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外国人の受入れ・共生のための教育推進検討チーム報告
~日本人と外国人が共に生きる社会に向けたアクション~

(検討チーム事務局)文部科学省大臣官房国際課

外国人との共生社会に向けた検討を進めていくために、本年1月に、浮島智子文部科学副大臣を座長とし、文部科学省、文化庁の関係課から構成する「外国人の受入れ・共生のための教育推進検討チーム」を設置しました。本検討チームにおいて、視察、有識者ヒアリング等を重ね、6月17日に、今後重点的に進めるアクションを取りまとめました。文部科学省では、今後重点的に進めるアクションとして、外国人児童生徒等への教育の充実、外国人に対する日本語教育の充実、留学生の国内就職の促進・在籍管理の徹底を掲げ、関係局課が連携して施策を進めていくこととしています。

【報告の概要】
Ⅰ 検討の背景と経緯
近年、我が国に在留する外国人が増加していることに併せて、日本語指導が必要な児童生徒数及び、日本語学習者数は大幅に増加しています。また、深刻な人手不足を踏まえて入管法等が改正され、新たな在留資格「特定技能」が平成31年4月より創設されました。政府として、外国人材の適正な受入れ及び共生社会の実現するために「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」が策定されており、この総合的対応策には、外国人への日本語教育・外国人児童生徒等に向けた教育の施策が盛り込まれています。
文部科学省として、それぞれの施策の具体化を進めるため、省内に浮島文部科学副大臣を座長とする「外国人の受入れ・共生のための教育推進検討チーム」を設置し、平成31年1月から8回にわたり、有識者からの意見聴取や現地視察等を踏まえた検討を行いました。そして、6月17日に、今後重点的に進めるアクションを報告書に取りまとめました。

Ⅱ 基本的な考え方
(1)外国人との共生を進める意義
外国人は産業の担い手となるだけでなく、少子高齢化が進む日本社会においては、日本文化・地域活動の担い手となることも期待されます。また、彼らを通じて我が国に多様な価値観・文化がもたらされることは、日本人がグローバル社会で暮らしていく上でも役立ちます。さらに、日本の情報を世界に発信する上でも、日本を知る外国人の貢献が期待されます。
(2)外国人との共生に向けた取組の方向性
外国人の子供たちが、行政の狭間に取り残されることのないよう教育機会を確保し、日本語や社会習慣を身に付けるとともに、日本文化への理解を養うため、学校におけるきめ細かな指導体制を充実していくことがまず必要です。また、子供たちの母語・母文化などの継承に配慮するとともに、本人の希望と能力に応じて、日本社会へのスムースな移行を実現できる環境を整備していく必要があります。

Ⅲ 新たに取り組むべき施策
1.外国人児童生徒等への教育の充実
(1)学校におけるきめ細かな指導体制の更なる充実
文部科学省においては、公立学校における日本語指導が必要な外国人児童生徒等の教育環境整備を進めてきました。引き続き、公立学校における教員・支援員等の充実を進めつつ、教員の資質能力の向上、進学・キャリア支援の充実、障害を持つ子供を含むきめ細かな指導体制の更なる充実を図ります。具体的には、法律の規定に基づいて日本語指導に必要な教員定数を平成29年度から令和8年度までの10年間で、毎年度計画的に増員します。そして、各地方公共団体が実施する研修への指導者派遣等の仕組みを構築するなどにより、外国人児童生徒の指導に関する研修の機会を充実させます。また、散在地域においても、きめ細かな指導を行うため、多言語化に対応した翻訳システムや外国人児童生徒等にとっても利用しやすい教材の活用、遠隔教育の充実など、ICTを活用した支援体制を整備します。日本語指導だけでなく、キャリア教育等としては、外国人の子供の高校への進学状況、中退率、進路状況等について実態の把握を進め、中学校・高等学校において将来を見通した進路指導が提供されるよう包括的な支援を行います。
(2)地域との連携・協働を通じた教育機会の確保と共生
外国人の子供の就学実態を把握し教育の機会を確保するとともに、外国人学校、NPO等の地域における多様な外国人の子供の受皿と、教育委員会や学校の連携を促進し、共生社会の実現を図ります。具体的には、義務教育諸学校への多言語による就学案内を徹底し、学齢相当の外国人の子供の就学状況の把握を進め、就学状況の把握に係る課題の整理や好事例の収集を行います。また、異文化理解や多文化共生に資するため、外国人の子供が母語・母文化を学ぶ機会に配慮しつつ、放課後等においても地域住民等の参画を得ながら、日本語、日本文化への理解を得る機会を確保します。そして、夜間中学において生徒の約8割を外国人が占めている現状を踏まえ、自国や我が国において義務教育を十分に受けられなかった外国人の教育機会を確保するため、夜間中学の設置促進や教育活動の充実を図ります。
2.外国人に対する日本語教育の充実
日本語教育機会を確保するため、地方公共団体が関係機関等と有機的に連携し、国及び地方公共団体の総合的な体制づくり等、地域における日本語教育を推進していきます。また、日本語教育人材の質を向上するための研修・資格制度等の枠組み・支援策を整備し、安定的に人材が確保できる環境を実現するよう取り組みます。そして、日本語教室の設置が困難な地域に住む外国人のため、自主学習が可能となるよう、ICTを活用した日本語学習教材の開発・提供を進めつつ、教材の更なる多言語化(14言語)に向けた検討を進めていきます。併せて日本語教育全体の質の向上を図るため、「言語のためのヨーロッパ共通参照枠(CEFR)」を参考として、一般的な日本語教育の標準(日本版CEFR)の共通参照レベルと能力記述の策定を行います。また、留学生が急増している法務省告示日本語教育機関の質の向上に向けて、今後も法務省と連携し取り組んでいきます。
3.留学生の国内就職の促進・在籍管理の徹底
外国人留学生の国内企業等への就職につなげる仕組みを全国展開するべく、企業等と連携し外国人留学生の我が国での就職を促進するプログラムを認定します。このプログラムにおいて、大学と企業等が連携し、アーリーステージインターンシップや就職後のフォローアップの実施、外国人留学生が我が国での就職に必要なスキルである「ビジネス日本語」等を在学中から身に付ける教育プログラムの策定等を進めます。
留学生の在籍管理状況の迅速・的確な把握と指導の強化を行います。また、指導の結果、在籍管理の適正を欠く大学等については、改善が認められるまでの間、原則留学生の受入れを認めない等の在留資格審査の厳格化を図ります。

(参考)開催実績
第1回(1月16日)
・外国人の受入れ・共生のための教育推進検討チームの設置について
・文部科学省における現状の取組、検討事項について
・2019年度予算の効果的な実施について
第2回(1月25日)
・視察
大阪YMCA国際専門学校、大阪市立南小学校、大阪市立生野南小学校
第3回(2月19日)
・外国人児童生徒等への教育の充実に関する有識者ヒアリング
(外国人子供への日本語教育、外国人高校生支援、夜間中学)
 佐藤郡衛 明治大学国際日本学研究科特任教授
 角田 仁 東京都立一橋高等学校定時制課程主任教諭
 須田登美雄 東京都足立区立第四中学校教諭
・外国人児童生徒等の教育の充実に向けた取組について
第4回(3月13日)
・外国人児童生徒等への教育の充実に関する有識者ヒアリング
(障害のある外国人児童生徒等への教育、不就学の実態把握)
 神本 聰 愛知県教育委員会特別支援教育課課長補佐
 栗木健二 愛知県小牧市教育委員会学校教育課指導主事
 小島祥美 愛知淑徳大学准教授
・外国人の子供の就学の促進及び就学状況の把握等について
第5回(4月17日)
・日本語教育の充実に関する有識者ヒアリング
 西原鈴子 NPO法人日本語教育研究所代表理事
 田尻英三 龍谷大学名誉教授
 石井恵理子 東京女子大学教授
・日本語教育機関の日本語能力に係る試験の合格率の基準に関する有識者会議の報告について
第6回(5月22日)
・留学生の国内就職促進に関する有識者ヒアリング
 池田佳子 関西大学教授
 村上 健 立命館アジア太平洋大学事務局部長
第7回(5月27日)
・視察
JET日本語学校
第8回(6月17日)
・留学生の在籍管理について
・夜間中学の教育活動の充実について
・米国における外国児童生徒教育支援について
・取りまとめ

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