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有形文化財(建造物)の登録について

文化庁文化財第二課

文化庁では、国宝・重要文化財以外の有形文化財のうち、保存及び活用についての措置が特に必要とされるものについて、文部科学大臣が文化財登録原簿に登録する「文化財登録制度」による緩やかな保護措置を講じています。

文化庁では、国宝・重要文化財の指定のほか、文化財登録制度による登録を毎年行っています。3月18日に開かれた文化審議会文化財分科会において、新たに153件の有形文化財(建造物)を登録することとなりました。この結果、官報告示を経て、全国の登録有形文化財(建造物)は、12,274件となります。以下、今回登録された建造物の中から、特徴的な6件を御紹介します。

旧九段会館 1件
所在地:東京都千代田区
旧九段会館は、内堀通りに東面して建つ複合集会施設で、昭和初期の気風を伝える和風表現の近代ビルディングです。昭和御大礼記念事業の一環として、競技設計1等案をもとに軍人会館として建てられたもので、昭和9年(1934)に完成しました。鉄骨鉄筋コンクリート造4階建てで、通り沿いの外観は両端部に城郭風の重厚な入母屋造りの塔屋を戴く、いわゆる帝冠様式の威風堂々とした姿が特徴で、要所の装飾には当時流行の軽妙洒脱なアール・デコの手法を取り入れています。九段下の街路景観の象徴的存在です。

えちごトキめき鉄道二本木駅スイッチバック線雪囲い など7件
所在地:新潟県上越市
えちごトキめき鉄道二本木駅は、市南西部の山あいにある旧信越本線の旅客駅で、明治開業以来の姿をとどめる現役の鉄道駅施設です。県内で現存唯一のスイッチバック式の駅構造で、戦前に建設された駅舎やホーム上屋、地下通路など施設一式が残り、開業当初の駅施設の構成を今に伝えています。ホーム南方の本線脇にあるスイッチバック線の線路上には、古レールの骨格の外側に短冊状に縦板を張った全長112メートルに及ぶ長大な雪囲いを設置し、豪雪地帯に特化した独特な鉄道駅の景観を形成しています。

方広寺本堂 など22件
所在地:静岡県浜松市
方広寺は、市街北方の山中にある臨済宗方広寺派の大本山で、県内最大規模を誇る木造仏殿を擁する大寺院です。大正4年(1915)建立の本堂は、舞台状に張り出す高欄付きの縁側、入母屋造り桟瓦葺きの大屋根や三重の梁をもつ妻飾りなど、大本山の威容を存分に示しています。本堂の周辺には大庫裡や開山堂などの堂宇が建ち並び、壮大な景観を形成しています。境内には古典的な和様の構成を見せる三重塔や格式ある大本山の表構えを形成する山門など様々な建物が適所に配置され、近代的な整備が図られた寺院の様相を伝えています。

太郎坊宮阿賀神社本殿 など15件
所在地:滋賀県東近江市
市街西方の赤神山にある磐境信仰で知られる神社で、たろぼうさんの名で親しまれています。岩峰の僅かな平地に建つ入母屋造り、一間社の本殿は、要所に霊獣や植物の彫刻を備えるものの華美に過ぎず、丁寧なつくりの近世社殿です。本殿周辺は岩壁に張り出した舞台や拝殿、神楽殿が独特な社頭景観を形成しています。また、急峻な参道石段沿いには絵馬殿や長楽殿、永安殿など大型の社殿が建ち並び、近代に発展した境内の様相を伝えています。

松山城小天守 など9件
所在地:愛知県松山市
松山城は、別名「金亀城」と称される近世平山城で、城内には21棟の重要文化財が残されています。登録物件は、連立式天守の一角である小天守や隅櫓、多門櫓、門などで、昭和8年(1933)に焼失したものの、戦前に文部省が作成した図面をもとに、昭和42年(1967)に伝統木造により再建されたものです。重要文化財である天守の周りに建物をロの字形に配置する近世城郭中枢部の堅固な構えを今に伝えるとともに、市中心部にそびえ立つ城山山頂に多層建築が連なる荘重な景観を形成しています。

日本福音ルーテル久留米教会礼拝堂 など2件
所在地:福岡県久留米市
日本福音ルーテル久留米教会は、市中心部に建つプロテスタント教会です。礼拝堂は、ウィリアム・メレル・ヴォーリズの設計による質実剛健なつくりの教会堂建築で、大正7年(1918)に完成しました。煉瓦造、急勾配の東西棟の切妻造りで、東北隅にそびえる鐘楼の北面に玄関を設けています。外壁は煉瓦積みを現し、内部はシザーズ・トラスを用いて、柱のない開放的な空間としています。全体に簡明で装飾は少ないものの、合理的な平面構成や丁寧な仕上げに、ヴォーリズ初期の設計活動の特徴をよく示しています。

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