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特集
知識集約型の価値創造に向けた科学技術イノベーション政策の展開(最終取りまとめ)について

文部科学省科学技術・学術政策局企画評価課

現在、政府では、総合科学技術・イノベーション会議を中心に、次年度から開始される次期科学技術基本計画についての検討が進んでいます。文部科学省においても、科学技術・学術審議会総合政策特別委員会において、平成31年4月からの約1年間にわたって議論が行われ、令和2年3月に「知識集約型の価値創造に向けた科学技術イノベーション政策の展開― Society 5.0の実現で世界をリードする国へ ―(最終取りまとめ)」が取りまとめられましたので、その内容について紹介します。

はじめに
我が国における科学技術行政は、科学技術基本法に基づき政府が5年ごとに策定する科学技術基本計画により、総合的かつ計画的に推進されており、令和2年度は、平成28年1月に閣議決定された第5期科学技術基本計画(平成28年度~令和2年度)の最終年度に当たります。政府においては、平成31年4月に内閣総理大臣の諮問を受け、総合科学技術・イノベーション会議(以下「CSTI」といいます。)において、基本計画専門調査会が設置され、次期科学技術基本計画に向けた議論が進められています。
文部科学省においても、平成31年4月以降、科学技術・学術審議会に設置された総合政策特別委員会(主査:濵口 道成 科学技術振興機構理事長)において、次期科学技術基本計画に向けた検討を行うため、令和2年3月までの間、10回にわたって議論が行われ、令和2年3月26日に、「知識集約型の価値創造に向けた科学技術イノベーション政策の展開 ― Society 5.0の実現で世界をリードする国へ ―」(最終取りまとめ)(以下「最終取りまとめ」といいます。)が取りまとめられましたので、今回はその内容について紹介します。

最終取りまとめの全体像
まず、最終取りまとめの全体像として、第1章にまとめられている基本的考え方について紹介します。

現状認識
近年、デジタル革命の進展により、「知」による価値の創出が社会の発展に必須となる知識集約型社会への大転換(「モノ」から「コト」へ)が加速し、社会システム全体にパラダイムシフトが起きています。諸外国の国家戦略でも、例えば米中におけるAI、半導体、量子技術等の最先端の新興技術(エマージングテクノロジー)への投資の拡充や情報管理の強化等、経済のみならず安全保障の視点でも科学技術イノベーションを重視する流れがあり、グローバルな「知」を巡る激しい覇権争いが始まっています。競争力の源泉が従来型の「資本」から、「知」の創出や情報・データの獲得に変化する中で、イノベーション創出のプロセスやスピードは大きく変化しています。
科学技術イノベーションの実現が我々の社会経済や価値観に与える影響がこれまで以上に大きくなり、グローバルな視点からも、今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大に見られるような人類に差し迫った課題の解決に向けて、科学技術の力が強く求められるようになる中で、科学技術イノベーション政策は、従来の対象範囲をはるかに超えた、多面的な要素を包含した国家の総合戦略の中核として捉えるべきものに変化していると言えます。
一方で、我が国の科学技術イノベーションの状況に目をやると、これまで培った科学的伝統や研究開発投資による有形無形の蓄積が科学技術先進国の一角としての礎となっているものの、2000年以降、他の先進国が軒並み論文数を増やす中、我が国のみが同水準に留まっており、国際的なシェアは大幅に減少するなど、科学技術イノベーションを取り巻く多くの側面で、我が国の国際的地位は、近年、相対的に低下しています。

Society 5.0の実現に向けた知識集約型の価値創造システムの構築
第5期科学技術基本計画において、我が国は、サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させることにより、経済的発展と社会課題の解決を両立し、人々が快適で活力に満ちた質の高い生活を送ることのできる人間主体(human-centric)の社会を実現する「Society 5.0」を打ち出しました。Society 5.0を具現化するためには、社会を変革する先端テクノロジーの源泉である最先端の科学やアイデア、ビッグデータ等の「知」が流通・循環し、それに対して活発な投資が行われることにより最大価値化され、新たなイノベーションや高付加価値なビジネスが創出される「知識集約型の価値創造システム」を世界に先駆けて構築する必要があります。
我が国において、「知」が絶えず生み出され、活発な「知」の循環が実現するには、我が国の大学及び国立研究開発法人が持つ強い基礎研究力に支えられた、最先端の科学技術力と国際的なネットワーク、高度知識人材の育成が必須であり、大学と国立研究開発法人が変革の原動力にならなくてはいけません。
課題先進国として、これまでに類を見ないスピードで進む少子高齢化に直面する我が国が置かれている状況は、ピンチでもありますが、SDGsにおいて乗り越えるべきとされている課題をはじめとする世界が直面する課題を早期に克服し、持続可能な社会システムやビジネスモデルを構築し、世界に輸出可能な新たな成長産業を生み出すことができるこの状況を、むしろチャンスとして生かす力が求められています。
Society 5.0では、サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させたシステムの実現により、肉体的なハンディキャップや地理的・空間的・経済的な制約を超えて、すべての人々の分け隔てない「知」へのアクセスや発信、社会活動への参加が可能となり、テクノロジーのもたらす恩恵を広く被ることが可能な社会を実現すると言えますが、他方で「知」やデータの集積が一部のプラットフォーマーにより独占され、格差の拡大や社会の分断に繋がるおそれもあります。我が国は、SDGsの「誰一人取り残さない」という理想を目指す「人間主体のインクルーシブな社会の実現」に、強い意志を持って取り組むことが重要です。その際、個々人の持つ知識や情報量の違いが格差を拡大することのない社会の実現、データ等を取り扱う際や、新たな知を社会実装する際の倫理的・法制度的・社会的課題(ELSI:Ethical, Legal and Social Issues (Implications))に、先送りすることなく取り組むことが不可欠です。

早急に求められる科学技術イノベーションへの集中投資とシステム改革
次期科学技術基本計画期間は、本格的な少子高齢化を前に、世界的な知識集約型社会への転換を我が国が主導できるかどうかという点で、中長期的な我が国の趨勢を決定づける決断と実行の分水嶺となります。
このため、豊かな国民生活の実現、社会課題の解決、国民の安全・安心の確保等のため、次期科学技術基本計画期間中に科学技術イノベーションに対して官民挙げて集中投資し、あらゆる資源を総動員するとともに、この投資を最大限効果的・効率的なものにするための長期戦略を持ち、研究成果を社会実装につなげるイノベーションエコシステムの確立を進める必要があります。

科学技術イノベーションシステムの目指すべき方向性
最終取りまとめは、以上のような全体の基本的な考え方を示す第1章に続き、科学技術イノベーションシステムの目指すべき方向性として、
①価値創造の源泉となる基礎研究・学術研究の卓越性と多様性の強化 ―「知」の創造大国ニッポンへ―(第2章)
②知識集約型の価値創造に向けた大学・国立研究開発法人の役割の拡張 ―大学・国研を新たな価値の原動力に―(第3章)
③イノベーションの担い手の育成 ―多様な「知」を育み、出る杭を伸ばす社会へ―(第4章)
④デジタル革命の進展に対応した新たな研究システムの構築 ―データ・AI駆動の研究革命―(第5章)
⑤科学技術と社会の関係の在り方 ―社会との調和と信頼―(第6章)
⑥政策イノベーションの実現 ―挑戦する行政へ―(第7章)
⑦研究開発の戦略的な推進 ―日本らしさで世界を変える―(第8章)
の七つの方向性を示しています。

最終取りまとめの具体的な内容
次に、最終取りまとめの具体的な内容として、最終取りまとめ第2章から第8章にまとめられている、七つの科学技術イノベーションシステムの目指すべき方向性と、それぞれの具体的施策の例について簡単に紹介します。

1 価値創造の源泉となる基礎研究・学術研究の卓越性と多様性の強化 ―「知」の創造大国ニッポンへ―(第2章)
知識集約型社会においては、現時点で予想できない未来の社会の変革に柔軟に対応するために、価値創造につながる「知」の多様性を確保していくことが非常に重要です。この価値創造の源泉となるのが、真理の探究、基本原理の解明、新たな発見を目指す「基礎研究」と個々の研究者の内在的動機に基づいて行われる「学術研究」の卓越性と多様性であり、これを戦略的に維持・強化していくことが重要となります。
優れた基礎研究・学術研究を推進し、我が国の研究力を向上していくためには、挑戦的・長期的・分野融合的な研究の奨励、若手研究者の自立促進・キャリアパスの安定、世界最高水準の研究環境の実現及び国際連携・国際頭脳循環の強化が必要であり、このための研究人材・資金・環境の改革と大学改革を社会全体が一体となって展開することが重要です。
このための具体的施策として、最終取りまとめでは、
・競争的研究費や民間資金等の多様な財源を活用した博士後期課程学生への経済的支援の抜本的充実
・大学等が自由裁量で活用し得る経費の拡大等による優秀な若手研究者の安定的なポストの確保/キャリアパスの多様化
・科研費等の充実、大規模学術研究プロジェクトの戦略的・計画的推進等を通じた多様な学術研究の振興
・新興・融合分野を促進するための競争的研究費の充実
・競争的研究費の審査等における研究計画の独自性、将来性、挑戦性の重視
・社会課題解決に向けた自然科学と人文学・社会科学の「知」の融合の促進
・研究設備・機器の戦略的な整備、集約・共用の促進(ラボから組織へ)と技術職員の活躍促進
・国際共同研究の強化、博士後期課程学生・若手研究者等の海外への挑戦機会の充実
等が挙げられています。

2 知識集約型の価値創造に向けた大学・国立研究開発法人の役割の拡張 ―大学・国研を新たな価値の原動力に―(第3章)
知識集約型の価値創造システムの中核となることが期待される大学及び国立研究開発法人は、自らの役割を拡張し、機能を強化していくことにより、変革の原動力となることが求められています。
これまで、科学技術への投資や大学改革を着実に積み重ねてきた結果として、大学及び国立研究開発法人には価値創造の中核となる人材や知識が集積しており、社会課題の解決やイノベーション創出に向けたハブとしてのポテンシャルは極めて高く、
①「価値創造の源泉となる基礎研究・学術研究・人材育成拠点」として、重要な機能を果たしてきたところであり、それを更に充実・強化していくこと
②「産学官のセクター間の知の循環の中核連携拠点」として、大学及び国立研究開発法人の持つ「知」の価値が適切に評価され、組織と組織の大型の産学共創を実現し、大型の民間投資を呼び込み、その一部を基礎研究力の向上、人材育成に再投資していくこと
③「国際頭脳循環の集積拠点」として、海外からトップレベルの研究・技術人材を招へい・集積するとともに、アカデミアのネットワークと国際的求心力を活用し、政府レベルとは異なる側面からの国際関係を展開していくこと
④「データ収集・分析拠点」として、データ収集・利活用の要となる高度な知見を持つ研究者や学生の集積、国を挙げた情報・データインフラ(SINET i 等)を最大限に活用していくこと
を通じて、大学及び国立研究開発法人が知識集約型の価値創造システムにおいて果たす役割を、それぞれの特性を踏まえつつ拡大していくことが求められます。
このための具体的施策として、最終取りまとめでは、
・知的生産活動への社会的な価値付けによる産学連携活動の進化
・大学・国立研究開発法人の機能を活用して、企業の中で眠るアイデア、技術、人材によるカーブアウトベンチャーの創出を促進
・大学・国立研究開発法人の経営体としての機能強化を目指した、経営資源の戦略的活用のための規制緩和と現場の意識改革
・大学・国立研究開発法人の多様性・強み・特色を活かした地域の新たな価値創造
等が挙げられています。

3 イノベーションの担い手の育成 ―多様な「知」を育み、出る杭を伸ばす社会へ―(第4章)
社会が知識集約型へ転換する中で、新たな価値創造の分野が「モノ」から「コト」へとシフトしつつあり、また、大規模資本を持たないスタートアップや個人であっても新たな価値創造やイノベーションの創出が可能な社会となっています。
こうした社会においては、「出る杭」が打たれるのではなく、個人の個性が強みに変換され、多様な価値が許容される仕組みが重要であり、「出る杭」が次々と育ち、成長していく仕組みが求められています。
このための具体的施策として、最終取りまとめでは、
・アントレプレナーシップの醸成
・スタートアップ・エコシステムの構築
・文理の区分を超えた教育の推進
・多様なキャリアパスを可能とする雇用制度・環境の整備
等が挙げられています。

4 デジタル革命の進展に対応した新たな研究システムの構築 ―データ・AI駆動の研究革命―(第5章)
近年の情報科学技術の進展は予想をはるかに超えるものであり、産業構造や社会構造にパラダイムシフトを起こしています。研究に関しても、実験科学、理論科学、シミュレーション科学(計算科学)に続く新たな科学の手法として、情報科学技術を駆使したデータ駆動型・AI駆動型科学の発展が期待されています。情報科学技術は、今後の社会経済活動、研究活動の基盤であり、多様な分野で利活用することで、人間の能力を超えた範囲・スピードでの活動が可能となり、新たな価値や考え方の創出が加速されます。情報科学技術を科学技術の一分野としてのみ見るのではなく、知識集約型価値創造システム構築のための基盤として捉え、情報科学技術自体の振興とその利活用に関する取組を両輪で進め、デジタル革命の進展に対応していく必要があります。
このための具体的施策として、最終取りまとめでは、
・スマートラボ、データ・AI駆動型研究の促進
・データの適切な取得・利活用のためのルール整備
等が挙げられています。

5 科学技術と社会の関係の在り方 ―社会との調和と信頼―(第6章)
Society 5.0の実現に当たっては、科学技術イノベーションを駆動力として、知識集約型の価値創造システムを構築し、課題先進国として我が国が抱える少子高齢化をはじめとする社会課題や、SDGsにおいて乗り越えるべきとされている気候変動等の人類共通の課題を解決するとともに、「誰一人取り残さない」人間主体のインクルーシブな社会を構築することが求められています。
また、近年、情報科学技術やバイオテクノロジー等の科学技術の急激な進展に伴って生じる法制度等のルールの未整備や、人々の価値観や順応性のずれといった倫理的・法制度的・社会的課題(ELSI)への適切な対応が求められています。
科学技術があらゆる人々に深く関わっている現代において、科学技術と社会との調和、受容可能性を考慮した取組は、科学技術イノベーションによる新たな価値の創造を実現するために必要不可欠な取組であり、研究開発のブレーキと捉えるべきものではありません。この取組の推進に当たっては、ジェンダー、文化、宗教等の社会の多様性の認識や地域住民や地方自治体、NPOやNGO、中小・スタートアップをはじめとする企業等のステークホルダーとの対話が重要であり、国際的には、Well-beingへの科学技術の貢献が求められています。また、研究者には、研究の公正かつ適正な実施に努め、研究の内容やその成果が社会に及ぼす影響等に係る説明を果たす責任が求められます。
このための具体的施策として、最終取りまとめでは、
・社会課題等に応じた多層的な科学技術コミュニケーションのための取組、国民の科学技術リテラシー深化のための取組の推進
・科学技術プロジェクトの初期段階からのテクノロジーアセスメントやソフト・ローを含む法制度整備等のELSIに係る取組の推進
・研究不正行為の防止に必要な取組の推進と国際社会に対する我が国の取組の積極的な発信
等が挙げられています。

6 政策イノベーションの実現 ―挑戦する行政へ―(第7章)
科学技術イノベーション政策が対象とするイノベーションの現場そのものは、目まぐるしく変化しており、特にデジタル革命によるパラダイムシフトにより、非連続な変化が生じています。本来行政に求められる行政手続の適正性や、国民に対する説明責任、同じ状況にある者に対する平等性、民間活動を補完するという公共的な役割等を維持することを前提としつつ、状況の変化に対応した新しい取組が必要となっているのです。具体的には、科学技術イノベーション政策の企画立案、実行の各段階においても、自前主義的な発想から脱却し、行政外部との協働を一層進めていくことや、前例踏襲に陥ることなく新しい政策に挑戦できる環境整備が重要となっています。こと科学技術政策においては、行政組織内においても、アントレプレナーシップが求められており、そのような人材を評価するような仕組みも重要です。また、今後、少子高齢化が進む中で、一層効率的、効果的な政策を展開していくためには、高い視点から全体最適を実現していく必要があり、大局観と現場感の双方をバランスさせたエビデンスに基づく政策立案が今まで以上に重要となります。
このための具体的施策として、最終取りまとめでは、
・民間の研究支援ビジネスの促進と効果的な活用
・行政組織内のアントレプレナーシップの醸成
等が挙げられています。

7 研究開発の戦略的な推進 ―日本らしさで世界を変える―(第8章)
研究開発を巡る国内外の動向における重要な変化として、フィジカル技術やリアルデータの重要性の高まり、課題解決に向けた科学技術イノベーションへの期待、エマージングテクノロジーを巡る国際競争の激化、安全・安心の確保のための研究開発の重要性の高まり等が挙げられます。
知識集約型社会において「知」の多様性を確保するためには、特定の重点分野を定めず、研究者の自由な発想に基づく研究を振興することが必要であり、また、こうした研究からイノベーションの創出につながる今までにないアイデアが出てくることが期待されるため、このような研究に対し、十分な規模の資源を配分することは重要です。
これに加えて、我が国の産業競争力の強化・国民生活の豊かさ、地球規模課題への対応を含めた様々な社会的課題の解決や国民の安全・安心の確保に大きく貢献する重要な研究開発に対し、追加的に資源の重点配分を行うことがこれまで以上に重要となっています。この重点的な研究開発投資においては、出口に向けた集中的な研究開発だけでなく、中長期的な視点からの基礎研究に対する投資も含むものでなければなりません。
また、研究開発投資の規模で欧米や中国に劣る我が国が、知識集約型の価値創造で勝ち抜くためには、我が国の強みや特色、我が国が持つ人材や知、インフラ等の蓄積を生かした重点的な研究開発領域を定め、戦略的に推進していくことが必要です。このような戦略立案においては、人文学・社会科学の知見を活用していくことが重要です。
このためには、最新の研究開発動向や経済的、地理的・地政学的な状況等を収集・分析し、社会情勢の変化に的確に対応して先手を打つとともに、常に情報をアップデートして、新たな変化に柔軟に対応できる戦略立案を行う体制を構築していくことが必要となります。
今回の最終取りまとめでは、国内外の状況や我が国の強みや特色等を考慮し、今後重点的に取り組むべき研究開発領域を定めるための方針と、その実現に向けて、重点的に取り組むべき研究開発領域と具体的な研究開発の例が示されました。最終取りまとめで挙げられた四つの方針と、重点的に取り組むべき研究開発領域は以下のとおりです。

(方針1)サイバー空間とフィジカル空間の高度な融合が進む中で、「超」高精密、高品質、高性能で複雑なすり合わせが必要なフィジカル技術や現場のリアルデータを持つ強みを発揮し、バリューチェーンの中核を押さえる。
【重点的に取り組むべき研究開発領域】
・高品質なリアルデータやリアルタイム処理を生かしたデータ駆動型価値創造のための研究開発
・我が国の強みであるマテリアル創成技術や超微細・精密制御を駆使したものづくり技術によりバリューチェーンの中核を押さえるための研究開発

(方針2)世界中がSDGsの達成を目指す中で、課題先進国(少子高齢化、社会保障費の増大、都市への人口集中、エネルギー・食料・水・環境問題等)のソリューションモデルを、人文学・社会科学と自然科学の知見を総合的に活用することにより、我が国が世界に先駆けて社会実装し、グローバルに展開する。
【重点的に取り組むべき研究開発領域】
・健康寿命延伸・生活の質(QoL:Quality of Life)向上のための研究開発
・都市と地方が共生するまちづくりのための研究開発
・脱炭素社会の実現のための研究開発
・持続可能な地球環境の構築のための研究開発

(方針3)将来の産業や社会を一変させる可能性のある最先端の新興技術(エマージングテクノロジー)を追求し、先行者利益の獲得や国際競争力の確保を目指す。
【重点的に取り組むべき研究開発領域】
・経済・社会を飛躍的に発展させる可能性を持つ量子科学技術(光・量子技術)
・生命の高度な理解と自在制御を可能とする次世代バイオテクノロジー
・現在の深層学習の課題を解決する次世代AI
・最先端技術に革新をもたらすマテリアルテクノロジー
・インクルーシブ社会を実現する人間・社会拡張技術

(方針4)日本の持つ地理的・地政学的状況も見定めた国家存立の基幹的な機能を確保・向上する。
【重点的に取り組むべき研究開発領域】
・災害レジリエンスの強化による防災立国の実現のための研究開発
・エネルギーセキュリティの確保のための研究開発
・宇宙・航空技術
・海洋技術

おわりに
今後、CSTIにおける次期科学技術基本計画の検討が本格化していくこととなりますが、文部科学省としては、本最終取りまとめの内容も踏まえ、次期科学技術基本計画の検討に貢献していきたいと考えています。

 i 学術情報ネットワーク(Science Information NETwork)

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