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史跡等の指定・登録について

文化庁文化財第二課

史跡名勝天然記念物の指定等、登録記念物の登録が答申されました。

文化庁では、歴史上又は学術上価値の高い遺跡、芸術上又は鑑賞上価値の高い名勝地、学術上価値の高い動物・植物・地質鉱物のうち重要なものを、「史跡」「名勝」「天然記念物」に指定し、保存と活用を図っています。
令和2年11月20日に開かれた文化審議会文化財分科会において、史跡名勝天然記念物の新指定18件、追加指定等35件、登録記念物の新登録6件、重要文化的景観の新選定5件、追加選定等1件が答申されました。
この結果、官報告示後に、史跡名勝天然記念物は3318件、登録記念物は123件、重要文化的景観は70件となる予定です。
なお、より詳しい解説や、追加指定等については、文化庁ホームページを御覧ください。
「文化審議会の答申(史跡等の指定等)」
https://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/92657301.html

史跡の新指定 1
屋形遺跡
岩手県釜石市
縄文時代中期末から後期初頭にかけての貝塚を伴う集落跡です。太平洋に面した海岸段丘上に竪穴建物と貯蔵穴が分布し、斜面地に岩礁性二枚貝を主体とする貝塚が形成されています。
三陸沿岸の生業の実態を示す遺跡として重要です。

史跡の新指定 2
赤井官衙遺跡群
赤井官衙遺跡
矢本横穴
宮城県東松島市
関東からの移住者を中心とした集落の形成、それを基にした郡家ないし城柵の造営といった変遷をたどることができます。また、蝦夷の居住域内における官衙の実態や郡司をはじめとする官人の出自を知ることができます。
律令国家成立期の東北経営を理解する上で重要な遺跡です。

史跡の新指定 3
山居倉庫
山形県酒田市
明治26年(1893)、酒田米穀取引所の附属倉庫として建設され、庄内米を保管・取引した大規模な施設です。米が自由取引されていた米券倉庫時代から食糧管理制度下の時代を経て、建築後120年以上も現役使用の倉庫が現存します。
近現代の米穀流通の歴史を知る上で重要です。

史跡の新指定 4
鈴木遺跡
東京都小平市
後期旧石器時代初頭から末葉までの12文化層を有する居住地遺跡です。武蔵野台地の中央、石神井川の源流部を取り囲むように遺跡が展開します。
黒曜石等の遠隔地石材を含む12万点以上の遺物の出土は、本遺跡の性格が拠点的居住地であることを示しており重要です。

史跡の新指定 5
鈴鹿関跡
三重県亀山市
律令国家が最も重視した交通管理施設である三関の一つです。鈴鹿関は、天皇・上皇・高官の死去、事変勃発時などに門を閉ざすなど政治・軍事的にも重要視されました。
平成18年度からの発掘調査では、西辺築地塀が確認され、関の位置や構造を考える上で、重要な成果が得られました。

史跡の新指定 6
舟木遺跡
兵庫県淡路市
淡路島の北部の標高150~200mの丘陵上に位置する、弥生時代後期から終末期にかけての集落遺跡です。
長期間にわたり鉄器生産や海を介した他地域との交易を行っており、弥生時代後期から終末期にかけての拠点的集落の実態を示す重要な事例です。

史跡の新指定 7
湯浅党城館跡
湯浅城跡
藤並館跡
和歌山県有田郡湯浅町・有田郡有田川町
豊富な中世文書を伝え、中世武士団の典型事例として研究が進められてきた湯浅党を象徴する城館群です。周辺に残る湯浅党関連の寺院や石造物などとともに、中世前期の社会状況を示しており、我が国の中世前期の武士団の在り方を知る上で重要です。

史跡の新指定 8
樫野埼灯台及びエルトゥールル号
遭難事件遺跡
和歌山県東牟婁郡串本町
近代最初期の灯台として良好に保存されている「樫野埼灯台」、エルトゥールル号が衝突した「船甲羅」、生存者が泳ぎ着いたと伝えられる「遭難者上陸地」、犠牲者を葬った「遭難者墓地」からなります。
近代における大規模かつ国際的な海難とその後の防災意識や日本とトルコとの国際交流・慰霊の歴史を明らかにする貴重な遺跡です。

史跡の新指定 9
下岡田官衙遺跡
広島県府中町
山陽道駅路に沿った陸海交通の要衝に立地する安芸駅家の可能性が高い官衙遺跡です。
昭和30年代から本格的な発掘調査が実施されるなど、山陽道の交通史研究における学史的な意義も大きく、山陽道沿線における官衙の展開を知る上でも重要な遺跡です。

史跡の新指定 10
久留米藩主有馬家墓所
福岡県久留米市
江戸時代、久留米藩21万石の大名であった有馬家歴代の墓所として、菩提寺の臨済宗梅林寺境内に営まれました。
2代藩主までは位牌廟や納塔廟といった霊屋形式の霊廟(霊屋建物は重要文化財に指定)を伴います。3代以降になると霊屋を伴わない大型の三層塔を造立するようになり、幕末に至りました。
近世大名の墓制・葬制とその変遷を知る上で貴重です。

史跡の新指定 11
小部遺跡
大分県宇佐市
大分県北部の周防灘に面した平野部に立地する古墳時代前期を中心とする集落遺跡です。
古墳時代前期に、突出部を備える環濠集落として出現し、その後、環濠内に方形区画とその区画内に大型掘立柱建物が造られています。
居館の成立から廃絶までの変遷を辿ることができる重要な遺跡です。

史跡の新指定 12
北谷城跡
沖縄県中頭郡北谷町
13世紀後半から16世紀前半にかけて、沖縄本島西海岸沿いの舌状丘陵に営まれた、中山地域の拠点となった城(グスク)跡です。
東西約500m、南北165mの範囲に五つの曲輪等が配置され、琉球石灰岩を用いた切石積み・野面積みの石垣で城壁を築いています。殿舎跡のほか、威信財である貿易陶磁器等も出土しています。
三山時代から統一に至る琉球史を理解する上で貴重です。

名勝の新指定 1
神仙郷
神奈川県足柄下郡箱根町
昭和10年代から20年代にかけて、宗教家が強羅地区の地形と地質を活かして理想郷として整備した庭園です。
斜面に造られた様々な建物の周囲に園池や滝、石組を築き、また一部は現地の岩石をそのまま景観の要素としています。タケ類やコケ類等の植栽も特徴的です。

名勝の新指定 2
知恩院方丈庭園
京都府京都市
17世紀に造営され、18世紀にほぼ現在の形に整えられた池泉庭園です。
大方丈及び小方丈に面し、園池は屈曲した汀線を持ちます。巨石を配し、園池背後の斜面に豪壮な滝石組を築いているほか、斜面上部の山亭付近からは京都市内を一望できます。

名勝の新指定 3
仁和寺御所庭園
京都府京都市
江戸時代に造られ、近代に整えられた庭園です。
大正3年に建築された宸殿の南北に庭園があり、園池のある北庭は江戸時代の庭園を明治末期から大正初期に改修したものです。白砂敷きの南庭は昭和初期の造営で、そのほかにも2棟の茶室の周りにそれぞれ露地が造られています。

天然記念物の新指定 1
糸魚川市根知の糸魚川静岡構造線
新潟県糸魚川市
東北日本と西南日本に二分する糸魚川市から静岡市に至る長さ約250㎞におよぶ大断層です。
日本列島がアジア大陸から分離する時に形成された、巨大な裂け目であるフォッサマグナの西端を画する断層でもあります。糸魚川市根知の糸魚川静岡構造線は、幅10m以上の断層破砕帯として露出しています。

天然記念物の新指定 2
溝ノ口洞穴
鹿児島県曽於市
シラス台地(入戸火砕流堆積物)に形成された洞穴です。
火砕流堆積物中に形成された洞穴としては大規模で、国内最大級であり、全長209.5mに及びます。多量の火砕流の熱でガスが吹き抜けた痕跡や、地下水による侵食現象が良好に見られます。

天然記念物の新指定 3
伊平屋島のウバメガシ群落
沖縄県島尻郡伊平屋村
ウバメガシは海岸林の代表的な構成種です。
沖縄県伊平屋島虎頭岩の群落は、日本の分布南限地帯に成立する良好な自生地であり、亜熱帯性植物を含み植物社会学的に貴重です。
琉球弧経由で大陸から移入した残存集団であり、生物地理学的、遺伝学的に価値が高い群落です。

登録記念物の新登録
名勝地関係 1
和泉市久保惣記念美術館茶室庭園
大阪府和泉市
昭和初期に二代久保惣太郎によって造られた庭園です。表千家の茶室「残月亭」及び「不審菴」を写した「聴泉亭」、「惣庵」だけでなく、露地についても、外腰掛、中潜、梅見門、内腰掛等を含めて、ほぼ忠実に空間構成を写しています。

名勝地関係 2
嫁ケ島(蚊島)
島根県松江市
宍道湖唯一の島で、『出雲国風土記』(天平5年(733)成立)に、黒土から成る「蚊島」として記載されています。後に島の成り立ちを語る伝説とともに「嫁ケ島」の呼称が定着し、今日、夕日に映える宍道湖にただひとつ浮かぶ嫁ケ島が織り成す風景は広く親しまれています。

名勝地関係 3
真玉海岸
大分県豊後高田市
国東半島北西部にある江戸時代以来の干潟です。波がつくる大きな砂漣(波跡)と風がつくる小さな砂漣(風紋)の作用によって数多くの洲と澪が縞状に形成されます。季節や気象、時刻とともに変化する海景が演出される名勝地として意義深いものです。

名勝地関係 4
津嘉山酒造所庭園
沖縄県名護市
昭和初期に泡盛の醸造所に造営された池泉庭園です。ほぼ長方形の敷地の中央部分に主屋が建ち、南東部に庭園が造られています。細長い形の園池は沖縄本島の形を模したと伝わっており、景石として沖縄本島北部産出の古生代石灰岩を用いていることが特徴です。

名勝地関係 5
ハナンダー(自然橋)
沖縄県島尻郡八重瀬町
琉球石灰岩の侵食や陥没などによって形成された、長さ約30m、幅約10mの自然の橋です。下を流れる白水川の水面から橋の上面までの高さは8mほどあります。古くから景勝地として地元住民に親しまれ、また現在でも住民が日常的に通行しています。

動物、植物及び地質鉱物関係1
震生湖
神奈川県秦野市・足柄上郡中井町
大正12年に発生した関東地震で生じた堰き止め湖です。当時、地震による崩壊地が多数生じたが現存するものは希です。震生湖では現在も「湖面」「崩落地」「堰止地」を一体として確認できます。地震にともない、地塊運動が生じることを現在に伝える貴重な資料です。

文化的景観の新選定1
加賀海岸地域の海岸砂防林及び集落の文化的景観
石川県加賀市
加賀市西端部、日本海と大聖寺川に挟まれる区域に広がる文化的景観です。
海岸砂丘が発達しやすい自然条件下にあって、造林によって飛砂から集落や耕地の保護を図る近世以降の取り組みを伝えます。

文化的景観の新選定 2
越前海岸の水仙畑 下岬の文化的景観
福井県福井市
平地が少なく、冬は海が荒れる福井県北部の越前海岸において、近代以降、斜面に自生する水仙を正月花として栽培する中で形成された文化的景観です。
その最北部の福井市下岬地区では、山麓部の段丘や緩斜面に、かつての棚田の石積みや果樹等と共に広がる水仙畑を特徴とします。

文化的景観の新選定 3
越前海岸の水仙畑 上岬の文化的景観
福井県丹生郡越前町
平地が少なく、冬は海が荒れる福井県北部の越前海岸において、近代以降、斜面に自生する水仙を正月花として栽培する中で形成された文化的景観です。
その北部、越前岬中央部の越前町上岬地区では、高い海食崖上の段丘及びこれに続く棚田跡に形成された広大な水仙畑を特徴とします。

文化的景観の新選定 4
越前海岸の水仙畑 糠の文化的景観
福井県南条郡南越前町
平地が少なく、冬は海が荒れる福井県北部の越前海岸において、近代以降、斜面に自生する水仙を正月花として栽培する中で形成された文化的景観です。
その最南部、南越前町糠地区では、直線的な断層崖に形成された水仙畑を特徴とします。

文化的景観の新選定 5
瀬戸内海姫島の海村景観
大分県東国東郡姫島村
大分県北端、姫島村の全域とその周辺海域から成る文化的景観です。
島と海の資源を目一杯生かしながら複数の生業を営んできた海村の生活や文化を表わし、また、生物資源管理の約束事を、島全体で守り、一島一村として自立的に過ごしてきた歴史を伝える独特な景観です。


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