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「初めて通級による指導を担当する教師のためのガイド」

文部科学省初等中等教育局特別支援教育課

文部科学省では、通級による指導を担当する教師の専門性の向上につなげるため、「初めて通級による指導を担当する教師のためのガイド」を作成し、公表しました。

通級による指導とは
障害のある児童生徒に対する教育においては、その子の能力や可能性を最大限に伸ばし、自立と社会参加に必要な力を培うため、一人一人の教育的ニーズに最も的確に応える指導や支援を行うことが必要です。文部科学省では、多様な教育的ニーズに対応できるよう、特別支援学校、小・中学校の特別支援学級、通級による指導、通常の学級といった多様な学びの場における、障害のある児童生徒に対する教育的支援の充実に取り組んでいます。
学びの場の一つである「通級による指導」とは、通常の学級に在籍している児童生徒のうち、障害の特性に応じた支援が必要な児童生徒について、大部分の授業を在籍している通常の学級で受けながら、その授業に加えて、あるいは一部の授業に替えて、障害による学習上や生活上の困難を改善・克服するための指導を行う教育形態を言います。
平成5年度に小・中学校において、平成30年度に高等学校において制度化されました。
通級による指導を利用する児童生徒数は、年々増加しています。この児童生徒数の伸びに対し、通級による指導に関する知識や経験が十分ではない教師が、OJTのような支援体制が必ずしも十分でない中、通級による指導の担当として奮闘している場合もあり、教師の専門性の向上が喫緊の課題となっています。

ガイドの作成
こうした現状を踏まえ、文部科学省では、平成31年2月から令和2年3月にかけて設置した、「通級による指導のガイドの作成に関する検討会議」における検討を踏まえ、『初めて通級による指導を担当する教師のためのガイド』を作成しました。
ガイドは、専門用語を避け、平易で簡潔な説明としたり、適宜既存の参考資料等にリンクを貼ることでガイドの分量をコンパクトにしたりするなど、初めて通級による指導を担当する方にとって、分かりやすく、また、手に取りたいと思えるものとなるよう作成しました。

ガイドの紹介
○第1章 通級指導を担当するに当たって
第1章では、初めて担当するに当たって、どのような意識で通級による指導をすれば良いのか、また、利用する児童生徒や保護者にとって、通級による指導がどのような場となるのか、イメージしやすいように伝えています。

○第2章 通級指導の一年間の流れ
第2章では、担当となることが分かったときから、年度末の引継ぎまで、一年間の流れに沿って、担当としての役割を示しています。具体的には、(1)通級担当になることが分かったら、(2)子供のことを知ろう、(3)個別の教育支援計画と個別の指導計画、(4)子供の情報の引継ぎ、の項目立てで整理しています。
障害のある児童生徒やその御家族に対する支援は、学校と福祉施設などの機関間や、進学や卒業などのライフステージの変化で途切れることなく、継続してなされることが大切です。
通級による指導においても、切れ目ない支援の視点を持てるように、各場面で求められる対応について、何のために必要なのかを説明するとともに、校内外の相談・連携先を例示しています。

○第3章 実践例
第3章では、前章で紹介した一年間の流れについて、具体的な場面を想定した以下の16の実践例を紹介しています。
1.まず、担当する子供について知りたい!保護者との面談の前にどこから情報を集めればいいんだろう?子供のどんなところを見ればいいんだろう?
2.初めて通級指導に通う子供(本人)やその保護者との面談は、何に気を付け、どのように進めたらいいんだろう?
3.子供(本人)やその保護者の願いや思いを知るには、どんな機会があるんだろう?
4.指導目標、指導内容、指導方法は、個別の指導計画にどの程度、具体的に示せばいいんだろう?また、どうやって、それらを決定すればいいんだろう?
5.年間の指導スケジュールをどんなふうに立てればいいんだろう?また、一度立てた年間の指導スケジュールを変更してもいいんだろうか?
6.1単位時間の授業計画は、どんなふうに立てればいいんだろう?
7.決まった教科書はないというけれど、教材や教具は、どうしたらいいんだろう?
8.準備した課題に、なかなか取り組むことが難しい子供には、どんな対応をすればいいんだろう?
9.補習をやるところではないけれど、教科の内容を活用できないかな?
10.通級指導を、在籍学級での各教科等の指導に、どんなふうに活かしていけるかな?
11.そろそろ運動会の時期だ。学校行事をうまく活用できないかな?
12.担当している子供が、最近、通級指導を欠席したり、遅刻したりすることが多くなってきている。どうしたらいいんだろう?
13.担当している子供について、ケース会議を行うことになった。何を準備すればいいんだろう?
14.担当している子供が、放課後等デイサービスを利用している。そこでは、どんなことをして過ごしているんだろう?知りたいな。
15.そろそろ年度末。次年度の通級担当に、何を、どうやって引き継げばいいんだろう?
16.担当している子供は、もうすぐ中学生。中学校には、どう引き継げばいいんだろう?

各事例、見開き2ページで、標題の問いに対する(1)対応する際のポイント、(2)具体的な実践例、を示しています。また、一部の実践例(実践例2と8)について、よりイメージを持ちやすいように、動画資料を添付しています。

○第4章 知っておきたい基本事項・用語
第4章では、通級による指導を利用している児童生徒の特徴や、障害の捉え方、合理的配慮の提供など、基本事項について、簡潔に説明し、参考資料を紹介しています。

ガイドは、以上4章の構成となっています。

通級による指導の更なる充実へ
ガイドについては、文部科学省のホームページに関連ページを新設し、その内容を公表しています。スマートフォンやタブレットで、いつでも見たい項目をすぐに確認することができますし、より詳しい情報を得たい際には、添付のQRコードやURLから、該当の参考資料を確認することができます。また、PDF形式で、ガイドの全ページをダウンロードすることも可能です。
教育委員会における研修や校内研修の教材、あるいは、日頃の指導における参考資料など、用途に合わせて活用してください。特に、今年度は、新型コロナウイルス感染症対策の影響で、年度初めから休校措置が取られた学校も多くありました。これまで以上にICTの積極的な活用が求められる中、このガイドが、ICTで学習可能な教材の一つとして、教師の皆さんの研鑽の一助となれば幸いです。
ガイドに書かれている内容は、通級による指導はもちろん、通常の学級における指導・支援にも参考となります。是非、多くの教師の皆さんに活用いただき、障害のある児童生徒に対する教育的支援の更なる充実につながっていくことを期待しています。
https://www.mext.go.jp/tsukyu-guide/index.html

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