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地方高校生の留学推進 ~ 都道府県別の留学率の差異を分析する~

文部科学省官民協働海外留学創出プロジェクトチーム

高校生の留学生を「倍増」させるという政府目標の達成に向けて、今後のカギを握るのは全国の地方自治体で留学機運を盛り上げ、支援体制を拡充すること。現状の都道府県別の留学状況はどうなっているのでしょうか。

文部科学省の官民協働海外留学創出プロジェクトチーム(PT)「トビタテ!留学JAPAN」は、高校生と大学生等の留学推進とともに、留学機運の醸成・拡大に向けて全国各地でPR・マーケティング活動を展開しています。特に近年、力を入れているのが高校生の留学拡大で、特に令和元年度からは地方自治体(特に都道府県の教育委員会等向け)で留学に対する機運を高め、支援の枠組みや留学プランづくりを支援する取組を強化中です。
というのも、第3期「教育振興基本計画」に盛り込んだ政府の数値目標(令和4年度=2022年度に日本人高校生の海外留学生6万人)に対して、首都圏や地方の大都市圏では大きな伸長がみられる一方で、地方自治体では横ばい、もしくは減少傾向にあるケースもあります。政府目標の達成に向けて「地方の高校生の留学推進」は欠かせない要素であり、トビタテPTとしても最も注力すべきポイントとして重要課題に据えています。
では、全国の都道府県別で高校生の留学率には、どの程度の差が生じているのでしょうか。
文部科学省総合教育政策局教育改革・国際課が令和元年8月に発表した「平成29年度 高等学校等における国際交流等の状況について」と題した調査結果を見ると、同年度に海外留学した高校生等は4万6869人となり、前回調査の平成27年度に比べて1万1027人増え、過去最高となりました。
高校生の留学率は全国平均で1.43%(前回は1.05%)となりましたが、都道府県別にみると、平均を上回ったのは大都市圏を抱える自治体を中心に16都府県だったのに対し、1%に達しない自治体も18道県ありました。

留学生数1位は東京都、率でトップは京都府
高校生の留学者数が最も多いのは、国内の自治体として最大の約31万7000人の高校生数を抱える東京都。留学した高校生数は短期(3か月未満)で5602人、長期(3か月以上)では1175人の計6777人となりました。2位は大阪府で短期4074人、長期455人の計4529人。3位は神奈川県で短期3117人、長期262人で3379人でした。以下、4位が愛知県、5位に兵庫県、6位に千葉県、7位に埼玉県、9位に京都府、10位に茨城県と、関東や関西、中部地区の大都市圏にある自治体が並ぶ結果となりました。
留学者数を、各都道府県内の高校生総数で割った比率で見るとどうなるでしょうか。これは生徒100人当たりの留学生割合と見ることもできます。
留学生の比率が最も高くなったのは京都府でした。高校生総数7万1596人に対し、短期・長期を合わせて2073人が留学しており、その比率は2.90%となりました。
2位につけたのは福井県。同県内の高校生数は2万2592人と都道府県別では42位ですが、このうち平成29年度は短期・長期の合計で654人が留学。2.89%と高比率となりました。福井県は平成27年度の前回調査でも、高校生の留学率が2.07%で都道府県別でトップでした。3位は滋賀県で2.55%、4位が東京都で2.14%となっています。

伸び率トップも京都府、2位に滋賀県
次に、前回の平成27年度調査と比較して、高校生の留学率の伸びをみると、どうなるでしょうか。
増減率が最も高かったのは京都府でした。前回の1.52%から2.90%へと1.38ポイントの上昇。2位は滋賀県で同1.21ポイント、3位の鳥取県は1.04ポイントと、それぞれ上昇しました。次いで長崎県、福井県、山梨県、広島県、鹿児島県、奈良県、新潟県など、増減率上位には大都市圏から離れた自治体も多くみられました。
他方で、増減率が前回調査より下落した自治体も3県ありました。

留学推進の取組は広がるも濃淡あり
自治体による様々な留学支援の拡充や、各都道府県の教育委員会を中心とした取組の強化は各地で盛んになってきています。平成29年度調査で各都道府県に対して「高校生の留学支援又は留学環境整備に関する取組」について実施状況を聞いたところ、実に46都道府県が具体的な取り組みを実施したと回答。ほぼ全ての都道府県が高校生の留学支援に乗り出していることが判明しました。
ただ、その取組への熱意は、現状では自治体によって濃淡があるのも事実でしょう。また、自治体によっては留学推進や支援を担当する国際理解推進の担当者(教育委員会の指導主事等)が1人ないし2人という自治体もあるのが現状です。
また、平成29年度の高校生留学者数が過去最高になったといっても、大学生(大学院生含む)の留学者比率が毎年3%超あるのに比べては、まだまだ低調です。大学生等の留学も、中国や韓国など他のアジア諸国・地域と比べて低いとされるのが現状です。
グローバルに活躍できる人材を輩出することの優先度が高まっています。高校生という、より若いうちに留学することで、世界に対する「目を開かせる」ことができるか――。グローバル人材の層を厚くするためにも、日本全国で高校生の海外留学をいかに増やすかは非常に重要な課題として浮上してきたといえるでしょう。

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