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令和2年度 文部科学関係予算の概要

文部科学省大臣官房会計課

令和2年度 文部科学関係予算
令和2年度文部科学関係予算については、教育再生、科学技術イノベーション、スポーツ・文化芸術の振興により、「人づくり革命」を断行し、「生産性革命」を実現するための予算として、総額5兆3,060億円の予算を計上しました。また、「臨時・特別の措置」(防災・減災、国土強靱化関係)について別途1,092億円を計上するほか、幼児教育・保育の無償化や高等教育の修学支援新制度等に必要な予算を別途確保するなど文部科学行政を推進するに当たって必要な予算を確保できたと考えています。

教育関係予算について
我が国が持続的に成長・発展するには、一人一人の能力や可能性を最大限引き出し、多様な個性を伸ばす教育が不可欠です。令和2年度文教関係予算(いわゆる教育分野)については、対前年度30億円増の4兆303億円の予算を確保しました。

教育政策推進のための基盤の整備
●新学習指導要領の円滑な実施と学校における働き方改革のための指導運営体制の構築
教職員定数については、英語教育を行う小学校専科指導教員の充実のために1,000人の改善を行うほか、専門性の高い専科指導に取り組む学校への支援、中学校における生徒指導や支援体制の強化など、3,726人の定数改善を図ります。
また、スクール・サポート・スタッフの拡充(4,600人(対前年度1,000人増))や中学校における部活動指導員の配置拡充(10,200人(対前年度1,200人増))などを図り、学校における働き方改革を強力に推進します。
これらの活用に当たっては、在校等時間の客観的把握を要件とするなど、新学習指導要領の円滑な実施と学校における働き方改革の両立を図ります。

●学校安全の更なる強化
集団登校中の児童生徒が巻き込まれる交通事故・事件の発生などを受けて、スクールガード・リーダーの大幅な増員(4,000人(対前年度2,300人増))により、登下校中の児童生徒の安全確保を強化します。また、セーフティプロモーションスクール等の先進事例を参考とした学校、家庭、地域及び関係機関が連携した学校安全推進体制の構築を推進することにより、学校安全の取組を更に強化します。

●新時代の学びを支える先端技術の活用推進
学校における高速大容量のネットワーク環境と、義務教育段階における一人一台の端末の令和5年度までの整備を目指す「GIGAスクール構想」を実現するため、先端技術や遠隔教育システムの活用に関する実証、多様な通信環境の在り方に関する実証を行うほか、「ICT活用教育アドバイザー」の配置を図ります。

●国立大学改革の推進
国立大学改革については、Society 5.0に向けた人材育成や、イノベーション創出の中核としての国立大学の役割を果たすため、教育研究の基盤である運営費交付金等を確保するとともに、取組・成果に応じた手厚い支援と厳格な評価を徹底することにより、「教育」「研究」「ガバナンス」改革を加速化します。また、国立大学経営改革促進事業として、各大学の経営改革構想の実現の加速化を支援します。

●国立高等専門学校の高度化・国際化
国立高等専門学校については、社会変革に対応できる人材や地域に求められる人材を教育するための取組を重点的に支援するほか、令和元年度補正予算と合わせ施設・設備の集中的な改善・更新を行い高等専門学校の高度化を図ります。また、日本型高等専門学校教育制度(KOSEN)の海外展開を推進するとともに、国際的な教育モデルを確立し、国際的な質保証を図ります。

●私立大学等改革の推進等
私立大学等経常費補助について、客観的指標を活用したメリハリある配分により、大学等の運営に不可欠な教育研究に係る経常的経費について支援します。また、各大学の役割や特色・強みの明確化に向けた改革に全学的・組織的に取り組む大学等を重点的に支援します。
私立高等学校等経常費助成費等補助については、都道府県による私立高等学校等の基盤的経費への助成を支援するとともに、各私立高等学校等の特色ある取組を支援します。

●学校施設整備の推進
児童生徒等の安全と健康を守り、計画的・効率的な長寿命化を図る整備を中心とした教育研究環境の改善等を推進します。また、近年多発している大規模災害の教訓を踏まえ、防災・減災に万全を期すため、耐震化や非構造部材の耐震対策などを推進し、学校施設の強靱化を図ります。

夢と志を持ち、可能性に挑戦するために必要となる力の育成
●地域と学校の連携・協働の推進
コミュニティ・スクールや地域学校協働活動の推進などをはじめとした学校・家庭・地域の連携・協働による多様な事業を展開することによって、まち全体で地域の将来を担う子供たちを育成する取組を支援します。
また、地域における小学校就学前の子供を対象とした多様な集団活動等への支援の在り方に関する調査を実施します。

●新しい時代に求められる資質・能力の育成
PISA2018の結果を踏まえ、各学校における読解力等の学力向上に資するよう総合的な調査・実践研究等を実施します。
また、令和2年度からの新学習指導要領実施を踏まえ、外国語教育・情報教育、道徳教育の推進を図るほか、地域との協働による高等学校教育改革として、地域課題の解決等の探究的な学びを実現する取組を推進することで、地域振興の核としての高等学校の機能強化を図ります。

●虐待、いじめ・不登校対応等の推進
虐待、いじめ対策や不登校支援については、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの従来の配置に加えて、いじめ・不登校対策のための重点配置を行うなど専門スタッフの配置充実を図ります。また、SNS等を活用した相談体制の構築や、学校以外の場における支援体制を整備し、不登校児童生徒等様々な悩みを抱える児童生徒へのきめ細やかな支援体制を整備するとともに、夜間中学の設置促進を図ります。

社会の持続的な発展をけん引するための多様な力の育成
●グローバル社会における児童生徒の教育機会の確保・充実
在外教育施設への派遣教師数を拡充(1,321人(対前年度22人増))するとともに、アジア諸国で日本語を学ぶ優秀な高校生の日本全国の高校への招へいや、地方公共団体や学校、民間団体等が実施する留学プログラム参加への支援を通じて、高校生の国際交流の促進を図ります。

●Society 5.0の到来等を見据えた高等教育改革の促進
あらゆるセクターをけん引する卓越した博士人材の育成に必要となる世界最高水準の教育・研究力を結集した学位プログラムの構築を促進するほか、数理・データサイエンス・AI教育の推進のための応用基礎レベルのモデルカリキュラム等の策定や、分野融合の学位プログラムの構築等大学の優れた取組を重点的に支援します。

生涯学び、活躍できる環境の整備
●リカレント教育等社会人の学び直しの総合的な充実
リカレント教育の抜本的拡充を図るため、大学等における高度技術人材や地方創生人材の教育プログラムのほか、専門学校におけるリカレントプログラムの開発を行うとともに、実務家教員の育成、女性のキャリアアップに向けた学び直しやキャリア形成の支援、社会人の学びの情報アクセスの改善等を通じ、就職氷河期世代を含む社会人を対象とした大学・専修学校等の取組を支援します。

●特別支援教育の生涯学習化プラン
障害者権利条約の批准や障害者差別解消法の施行等も踏まえ、障害者が、学校卒業後も含めたその一生を通じて、自らの可能性を追求できる環境を整え、地域の一員として豊かな人生を送ることができるよう、生涯を通じて教育やスポーツ、文化芸術等の様々な機会に親しむための関係施策を横断的かつ総合的に推進します。また、学校における医療的ケアのための看護師配置に係る支援を拡充(2,100人(対前年度300人増))します。

誰もが社会の担い手となるための学びのセーフティネットの構築
●教育費の負担軽減
全ての子供に質の高い幼児教育を保障するため、来年度から通年実施となる幼児教育・保育の無償化を着実に実施します。
また、年収590万円未満世帯に対する私立高等学校授業料の実質無償化の実現をはじめとした高校生等への修学支援の充実を図るとともに、低所得世帯(住民税非課税世帯やそれに準ずる世帯)であっても大学等において修学できるよう高等教育の修学支援を着実に実施するなど、各教育段階の負担軽減により学びのセーフティネットの構築を図ります。

●高校中途退学の未然防止及び高校中退者等に対する学習支援等による切れ目ない支援
スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの活用により高校中途退学の未然防止を図るほか、就職やキャリアアップにおいて不利な立場にある高校中退者を対象とした学習相談や学習支援の取組を支援する等、高校中退者に対し切れ目ない支援を推進します。

●日本語教育・外国人児童生徒等への教育の充実
外国人の受入れ拡大に対応するため、生活者としての外国人の日本語教育を推進するとともに、学校における日本語指導体制の充実や多言語翻訳システム等ICTの活用促進など、日本語教育が必要な児童生徒等に向けた教育を充実することを通じて、外国人が教育・就労・生活の場で円滑にコミュニケーションできる環境の整備を図ります。

スポーツ関係予算について
スポーツ立国の実現に向けたスポーツの振興を図るための予算として、対前年度11億円増の351億円を計上しています。
2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会等への対応として、各競技団体が行う日常的・継続的な強化活動への支援、メダル獲得に向けた多方面からの専門的かつ高度な支援、ドーピング防止活動などに取り組むとともに、2020年東京大会以降も見据えたスポーツ・レガシー創出等のため、スポーツ参画人口の拡大、障害者スポーツの振興、スポーツ産業の成長促進、スポーツ資源を活用したインバウンド拡大の環境整備等を推進します。

文化芸術関係予算について
文化芸術立国の実現に向けて、対前年度0.1億円増の1,067億円を計上しています。
首里城やノートルダム大聖堂での火災を踏まえ、災害等から文化財を護るための防災対策や文化財の確実な継承に向けた保存・活用の促進、舞台芸術などの文化芸術の創造活動や、文化芸術人材の育成及び子供たちの文化芸術体験の推進、文化振興の拠点としての博物館活動への支援など文化発信を支える基盤の整備・充実を行います。
このほか、国際観光旅客税財源を活用し、「日本博」を契機とした観光コンテンツの拡充など、文化資源の磨き上げによるインバウンドのための環境整備を行います。

科学技術予算について
第5期科学技術基本計画及び第6期科学技術基本計画の策定に向けた議論を踏まえ、我が国の研究力向上に向けて研究「人材」「資金」「環境」改革と大学改革を一体的に展開する「研究力向上2019」を着実に実施します。
また、未来の大きな社会変革や生産性革命に対応し、超スマート社会(Society 5.0)を実現するため、イノベーションの創出に向けた取組を推進するとともに国家戦略上、重要な技術の研究開発を推進します。
このため、令和2年度科学技術予算については、対前年度11億円増の9,762億円を計上しています。

研究「人材」「資金」「環境」改革と大学改革の一体的展開~研究力向上改革2019の着実な推進~
●「人材」:研究人材強化体制の構築
研究人材の好循環を作り出し、研究者をより魅力ある職にすることを目指すため、科学技術イノベーションを担う多様な人材の育成や活躍促進を図るための取組を重点的に推進します。具体的には、世界トップクラスの研究者育成システムを構築していきます。
また、研究と出産・育児等のライフイベントとの両立や女性研究者の研究力向上を通じたリーダーの育成を一体的に推進する大学等を支援します。

●「資金」:多様で挑戦的かつ卓越した研究への支援
我が国の研究力向上に向け、科研費の更なる拡充を行います。具体的には対前年度比2億円増となる2,374億円の予算を計上し、新種目の創設や基金化の実現などによる新興・融合領域の開拓強化を図るとともに、若手研究者を重点的に支援します。
また、若手を中心とした多様な研究者が自由で挑戦的・融合的な研究を進めるための資金と研究に専念できる研究環境を確保することで、「創発的研究」の場の形成に取り組みます。
さらに、経済・社会的にインパクトのある出口を明確に見据え、挑戦的な目標を設定したハイリスク・ハイインパクトな研究開発として、未来社会創造事業を拡充してまいります。

●「環境」:「ラボ改革」による研究効率の最大化・研究時間の確保
設備間のネットワークや研究機器の組織的な共用体制を確立(コアファシリティ化)し、全ての研究者が研究に打ち込める環境を実現します。
また、ナノテク・材料分野では、革新的材料開発力強化プログラム(M–cube)において革新的材料開発の加速に向けたスマートラボ化等の取組を推進し、イノベーションの創出に貢献します。

Society 5.0を実現し未来を切り拓くイノベーション創出とそれを支える基盤の強化
●共創の場構築によるオープンイノベーションの推進と大学発のベンチャー等の創業を支援
「組織」対「組織」の本格的産学官連携を通じたオープンイノベーションの加速により、企業だけでは実現できない飛躍的なイノベーションの創出を実現し、大学等の研究シーズを基に地域内外の人材・技術を取り込みながら、地域から世界で戦える新産業の創出に資する取組を推進するほか、民間の事業化ノウハウを活用した大学等発ベンチャー創出の取組等を推進するとともに、新たな研究領域に挑戦する優秀な若手研究者やアントレプレナー(起業家)の育成・確保を推進します。

●国家戦略の議論を踏まえAI・IoT、量子技術、ナノテク等の重点分野の研究開発を戦略的に推進
未来社会実現の鍵となるビッグデータ等を活用した革新的な人工知能の研究開発を推進し、経済・社会的な重要課題に対し光・量子技術を駆使して非連続的な解決を目指す光・量子飛躍フラッグシッププログラム(Q–LEAP)をはじめとした光・量子技術分野等の先端的な研究開発を推進します。
また、ナノテクノロジーに関する最先端の研究設備と活用のノウハウを提供し、産学官連携や異分野融合、人材育成等を推進します。

●世界最高水準の大型研究施設の整備・利活用を促進
我が国における世界最高水準の大型研究施設や学術研究基盤等の整備・利活用を推進します。
特に、令和3年度の運用開始を目標とした世界最高水準の汎用性のあるスーパーコンピュータ「富岳」の製造・システム開発として、60億円の予算を計上し、本格的な製造を着実に進めます。
また、研究力強化と生産性向上に貢献する次世代放射光施設の整備として、17億円の予算を計上し、官民地域パートナーシップによる役割分担により整備を進めます。
あわせて、我が国が世界に誇る最先端の大型研究施設の整備・共用を促進します。

国家的・社会的重要課題の解決に貢献する研究開発の推進
●健康・医療分野の研究開発の推進
日本医療研究開発機構において、iPS細胞等による世界最先端医療の実現や、精神・神経疾患の克服に向けた脳科学研究、がんや感染症等の疾患対策に向けた取組などの健康・医療分野の基礎的な研究開発を推進します。
また、理化学研究所や量子科学技術研究開発機構等において、それぞれのポテンシャルを活用し、健康・医療を支える基礎・基盤研究を実施します。

●防災・減災分野の研究開発の推進
南海トラフ地震の想定震源域のうち、観測網が設置されていない海域(高知県沖~日向灘)に新たな海底地震・津波観測網の構築を進める予算として59億円を臨時・特別の措置で計上しています。
また、防災ビッグデータの収集・整備・解析、官民一体となった総合防災力向上のための研究、地震、津波、火山、豪雨災害等に関する研究開発を推進することで、自然災害に対して強靭かつ安全・安心な社会の実現に貢献します。

●クリーンで経済的な環境エネルギーシステム実現に向けた研究開発の推進
温室効果ガスの大幅な排出削減と経済成長の両立、気候変動への適応等に貢献するため、環境問題とエネルギー問題の根本的解決が期待できる核融合エネルギーの実現を目指すITER(イーター)計画、BA活動等の実施、大幅な省エネを実現する次世代半導体や、大容量・低コスト化を実現する新しい蓄電池等の革新的低炭素化技術の研究開発、気候変動メカニズムの解明や高精度予測情報の創出などを推進します。

国家戦略上重要な技術の研究開発の推進
●宇宙・航空分野の研究開発の推進
宇宙・航空分野の予算は、対前年度比15億円増の1,575億円を計上しています。具体的には、令和2年度の初号機打ち上げに向けて開発を進めているH3ロケットや、次世代人工衛星等による安全保障・防災、産業振興等につながる研究開発の積極的な推進に加え、月周回有人拠点「ゲートウェイ」を含む国際宇宙探査への参画等の科学技術の振興に貢献するフロンティアの開拓、さらに、安全性・環境適合性・経済性といった重要なニーズに対応する次世代航空科学技術の研究開発等を推進します。

●海洋・極域分野の研究開発の推進
海洋科学技術は、地球環境問題を始め、災害への対応を含めた安全・安心の確保や資源開発といった我が国が直面する課題と密接に関連しています。
このため、地球環境の状況把握と変動予測のための研究開発等を行う海洋研究開発機構の運営に必要な経費や北極域研究の戦略的推進のための予算等を計上しており、関係省庁や研究機関、産業界と連携し、調査観測及び研究開発を推進します。

●原子力分野の研究開発・安全確保対策等の推進
原子力が抱える問題に正面から向き合い、原子力の再生を図るため、JRR–3の運転再開や高温ガス炉に係る国際協力を含めた原子力基盤技術開発や共用促進等の取組を着実に進めます。
また、東京電力(株)福島第一原子力発電所の安全な廃止措置等を着実に進めるため、国内外の英知を結集し、廃炉現場のニーズを一層踏まえた研究開発及び人材育成の推進に加え、原子力の安全研究、高速炉や加速器を用いた放射性廃棄物の減容化・有害度低減のための研究開発等を着実に進めるとともに、原子力施設の安全確保対策を行います。

最後に
文部科学省としては、「人生100年時代」や「Society 5.0」の到来を見据えながら、日本を誰にでもチャンスがあふれる国へと変えていくため、引き続き、教育再生、科学技術イノベーション、スポーツ・文化芸術の振興に全力で取り組んでまいります。

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