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特集1
GIGAスクール構想の実現に向けて
~令和時代のスタンダードとしての1人1台端末環境~

文部科学省初等中等教育局

令和元年度補正予算において、児童生徒向けの1人1台端末と、高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備するための経費を計上しました。我が国の150年に及ぶ教育実践と最先端のICTとのベストミックスを図ることで、これからの学校教育を劇的に変えていくことが必要です。本特集では、1人1台端末環境をはじめとしたGIGAスクール構想の実現に向けた取組について説明します。

1人1台端末環境は「令和の学校」のスタンダード ~GIGAスクール構想~
1人1台端末環境の必要性
今や、社会のあらゆる場所で、ICTの活用が日常のものとなっています。Society5.0時代を生きる子供たちにとって、スマートフォンやタブレット、パソコンなどのICT端末は鉛筆やノートと並ぶマストアイテムです。実際、内閣府の「平成30年度 青少年のインターネット利用環境実態調査」によると、小学生の45.9%、中学生の70.6%、高校生の97.5%がスマートフォンでインターネットを利用しています。
一方、学習活動におけるデジタル機器の利用は諸外国に比べて低調です。昨年12月に公表されたPISA2018の結果によれば、日本は他国と比較して、チャットやゲームを利用する生徒の割合が高く、その増加が著しいのに対して、学校の授業におけるデジタル機器の利用時間が短く、OECD加盟国中最下位となっています。日本の子供たちは、遊びにはICTを活用しているが、学びには活用していないということが浮き彫りになりました。(グラフ参照)
子供たちの可能性を広げる場所である学校が、時代に取り残され、世界から遅れたままではいられません。1人1台端末環境は、もはや令和の時代の学校の「スタンダード」です。これまでの我が国の150年に及ぶ教育実践の蓄積の上に、最先端のICTを教育に取り入れ、これまでの実践とICTとのベストミックスを図っていくことにより、これからの学校教育を劇的に変えていくことが必要です。
ICTを活用した学びの強みとしては、例えば、いつでも、どこでも、何回でも、自分のペースで学べることで、個別学習の効果が大きく向上することが考えられます。またICTの持つ可能性は個人の学びの深化だけではなく、例えば、クラス全員の意見が大型モニターに一気に映し出されることで、友達のすばらしい考え方に気づくことができたり、遠くの学校の子供と遠隔でつながって意見を交わし合ったりといった、協働的な学びにも大きく寄与すると考えられます。
なぜ「数人に1台」ではなく、「1人1台」の端末が必要なのでしょうか。1人1台であれば、個別の関心に合わせた調べ学習など、一人一人の学習状況に応じた個別学習ができます。また活発な子だけが端末を操作して他の子供は「お客さん」になってしまうことなく、全員が主体的に手を動かして学べます。そして1人1台端末環境が実現することで、学習者用デジタル教科書の活用の幅も一層広がります。これからの時代を生きる子供たちが未来社会を切り拓くための資質・能力を育む「令和の学校」へと大きく前進するために、1人1台端末環境が必要不可欠です。
なお、ICTの活用やその環境整備は重要ですが、そのこと自体を目的化するのではなく、子供たちの資質・能力を一層確実に育成することを目的として、適切に活用を進めることが重要です。

令和元年度補正予算について
GIGAスクール構想について
令和元年12月5日に閣議決定された、「安心と成長の未来を拓く総合経済対策」において、『初等中等教育において、Society5.0という新たな時代を担う人材の教育や、特別な支援を必要とするなどの多様な子供たちを誰一人取り残すことのない一人一人に応じた個別最適化学習にふさわしい環境を速やかに整備するため、学校における高速大容量のネットワーク環境(校内LAN)の整備を推進するとともに、特に、義務教育段階において、令和5年度までに、全学年の児童生徒一人一人がそれぞれ端末を持ち、十分に活用できる環境の実現を目指すこととし、事業を実施する地方公共団体に対し、国として継続的に財源を確保し、必要な支援を講ずること』とされました。
令和元年度補正予算において、児童生徒向けの1人1台端末と高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備するための経費を計上しています。これは学校ICT環境の整備状況に地方自治体間でばらつきが見られる中、国としてその是正に努めるためのものです。省を挙げて取組を進めていくため、昨年12月に、萩生田文部科学大臣を本部長とする「GIGAスクール実現推進本部」を設置しました。関係省庁や自治体、教育委員会とも連携して、GIGAスクール構想の実現に向けて全力を尽くしてまいります。
以下では、令和元年度補正予算の具体的な内容を紹介するとともに、本年1月に開催した「学校ICT活用フォーラム」やGIGAスクール構想の実現に向けた今後の検討課題について説明します。

令和元年度補正予算「GIGAスクール構想の実現」
令和元年度補正予算において、児童生徒向けの1人1台端末と、高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備するための経費として、2,318億円を計上しました。本事業においては、国公私立問わず、
①小学校・中学校・特別支援学校・高等学校等における校内LANの整備
②小学校・中学校・特別支援学校等の児童生徒が使用する端末の整備
③小学校・中学校・特別支援学校等における電源キャビネットの整備
を行うこととしています。
①、③については、
公立 補助対象:都道府県、政令市、その他市区町村 ※市町村は都道府県を通じて国に申請
補助割合:1/2
私立 補助対象:学校法人
補助割合:1/2
国立 補助対象:国立大学法人、(独)国立高等専門学校機構
補助割合:定額
②については、
公立 補助対象:都道府県、政令市、その他市区町村等 ※市町村は都道府県を通じて国に申請
補助割合:定額(上限4.5万円)
私立 補助対象:学校法人
補助割合:1/2(上限4.5万円)
国立 補助対象:国立大学法人
補助割合:定額(上限4.5万円)
としており、
1.校内LAN整備(及び電源キャビネットの整備)+端末整備
2.端末独自整備を前提とした校内LAN整備(及び電源キャビネットの整備)
3.LTE通信費等独自確保を前提とした端末整備(及び電源キャビネットの整備)
を支援メニューとしています。
なお、①校内LANの整備、③電源キャビネットの整備については、今回の令和元年度補正予算にて、全ての学校において1人1台端末の使用に耐えうる環境を実現するために必要な経費を計上しています。
また、予算の措置に当たっては、各自治体において継続的な学校ICT環境整備、ICT利活用がなされるよう、
・「1人1台環境」におけるICT活用計画、更にその達成状況を踏まえた教員スキル向上などのフォローアップ計画
・効果的・効率的整備のため、国が提示する標準仕様書に基づく、都道府県単位を基本とした広域・大規模調達計画
・高速大容量回線の接続が可能な環境にあることを前提とした校内LAN整備計画、あるいはランニングコストの確保を踏まえたLTE活用計画
・現行の「教育のICT化に向けた環境整備5か年計画(2018~2022年度)」に基づく、地方財政措置を活用した「端末3クラスに1クラス分の配備」計画
の策定を要件としています。
(「GIGAスクール構想の実現」について)
https://www.mext.go.jp/content/20191227-mxt_syoto01_000003278_07.pdf

GIGAスクール構想の実現 ロードマップ
GIGAスクール構想の実現に向け、文部科学省では、令和5年度までに令和時代のスタンダードとしての学校ICT環境を整備し、全ての子供たち1人1人に最もふさわしい教育を実現するためのロードマップを提示しています。
令和元年度補正予算では、このロードマップに沿って、端末については、小学校でのプログラミング教育の開始やその後の新学習指導要領の開始を見据えて、小5、小6、中1の児童生徒全ての児童生徒の3分の2分を整備することを優先しつつ、最終的に各自治体からの申請状況を踏まえ、予算の範囲内で、別の学年の整備も可能な限りできるよう配慮する予定です。なお、本補助金で整備された端末を、どの学校・学年の児童生徒が活用するかについては、それぞれの自治体・学校において判断いただくこととしています。
(GIGAスクール構想の実現 ロードマップ)
https://www.mext.go.jp/content/20191227-mxt_syoto01_000003278_06.pdf

GIGAスクール構想の実現パッケージ
令和の時代にふさわしい学校ICT環境の実現に向け、令和元年度補正予算において、必要な経費を計上するだけでなく、各自治体が安価に学校ICT環境を整備し、現場の教職員がICTを活用できるよう、文部科学省として、GIGAスクール構想の実現パッケージを策定しました。
当該パッケージは、主に以下の五つの内容を含んでいます。
1.調達改革に向けた環境整備の標準仕様の例示
各自治体が学校ICT環境整備に向けた調達において参考とできるよう、「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策」の考え方に基づく、学習者用端末の標準仕様や、「GIGAスクール構想」に基づく、高速回線に向けた校内LAN整備の標準仕様を例示しています。
2.クラウド活用を前提としたセキュリティポリシーに関するガイドラインの公表
クラウドの活用を前提とした学校ICT環境の整備に向け、各教育委員会や学校が情報セキュリティポリシーの作成や見直しを行う際の参考とする、『教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン』(平成29年策定)について、クラウド・バイ・デフォルトの原則を踏まえて、硬直化を避けるための位置づけや構成の見直しやクラウドサービス事業者が留意すべき事項の追加などを行いました。
3.学校におけるICT利活用に関するノウハウ集の公表
教師や学校、教育委員会等が、情報教育やICTを活用した指導、ICT環境整備等を行う際に参考となる様々な情報をまとめた『教育の情報化に関する手引(令和元年12月)』を公表しました。特に「第4章 教科等の指導におけるICTの活用」において、ICTを効果的に活用した学習場面の10の分類例を示すとともに、小学校、中学校、高等学校については、各学校段階における教科等ごとに、特別支援教育については学習上の困難・障害種別ごとに、ICTを活用した効果的な学習活動の例を提示しています。
4.関係省庁の施策との連携
ローカル5Gや効果的な教育コンテンツも活用して未来の学びを実現していくため、総務省の教育現場の課題解決に向けたローカル5Gの活用モデルの構築、経済産業省のEdTech導入実証事業や学びと社会の連携促進事業とも連携して、学校におけるICT環境の整備、ICT利活用を進めていくこととしています。
5.民間企業等からの支援協力の募集
将来のICT社会を創造していく子供たちに向けた社会貢献として、校内LANなど通信環境の無償提供、新品・中古を問わない十分なスペックの端末の学習者への提供、ICT支援員としての学校でICT利活用の人的サポートなど、民間企業等から学校ICT導入、利活用に対するあらゆる協力を募っていくこととしています。2月14日には、萩生田文部科学大臣と民間企業等との「GIGAスクール構想の実現に向けた意見交換会」を行い、萩生田文部科学大臣から直接民間企業等に対して、GIGAスクール構想の実現に向けた様々な協力を呼び掛けました。
これらの施策に加え、各自治体がより学校ICT環境を整備しやすくなるよう、文部科学省として更なる施策を講じてまいります。
(GIGAスクール構想の実現パッケージ)
https://www.mext.go.jp/content/20200117-mxt_jogai02-000003278_001.pdf

学校ICT活用フォーラムの開催
GIGAスクール構想の実現には、「ハード」だけでなく、「ソフト」「人材」が一体となって施策を推進していくことが必要です。また、各自治体の首長部局、教育委員会、学校、民間事業者など関係者が一丸となって取り組んでいくことが不可欠です。
Society5.0時代の学びの実現に向けて、全国各地での取組を加速化するため、本年1月15日~17日の三日間にわたり、文部科学省が主催する「学校ICT活用フォーラム」を東京と京都で開催しました。本フォーラムには、地方自治体の首長や教育長、教育委員会や首長部局の担当者など約1500名が参加し、先進的に取り組んでいる自治体による教育実践の講演や行政説明、企業等によるブース実演、先進的な学校の視察などを行いました。
以下、本フォーラムの概要について報告します。

萩生田文部科学大臣挨拶
フォーラムでは、開会に当たり萩生田文部科学大臣が挨拶を行い(京都会場はビデオメッセージ)、令和の時代の「スタンダード」である1人1台端末環境の整備に向け、ネットリテラシーなど子供たちの情報活用能力の育成にも留意しつつ、首長・教育長の下で、各自治体、学校、民間事業者など関係者が一丸となって、子供たちの学びを保障するために取り組んでもらいたいと期待を述べました。
※大臣挨拶はこちらから御覧いただけます。
https://youtu.be/PndDf5zsEm4

教育実践講演等
教育実践講演では、学校におけるICT活用を先進的に取り組んでいる、草津市教育委員会及び淡路市教育委員会(京都会場)、つくば市教育委員会及び戸田市教育委員会(東京会場)の4自治体が、授業での活用方法や教員研修等に関する教育委員会・学校の取組を紹介しました。(表①)講演では、実際に子供たちが授業でICTを活用して学んでいる姿を動画で見せながら解説を行うなど、まだICTを活用した教育にあまり馴染みがない自治体でも具体のイメージを持つことができる事例が数多く盛り込まれ、参加者からも「非常に参考になった」「自分の自治体でも取り入れてみようと思った」などの声が聞かれました。
また、経済産業省の浅野大介サービス政策課長・教育産業室長から、経済産業省が実施している「未来の教室」事業について、GIGAスクール構想の下での今後の展開が述べられました。

行政説明
行政説明では、文部科学省初等中等教育局の髙谷浩樹情報教育・外国語教育課長から、学校情報化のこれまでの動きと、GIGAスクール構想の実現に関する補助事業について、説明と質疑応答が行われました。参加者からは「国の本気度が伝わった」「他自治体との情報交換ができた」などの声がありました。

ブース実演
ブース実演では、総務省、(一社)教科書協会、OS3社(Apple、Google、Microsoft)及び経済産業省「未来の教室」事業者がブースを出展し、個別質問や実機の展示・実演などが行われました。参加者からは、「本当に4万5000円で端末が供給されるプランがあることが確認できた」「企業の担当者に詳しく話を聞くことができ参考になった」などの声が聞かれました。

学校視察
学校視察では、表②に記載している8校を希望者が訪問し、各自治体・学校の取組について説明を受けた後、実際に授業で子供たちがICTを活用して学ぶ様子を視察しました。参加者からは、「子供たち全員がタブレットを活用し、使いこなしている姿に驚いた」「ICT機器が整備されていれば、教師の活用も広がっていく。子供たちの成長は大人の予想を超えて進んでいくことが分かった」「授業の中での具体的な活用方法を知ることができた」「とてもためになった。教育委員会・管理職のリーダーシップが重要だと感じた」「このような視察の機会をもっと増やしてほしい」などの声がありました。

GIGAスクール構想の実現に向けた今後の検討課題
ハード・ソフト・指導体制の一体的充実
ICT活用の推進に当たっては、子供たちがICTを適切・安全に使いこなすことができるよう情報モラルなどの情報活用能力を育成していくことも重要です。また1人1台端末環境の整備と併せて、統合型校務支援システムをはじめとしたICTの導入・運用を加速していくことで、授業準備や成績処理等の負担軽減にも資するものであり、学校における働き方改革にもつながっていきます。
文部科学省としては、1人1台端末と高速大容量の通信ネットワークというハード面の整備に加えて、ソフト面、指導体制を一体とした教育改革に取り組んでまいります。
ソフト面の充実としては、デジタル教科書・教材など良質なデジタルコンテンツの活用を来年度から順次促進します。昨年12月に『教育の情報化に関する手引(令和元年12月)』を公表し、教科等ごとに、ICTを効果的に活用した学習活動の例を提示していますが、今後とも事例の収集・把握を行い、その普及に努めてまいります。そして先端技術を活用した実証を充実させ、来年度中に「先端技術利活用ガイドライン」を策定します。これらの取組により、デジタルならではの学びの充実を図ってまいります。
指導体制の充実としては、各地域の指導者養成研修の実施、ICT環境整備の加速とその効果的な活用を一層促進するためのICT活用教育アドバイザーの活用や学校における教員のICT活用をサポートするためのICT支援員の活用促進といった取組を行うことで、日常的にICTを活用できる体制を整えてまいります。

新しい時代の初等中等教育の在り方の検討
GIGAスクール構想は、新しい時代を見据えて、我が国の学校教育が何の実現を目指すのかといった全体像の中で考える必要があります。
Society5.0時代の到来といった急激な社会的変化が進む中、初等中等教育の現状及び課題を踏まえ、昨年4月に文部科学大臣から中央教育審議会に対し、「新しい時代の初等中等教育の在り方」について諮問がなされ、審議が進められています。
昨年12月には、中央教育審議会初等中等教育分科会において、これまでの審議を踏まえた論点取りまとめが行われました。この論点取りまとめでは、多様な子供たちを誰一人取り残すことのない、個別最適化された学びの実現や、全国津々浦々の学校における質の高い教育活動を実施可能とする環境整備に向け、これからの学びを支えるICTや先端技術の効果的な活用や、義務教育9年間を見通した教科担任制の在り方などについて、方向性を示すとともに、今後検討すべき論点が提示されています。
ICTや先端技術の活用に当たっては、ハード、ソフト一体となって国の取組を早急に進めていくとともに、教師の在り方や果たすべき役割、指導体制の在り方、ICT活用指導力の向上方策、先端技術の活用等を踏まえた年間授業時数や標準的な授業時間等の在り方、学年を超えた学び、デジタル教科書の今後の在り方等について、検討していくこととされました。引き続き、中央教育審議会において議論を進めていただくとともに、文部科学省としても、これらの検討も踏まえて必要な取組を進めてまいります。

関係者の皆様へのお願い
今回の補正予算による1人1台の端末環境と高速大容量の通信ネットワークの一体的な整備により、日本の学校教育は大きく変わります。平成の時代、ICT端末は「学校にあったらいいな」というものでしたが、令和の時代には「マストアイテム」であり、「スタンダード」です。各自治体におかれては、この機を絶対に逃すことなく、学校・教育委員会だけでなく、各自治体の首長、調達・財政・情報担当部局など、関係者が一丸となって、子供たち一人一人に公正に個別最適化し、資質・能力を一層確実に育成するための教育ICT環境の実現に取り組んでいただきますよう、お願いいたします。
(GIGAスクール構想について)
https://www.mext.go.jp/a_menu/other/index_00001.htm

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