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令和元年度体力・運動能力調査結果について

スポーツ庁健康スポーツ課

本調査は、国民の体力・運動能力の現状を明らかにするとともに、体育・スポーツの指導と行政上の基礎資料として広く活用するために、前回の東京オリンピック・パラリンピックが開催された昭和39年度から毎年実施されているものです。この度公表しました令和元年度の調査結果について説明します。

調査の概要
1 調査実施期間
令和元年5月~10月
(小・中・高校生は5月~7月)

2 対象及びテスト項目
(1)小学生(6~11歳)
〈テスト項目〉①握力 ②上体起こし ③長座体前屈 ④反復横とび ⑤20mシャトルラン(往復持久走) ⑥50m走 ⑦立ち幅とび ⑧ソフトボール投げ
(2)中学生~大学生(12~19歳)
中学校(12~14歳)、高校全日制(15~17歳)、高校定時制(15~18歳)、高等専門学校(男子18・19歳)、短期大学(女子18・19歳)、大学(18・19歳)
〈テスト項目〉①握力 ②上体起こし ③長座体前屈 ④反復横とび ⑤持久走 ⑥20mシャトルラン(往復持久走) ⑦50m走 ⑧立ち幅とび ⑨ハンドボール投げ
※持久走と20mシャトルラン(往復持久走)は選択実施
(3)成年(20~64歳)
〈テスト項目〉①握力 ②上体起こし ③長座体前屈 ④反復横とび ⑤急歩 ⑥20mシャトルラン(往復持久走) ⑦立ち幅とび
※急歩と20mシャトルラン(往復持久走)は選択実施
(4)高齢者(65~79歳)
〈テスト項目〉①ADL(日常生活活動テスト) ②握力 ③上体起こし ④長座体前屈 ⑤開眼片足立ち ⑥10m障害物歩行 ⑦6分間歩行

3 調査票回収状況
標本数 7万4194
回収数 6万2936
回収率 84.8%

今回の調査結果のポイント
1 体力・運動能力の加齢に伴う変化の傾向
一般的傾向として、ほとんどの項目の記録は、男子が女子を上回ったまま成長とともに向上を示し、女子が中学生年代でピークレベルに達するのに対して男子ではそれ以後も向上を続けて高校生年代から成人にかけてピークレベルに達します。
ただし、握力は、男女ともに青少年期以後も緩やかに向上を続け30歳代でピークレベルに達し、他のテスト項目に比べピークに達する年代が遅くなります。なお、いずれの項目においても男女ともに記録はピーク以後加齢に伴い直線的に低下していくが、低下の程度はテスト項目によって大きく異なります。

2 体力・運動能力の年次推移の傾向
①青少年(6~19歳)
令和元年度の握力、50m走、持久走、立ち幅とび、ボール投げを、水準の高かった昭和60年頃と比較すると、中学生男子及び高校生男子の50m走を除き、依然低い水準になっています。
最近10年では、男女のボール投げ及び中学生以上の男子の握力において低下傾向にあるが、その他の項目では、男女及び年代によってやや違いが見られるものの、合計点を含みほとんどの項目では、横ばい又は向上傾向を示しています。(図1)
②成年(20~64歳)
令和元年度の握力、反復横とび、急歩を昭和60年頃と比較すると、握力及び急歩は男女ともに30~40歳代は低く、50歳代は同じ又は高い水準にあるが、反復横とびは男女いずれの年代においても高い水準にあります。
最近10年間では、握力は男女のほぼ全ての年代で、長座体前屈及び立ち幅とびは男女ともに一部の年代を除いて低下傾向を示しています。上体起こし、反復横とび、20mシャトルランは男子においては全ての年代で、女子においては一部の年代を除いて向上傾向を示しています。急歩は男女のほぼ全ての年代で横ばい状態を示しています。
新体力テスト合計点は女子の一部の年代に低下傾向が見られるが、男女ともに横ばい又は向上傾向を示しています。(図2)
③高齢者(65~79歳)
新体力テストから採用された高齢者における握力、上体起こし、長座体前屈、開眼片足立ち、10m障害物歩行、6分間歩行及び新体力テストの合計点について、21年間の年次推移をみると、ほとんどの項目及び合計点で向上傾向を示しています。(図3)

今回の調査結果の分析
本調査は、前回の東京オリンピックが開催された昭和39年以来、国民の体力・運動能力の現状を明らかにするため、毎年実施しているものであり、以来昭和、平成から令和へと、新たな時代に続く調査となっています。
今回は、前回の東京オリンピック開催以降(昭和39~43年)の年度調査と令和元年度の調査結果を比較し概観しました。

1 前回の東京オリンピック開催以降の年度
(昭和39~43年)と令和元年度の比較について
各テスト項目ごとに加齢に伴う変化を比較した場合、昭和39~43年と令和元年度との間で、ボール投げを除き、ピーク時を迎える年代やその値に余り大きな差は見られない。なお、令和元年度ではいずれのテスト項目においても大学生(18、19歳)での記録の低下が見られる。

図4は、昭和39~43年度と令和元年度調査ともに測定が行われていた、握力、50m走、持久走、ボール投げの加齢に伴う変化を示したグラフです。 ※昭和39年当時の小学校5年生(10歳)は、令和元年時には66歳
握力は、男女及び両世代(昭和39~43年度と令和元年度)とも30代でピークに達し、その後は加齢と共に低下していきますが、その低下の様子は令和元年度の方が昭和39~43年度よりもやや緩やかとなります。
50m走は、両世代とも男子は17歳、女子は14~15歳頃でピークに達し、その後は加齢と共に緩やかに低下していき、持久走は、両世代とも男子は17~18歳でピークに達し、女子は13歳でピークに達し、その後は加齢と共に緩やかに低下していきます。
また、成人での実施種目である急歩は、男女及び両世代とも加齢と共に緩やかに低下していき、ボール投げは、男女及び両世代とも17歳でピークに達しますが、令和元年度の記録は全ての年齢において昭和39~43年度に比べて低くなっています。

昭和39年度に比べ令和元年度の青少年期の体格(身長、体重)は、いずれの年齢においても大きく向上しているが、体力(筋力)は、15歳以後の発達の程度が緩やかであり、昭和39年度の記録を下回っている。

図5は、青少年の体格と体力(筋力)の発育発達を、身長、体重、握力を例に示したグラフです。 ※「握る」という、小学生から高齢者に至る全ての人々が、容易に実施できる測定として「新体力テスト」では握力を筋力の代表として取り上げています。
令和元年度の身長及び体重は、男女ともにどの年齢においても昭和39年度を大きく上回っています。
しかし、握力は男女ともに14歳までは、両世代間でほとんど差が見られない、あるいは令和元年度がやや上回っていますが、15歳以後は令和元年度の加齢に伴う向上(発達)が昭和39年度に比べて緩やかなために、令和元年度の記録は昭和39年度を下回っています。

2 幼児期のスポーツの多面的な価値について
幼児期に外遊びをよくしていた小学生は、日常的に運動し、体力も高い。

図6は、入学前の外遊びの実施状況と、現在(10歳:小学5年生)の運動・スポーツ実施状況及び、新体力テストの合計点との関係を示したグラフです。
男女ともに、入学前の外遊びの実施頻度が高いほど、現在の運動・スポーツ実施頻度の高い者の割合が多いことがうかがわれます。
また、合計点も男女ともに、入学前に外遊びをしていた頻度が高い群ほど高くなっており、入学前に週6日以上外遊びをしていた群と週1日以下の群とでは、男子は5点、女子は2点程度の差となっています。
これらの調査結果より、幼児期に外で体を動かして遊ぶ習慣を身につけることが、小学校入学後の運動習慣の基礎を培い、体力の向上につながる要因の一つになっていると考えられるので、幼児期の外遊びは非常に重要です。なお、この傾向は6~11歳の全ての年齢において確認できます。

3 その他のスポーツの多面的な価値について
平成28年度調査から、12~19歳には「達成意欲」、成人(20~79歳)には「生活の充実度」、「運動・スポーツのストレス解消効果」に関する質問項目を追加しており、これらとスポーツの関係を分析したものになります。
ページの関係もありますので、ここからは調査結果の要点のみ説明します。

(1)達成意欲と運動習慣・体力では、『日常的に運動・スポーツを実施している青少年期の子供の多くは、何でも最後までやりとげたいと思っている。』という相関がみられます。

(2)運動・スポーツのストレス解消効果の認識と運動習慣では、『日常的に運動している成人及び高齢者の多くは、運動・スポーツのストレス解消効果を感じており、成人及び高齢者の多くは、運動・スポーツのストレス解消効果を感じているが、年代によっては意識と行動に差が見られる』という特徴がみられます。

(3)生活の充実度と運動習慣の関係では、『日常的に運動している成人及び高齢者は、生活が充実していると感じる割合が多く、高齢者の運動習慣、歩行能力及び生活の充実度には関連性がある』という相関がみられます。

詳しくは、「令和元年度体力・運動能力調査結果の概要及び報告書について」をご覧ください。
https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/toukei/chousa04/tairyoku/kekka/k_detail/1421920_00001.htm

まとめ
冒頭でも説明したとおり、前回の東京オリンピックが開催された昭和39年以来続く調査であることから、令和元年度の調査結果について、前回の東京オリンピック開催以降の年度(昭和39~43年)と令和元年度の結果を比較しました。
こうした調査の結果も踏まえ、スポーツ庁においては、「スポーツ×健康」の実現に向けた取り組みを進めていきます。具体的には、次の4点に取り組んでいきます。

(1)スポーツ実施率向上のための行動計画に基づき、子供・若者、ビジネスパーソン、高齢者、女性及び障害者といった対象ごとに、それぞれの課題を踏まえた対応を推進

(2)「Sport in Life」プロジェクトの推進により、企業、自治体等におけるスポーツ推進に向けた取り組みの水平展開や、スポーツ実施上の課題を解決するための実証事業を推進

(3)地域の高齢者や治療を要する人を対象として、スポーツによる健康作りを支援する「運動・スポーツ習慣化促進事業」を自治体と連携して推進
(4)新型コロナウイルス感染症により自粛傾向になったスポーツの再開に向け、子供の運動機会の確保、スポーツを安全に行うためのガイドラインの見直しやスポーツイベントの再開に向けた関係団体への支援、外出自粛による高齢者のフレイルや認知機能の低下の予防に向けた情報発信等を推進

「生活の中に自然とスポーツが取り込まれている(Sport in Life)」という姿を目指して各種の取組を進め、国民の誰もが各々の年代や関心、適性等に応じて日常的にスポーツに親しんでいただけるよう、引き続き体力・運動能力の向上を図っていきます。


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