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特集2
動画シリーズ:新学習指導要領が目指す外国語の授業改善

文部科学省初等中等教育局情報教育・外国語教育課 外国語教育推進室

外国語教育推進室では、文部科学省公式チャンネルであるYouTube mextchannelにおいて、新学習指導要領のポイント、授業改善のポイントを動画で公開しています。今号では、中学校外国語・高等学校外国語の授業改善に資する動画について御紹介します。また、中学校での指導にすぐに活用できる指導例を、文部科学省ホームページに公開し、現場の先生方を強力にバックアップしています。
~今回御紹介した「YouTube動画シリーズ」にはこちらからアクセス!~
https://www.Youtube.com/playlist?list=PLGpGsGZ3lmbCsze5PvMhQ1TS-jXEZKA4f

中学校では、自ら「言いたいことをどう表現するか」考えることが大切
茨城県下妻市立下妻中学校に御協力いただき、中学校学習指導要領のポイントを示す授業動画及び山田誠志教科調査官と木村涼子教諭との対談動画を収録・公開しました。

英語でやり取りできる生徒の育成を目指して
授業は、教科書を開かず、プロジェクターで投影した本日学習する教科書のページの挿絵と、その絵について説明する木村涼子教諭が話す英語を聞く活動で始まります。昔ながらの、「教科書の○ページを開きましょう」という指示に従い、教科書本文を読む活動ではありません。その後、木村教諭は、何人かの生徒を指名し、聞き取った情報について英語で確認していきます。指名された生徒も、何とか英語で答えようとすることが習慣となっており、英語の授業は基本的に英語で進行していくことが自然になっています。
こうした教師と生徒のやり取りを経て、この時間のメインの活動である、「willを使ったやり取り」が始まります。ここでも、かつての授業のように、「助動詞willは未来のことを表し、その直後には動詞の原形がきます。」と言った説明はありません。
生徒も、戸惑う様子はなく、「きっとこういう意味だろう。」「willを使えばいいんだな。」などと、推測しながら、自分の言いたいことを考え、「間違えてもよいから、まず口に出してみよう。」という姿勢がうかがえます。生徒はペアになり、お互いの週末の予定について、その理由を含めたやり取りを笑顔で行うことができました。

本時のねらいについて(対談動画より)
聞き手:今回の授業に当たり、先生がねらいとしたことは何ですか。

木村教諭:助動詞willを使い、これからしようとすることを友達とやり取りできるようにすることをねらいの一つとしました。生徒が自分の考えを友達とやり取りし、情報を交換できるように、工夫をしました。具体的には、生徒の生の声、自然な表情がたくさん生まれるような授業にしたいと日頃から考えています。

生徒が本当に言いたいことを言わせる授業が大切
聞き手:授業を振り返って、率直な感想を聞かせてください。

木村教諭:今回の授業では、これまでの授業と大きく変えたことがあります。それは、「文法などの学習事項を繰り返し練習し、指導する授業をテンポよく行う」ことから、「生徒の意見を引き出すために、言いたいことをじっくり考えさせる時間を与える」ことに変化させたことです。今までは、定型文を機械的に覚えさせることを目標とした指導により文法等を暗記させ、モデル会話を繰り返し練習してできるようにすることで、教師自身も安心している部分がありましたが、それでは、生徒が本当に言いたいことをやり取りすることはできないということに改めて気付かされました。
教師が対話をコントロールせずに、生徒に任せると、こちらが想像もつかないことを、子供たちは何とか英語を使って表現しようと努力します。最初は子供たちも戸惑っていましたが、今では、対話を楽しみながら、自然に英語を使うようになっています。

高等学校では、生徒の将来を見据えたチームでの授業設計を
高等学校における学習指導要領のポイントについて、立教大学松本茂教授のインタビュー動画を収録・公開しました。

外国語を学ぶことで人生を豊かに
聞き手:グローバル化が進み、また社会の変化の予測がつきにくい時代に、どのような資質・能力を育成することが重要になるでしょうか。

松本教授:これからの時代、基本的にすべての子供たちにとってグローバル化はますます重要になると思います。外国の方と仲良く、軋轢のない社会を作るためのグローバルマインドを持つために、外国語を学習するという体験は非常に重要です。また、外国語ができることによって、経済的な豊かさだけではなく、自分の人生が精神的にも豊かになるということを生徒たちには体験してもらいたいと願っています。英語を公用語の一つとする日本の企業も増えてきているので、今よりも外国語の力が必要になると思います。

授業で生徒が英語に触れ、使う機会を増やす
聞き手:前回の高校学習指導要領改訂のときから授業は英語で行うことを基本とするということを入れました。これについてはどのようなことがポイントになるとお考えでしょうか。

松本教授:基本的には生徒がたくさんの英語を使って授業をコミュニケーションの場とするというのが重要です。教師がずっと英語をしゃべっているのを想定しているわけではなく、生徒が家庭で準備してきたことを授業中に他の生徒とやり取りをする、発表する、質疑応答をするなどの活動で英語を使う場面を増やしてくださいということが趣旨だと考えます。教師が英語で文法の説明をするとか、問題演習を教師が英語で指示するということではなく、授業を通して、生徒が英語に触れる機会を増やすということがポイントということです。

学校が目指す教育の共有と指導方法の継承がカギ
聞き手:チームとしての学校という観点からも英語教育についてヒントをいただけますでしょうか。

松本教授:一つは、やはり校長先生をはじめとした管理職がどういう教育を目指すのかということについて、はっきりと提示してほしいということです。もう一つは、英語科の教師の足並みが揃わず、ばらばらでチームになっていない状況の改善です。同じ高等学校の英語教師が、多少の個性の違いはあれど、基本的には、扱う教材、授業のペース、評価方法、授業のスタイルを揃えて実施できるように、求めるべき学習の成果や「英語を使って何ができるようにするか」という学習到達目標を設定することが大切です。

生徒の将来を見据えた長期的な視野で授業設計を
聞き手:それでは最後に高校の先生方に何かメッセージを頂ければと思いますが、いかがでしょうか。

松本教授:高校の先生方は本当に大変だと思います。朝から晩まで働いていますし、敬服するばかりですが、やはり生徒が40歳50歳になったときにどういう社会になっていて、そのときにどういう英語が必要なのかということを是非考えてほしいと思います。もちろん近々には大学入試というのがあるかもしれませんが、その先を見据えてどういう人になってほしいか、どういう力をつけてほしいのか、そのためには今の高校の英語教育はどうあるべきなのかという、長いスパンで考えてほしいと思います。大学入試を体験しないような生徒さんが多い学校においても同様で、社会に出てから英語ができればより良い仕事や、より良い貢献ができるというような発想で、何年かしたらこんなことをしてもらいたいな、あんなことをしてもらいたいなということを考えて授業設計をしていただきたいと思います。

高等学校は、統合的な言語活動の充実がポイント
茨城県立取手第一高等学校及び千葉県立松戸国際高等学校に御協力いただき、新学習指導要領の趣旨を踏まえた授業の様子と、授業者へのインタビューを公開しています。(聞き手:下山田芳子教科調査官)

授業展開例 1
千葉県立松戸国際高等学校 安斎 祐介 教諭
安斎教諭は、日常的な話題について、使用する語句や文を示しながら、情報や考え、気持ちなどを話して伝え合うやり取りをする指導を継続しています。
また、「読むこと」の活動を踏まえた「話すこと」の活動では、課題の遂行に当たって生徒がどの程度自分の力で対処できるか、どのような配慮があれば課題を遂行できるかなどを考慮しています。生徒がグループワークを行っている途中で、各グループの生徒とやり取りをしながら、要点をつかめているかを確認することで、生徒が内容を理解するための援助を行っています。また、グループワークの後にはペアで伝え合う活動を行い、生徒が発話する機会を増やすなど、学習形態について適宜工夫しています。

授業展開例 2
茨城県立取手第一高等学校 花沢 典行 教諭
本時は「仮定法過去」を扱う授業ですが、用語や用法の説明から入るのではなく、授業の一週間後に控えた修学旅行を取り上げるなど、生徒の興味を引く話題を選びながら、意味のある文脈でのコミュニケーションの中で取り扱ったり、既習事項との違いに気づかせたりして学習を進めていきます。
さらに、活動を行う前に評価の規準を提示することで、どこに気を付けて活動に取り組めばよいのか生徒自身が把握し、自律的な学び、主体的な学びを促しています。また、英語の授業を通して英語力を伸ばすことはもちろん、ミスを恐れずにチャレンジする姿勢や他者の意見を受け入れる姿勢、仲間と協力する姿勢を養うことを重視しています。

中学校学習指導要領の移行期間における教師用指導資料を公開
文部科学省では、学習指導要領、解説に書かれている理念、ポイントを具体化した授業が全国の学校で広く展開されていくことを目標とし、今回御紹介した動画シリーズをはじめ、様々な方法で先生方を力強く支援してまいります。
この度、中学校の授業改善に資する指導資料を文部科学省のホームページにアップしました。

小中接続に係る、中学校1年生4月の指導例
小学校での学習内容が増加することを踏まえ、中学校では、特に入学直後の段階において、小学校での学習事項を生かした指導を行うことが求められています。
そこで文部科学省では、中学校の教科書の学習に入る前の段階を想定した、12時間分の指導例を公開しました。
指導例の作成に当たっては、
○現在小学校で使用されているWe Can!に準拠
○We Can!のデジタル教材や言語活動等を再利用
○授業で使用するワークシートの一部を提供
○アルファベットの読み・書きについても、改めて丁寧に指導
の四つの項目を大切にしています。

帯活動に係る、中学校1~2年生用の指導例
小学校の外国語科の授業では、簡単な表現を用い、互いの考えや気持ちをやり取りする活動(Small Talk)を取り入れています。中学校でもこの活動を継続し、新学習指導要領で新たに取り入れられた話すこと[やり取り]の言語活動が、すべての中学校で積極的に行われるようにすることを目的とし、10分程度で実施できる活動例を公開しました。
指導例の作成に当たっては、
○身近な話題で、考えや気持ちがやり取りできる
○対話を継続させる表現が身に付けられる
○語彙の増加に対応できる
○活動→指導→活動の学習プロセスが定着する
の四つの項目を重視しています。

今後も、ホームページ上に参考資料を継続して公開
小学校学習指導要領の全面実施を翌年に、中学校学習指導要領の全面実施を2年後に控え、全国の小学校及び中学校では、スムーズな移行に向けた準備が進んでいます。文部科学省としても、先生方を強力にバックアップできるよう、今回御紹介した動画資料や指導例の公開などを、今後も継続してまいります。
また、全国の都道府県等指導主事が集う連絡協議会での最新情報の周知、教科調査官の全国での講演や講義での伝達などの機会も活用し、すべての学校で、授業改善が進んでいくように努めてまいります。

★今回御紹介した指導資料は、コチラ!
http://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/gaikokugo/1414459.htm
「文部科学省」「中学校外国語」「移行期間」「指導資料」で検索!
★コチラで、外国語教育全般の情報をゲット!
http://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/gaikokugo/index.htm
「文部科学省」「外国語教育」で検索!

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