読み上げる

第22回文化庁メディア芸術祭受賞作品発表
~3月1日、東京・銀座で記者発表会開催~

文化庁参事官(芸術文化担当)付

第22回文化庁メディア芸術祭の受賞作品が決定し、平成31年3月1日に東京・銀座のGinza Sony Parkで記者発表会を開催しました。

チコちゃん等受賞者が駆け付け受賞作品発表
文化庁メディア芸術祭はアート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの4部門において優れた作品を顕彰するとともに、受賞作品の鑑賞機会を提供するメディア芸術の総合フェスティバルです。平成9年度(1997年)の開催以来、高い芸術性と創造性をもつ優れたメディア芸術作品を顕彰するとともに、受賞作品の展示・上映や、シンポジウム等の関連イベントを実施する受賞作品展を開催しています。
第22回文化庁メディア芸術祭の作品募集は、2018年8月1日に開始、10月5日をもって終了し、今回も多くの作品が寄せられ、応募総数は4384作品となりました。海外からは過去最多の101の国と地域から2453作品の応募がありました。また、アート部門の応募は過去最多の2501作品となりました。
各部門の審査委員による審査を実施し、高い芸術性と創造性を基準として、部門ごとに大賞、優秀賞、新人賞を選定。受賞作品を、功労賞と審査委員会推薦作品とともに2019年3月1日に発表しました。
記者発表会は銀座・数寄屋橋交差点、ソニービル跡地に昨年オープンしたGinza Sony Parkで開催。エンターテインメント部門大賞受賞の「チコちゃん」や、史上初の2部門同時受賞となった真鍋大度氏・MIKIKO氏等受賞者も駆け付け盛会となりました。
正午からは同じく数寄屋橋交差点前の新商業施設・東急プラザ銀座の屋外ビジョンで大賞作品を紹介。屋外ビジョンを背景に受賞者等のフォトセッションも実施しました。東京マラソンも開催された3月3日までの週末、昼夜連続で放映され、銀座に訪れた多くの人々の目に触れるかたちとなりました。
本稿では、発表された各部門の受賞作品及び功労賞についてお伝えします。なお、受賞作品展は6月1日(土)から、東京・お台場の日本科学未来館を中心に開催いたします。
受賞作品の詳細及び受賞作品展に関しては、以下のウェブサイトに情報を掲載しています。
[文化庁メディア芸術祭総合ウェブサイト]
http://festival.j-mediaarts.jp/

アート部門
大賞
『Pulses/Grains/Phase/Moiré』 古舘 健
300台を越えるスピーカーとLEDライトを使用した、大規模なサウンドインスタレーション。2018年1月から3月にかけて開催された「AOMORIトリエンナーレ2017」のプログラムの一つとして、青森公立大学国際芸術センター青森で初めて発表された。コンピューターで制御される自作のジェネレーターに接続されたスピーカーが、あらかじめプログラムされたそれぞれ個別のパターンで音を発生する。また、各スピーカーに付随するLEDライトも、スピーカーの発音パターンに合わせて同じタイミングで明滅する。各個のスピーカーは一定の規則にしたがった単純なクリック音とLEDの発光しか行わないが、それらが鑑賞者を囲うように壁面一体に設置され、音と光が重層的に合わさることで、複雑なレイヤーが存在する新たな音響環境を形成する。照明を控えた空間の中で、多様なパターンを持った音と光が複合して有機的な波のようになり、鑑賞者の視覚と聴覚に向かって次々と押し寄せることになる。これまでサウンドアートプロジェクト「The SINE WAVE ORCHESTRA」のメンバーとして、ミニマムな要素と特性を拡張させて複雑な音響現象をつくり上げてきた古舘健。本作は古舘による初のソロインスタレーションとして、その作家性と創作の志向が存分に発揮された。

優秀賞
『Culturing <Paper>cut』 岩崎 秀雄
『datum』 平川 紀道
『discrete figures』
真鍋大度/石橋 素/MIKIKO/ELEVENPLAY
『Lasermice』 菅野 創

新人賞
『SPARE (not mine)』 Jonathan Fletcher MOORE
『Total Tolstoy』 Andrey CHUGUNOV
『watage』 (euglena)

エンターテインメント部門
大賞
『チコちゃんに叱られる!』 『チコちゃんに叱られる!』制作チーム
何でも知っている5歳の女の子という設定のキャラクター「チコちゃん」が、素朴な疑問を明らかにしていく雑学クイズ番組。
「お別れするとき、手を振るのはなぜ?」「乾杯のときのグラスをカチン、なぜするの?」といった日常の中で生まれる疑問を、スタジオでお笑い芸人の岡村隆史やゲストに投げかけながら、専門家のインタビュー映像によって回答していく。
チコちゃんの着ぐるみは複数台のカメラで撮影された上で、放映時に頭部を3DCGのモデルに置き換える処理が行われている。置き換えられる頭部パーツは着ぐるみの頭部を精緻に3Dスキャンしたものであり、本当に着ぐるみの顔のパーツが動いているかのような表現を、目や口の形を自在に変えることで実現している。3DCGによる頭部パーツは、頭を突然大きくしたり、変顔をするなどのマンガ的な演出も可能にしており、チコちゃんというキャラクターが強い実在感をもって、スタジオでゲストと掛け合う様子が人気を博した。
番組ゲストが質問に答えられなかった際に、チコちゃんが頭を大きくしながら叱る恒例のセリフ「ボーっと生きてんじゃねーよ!」は2018年の新語・流行語大賞の候補に選出。世代を問わず広い支持を集めている。

優秀賞
『歌舞伎町 探偵セブン』 『歌舞伎町 探偵セブン』制作チーム(代表:加藤 隆生/西澤 匠/平井 真貴/堀田 延/岩元 辰郎)
『LINNÉ LENS』 LINNÉ LENS制作チーム(代表:杉本 謙一)
『Perfume×Technology presents "Reframe"』 Perfume+Reframe制作チーム(代表:MIKIKO)/真鍋大度/石橋 素
『TikTok』 『TikTok』Japanチーム

新人賞
『水曜日のカンパネラ『かぐや姫』』 水曜日のカンパネラ『かぐや姫』制作チーム(監督:山田健人)
『春』 大森 歩
『Pixel Ripped 1989』 Ana RIBEIRO / Carlo CAPUTO / Julia LEMOS / Leonardo BATELLI / William RODRIGUEZ

アニメーション部門
大賞
『La Chute』 Boris LABBÉ
ダンテ・アリギエーリの『神曲 地獄篇』に着想を得た短編アニメーション。墨汁と水彩絵具による約3,500枚の絵をデジタル編集し、そこに弦楽奏の断片的な響きと電子音によるオリジナルの音楽が重ねられる。シーンは前半の地上と天上、そして後半の地獄界とに大きく分かれる。種のようなものがあり、そこから根が伸びることで形づくられる地上では、植物と人間が互いの姿に変容しながら命が循環している。その上空では、鳥のようでもあり人のようでもある姿をした天の住人が渦を描いて舞っている。墨絵の白と黒を反転させることで独特の暗さを持つ画面の中、植物、人、天の住人の中心部では鮮やかな色が躍動し、生命力が表現される。やがて地上には、楽器のような道具や建物が現れる。中盤、天の住人が舞い降りて地上の住人と交わると巨人が誕生した。巨人は地上人を食べ、地上人たちは争い、世界の破壊が始まった。やがて天上人が地上に墜落し、地獄が誕生する。ルネサンス期のサンドロ・ボッティチェッリから、ピーテル・ブリューゲル1世、フランシスコ・デ・ゴヤ、ヘンリー・ダーガーまで、西洋美術史を彩る巨匠の作品を参照しながら、循環、変容、堕落と再生という壮大なテーマを描く。

優秀賞
『大人のためのグリム童話 手をなくした少女』 セバスチャン・ローデンバック
『ひそねとまそたん』 樋口 真嗣
『ペンギン・ハイウェイ』 石田 祐康
『若おかみは小学生!』 高坂 希太郎

新人賞
『透明人間』 山下 明彦
『Am I a Wolf?』 Amir Houshang MOEIN
『The Little Ship』 Anastasia MAKHLINA

マンガ部門
大賞
『ORIGIN』 Boichi
作品の舞台となるのは、あらゆる犯罪が流れ込む大都市となった西暦2048年の東京。そこでは限りなく人間に近い外見を持つ超高性能なAIを搭載したロボットたちにより、夜な夜な殺人が繰り返されていた。そんなロボットたちと敵対する主人公が、人間社会に溶け込むプロトタイプのロボット、オリジンである。オリジンは田中仁の名で世界企業AEEに入社し、自己のバージョンアップを繰り返しながら、科学者「父さん」につくられた兄弟ロボットたちと戦っている。オリジンは感情を持たずAIのプログラムに従って行動するが、彼の前に立ちはだかるロボットたちには感情が芽生えており、オリジンが理解できない復讐心により襲いかかってくる。生き残るために合理的な判断を続けるオリジンは、一方でいつか自分にも感情というものが生まれることを期待している。その二重性は、読み手に人間の持つ感情の由来や意味を問いかける重要な要素と言える。20kgを超える炭化タングステン超合金の日本刀を武器に、時には自らの身体の破壊を顧みずに敵に向かっていくオリジンの戦いを、細密な書き込みと高い画力により描写した。細部まで描き込まれたSF設定と、ハードボイルドな世界観が、読者を強く惹きつける。

優秀賞
『宇宙戦艦ティラミス』 原作:宮川 サトシ/作画:伊藤 亰
『凪のお暇』 コナリミサト
『百と卍』 紗久楽 さわ
『夕暮れへ』 齋藤 なずな

新人賞
『黄色い円盤』 黄島点心
『見えない違い — 私はアスペルガー』 マドモワゼル・カロリーヌ/原作:ジュリー・ダシェ/訳:原 正人
『メタモルフォーゼの縁側』 鶴谷 香央里

功労賞
文化庁メディア芸術祭では、第7回より日本のメディア芸術に大きく貢献した方に功労賞を贈呈しています。今回は以下の4名の方に贈られます。

池田 宏 アニメーション監督/アニメーション研究者

呉 智英 評論家

小池 一子 クリエイティブディレクター

三田村 畯右 筑波大学名誉教授

受賞作品展は新しいフェスティバルへ
6月1日(土)から16日(日)まで開催する受賞作品展は、東京・お台場を会場に新しいフェスティバルを構想しています。
受賞作品展示・関連イベントに加え、国内メディア芸術関連フェスティバル・企業等との連携プログラムなど、日本のメディア芸術振興の新しいプラットフォームとなることを目指す試みとなります。是非御参加ください。
[文化庁メディア芸術祭総合ウェブサイト]
http://festival.j-mediaarts.jp/

<音声トップページへ戻る>