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有形文化財(建造物)の登録について

文化庁文化財第二課

文化庁では、国宝・重要文化財以外の有形文化財のうち、保存及び活用についての措置が特に必要とされるものについて、文部科学大臣が文化財登録原簿に登録する「文化財登録制度」による緩やかな保護措置を講じています。

文化庁では、国宝・重要文化財の指定のほか、文化財登録制度による登録を毎年行っています。
令和元年度に開かれた文化審議会文化財分科会の審議・議決を経て、新たに462件の有形文化財(建造物)を登録することとなりました。この結果、官報告示を経て、全国の登録有形文化財(建造物)は、12,690件となります。
以下、新たに登録されることとなった建造物の中から、特徴的な8件を御紹介します。

函館公園こどものくに空中観覧車 1件
所在地:北海道函館市
登録記念物である函館公園内の遊園地「こどものくに」にある観覧車です。昭和25年(1950)に大沼公園に設置され、昭和40(1965)年に現在地に移設されました。2本の支柱間に、山形鋼で構成した直径8メートルの八角形ホイールを取り付け、日本では珍しい長椅子型のゴンドラを8台吊り下げます。国内で現役稼働中の観覧車の中でも最古のもので、函館公園の象徴的存在として親しまれています。

十綱橋
所在地:福島県福島市
飯坂温泉を貫く阿武隈川水系摺上川に架かる、大正4年(1915)に建設された道路橋です。支間長約40メートルの2ヒンジ鋼製アーチの両岸側にI形鋼桁を取り付け、全長約52メートルの橋としています。山形鋼を組み合わせたブレースドリブアーチと垂直材からなる繊細な外観が特徴です。温泉街のシンボル的存在であるとともに、我が国の鋼製アーチ橋の発展を物語る貴重な土木遺産です。

旧赤羽台団地42号棟 ほか3件
所在地:東京都北区
赤羽台団地はJR赤羽駅の西側にある旧日本住宅公団による住宅団地で、東京23区内初の千戸を超える大規模開発により整備されました。42号棟から44号棟は、昭和37年(1962)に建設された鉄筋コンクリート造5階建ての住棟で、スターハウスと呼ばれるY字形の平面形状です。住棟の配置計画に工夫を凝らした変化のある景観を生み出しており、板状住棟の41号棟とともに、旧日本住宅公団初期における大規模都市型団地の様相を知る上で重要です。

小坂家住宅主屋 ほか7件
所在地:長野県長野市
千曲川左岸にある江戸時代には名主を務めた農家の住宅です。江戸末期の建設と伝わる主屋は、敷地中央に南面して建つ寄棟造り茅葺きで、棟に茅葺きの越屋根を載せています。内部は土間回りに重厚な柱や梁を現し、座敷の床などの造作も良好に保存しています。北信地方の民家の特徴を示す大型住宅です。敷地東辺の前面道路に沿って長屋門や味噌蔵などが建ち並び、周囲には土塀を廻らすなど、豪農の屋敷構えを今に伝えています。

旧慈門院客殿及び庫裏(陶原家住宅主屋) ほか4件
所在地:奈良県桜井市
慈門院は妙楽寺の子院で、客殿及び庫裏は江戸中期の建設と伝わります。明治2年(1869)の神仏分離によって妙楽寺が談山神社となったことに伴い、当時の住職が還俗し社家住宅となりました。切妻造り桟瓦葺きで、西の庫裏を落ち棟とし四周に下屋を廻しています。書院の障壁画、四室にわたって描かれている襖絵や板絵は、昭和49年(1974)に重要文化財に指定され、奈良国立博物館に寄託されています。近世の妙楽寺子院の様相を今に伝えています。

京都市美術館本館 ほか6件
所在地:京都府京都市
平安神宮へ至る神宮道に面して建つ、昭和天皇即位に伴う奉祝記念事業で昭和8年(1933)に建設された美術館です。設計図案を公募し、和洋の様式を巧みに織り交ぜた意匠が評価された建築家・前田健二郎の原案を基に、京都市土木局営繕課が設計しました。鉄筋コンクリート造一部鉄骨造、地上2階地下1階建てで、四面中央に車寄せ付きの入り口を設けています。堂々たるつくりで、洗練された細部意匠も秀逸です。

太陽の塔
所在地:大阪府吹田市
昭和45年(1970)に開催された万国博覧会のために建てられました。岡本太郎の斬新な造形表現を、鉄筋コンクリート造や鉄骨造などを混用し、様々な建設技術を駆使して実現しています。内部は展示空間そのものでありながら、階段を設けて地下展示と空中展示を結ぶ動線の役割も担いました。大阪万博を象徴する存在感あるデザインで、現在も多くの人に親しまれています。

旧倉敷市庁舎(倉敷市立美術館)
所在地:岡山県倉敷市
昭和35年(1960)に建設された、鉄筋コンクリート造、地上3階地下1階建ての元庁舎です。コンクリート打ち放しの柱や梁を平滑に見せる外観で、2階を太い柱と約20mの長大なプレストレスコンクリートの横架材で支えています。南面には、先端を湾曲させた庇を付けて変化を付けています。長方形平面で、1、2階中心部に吹き抜けの大空間を設け、壁面を幾何学的な意匠で飾ります。直線的な構成が、合理的なモダニズム建築の理念をよく示しています。

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