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安全・安心で質の高い学校施設等の整備の推進

文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部

文部科学省では、誰もが安心して利用できる安全な学校施設づくりを目指し、耐震化や防災機能強化を推進するとともに、災害復旧を支援しています。
また、豊かな教育環境を実現するために、長寿命化対策、環境を考慮した学校施設(エコスクール)の整備を推進し、地方公共団体が学校施設を整備する際の参考となる指針や手引、事例集などの作成を通じて、安全で質の高い学校づくりを進めています。
国立大学等施設についても、安全・安心な教育研究環境の整備や機能強化等への対応のため、耐震化や老朽施設の改善整備を中心とした戦略的なリノベーションなど、重点的・計画的な整備を進めています。

災害に強い学校施設整備
学校施設の防災対策
学校施設は、子供たちの学習・生活の場であるとともに、災害時には地域住民の避難所としての役割も果たすことから、その安全性の確保と防災機能の強化は極めて重要です。
そのため、文部科学省では、公立学校施設の構造体の耐震化及び屋内運動場等の吊り天井の落下防止対策について、平成27年度までの完了を目標に、制度の充実を図りながら重点的に推進してきました。
その結果、平成31年4月1日現在で公立小中学校の構造体の耐震化率は99.2%、屋内運動場等の吊り天井等の落下防止対策実施率は98.9%となり、おおむね完了した状況です。文部科学省としては、構造体の耐震化及び屋内運動場等の吊り天井の落下防止対策が未完了の地方公共団体に対して、引き続き、必要な財政支援を行うとともに、一刻も早く耐震化が完了するよう要請しています。
平成28年4月に発生した「平成28年熊本地震」では、2度に及ぶ震度7の地震や4,000回を超える余震にもかかわらず、公立学校施設においては、先述のように耐震化や吊り天井の対策が進んでいたため、倒壊・崩壊等に至る大きな被害はありませんでした。一方で、外壁や窓などの吊り天井以外の非構造部材において、落下などの被害が目立ち、避難所としての使用ができない学校も発生し、課題となりました。このような状況を踏まえ、文部科学省では、これまでの学校施設整備の効果を検証するとともに、学校施設の安全性の確保などの課題について検討するため、有識者会議を設置し緊急提言を取りまとめました。この緊急提言において、安全対策の観点から優先順位をつけて計画的に老朽化対策を行うことに加えて、学校施設の防災機能に関して、学校施設ごとに避難所として求められる役割・備えるべき機能等を明確化すること、優先順位を付けて整備すること等の課題が提示されました。
これらを踏まえ、文部科学省では、学校施設における防災機能の向上の観点から、避難所に必要な防災機能の保有状況等の調査を実施しています。平成31年度の調査では、避難所としての防災機能の整備が進んではいるものの、断水時のトイレ使用が可能な学校が6割弱にとどまるなど、引き続き対策が必要な状況でした。これを受け、防災担当部局等と教育委員会の連携協力体制の構築を図るとともに、避難所となる学校施設の防災機能の強化を一層推進するよう教育委員会等に周知しています。さらに、学校施設の防災機能に関する事例集を作成するとともに学校施設の防災対策等に関するセミナーを開催しています。
平成30年6月18日に発生した大阪府北部を震源とする地震では、学校のブロック塀が倒壊し、女子児童が亡くなるという大変痛ましい事故が発生しました。このことを受け、文部科学省では、緊急点検を実施し、安全性に問題があるブロック塀等に対して、早急な対策が講じられるよう、平成30年度第1次補正予算において新たに「ブロック塀・冷房設備対応臨時特例交付金」(以下、「臨時特例交付金」という。)を創設するなど、安全対策等に対して支援するとともに、速やかな完了を要請してきました。
その結果、外観点検で安全性に問題があるとされたブロック塀等を有する学校数は、平成30年8月公表のブロック塀等の調査では、全学校数の24.8%(約1万3000校)でしたが、安全対策等が進捗し、平成31年4月時点の調査では、令和元年度末に全学校数の3.7%(約1千900校)となることが分かりました。一方で、外観点検では問題がないが、鉄筋等の内部の安全点検が未完了のものが全学校数の6.9%(約3千500校)ありました。
今回の調査結果を受け、文部科学省では、安全性に問題があると判明したブロック塀等について、早急に安全対策を完了するとともに、安全対策が完了するまでの間、児童生徒等が近づけないよう立入禁止措置を確実に講じることや、鉄筋等の内部の点検が完了していないブロック塀等について、早急に安全点検を実施するよう学校設置者に対して改めて要請し、確実にブロック塀等の安全対策が完了するよう取り組んでいます。
さらに、「平成30年7月豪雨」や「平成30年北海道胆振東部地震」などの災害による被害を踏まえ、重要インフラが自然災害時にその機能を維持できるよう、特に緊急に実施すべき対策について、3年間で集中的に実施するものとして、「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」が平成30年12月14日に閣議決定されました。この中で、文部科学省関係の緊急対策として、学校施設等における、災害時に落下の危険性のある外壁や天井等の改善整備及び構造体の耐震化を行うこととされています。文部科学省としては、地震や津波などの大規模な災害時において、学校施設の機能維持を図るため、財政支援など必要な支援に取り組んでまいります。
また、「令和元年房総半島台風」、「令和元年東日本台風」等で発生した大規模な風水害により、老朽化した屋根等の大破や、受変電施設の浸水等により電気やトイレが使用できないといった甚大な物的被害が広範囲に発生し、平時の対策・準備が課題となりました。これらを受けて、文部科学省では、学校施設の安全の確保や被害の軽減のため、風水害対策のパンフレットを作成しました。
こうした取組により、今後も、学校施設の耐震化や非構造部材等の耐震対策、防災機能強化等をより一層推進してまいります。

学校施設の災害復旧
文部科学省では、自然災害により被害を受けた公立学校施設の復旧に要する経費の一部を国庫負担(補助)しています。特に、激甚災害(国民経済に影響を及ぼし、かつ、地方財政の負担緩和や被災者への特別の助成を行うことが特に必要な災害)に指定された災害に関しては、地方公共団体ごとにその財政規模に応じて国庫負担率が引き上げられます。
また、国立大学等施設についても、自然災害により被害を受けた施設の復旧に要する経費を国庫補助しています。
さらに、私立学校施設についても、激甚災害に指定された災害により被害を受けた施設の復旧に要する経費の一部を国庫補助しています。
これらの取組により、平成23年に発生した「東日本大震災」により被災した学校施設については、国からの支援を得て復旧する公立学校2,330校のうち2,318校(99.5%)、国立大学法人25法人全て(100.0%)、私立学校790校のうち784校(99.2%)の復旧が完了しました。
東日本大震災以降も、「平成28年熊本地震」、西日本を中心に全国的に広い範囲で記録的な大雨となった「平成30年7月豪雨」、「平成30年北海道胆振東部地震」や「令和元年東日本台風」など相次ぐ災害により、多くの学校施設が被害を受けました。これらの災害の被災地でも、国からの支援を得て、仮設校舎の設置や校舎の本復旧などが現在も進められています。
文部科学省では、引き続き、自然災害により被害を受けた学校施設の早期復旧に向けて、支援してまいります。

豊かな学校施設環境の構築
学校施設整備指針の策定等
文部科学省では、学校教育を進める上で必要な施設機能の確保のため、施設計画及び設計における基本的な考え方や留意事項を示した「学校施設整備指針」を学校種ごとに策定するとともに、社会状況の変化等を踏まえ、これまで数次にわたり見直しを行ってきました。平成29年2月からは、学習指導要領の改訂等に対応するため「学校施設の在り方に関する調査研究協力者会議」を開催し、今後の学校施設の在り方及び学校施設整備指針の改訂に関する調査研究を開始しています。平成31年3月には、小学校及び中学校施設整備指針の改訂を行い、現在は、高等学校施設整備指針の改訂に向けて議論を進めています。
学校施設整備指針や調査研究協力者会議報告書は、文部科学省ホームページにおいて公表しています。
(参考)学校施設の在り方に関する調査研究協力者会議
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shisetu/044/index.htm

環境を考慮した学校施設づくり
地球環境問題への対応が喫緊の課題となっている中、再生可能エネルギー設備の導入、校舎や体育館等の断熱性の向上、校庭の芝生化などの環境を考慮した学校施設(エコスクール)の整備が進められています。
エコスクールの整備によって、児童生徒にとって健康的で快適な学習・生活空間を維持しながら施設の環境負荷低減を図ることができます。また、エコスクールは、児童生徒が環境について学ぶ教材としての側面を持つとともに、地域の環境教育の発信拠点としての機能を果たすこともできます。
エコスクールの整備を推進するため、文部科学省では、関係省庁と連携してエコスクールパイロット・モデル事業を平成9年度から28年度まで実施し、1663校認定してきました。平成29年度からは「エコスクール・プラス」に改称し、エコスクールとして整備する学校を143校認定しています。
また、文部科学省ホームページにおいて、エコスクールの効果や積極的な取組事例などについて情報提供をしています。令和元年度には、エコスクールを継続的に活用するためのポイントをまとめた事例集を作成しました。

学校における省エネルギー対策の推進
「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」に基づき、学校はエネルギーの使用の合理化(省エネルギー)に努めることが求められています。省エネルギーは、我慢によるエネルギー使用量の削減を求めることではなく、児童生徒の学習環境を確保した上でエネルギーを無駄なく使用することです。
近年の学校施設は、エアコン設置やICT導入による高機能化や学校教育以外の多目的利用等による多機能化によりエネルギー使用量が増加する傾向にあり、地方公共団体が省エネルギーの推進に苦慮している状況が見られます。
このため、文部科学省では、学校でできる省エネルギー対策に関する資料「学校でできる省エネ」や学校等における省エネルギー推進のための基本的事項をまとめた「学校等における省エネルギー推進のための手引き」を作成し、省エネルギーが停滞している教育委員会を対象に、実地調査や講習会の開催などの取組を行っています。引き続きこの手引を活用して、学校における省エネルギー対策を推進してまいります。
また、学校設置者等に対し、エネルギー使用量が増加する夏季と冬季に省エネルギー対策への協力を呼び掛けています。
(参考)省エネ法、グリーン購入法等への取組
http://www.mext.go.jp/a_menu/shisetu/green/index.htm

木材を活用した学校施設づくり
学校施設における木材の利用は、木材の柔らかで温かみのある感触や優れた吸湿効果から、豊かで快適な学習環境づくりを行う上で大きな効果が期待できます。また、地場産業の活性化、地球環境の保全などの観点からも大きな意義があります。
このため、文部科学省では、木材を利用した公立学校施設の整備について、財政支援を行うとともに、木材利用に関する事例集の作成・配布、講習会の実施など、学校施設における木材利用の取組を推進しています。また、平成26年度に日本産業規格である「木造校舎の構造設計標準(JIS A 3301)」について、近年の学校施設に求められる機能の変化などに対応するよう全面改正するとともに、JIS A 3301の解説書となる技術資料を作成しました。
平成27年度には、建築基準法の一部改正により、これまで耐火建築物としなければならなかった木造3階建て学校施設が、一時間準耐火構造で整備できるよう規制緩和されたことを受け、整備する際のポイントや留意事項をまとめた「木の学校づくり―木造3階建て校舎の手引―」を作成しました。
平成27年度から29年度まで、JIS A 3301を活用した木造校舎、木造3階建て学校施設、CLT(直交集成板)を用いた木造校舎等を整備する地方公共団体の先導的な取組を支援する「木の学校づくり先導事業」を実施しました。
平成30年度には、木の学校づくりの留意点について分かりやすくまとめた「木の学校づくり―その構想からメンテナンスまで―(改訂版)」を、日本建築学会の協力を得て作成しました。
令和元年度には、CLT(直交集成板)を活用した学校施設等の事例を紹介した「木の学校づくり 学校施設等のCLT活用事例」を作成しました。

学校施設における維持管理の徹底
学校施設は、児童生徒等の学習・生活の場であるとともに、非常災害時には避難所として地域住民の避難生活の拠点としての役割も担うものであるため、日常のみならず災害時においても十分な安全性・機能性を有することが求められます。建築当初には確保されているこれらの性能も、経年劣化等により必要な性能を満たさなくなっているおそれがあることから、学校施設の管理者は、当該施設が常に健全な状態を維持できるよう、適切に維持管理を行っていくことが必要です。
文部科学省では、学校設置者に対して学校施設の維持管理の必要性・重要性を周知するため、平成28年3月に「子供たちの安全を守るために―学校設置者のための維持管理手引―」を作成するなど、維持管理の適切な実施を推進しています。また、平成29年5月には体育館の床板の剥離による負傷事故の防止を目的として、学校の設置者等に対し、適切な清掃(ワックス掛け・水拭きの禁止)や日常点検を要請する通知を発出するなど、維持管理を通じた安全・安心な教育環境の確保に取り組んでいます。

アスベストへの対策
文部科学省では、平成17年度に「学校施設等における吹き付けアスベスト等使用実態調査」を実施し、以降、フォローアップ調査を継続的に実施しています。この吹き付けアスベスト等の対策については、ほぼ完了している状況です。
また、平成26年3月に石綿障害予防規則が改正され、石綿含有保温材等(保温材、耐火被覆材、煙突用断熱材等)が新たに規制対象に加えられたことを受け、児童生徒等の安全性を確保する観点から、教室や廊下等の児童生徒・教職員等が通常立ち入る場所及び煙突を対象とし、その使用状況及び劣化、損傷等の状況について、調査を実施しています。
平成30年度の調査結果の公表時には、学校設置者等に対して、調査が未完了の機関は調査を早期完了すること、劣化、損傷等がある石綿含有保温材等を保有する機関は専門業者等に相談の上、適切な対策を早急に講じること、調査、措置済みの機関も含め、定期的な点検の実施を行うこと等を要請しました。
また、建物には多種多様なアスベスト含有建材が使用されていることから、各機関においては、引き続き適切な維持管理が必要であり、改修や取壊し工事を行う際には、関係法令等に基づいた適切な対応をするよう、お願いしています。
児童生徒等の安全対策に万全を期すため、今後も引き続き、アスベストに係る対策について取り組んでまいります。

公立学校の長寿命化対策
公立学校施設については、これまで耐震化を最優先に進めてきましたが、その一方で、老朽化が進行した学校施設の割合が増加しており、安全面や機能面で不具合が生じています。
平成29年度に文部科学省が実施した調査によれば、全国の公立小中学校で、外壁・窓枠の落下など建物の老朽化が主因の安全面における不具合は年間約3万2000件発生しており、約1万4000件であった平成24年度調査に比べて2倍以上となっています。
また、家庭や社会の環境の変化に伴い、学校施設の機能・性能の向上が求められています。例えば、少人数指導等に対応した学習環境やICT教育環境の整備、バリアフリー化、空調設備の設置、トイレの改修、省エネルギー化など、学習環境の改善が必要です。さらに、公立学校の約9割が避難所に指定されており、防災機能の強化も求められています。
厳しい財政状況の下、これらの課題を解決するためには、中長期的な視点の下、計画的な整備を行うとともに、コストを抑えながら改築(建て替え)と同等の教育環境を確保することができ、排出する廃棄物量も少ない「長寿命化改修」に重点を移していくことが必要です。
長寿命化改修は、建物の耐久性を高めることに加え、学校施設に対する現代の社会的事情に応じるよう、建物の機能や性能を引き上げるものです。適切なタイミング(おおむね築後45年程度まで)で長寿命化改修を行うことで、技術的には、70~80年程度に耐用年数を延ばすことが可能です。
平成25年11月、政府において「インフラ長寿命化基本計画」(以下、「基本計画」という。)が策定されました。基本計画は、国民の安全・安心を確保し、中長期的な維持管理・更新等に係るトータルコストの縮減や予算の平準化を図るための方向性を示すものです。
基本計画では、各地方公共団体において、域内の公共施設等の総合的かつ計画的な管理を推進するための計画(公共施設等総合管理計画)を策定するとともに、個別施設ごとの長寿命化計画(個別施設計画)を策定することが求められています。
文部科学省では、地方公共団体による中長期的な整備計画の策定や長寿命化改修の導入を推進するため、必要な支援を行っています。個別施設計画策定の推進に当たっては、平成27年4月に「学校施設の長寿命化計画策定に係る手引」、平成29年3月には、手引に基づき、学校施設の長寿命化計画の標準的な様式を示すとともに、より具体的な留意点を解説した「学校施設の長寿命化計画策定に係る解説書」、さらに平成31年3月には、手引や解説書を活用しつつ限られた予算の中で計画を策定した事例等について、策定に当たっての体制づくりやスケジュール等を紹介した「学校と地域の将来設計!個別施設計画策定取組事例集」を作成しました。
長寿命化対策に当たっては、平成25年度に「長寿命化改良事業」を創設し、地方公共団体が行う長寿命化改修を支援しています。また、令和3年度から個別施設計画の策定を交付金事業申請の前提条件とする旨を地方公共団体に通知しているところです。さらに、この長寿命化改修を徹底するために、令和2年度より長寿命化を図る前提で実施する予防的な改修についても補助対象としています。
今後も引き続き、各地方公共団体が、長寿命化改修などの老朽化対策をそれぞれの実情に応じて適切に進めることができるよう支援してまいります。

公立学校の空調設備
近年、災害ともいわれる猛暑に起因する児童生徒の健康被害が発生しており、学校施設においても地域の実情を踏まえて空調を使用しつつ、適切な学習環境を確保することが重要です。文部科学省では、児童生徒の熱中症対策として臨時特例交付金を創設し、公立小中学校等の教室への空調設備の新設に対し支援をしてきました。
この臨時特例交付金において、まずは児童生徒が最も長時間を過ごす普通教室への空調(冷房)設備の設置に対して優先的に措置しました。その結果、令和元年9月1日時点での公立小中学校等における空調(冷房)設備設置状況は、普通教室の設置率78.4%(前年同月60.2%、18.2ポイント増)、特別教室等の設置率50.5%(前年同月44.0%、6.5ポイント増)となりました。
文部科学省では、今後とも、子供たちの熱中症予防のための教室への空調設備の設置が早期に実施されるよう、引き続き、整備の推進に取り組みます。

公立特別支援学校の教室不足への対応
公立特別支援学校については、令和元年5月1日現在、全国で3162教室が不足しています。
文部科学省では、各地方公共団体に対し特別支援学校への受入れが想定される児童生徒数の推計を的確に行い、教室不足の解消計画を策定・更新するとともに、学校の新設や校舎の増築、分校・分教室の整備、廃校・余裕教室等の既存施設の活用等によって、教育上支障が生じないよう適切な対応を求めています。
また、令和2年度から6年度までの期間、既存施設を特別支援学校の用に供する改修事業について国庫補助の算定割合を3分の1から2分の1へ引き上げることとしています。

公立学校の廃校・余裕教室の活用
近年、少子化に伴う児童生徒数の減少により、廃校や余裕教室が増加しており、その有効活用が課題となっています。こうした状況を受けて、文部科学省では次のような取組を実施しています。
①活用事例等の情報提供
廃校・余裕教室の活用事例や、活用用途を募集している廃校施設の一覧、活用に当たって利用可能な各省庁の補助制度等についてパンフレットや文部科学省のホームページを通じて情報提供したり、廃校を所有する地方公共団体と活用希望者とのマッチングを図るイベントを開催したりしています。
(参考)~未来につなごう~
「みんなの廃校プロジェクト」
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyosei/1296809.htm
②財産処分手続の弾力化
国庫補助金により整備した学校施設を学校以外に転用等する場合、国庫補助事業完了後10年以上経過した建物等の無償による財産処分であれば、原則として国庫納付を不要にする等、財産処分手続を大幅に弾力化しています。
(参考)廃校施設・余裕教室の有効活用
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyosei/yoyuu.htm

国立大学等の施設整備
国立大学等施設の現状と課題
国立大学等の施設は、将来を担う人材の育成の場であるとともに、地方創生やイノベーション創出等教育研究活動を支える重要なインフラです。
現在、国立大学等の施設は、建築後25年以上を経過した施設が約6割を占めるとともに、建築後50年以上を経過した改修を要する施設が今後5年間で大幅に増加するなど、老朽化が深刻な課題となっています。安全面に問題があることはもちろんのこと、大学の機能強化、大学教育の質的転換、グローバル化への対応など機能面でも様々な支障が生じています。また、キャンパス内に敷設されている給排水管やガス管などのライフラインの老朽化も著しく進行しており、今後、故障や事故が増加することが危惧されているほか、修繕費の増大など経営面にも影響する課題となっています。
こうした中、文部科学省では、大学経営の一環として国立大学法人等の戦略的な施設マネジメントを推進するとともに、第5期科学技術基本計画(平成28年1月22日閣議決定)を踏まえ、「第4次国立大学法人等施設整備5か年計画(平成28年度~令和2年度)(平成28年3月29日文部科学大臣決定)」(以下、「第4次5か年計画」という。)を策定し、計画的・重点的な整備を推進しています。
さらに、新しい時代にふさわしい国立高等専門学校の機能の高度化や国際化の実現に向け、国際寮の整備や老朽化の著しい学生寮、校舎等の集中的な改善整備を行っています。

今後の国立大学等施設の方向性
第4次5か年計画では、安全・安心な教育研究環境の基盤の整備、国立大学等の機能強化等変化への対応や、サステイナブル・キャンパスの形成のために、省エネルギー対策や社会の先導モデルとなる取組を推進してきました。
特に、大学等における教育研究活動の変化に対応するため、老朽化した建物の改修のタイミング等における施設の機能強化(戦略的リノベーション)を推進しています。例えば、大学等においては、学生の主体的な学修を支えるアクティブ・ラーニングスペースの設置、複数の研究チームが実験室を共有し、自然なコミュニケーションを促すオープンラボ等の導入が進んでいます。
また、令和2年度に第4次5か年計画が終了することを踏まえ、平成30年9月に「今後の国立大学法人等施設整備に関する有識者会議」を開催し次期計画の検討を開始し、令和元年6月に「今後の国立大学法人等施設整備に係る方向性」が取りまとめられました。これに引き続き、この有識者による検討体制を拡充した「今後の国立大学法人等施設の整備充実に関する調査研究協力者会議」を令和元年11月に開催しました。協力者会議では、国立大学等における教育研究の中で、「どのような活動が今後大学で展開」され、そのために「どのような施設が必要なのか」という点に着目し、令和3年度以降の施設整備の推進方策等について検討を進めています。
さらに、施設マネジメントの推進のための仕組みの構築や施設の有効活用、適切な維持管理の実施等戦略的な施設マネジメントや、民間資金等の多様な財源を活用した施設整備をより一層推進するための方策について検討しています。

戦略的な施設マネジメントの推進
国立大学の基本理念やアカデミックプランの実現のためには、経営的視点から、施設の整備や維持管理、既存施設の有効活用、省エネルギー対策、これらに必要な財源の確保などの施設全般に係る施設マネジメントの取組をより一層推進することが求められます。
このため、文部科学省では、施設マネジメントの基本的な考え方、具体的な実施方策や先進的な取組事例等を示した報告書や事例集等を作成し、国立大学法人等における戦略的な施設マネジメントの取組を推進しています。
報告書や事例集等は、文部科学省のホームページにおいて公表しています。
(参考)施設マネジメントの推進ホームページ
http://www.mext.go.jp/a_menu/shisetu/kokuritu/1318421.htm
また、国立大学等施設の老朽化が深刻な課題となる中、施設の長寿命化により既存施設を有効活用し、トータルコストの縮減や予算の平準化を図ることが求められています。
このため、文部科学省では、「国立大学法人等施設の長寿命化に向けたライフサイクルの最適化に関する検討会」において施設の長寿命化に向けた基本的な考え方や具体的な推進方策等について検討を行い報告書を取りまとめるとともに、国立大学法人等における行動計画・個別施設計画の策定を推進するなど、戦略的な施設マネジメントの取組や多様な財源を活用した施設整備を一層推進しています。
また、「インフラ長寿命化基本計画」において、令和2年度中に個別施設ごとの長寿命化計画(個別施設計画)の策定が求められているところであり、これらを含め、国立大学法人等において施設の長寿命化が適切に行われるよう、普及・啓発を行うなど必要な支援を行っていきます。

国立大学の附属病院施設の整備
国立大学の附属病院では、大規模災害時の医療継続に必要な電気や水の確保が課題となっており、国土強靱化基本計画においても、防災・減災機能強化を含めた施設整備を進めることとしています。
文部科学省は、平成26年の同計画を受けて、「国立大学附属病院施設の防災機能強化に関する検討会」を開催し、平成28年11月に報告書を取りまとめました。本報告書では、平成28年4月に発生した熊本地震における熊本大学医学部附属病院の被災状況等を踏まえつつ、災害時に地域の医療拠点となる附属病院の施設に求められる防災機能強化の取組をまとめています。
また、平成30年度からは「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」として浸水対策等を行うなど、防災機能を強化した附属病院を整備しています。

多様な文教施設整備
文教施設への民間資金等の活用
効率的かつ効果的であって良好な公共サービスを実現するため、多様なPPP/PFI(Public Private Partnership / Private Finance Initiative)を推進することが重要です。
令和元年6月21日、民間資金等活用事業推進会議において決定された「PPP/PFI推進アクションプラン(令和元年改定版)」では、公共施設等運営権制度を活用したPFI事業(以下「コンセッション事業」という。)等に関し、文教施設(スポーツ施設、社会教育施設及び文化施設をいう。以下同じ。)については、「平成28年度から平成30年度までの集中強化期間中の数値目標は達成した。今後も引き続き重点分野とし、文教施設の具体の案件形成が行われるよう、関係府省と連携しながら、地方公共団体等の取組を支援する」こととされています。
文部科学省では、地方公共団体におけるコンセッション事業導入の検討が円滑に行われるよう、平成30年3月に実務的な手引きを作成するとともに、PPP/PFI手法に特化した事例集を令和2年3月に作成しました。
今後とも、手引きや事例集を地方公共団体に周知するとともに、PPP/PFIを検討する地方公共団体の支援に取り組んでいきます。

文教施設整備への技術的支援
文部科学省では、教育、学術、スポーツ及び文化の活動等の推進のため、これら文教行政と密接な関わりを持つ施設の整備を行っており、近年ではナショナルトレーニングセンターの建設や第一次大極殿正殿復原などの整備を実施しています。
令和元年6月末には、オリンピック競技とパラリンピック競技の共同利用施設である「ナショナルトレーニングセンター 屋内トレーニングセンター イースト(東館)」の整備が完了しました。
また、文教施設の質的水準の確保・向上、施設整備事務の効率化等を図るため、施設整備に必要な技術的基準を策定しています。また、国立大学等の機能を活性化する教育研究空間づくりを推進するため「国立大学等施設設計指針」を策定するとともに、国立大学等の特色ある施設整備を紹介する事例集の作成等を行っています。今後も引き続き国立大学等の施設整備を支援してまいります。
(参考)国立大学等の特色ある施設(事例集等)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shisetu/kokuritu/1404577.htm

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