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学びを通じたステップアップ支援促進事業 中間報告会

文部科学省総合教育政策局生涯学習推進課


学びを通じたステップアップ支援促進事業 中間報告会

事業の背景
 平成22年の国勢調査において、20歳から39歳のうち、最終学歴が中学卒業程度の者が約143万人と学校卒業者の約5%に相当するという結果が出ました。
 また、高校卒業資格がないことにより、就職活動における求人情報や、大学等への進学機会が限られ、将来のキャリア形成にも影響が生じるため高卒資格が必要であると考えている者も約8割程度います。
 そのような状況で、高校中退者や、高校等への未進学者に対して、都道府県や、市区町村においても十分な対象者の捕捉ができておらず、支援体制も十分とは言えない状況がありました。また、多くの自治体において、こうした現状や、課題を認識しつつも予算確保の観点や、支援に関するノウハウを有していない等、対応が難しいという状況があります。
 こうした状況や課題を踏まえ、「学びを通じたステップアップ事業(以下、ステップアップ事業)」が平成29年度より始まりました。

中間報告会の概要
 本年度(令和2年度)は高知県、札幌市、島根県益田市の3自治体に事業委託し、特に訪問型支援の活用や、ICTを活用した学習支援など、様々な状況に置かれている高校中退者等に対して、より個に応じた丁寧できめ細かな相談・学習支援を進めるためのモデル開発を行っています。
 この度令和2年度に受託されている3自治体の進捗状況の報告を中心とした中間報告会を令和2年11月26日にオンラインにて開催いたしました。
 当日は聴講者として33の自治体・団体にも御参加いただき、高校中退者等への学習相談・支援について理解と関心を深めることに繋がりました。

高知県の中間報告
(取組のポイント)
・教育委員会事務局・福祉部局等と情報連携を図る「学習相談・学習支援」検討会の開催により高卒認定試験実施状況や支援対象者の捕捉、関係機関との連携などについて意見交換を行っている。
・地区別連絡会(県内6箇所)の開催や、市町村教育委員会への聞き取り調査により、サポステへの誘導を図っている。
・「若者はばたけネット」により、中学卒業時及び高校中退時の進路未定者の情報を「同意書」「個人情報票」にて収集し、サポステからアプローチを実施し支援につなげている。

札幌市の中間報告
(取組のポイント)
・市内の学習支援に関わる複数の団体によるサポートチーム「さっぽろ学びなおしネットワーク」を作り、各団体からノウハウを持つ人材がスタッフとして参加。
若者の自立を総合的に支援する市内5館の「若者支援総合センター・若者活動センター」及び協力団体拠点にて実施。
・中学校・高等学校への訪問、さっぽろ子ども・若者支援地域協議会、中高生の居場所である児童会館(児童館)などへ事業周知、情報提供を働きかけ。
・一人一人の学力や目標に合わせて、使用教材の選定及び学習計画を立案し、週1回・2時間の学習支援を実施。
・試験前後にはすべての参加者についてケース検討を行い、合格に向けた学習プランを確認しながら支援に当たる。
・希望に応じ、メールやSNS(LINE)を活用した学習相談・学習支援も実施(新型コロナウイルス拡大に伴う施設休館時にも活用)。合格後も、次の進路に向けた支援や見守りを継続。

島根県益田市の中間報告
(取組のポイント)
・社会教育課担当と志塾フリースクール(再委託先)で、公立高校2校、私立高校2校、公立養護学校1校で実施。不登校や中退予備軍についての状況の確認と、中退してしまう要因等について聞き取りを実施。
・ヒアリングののち、各校の担当の先生と協議の上、アクションプランを作成。
・アクションプランを基に、教員向け研修会の実施、定期的なスーパーバイズ、生徒との個別相談を実施。
・必要に応じて、ICTを活用した支援が実施できる体制を整えている。

実施状況等に関する質疑応答(抜粋)
Q.高卒認定試験を実際に受験するところまで誘導するのは困難を伴うかと思うが、各自治体で何か工夫していることがあれば教えてほしい。
A.モチベーションを保つためには、声掛けの工夫や、食事の提供などを行っている。モチベーションを学習に向けるという点については、生徒本人の「学びたい」という意欲を大切にしながら接し、学びにより次の扉が開くことを意識しながら必要な提案をしていく。

Q.中退者の情報把握をしていくために、取り組まれていること、工夫していることなどを教えていただきたい。
A.県教育委員会と学校が連携し、保護者や本人からの「同意書」や、「個人情報票」を提出していただく事で、情報収集をしやすくし、支援のアプローチにつなげている。

Q.タブレット学習の導入状況について教えてほしい
A.LINEを学習支援に活用している。YouTubeの動画を学習に活用することもある。
そのほかにZoomを使って学習をすることにも取り組んでいる。

Q.中退しそうな生徒を捕捉した後、生徒本人が事業を利用してくれるための工夫を教えてほしい。
A.様々な工夫をしているが、その中で一番効果があるのは、「相談に来てほしい」ではなく、「ボランティアで人手が足りないから手伝って」と誘うやり方。生徒に有償ボランティアとして清掃作業などの中で役割を与えて、成功体験を経験させるなど様々な関わりを持ちながら、支援スタッフと生徒の関係構築を図った上で、生徒の学習ニーズを丁寧に拾い上げ、支援に繋げている。

ステップアップ支援促進事業の今後について
 多くの地方自治体や団体における取り組みによって、高校中退者等への支援体制の構築が図られ、支援内容も充実してきました。高校中退者等に対する支援体制が更に充実するよう引き続き地方自治体等への支援を行ってまいります。

 

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