるかといった、学校現場、社会教育行政の両方に長く身を置いた安田校長先生だからこその学校における社会教育士の役割を教えていただきました。
※PR動画は令和3年度公開予定です。


学ぶ権利を支え、人が変わる瞬間に立ち会える仕事
[大阪府]
貝塚市立中央公民館 職員
中川 知子さん
 
中川さんは、会計年度任用職員として貝塚市の公民館に20年以上勤務されています。
全国では公民館の数が年々減ってきている中、中川さんのインタビューでは、住民の学ぶ権利を保障する社会教育施設である公民館だからこそ果たせる役割があるということや、住民の学びを支えることを仕事にする公民館職員としての学び続ける姿勢の重要性など、公民館職員に求められる専門性についてお話しいただきました。
また、社会教育の現場で日々実践を重ねる公民館職員にとっては、公民館での実戦の中での学びと社会教育主事講習のような本質的な学びの、2つの「学び」が重要であるという、公民館職員の立場から見た社会教育主事講習の意義について伺うことができました。


「健康づくりはまちづくり」社会教育が支える地域福祉
[島根県]
浜田のまちの縁側 代表
栗栖 真理さん
 
島根県浜田市で地域の居場所づくりに取り組む栗栖さんは、元々、訪問看護師、ケアマネージャーとして地域福祉に携わっていましたが、「介護保険制度をはじめとする既存のサービスの提供では、本当に自宅で過ごす患者や高齢者を支えられない」、「福祉を突き詰めれば福祉のまちづくりをしなくてはいけない」という思いで、地域のつながりづくり・居場所づくりに取り組むようになりました。その中で、放課後子ども教室や公民館との連携を始め、徐々に社会教育の分野と関わるようになり、社会教育に興味を持って社会教育主事講習を受講されました。現在は、福祉と社会教育の2つの専門性を持って、「浜田のまちの縁側」を拠点に、浜田市の生涯学習課、公民館、子育て支援課、子育て支援系市民団体、まちづくり委員会等と連携・協働しながら、地域ぐるみで子供を育む様々な取組を行っています。
もともと福祉の仕事をしていた栗栖さんの話には、他分野で活動してきたからこそ見える社会教育の役割・専門性が表れていたことが印象的でした。栗栖さんは福祉の分野において感じていた、行政だけで課題を解決することの限界や、地域住民一人一人が動くことの重要性に対して、「住民一人一人が地域のことを自分事化できるように仕掛けていく、そこには社会教育のノウハウ・プロセスが必要であり、社会教育は行政と住民の協働の要」と社会教育の意義を表現されていました。

その他、防災や多文化共生・観光分野で活躍する社会教育士たちなど、特設サイトでは多様な分野での社会教育士の活躍事例を紹介しています。教育委員会・社会教育の領域の外にいる方の取組だからこそ、社会教育士の専門性が浮き彫りになっていますので、そちらも、併せて御覧ください。


社会教育士ロゴについて
今回制作したロゴについても、今後の社会教育士に込めた思いが表現されています。
この社会教育士のロゴは、社会教育士が支える学びの先にある、多様な人々が連携・協働する様子を表しています。社会教育における学びは色も形も違う人と人、組織と組織などを、色も形も多様なまま、つながりを作っていきます。そんな社会教育士の活動の成果とも呼べるつながりを象徴的に表したロゴです。称号の誕生と同時に、このロゴも広まることで、社会教育士の活躍促進につながってほしいと願っています。社会教育士の方は、是非、名刺などにつけて御活用ください。


これまでの社会教育主事とは何が違うのか
周知のとおり社会教育法には、「社会教育主事」という、社会教育を行う者に対する専門的技術的な助言・指導に当たる専門的教育職員の制度があり、教育委員会事務局に必ず置くこととされています。令和2年度から始まった社会教育士制度は、この社会教育主事になるために修得すべき科目等を定めた社会教育主事講習等規程の一部改正によってできた制度です。
従来は、社会教育主事になるための講習や養成課程を修了しても、都道府県・市町村教育委員会から「社会教育主事」として発令されなければ、その職に就くことができず、教育委員会で社会教育主事として発令されるための任用資格の有資格者として、一部の関係者の認知にとどまっていました。そのため、これまでも講習や養成課程を受講した有資格者がNPOや社会教育関係団体、企業、学校教職員、PTAなど、様々な場で活躍していましたが、「社会教育主事」とは名乗ることができませんでした。そこで、その能力を、教育委員会のみならず他の行政部局や学校、NPO、企業等の様々な場で更に発揮してもらえるよう、平成30年2月の省令改正で修了者は「社会教育士」と 称することができるようにし、令和2年4月から施行しました。
社会教育主事が、教育的専門職員として都道府県及び市町村の教育委員会に置かれなくてはならないことは、これからも変わりありません。地域における様々な分野で活躍する社会教育士が増えれば増えるほど、「学びのオーガナイザー」としての総合的な視点に立った地域全体の社会教育振興に取り組む社会教育主事の役割はますます重要になります。


今後の社会教育士・社会教育主事のさらなる活躍に向けて
社会教育士の広報を通じて、社会教育の役割が、教育委員会以外の行政の各部局や、NPO、民間企業などでも見直され、社会教育人材の活躍の場が増えることは、ひいては社会教育主事の配置率の改善にもつながると思っています。そのため、社会教育士を周知し、盛り上げることは、社会教育全体の振興につながると考えており、社会教育士の広報活動は重要で、今、社会教育が更に盛り上がっていくまたとない機会と捉えています。
この街の絵にあるように、ゆくゆくは街の至る所で、社会教育士の方たちに活躍していただきたいと思っています。そして、社会教育士の方には、それぞれの分野で活躍していただきつつも、周りの社会教育士の方とつながっていただくことで、社会教育主事はそんな地域で活躍する社会教育士たちの良き相談役や全体のオーガナイザーになっていただくことで、学びによる豊かな地域づくりが今後更に展開していくよう願っております。文部科学省も引き続き頑張ります!

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