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国宝・重要文化財の防火対策について

文化庁 文化資源活用課
文化財第一課

防火設備等の緊急状況調査について
平成31年4月、フランスパリのノートルダム大聖堂で大規模な火災が発生し、世界的に貴重な文化遺産が焼損する大変残念なニュースに世界中の人々が胸を痛めました。我が国においても、昭和24年1月に、現存する世界最古の木造建造物とされる法隆寺金堂で火災が発生し、貴重な壁画が焼損したことから、火災など災害による文化財の危機を深く憂慮する世論が高まり、これを契機として昭和25年に文化財保護法が制定されたことを忘れてはいけません。
ノートルダム大聖堂での火災を受け、平成31年4月17日に文化庁長官から、文化財関係者に対して防火対策の徹底についての依頼を含む緊急コメントを発出するとともに、平成31年4月22日に「文化財の防火対策等について(通知)」を各都道府県の文化財部局あてに発出し、文化財の防火対策についての留意事項を周知するとともに、国宝・重要文化財の防火設備等の緊急状況調査を行いました。

防火設備等の緊急状況調査の結果
8月8日に公表した調査結果では、
・世界遺産又は国宝(建造物)の9割以上が(その全部又は一部を)木造で建てられたもので、これらの周囲の6割が木造密集地であるなど、火災の潜在的危険性が高いこと
・世界遺産又は国宝(建造物)の約2割で消火設備の整備・改修後30年以上経過し、老朽化による機能低下のおそれがあること(下図参照)
・美術工芸品の国宝を保管する博物館等では、多くの施設で消火設備等を設置しているが、約半数が30年以上経過し、老朽化による機能低下のおそれがあること
などが確認され、国宝・重要文化財について、周囲を含めた一体的な防火対策、消火設備等の適切な整備・更新、防火体制整備等の対応を採る必要があることが判明しました。

国宝・重要文化財の防火対策ガイドライン
文化庁では、国宝・重要文化財について総合的な防火対策の検討・実施に資するよう、消防庁、国土交通省と連携の下、「国宝・重要文化財(建造物)の防火対策ガイドライン」及び「国宝・重要文化財(美術工芸品)を保管する博物館等の防火対策ガイドライン」を作成し、令和元年9月2日に各教育委員会や文化財所有者等の関係者に周知しました。

「国宝・重要文化財(建造物)の防火対策ガイドライン」では、建造物固有の特性、敷地特性、立地特性、管理・活用実態ごとに、想定される火災リスク、火災リスクに対する基本的な考え方・点検項目、対応策をチェック方式で確認することができるような形式にしています。
また、「国宝・重要文化財(美術工芸品)の防火対策ガイドライン」についても、体制面や設備面の観点から、防火対策についての基本的な考え方に沿った対応がなされているかチェック方式で確認できるような形式にしています。

文化財の防火対策の徹底
今後は、本ガイドラインに基づき、世界遺産・国宝(建造物)及び国宝・重要文化財(美術工芸品)を保管する博物館等において整備等が必要となる防火設備等を緊急的に文化庁において把握し、文化財の防火対策について総合的かつ計画的な対応案を検討することとしています。
また、世界遺産・国宝(建造物)以外のすべての重要文化財(建造物)においても、文化財所有者をはじめとした文化財関係者が、本ガイドラインを活用した自主点検を行うことで、建造物の燃焼特性(ぜい弱性)を理解するとともに、防火設備等の整備、消防訓練の充実、その他の防火対策について検討・実施に繋げていくことが期待されます。

文化財は、火災等によりひとたび滅失・毀損すれば、再び回復することが不可能なかけがえのない国民全体の財産です。これらの財産を確実に次世代に引き継いでいくためには、常時から防火設備、消防訓練や防火体制の充実など、ハード・ソフト両面からの取組が重要です。文化庁としても、我が国の貴重な文化財の保護に万全を期していけるよう、技術面・財政面での支援をしっかりと行ってまいります。

(参考)
・防火設備等の緊急状況調査の結果
http://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/1420029.html
・国宝・重要文化財の防火対策ガイドライン
http://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/1420851.html

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