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在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン

文化庁国語課

出入国在留管理庁及び文化庁は、国や地方公共団体が外国人向けに情報発信を行う際にやさしい日本語を用いることに資するよう、令和2年8月に「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」を新たに策定しました。

「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」について
出入国在留管理庁及び文化庁は、令和2年8月に、国や地方公共団体が外国人向けに情報発信を行う際にやさしい日本語を用いることに資するよう、「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」を作成し公開しました。
本ガイドラインは、共生社会実現に向けたやさしい日本語の活用を促進するため、多文化共生や日本語教育の学識経験者等を招き、有識者会議を開催し、作成したものです。
本稿では、本ガイドラインの概要及びやさしい日本語の作成方法について紹介します。

やさしい日本語とは
やさしい日本語とは、難しい言葉を言い換えるなど、相手に配慮したわかりやすい日本語のことです。
国内に在留する外国人は令和元年12月末現在で約293万人、30年で約3倍、ほぼ毎年増加しており、今後も増加していくことが見込まれています。また、国籍・地域も多様化が進んでいます。
このような中、外国人が生活していく上で必要な情報をわかりやすく伝えることが求められており、このためには、多言語対応と併せて、生活していく上で必要な情報をわかりやすく日本語で伝えることが求められています。

やさしい日本語のニーズの高まり
やさしい日本語は、平成7年の阪神・淡路大震災以降、外国人に対しても迅速な災害などの情報伝達を行う手段として取組が始まりました。その後、東日本大震災を経て、やさしい日本語での情報発信の取組が全国に広がったものです。近年においては、外国人住民と日本人住民の交流を促進する手段としてもやさしい日本語を活用した取組が進んでいます。

多くの在留外国人は、簡易な日本語であれば理解できるとの傾向がでています。生活のための日本語に関する調査によると、日常生活に困らない程度以上に日本語会話力がある人の割合が82.2%、日常生活に困らない言語を日本語とした人の割合が62.6%、希望する情報発信言語を「やさしい日本語」とした人は76%でした。
このような背景から、共生社会実現に向けたやさしい日本語の活用を促進するため、「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」を策定することを目的として、多文化共生や日本語教育の学識経験者、外国人を支援する団体の関係者などを招き、在留支援のためのやさしい日本語ガイドラインに関する有識者会議(座長:山脇啓造明治大学教授、他構成員6名)(※1)を、本年2月以降、計4回開催し、本ガイドラインを作成しました。

(※1)在留支援のためのやさしい日本語ガイドラインに関する有識者会議
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri15_00004.html

また、日本政府は、「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」(※2)の中で、全ての省庁で「外国人向けの行政情報・生活情報の更なる内容の充実と、多言語・やさしい日本語化による情報提供・発信を進める」こととしています。

(※2)外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策(令和2年度改訂)
http://www.moj.go.jp/content/001323661.pdf

「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」の概要
本ガイドラインは、全4章で構成されており、各章の内容は次のとおりです。
第1章:やさしい日本語の必要性
第2章:本ガイドライン作成の目的、在留支援のためのやさしい日本語の作成ポイントの紹介
第3章:やさしい日本語で文章を作成する際に活用できる書き換えツールの紹介
第4章:やさしい日本語の変換例や演習問題
また、本ガイドラインと共に、別冊として「やさしい日本語 書き換え例」を公表しました。本別冊は、出入国在留管理庁監修「生活・仕事ガイドブック(やさしい日本語版)」(※3)に掲載されている用語の書き換え例をまとめたものです。
やさしい日本語は、話し言葉としても有効ですが、本ガイドラインでは、一方通行の情報発信になってしまう書き言葉に焦点を当てて作成しています。
国や地方公共団体が、書類等で情報を伝える文章を作成する際に、やさしい日本語を使用して在住外国人にもしっかりと情報が届くようになることを目指しており、外国人の児童生徒が通う学校や、外国人の労働者が働く企業などでも使用されることを期待して作成しています。

(※3)外国人生活支援ポータルサイト(やさしい日本語)出入国在留管理庁監修「生活・仕事ガイドブック(やさしい日本語版)」
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri10_00062.html

在留支援のためのやさしい日本語の作成手順
やさしい日本語を使用する際には、対象とする外国人の言語背景や日本語能力などに応じて、柔軟に調節する必要があることから、本ガイドラインではあえて厳密な基準は示していませんが、「やさしい日本語」を作成するための三つのステップを示しています。

●ステップ1 日本人にわかりやすい文章
国や地方公共団体が出す文章は、日本人にとってもわかりにくいことがあることから、日本人が読んでわかりやすい文章にするために、まず簡潔な文章にします。その際のポイントは次のとおりです。
①情報を整理する。
伝えたいことの優先順位を考え、そのときの状況を考慮して情報を取捨選択する。必要があれば、不足している情報を補う。また、イラスト、写真、図や記号を使用してわかりやすくする。
②文をわかりやすくする。
一文で、言いたいことは一つだけにし、一文は短くする。三つ以上のことを言うときは、接続詞で文をつなげると分かりにくくなることから、箇条書にする。回りくどい言い方や不要な繰り返しはしないようにする。
③外来語(カタカナ語)はできる限り使用しない。
外来語の言い換えについては、独立行政法人国立国語研究所が作成した『「外来語」言い換え提案』(※4)を参考にする。

(※4)『「外来語」言い換え提案』
https://www2.ninjal.ac.jp/gairaigo/

●ステップ2 外国人にもわかりやすい文章
日本語が母語ではない外国人に配慮して、日本語をわかりやすくします。その際のポイントは次のとおりです。
①文をわかりやすくする。
二重否定を使用しない。受身形や使役表現をできる限り使用しない。
②言葉に気を付ける。
難しい言葉を使用せず、簡単な言葉を使う。曖昧な表現はできる限り使わない。曖昧な時間や数字を表す表現は多用しないようする。文末は「です」「ます」で統一する。重要な言葉はそのまま使い、<=・・・>で書き換える。
③表記に気を付ける。
漢字の量に注意し、ふりがなをつける。時間や年月日の表記はわかりやすくする。読みやすいフォントを使う。
●ステップ3 わかりやすさの確認
書き換え案を、日本語教師や外国人に、わかりやすいかどうか、伝わるかどうかを確認してもらいます。
書き換えツールの活用
参考として、やさしい日本語で文章を作成するに当たり書き換えツールを紹介しています。
言語情報処理や日本語教育の専門家によって開発された日本語の難易度を調べるツールが公開されています。やさしい日本語で文章を作成するときに活用してください。
また、やさしい日本語の変換例や演習問題を掲載しておりますので、実際に書き換えの練習を行ってみてください。
今後について
現在、地方公共団体や関係省庁へ本ガイドライン作成の周知を行っています。今後、本ガイドラインを活用して在留支援のための情報発信をやさしい日本語でも行うことが期待されます。
また、地方公共団体職員への研修等を実施して、やさしい日本語の活用を促進し、共生社会実現を推進していくこととしています。

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