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総合的・一体的なスポーツ行政の推進

スポーツ庁

Ⅰ ラグビーワールドカップ2019、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた取組
1 ラグビーワールドカップ2019について
いよいよ本年、2019年9月20日から、アジア地域で初となるラグビーワールドカップが日本で開催されます。ラグビーワールドカップ2019では20チームが参加し、9月20日に東京スタジアムで開催される開幕戦(日本対ロシア戦)から11月2日の横浜国際総合競技場での決勝戦を迎えるまで、予選プール40試合、決勝トーナメント8試合の計48試合の熱戦が日本国内12か所の開催都市で繰り広げられます。
大会に向けた準備や気運の醸成に向けては、これまで政府としても、主催者であるラグビーワールドカップ2019組織委員会や開催自治体を支援してきました。
まず、平成28年2月には、「ラグビーワールドカップ2019の準備及び運営に関する施策の推進を図るための基本方針」を関係府省庁の申合せにより策定し、同年12月にはスポーツ庁及び総務省において「ラグビーワールドカップ2019における地域交流推進要綱」を策定し、開催自治体又は公認キャンプ候補地自治体が行う地域交流及び施設改修等に対して地方財政措置を講じることを決定しました。平成29年4月には公認チームキャンプ候補地が決定し、平成29年6月から地域交流の取組の支援のための地方財政措置の公募が行われ、平成30年度末時点で50自治体100件を当該措置の対象として決定しました。各地域において大会参加国・地域の人々との交流が実施されています。
決勝戦の2年前に当たる、平成29年11月2日には全試合日程が発表され、日本代表は2019年9月20日に東京スタジアムで開催される開幕戦を皮切りに静岡、愛知、神奈川で予選プール戦を行います。また、平成30年1月より順次チケットが販売されており、一生に一度のチャンスとなる最後の一般販売は本年5月から開始される予定です。
大会開催にむけての機運を高めるために、平成29年9月20日から11月4日まで46日間の期間において2年前イベントが全国各地で開催されました。オープニングセレモニーでは、東京の渋谷109で、優勝トロフィー「ウェブ・エリス・カップ」が一般公開となりました。平成30年9月20日には、秋篠宮殿下が本大会の名誉総裁に御就任されました。また、明治記念館で大会1年前イベントが開催され、鈴木スポーツ庁長官を始め、ワールドラグビーのボーモント会長、大会PRキャプテンの館ひろし氏やゲストの櫻井翔氏らが出席し、大会機運の醸成が図られました。スポーツ庁では、平成24年度より、ラグビーワールドカップ2019に向け、国民のラグビー競技に関する認知度・関心度を高めるため、「タグラグビー(ラグビーからタックルなどの接触プレーを排したボールゲーム)」指導者研修大会の開催、「放課後ラグビー教室」の実施など、幅広い層へのラグビー競技の普及や指導者の養成に加え、ラグビーを通じた国際交流にも取り組んでいます。
本年1月には大会成功に向けて、重要なスタッフであり、各地域の担い手ともなるボランティアが決定されるなど、大会開催に向けた準備が着実に進められています。
今後、開催自治体、公益財団法人ラグビーワールドカップ2019組織委員会、公益財団法人日本ラグビーフットボール協会等と更に連携し、大会の成功に向けて取り組んでいきます。

2 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会等に向けた取組について
平成25年9月の国際オリンピック委員会(IOC)総会において、2020年オリンピック・パラリンピック競技大会を東京で開催することが決定しました。
文部科学省としては、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、「2020年東京大会」という。)を、日本社会を元気にする契機とするだけでなく、大会開催の効果を全国に波及させるため、オリンピック・パラリンピック・ムーブメントの推進や、スポーツを通じた国民の健康増進、スポーツの成長産業化、我が国の文化の魅力を国内外に積極的に発信する文化プログラムの実施など、様々な取組を展開しています。
①オリンピック・パラリンピック教育の推進
2020年東京大会を契機に、国民一人一人がスポーツの価値やオリンピック・パラリンピックの意義に触れることで、スポーツの価値を再認識し、多くの方がスポーツに親しむようになることは大会のレガシーの一つとして重要です。
また、平成27年11月に閣議決定された「2020年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会の準備及び運営に関する施策の推進を図るための基本方針」においても、次世代に誇れる有形・無形のレガシー(遺産)を全国に創出することとされており、スポーツ庁では、オリンピック・パラリンピック教育をこのレガシー創出の重要な取組の一つとして推進しています。
平成27年2月にはオリンピック・パラリンピック教育を推進するための方策等について、有識者会議を設置し、平成28年7月に「オリンピック・パラリンピック教育の推進にむけて」として最終報告を取りまとめました。
また、平成27年度から、オリンピック・パラリンピック教育の推進のための効果的な手法に関する調査研究事業として、大学が研究拠点となり、宮城県・京都府・福岡県の3府・県において初等中等教育機関等と連携した実践的な取組を開始しました。
平成28年度からは、オリンピック・パラリンピック・ムーブメント全国展開事業を実施しており、平成29年度は全国20の府・県・政令市で、平成30年度は全国34の道・府・県・政令市で事業が展開されています。なお、平成29年度からは全国中核拠点である筑波大学、日本体育大学、早稲田大学のほか、東京都や東京2020組織委員会、JOC、JPCなどと意見を共有する場を設け、ここで出た意見を地域拠点に還元することで充実した取組ができるように努めています。
さらに、平成29年11月から平成30年2月にかけて、全国の小学生による2020年東京大会の大会マスコット投票が行われました。大会マスコット投票への参加は、子供たちが直接大会に参加できる貴重な機会であることから、スポーツ庁としても投票を通じて、オリンピック・パラリンピックの理念や大会マスコットの持つ役割について理解を深めていただけるよう指導案を作成し、全国の小学校に配布しました。選ばれたマスコットの名前は平成30年7月に「ミライトワ」と「ソメイティ」に決定しました。
クラスで一つのマスコットを選ぶ活動を通じて、2020年東京大会への参加意識を啓発し、オリンピック・パラリンピックへの関心が一層高まることを期待しています。
2020年に向け、今後ともこのような全国的な取組を更に拡大していきます。
②ホストタウンの推進
政府では、2020年東京大会の開催という機会を国全体で最大限活かし、全国津々浦々にまで大会の効果を行き渡らせ、地域活性化につなげていくことを目指しています。
特に、大会の開催により多くの選手・観客等が来訪することを契機に、地域の活性化等を推進するため、大会参加国・地域との人的・経済的・文化的な相互交流を図る地方公共団体を「ホストタウン」として、全国に広げるための取組を進めています。
2019年2月28日には、ホストタウンの第12次登録団体を公表し、登録数は309件となりました。
2020年東京大会に向けて、今後も取組の推進が期待されています。
③新国立競技場の整備
2020年東京大会のメインスタジアムとなる新国立競技場については、世界の人々に感動を与える場となるよう、「アスリート第一、世界最高のユニバーサルデザイン、周辺環境等との調和・日本らしさ」を基本理念として、大会に確実に間に合うよう着実に整備を進めることとしています。2019年4月現在、全体工期36か月の約8割が進み、2019年11月末の完成に向け着実に整備を推進しています。

Ⅱ スポーツ庁が重点的に取り組む施策
スポーツ庁では第2期スポーツ基本計画の趣旨を踏まえ、国際競技力の向上はもとより、スポーツを通じた健康増進、地域・経済の活性化、国際交流・協力、障害者スポーツの振興、学校体育の充実など、関係省庁や民間企業と一体となってスポーツ行政を総合的・一体的に推進しています。

1 スポーツを通じた健康増進について
スポーツ基本法の前文で、「スポーツは、心身の健康の保持増進にも重要な役割を果たすものであり、健康で活力に満ちた長寿社会の実現に不可欠」であると規定されているとおり、我が国の国民医療費が年々増加傾向にある中、運動・スポーツを実施することによる効果として、健康増進、健康寿命の延伸が注目されるようになってきています。
スポーツを通じた健康増進を図っていくためには、国民全体のスポーツへの参画を促進するとともに、国民の誰もが、いつでも、どこでも、いつまでもスポーツに親しむことのできる環境整備が必要です。
このため、スポーツ庁では、地方公共団体におけるスポーツを通じた健康増進に関する施策を持続可能な取組とするため、域内の体制整備及び運動・スポーツに興味・関心を持ち、習慣化につながる取組を推進しています。
また、特に20代から50代では、他の世代に比べてスポーツ実施率が低い状況になっていることから、官民連携により、忙しいビジネスパーソンでも通勤時間や休憩時間等を活用して気軽に運動・スポーツに取り組める環境を整備しています。その取組の一環として、通勤時間などを利用してビジネスパーソンに気軽に歩いてもらい、健康増進につなげていただく『FUN+WALK PROJECT』を推進しています。好きなこと、楽しいことと「歩く」をつなげることで、歩くことをもっと楽しく、楽しいことをもっと健康なものに変えていくことを促しています。
また、昨年9月には、「スポーツ実施率向上のための行動計画」を策定しました。本行動計画は、一人でも多くの方がスポーツに親しむ社会の実現を目的としており、生活の中に自然とスポーツが取り込まれている「スポーツ・イン・ライフ」(生活の中にスポーツを)という姿を目指しています。本行動計画に位置付けた施策の着実な推進に向けて取り組んでいきます。

2 学校体育・運動部活動について
平成29年に小学校及び中学校、平成30年に高等学校の新学習指導要領が公示され、小学校は2020年度、中学校は2021年度から全面実施され、高等学校は2022年度入学生より年次進行で実施されることとなっています。体育科・保健体育科では、心と体を一体として捉え、生涯にわたって心身の健康を保持増進し、豊かなスポーツライフを実現するための資質・能力を育成することを目指しています。その中で、小学校から高等学校までを見通して、指導内容の系統化や明確化を図っています。スポーツ庁では、学習指導要領の改訂の趣旨を踏まえ、学校において体育科・保健体育科の指導の充実を図るため、今後、全国都道府県・指定都市教育委員会の学校体育を担当する指導主事向けの研究協議会や実技研修会等の開催を通じて、学習指導要領の趣旨の徹底を図ることとしています。また、これまでに作成した映像による参考資料等や全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果の学校等での活用も推進していきます。
学校における体育活動の安全確保については、死亡事故や重大な事故などの事例を分析し、基本的な安全対策についてまとめた「学校における体育活動中の事故防止について(報告書)」の内容を映像によって示した資料を作成して全国の小中高等学校等に配布しています。2019年度も引き続き教育委員会や大学、スポーツ団体、医療機関などの関係者間において事故防止のための最新の知見や事例等に係る情報を共有し、全国各地で協議を行うこととしています。
運動部活動については、生徒にとって望ましいスポーツ環境を構築する観点に立ち、生徒がスポーツを楽しむことで運動習慣の確立を図り、生涯にわたって心身の健康を保持増進し、豊かなスポーツライフを実現するための資質・能力の育成を図ること等を重視して、地域、学校、競技種目等に応じた多様な形で最適に実施されることを目指すため、平成30年3月に「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」を策定しました。
本ガイドラインは、義務教育である中学校段階の運動部活動を主な対象(高等学校段階においても原則適用)とし、
1 適切な運営のための体制整備
2 合理的でかつ効率的・効果的な活動の推進のための取組
3 適切な休養日等の設定
4 生徒のニーズを踏まえたスポーツ環境の整備
5 学校単位で参加する大会等の見直し
について、学校や学校の設置者、地方公共団体、スポーツ団体が取り組む内容を示しています。
今後も、本ガイドラインの周知徹底を図るとともに、先進的な取組事例に関する実践研究の実施等、運動部活動改革を進めてまいります。

3 大学スポーツの振興について
スポーツ庁においては、大学が持つ人材育成機能、スポーツ資源(部活動指導者、学生・教員、スポーツ施設)は大きな潜在力を有している一方で大学スポーツ先進国と比較して、十分にその潜在力を生かし切れているとはいえないという現状認識に基づき、大学スポーツの振興に係る検討を行うため、平成28年4月に文部科学大臣の下に、「大学スポーツの振興に関する検討会議」を設置し、議論を重ねてきました。
平成29年3月に公表した本会議の最終とりまとめにおいては、大学スポーツの振興に向けて、大学トップ層の理解醸成、スポーツマネジメント人材の育成、各大学のスポーツ分野の取組を戦略的、一体的に行う部局の設置や、大学スポーツ振興の資金調達力の向上等が重要であるとの方向性が示されました。また、大学横断的かつ競技横断的統括組織(日本版NCAA)については、平成30年度中の創設を目指すことが記されました。
従来からの検討を踏まえ、昨年度は、大学と競技団体が中心となり組織設立に向けて具体的な準備を進める「設立準備委員会」が開催され、10月には、組織の正式名称が「一般社団法人大学スポーツ協会(Japan Association for University Athletics and Sport(略称:UNIVAS))に決定されました。そして、2019年3月1日に新組織が設立されました。今後、UNIVASにおいて、大学スポーツの振興に向けた各種取組が展開されることとなります。
また、第2期スポーツ基本計画や未来投資戦略2017においては、今後5年間で、学内のスポーツ活動の企画立案、コーディネート、資金調達等を担う大学スポーツアドミニストレーター(SA)を配する大学を100大学にするという目標が掲げられており、「大学スポーツ振興の推進」事業において、平成30年度は15大学を選定し、スポーツ分野を一体的に統括する部局やSAの設置や、大学スポーツにおける先進的なモデル事業を進めています。
スポーツ庁においても、UNIVASの活動支援やSAの設置の促進等、引き続き、大学スポーツ振興のための事業を進めてまいります。

4 障害者スポーツについて
スポーツ基本計画の主な目標の一つに、スポーツを通じた共生社会の実現があります。このためには、多くの障害者がスポーツに親しめる環境を整備することにより、障害者スポーツの裾野を広げていくことが重要です。
このため、各地域における課題に対応して障害者スポーツの振興体制の強化や身近な場所でスポーツを実施できる環境を整えるとともに、障害者スポーツ団体と民間企業とのマッチング等により障害者スポーツ団体の体制の強化を図り、他団体や民間企業と連携した活動の充実につなげる取組を進めています。さらに、2019年度から、スポーツ車いす、スポーツ義足等の地域の障害者スポーツ用具の保有資源を有効活用し、個人利用を容易にする事業モデル構築の支援を実施することとしています。
また、2020年東京大会のレガシーとして全国の特別支援学校でスポーツ・文化・教育の祭典が実施されるための「Specialプロジェクト2020」や、特別支援学校を地域の障害者スポーツの拠点として活用する取組を実施しています。

5 スポーツの成長産業化について
スポーツ産業の活性化による収益をスポーツ環境の充実に還元し、スポーツ人口の拡大へとつながるスポーツの自律的好循環を生み出していくことが重要です。
このため、平成30年6月に閣議決定された「未来投資戦略2018」でも、「スポーツ市場規模を2020年までに10兆円、2025年までに15兆円に拡大することを目指す」こと及び「全国のスタジアム・アリーナについて、多様な世代が集う交流拠点として、2017年から2025年までに20拠点を実現する」ことが目標として掲げられました。
スポーツ庁では、①スタジアム・アリーナ改革の推進、②スポーツ団体の経営力強化、③スポーツの場におけるオープンイノベーションの推進、④スポーツ指導者スキルとスポーツ施設のシェアリングエコノミーの推進等の施策に取り組んでいます。
「観るスポーツ」のためのスタジアム・アリーナは、地域活性化の起爆剤となる潜在力の高い基盤施設です。その潜在力を最大限発揮させるには民間活力の活用が必要であることから、平成29年6月に、スタジアム・アリーナ改革全体の方向性や国内外の先進事例などをまとめた「スタジアム・アリーナ改革ガイドブック」を公表しました。平成30年12月には、スタジアム・アリーナの持続的な運営・管理に必要な事項等を新たに盛り込んだ「スタジアム・アリーナ改革ガイドブック(第2版)」を公表しました。あわせて、国の支援に係る一元的な相談窓口の設置(相談窓口URL:http://www.mext.go.jp/sports/b_menu/sports/mcatetop02/list/detail/1406525.htm)や専門家派遣等を通じて、先進事例の形成に取り組んでいます。今後も必要な情報提供や各地域で進む先進的な取組を支援することにより、スタジアム・アリーナ改革を推進していきます。
また、スポーツ団体が、ガバナンスの確保やスポーツを通じた社会課題の解決といった社会的な要請に応えていくためには、収益の向上など安定的な経営基盤の確立が必要です。一方で、スポーツ団体では、経営人材の育成や流動の仕組みが十分でないなどが要因で、専門性(財務、IT等)や国際的な視野のある人材、またそれらの人材を総合的にマネジメントする経営人材が不足している状況にあります。このため、スポーツビジネススキルも身につけることができる学科(スポーツMBA)の創設や、外部人材の流入促進に向けた検討を行うとともに、中央競技団体における中期事業計画の策定支援を進めることにより、スポーツ団体の経営力強化を図っていくこととしています。
さらに、スポーツ成長産業化の基盤を形成するため、スポーツ界がオープンになり、スポーツの場におけるオープンイノベーションを推進し、スポーツへの投資促進やスポーツの価値高度化を図ることが必要です。その実現に向けて、スポーツ界が有するデータ・権利・施設等の多様なリソースと他の産業や学術機関等が有する技術・ノウハウ等のリソースとの融合を促し、新たな財・サービスの創出を促進するスポーツオープンイノベーションプラットフォーム(SOIP)の構築を推進しています。2019年1月に企業や研究者、スポーツ団体等が一堂に会するカンファレンスを開催し、現場レベルでの人的交流を促しました。平成30年度の取組に加え、関係団体等との連携強化を図るとともに、ピッチイベントの開催やアワードの付与など、イノベーションが加速するような実証・事業化を支援していきます。
加えて、スポーツ分野におけるシェアリングエコノミーを普及していくことは、スポーツ指導者と施設の稼働率・収益性を高め、スポーツ市場を拡大するとともにスポーツ実施率向上にも資する可能性があります。そのため、平成30年6月からモデル形成に向けた実証事業を行うとともに、推進に向けたガイドラインを作成するための検討会を開始し、関係者へのヒアリング等を通じて、スポーツ分野特有の課題抽出を行い、ガイドライン骨子をとりまとめました。今後、スポーツ分野におけるシェアリングエコノミーを推進していくため、先行するモデル事業を支援するとともに、2次利用を目的とした施設や指導者などのデータのオープン化を進めていきます。

6 スポーツを通じた地域活性化について
スポーツを通じた地域活性化を図る上では、地域の特色を活用したスポーツツーリズムの推進等を図ることが重要と考えられることから、スポーツを資源として地域活性化に取り組む「地域スポーツコミッション」が行う、多数の参加者が見込めるスポーツイベントの開催、多数の観衆が見込める大規模な大会の誘致、スポーツ合宿やキャンプの誘致等による、地域活性化を図る取組に対し、平成27年度より支援を行っています。
また、平成29年度より、スポーツツーリズムを広く国民にレジャーとして定着化させるため、「スポーツツーリズム・ムーブメント創出事業」を開始しました。平成30年3月にとりまとめた「スポーツツーリズム需要拡大戦略」に基づき、平成30年度は我が国のスポーツツーリズムの魅力を発信する動画を作成し配信しました。配信後2か月で560万回以上視聴されており、国内のみならず海外でも関心が高いことが分かりました。
2019年度も、スポーツツーリズムのムーブメント創出に向けて各種施策を展開していきます。
また、スポーツ庁・文化庁・観光庁の三庁連携施策の一つである「スポーツ文化ツーリズムアワード」について、平成30年度は好事例と今後有望な事例の発掘のため「マイスター部門」、「チャレンジ部門」に分けて募集し、その中から合わせて五つの取組を1月に開催した「第3回スポーツ文化ツーリズムシンポジウム」の中で3長官が表彰しました。
さらに、あらゆるスポーツシーンを支えるスポーツ施設が適切に整備・管理・運営されていくことも重要です。安全で魅力的で、多様な利用が可能となるスポーツ施設が、持続的に地域に存在していくための施策を展開しました。
今年度も引き続き、これらの取組を続けてまいります。

7 スポーツを通じた国際交流・協力について
スポーツの持つ価値を共有し、広めていくためにはスポーツを通じた国際交流や国際協力を推進していくことが重要です。スポーツ庁では、平成30年9月に、スポーツ国際戦略を策定し、効果的かつ効率的に、スポーツを通じた国際交流や国際協力の効果が他分野にも拡大するよう、関係機関と連携して取組を進めています。
まず、「スポーツ国際展開基盤形成事業」において、スポーツに関する国際政策を統合的に展開し、その効果を最大限に高めるべく、国際競技連盟(IF)等の役員ポスト獲得や、国際的な実務能力及びネットワークを有する人材の養成に対する支援を実施するとともに、国内外の情報を収集・分析する拠点を形成し、戦略的な情報発信を行い、国際スポーツ界における我が国のプレゼンスの向上を図っています。
また、スポーツが持つ多くの人々を巻き込む力を活用し、持続可能な開発目標(SDGs)達成への貢献を目指す取組を「スポーツSDGs」と呼び、本取組を推進しています。平成30年11月には、ビル&メリンダ・ゲイツ財団とともに、「スポーツSDGs」の一環として、アスリートとNGOの協力により、SDGsの達成と2020年東京大会のレガシー創出を目指す取組「Our Global Goals」におけるパートナーシップを発表しました。「スポーツSDGs」のムーブメントを一層広めるため、ハッシュタグ「#SportsSDGs」を使った広報も呼びかけています。
さらに、スポーツ国際展開の効果を他分野に拡大させるため、スポーツ産業分野に関し、スポーツ庁、経済産業省、独立行政法人日本貿易振興機構及び独立行政法人日本スポーツ振興センターの4者で、政府の成長戦略「未来投資戦略2018」を踏まえ、基本合意書を締結しました。我が国のスポーツとスポーツ産業の海外展開の促進のため、連携を強化しながら取組を進めていきます。
加えて、スポーツ分野における各国との連携を強化するために、国際的な対話枠組みの構築も積極的に行っています。平成28年度より日中韓スポーツ大臣会合が、平成29年度より日ASEANスポーツ大臣会合が隔年で開催されており、平成30年には、第2回日中韓スポーツ大臣会合を日本で開催し、三か国間のスポーツ交流を促進するための「東京行動計画」を取りまとめました。そのほかの国際的な議論の場にも積極的に参加しており、平成30年にはボツワナで開催された世界女性スポーツ会議に参加し、鈴木スポーツ庁長官が日本政府初となる基調講演を行いました。
また、各国とのスポーツ協力をより密にするため、2国間のスポーツ分野における覚書を現在(2019年2月末時点)26か国と締結しています。
スポーツを通じた国際交流及び国際協力について、2国間交流の促進、国際的な人材養成の中核拠点の構築、国際的なドーピング防止推進体制の強化支援を柱とする「Sport for Tomorrow」プログラムに取り組んでいます。この「Sport for Tomorrow」プログラムは、2014年から2020年までの7年間で、開発途上国をはじめとする100か国以上の国において、1000万人以上を対象に、世界のより良い未来のために、未来を担う若者をはじめあらゆる世代の人々にスポーツの価値とオリンピック・パラリンピック・ムーブメントを広げていく取組です。
我が国で国際競技大会を開催することは、我が国の競技力向上に資する環境の構築などスポーツの振興につながるだけでなく、世界のトップアスリートの競技を目の当たりにすることを通じて多くの国民に夢や感動を与えることにつながります。さらに、大会・イベントの開催は、地域の一体感の醸成やスポーツ人口・関心層の拡大等の社会的効果や、観光入込増加等の経済効果の創出につながります。国際競技大会の積極的な招致・開催が円滑に行われるよう、関係団体等との連絡調整を行い、必要な協力・支援を行っています。引き続き、スポーツの力を活用しながら、国際交流・協力を戦略的に展開していきます。

8 我が国の国際競技力の向上について
オリンピック・パラリンピック競技大会をはじめとする国際競技大会における日本代表選手の活躍は、国民に夢と希望を与えるものであり、「第2期スポーツ基本計画」(平成29年3月)や「競技力強化のための今後の支援方針(鈴木プラン)」(平成28年10月)に基づき、国際競技力の向上に向けて以下の施策を実施しています。
一つ目は、各競技団体が行う日常的・継続的な強化活動の支援です。2019年度からは、「ラストスパート期」としてそれまでの各競技団体の成果を踏まえ、「メダル獲得の最大化」の考えのもと支援を柔軟かつ大胆に重点化していくこととしています。
また、各競技団体が中長期の強化戦略に基づいて競技力強化を行うことを支援するため、日本スポーツ振興センター(JSC)に日本オリンピック委員会(JOC)・日本パラリンピック委員会(JPC)等を含めた協働チームを設置し、競技団体の強化戦略プランにおけるPDCAサイクルの各段階で多面的にコンサルテーション・モニタリング等を実施しています。
二つ目は、次世代アスリートを発掘・育成する戦略的な体制等の構築です。JSC、日本スポーツ協会、JOC、JPC及び地方公共団体等と連携し、全国各地の将来有望なアスリートの効果的な発掘・育成を支援するシステムの構築を進めています。
三つ目は、スポーツ医・科学、技術開発、情報等による多面的で高度な支援の充実です。スポーツ医・科学、情報等による支援を行う国立スポーツ科学センター(JISS)と高度なトレーニング環境を提供するナショナルトレーニングセンター(NTC)の機能を一体的に捉えたハイパフォーマンスセンターについて機能強化を図るため、情報収集・分析や競技用具の開発等を行う体制の整備など、国際競技力が中長期にわたって向上するよう取り組んでいます。
さらに、メダル獲得が期待される競技をターゲットとして、各分野の専門スタッフによる支援を実施しています。
四つ目は、トップアスリートのニーズに対応できる拠点の充実です。NTCについては、オリンピック競技とパラリンピック競技の更なる共同利用化等を見据え拡充整備に取り組んでおり、本年6月末に完成予定です。
また、NTCで対応できない冬季、海洋・水辺系、屋外系のオリンピック競技、高地トレーニング及びパラリンピック競技のトレーニング環境の充実を図るため、既存施設をNTC競技別強化拠点施設として指定しており、2019年度からは強化拠点施設の更なる機能強化に取り組んでいきます。
スポーツ庁では、2020年東京大会に向けて支援するだけでなく、これらの取組を強力で持続可能な支援体制として構築・継承することを目指しています。

9 スポーツにおけるインテグリティの確保について
スポーツは本来、見る人々を感動させ、国民に勇気を与えるものです。しかしながら、昨今、スポーツ選手等による違法賭博や違法薬物、スポーツ団体での不正経理、スポーツ指導者による暴力、ファン等による人種差別や暴力行為、他者への不正行為等、スポーツの価値を損なう問題が頻発しています。そのため、平成29年3月に策定された第2期スポーツ基本計画では、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、我が国のスポーツ・インテグリティ(誠実性・健全性・高潔性)を高め、クリーンでフェアなスポーツの推進に一体的に取り組むことを通じて、スポーツの価値の一層の向上を目指していくこととしています。
スポーツ庁では、昨年12月20日に「スポーツ・インテグリティの確保に向けたアクションプラン」を取りまとめ、この中で、春頃を目途に「スポーツ団体ガバナンスコード」を策定することとし、スポーツ団体に対してその遵守を促すこと等により、適正なガバナンスの確保を図る仕組みを導入することとしました。
また、アクションプランに基づき、昨年12月末には「スポーツ政策の推進に関する円卓会議」を立ち上げ、統括スポーツ団体を始めとした関係機関が一致協力してスポーツ団体のガバナンス確保に向けて取り組んでいくことを確認したところです。
ラグビーワールドカップ2019や2020年東京大会等の大規模国際競技大会を控える我が国に対しては、ドーピングのないクリーンな大会を実現することが世界から求められていること等を踏まえ、スポーツ庁では、関係団体等と連携して、ドーピング防止体制の強化を図っています。
具体的には、日本アンチ・ドーピング機構と協力し、世界各国から参加するアスリートのドーピング検査に対応できるよう、言語能力や豊富な実地経験を備えたドーピング検査員の育成に取り組んでいます。
また、日本スポーツ振興センターと連携し、禁止物質の不正取引や正当な理由のない禁止物質の保有など、ドーピング検査だけでは捕捉できないドーピング防止規則違反に対応するため、ドーピング通報窓口の運用等を通じた情報収集や専門的知見からの分析などのインテリジェンス活動を推進しています。
さらに、我が国からドーピング違反を出さないよう、若い世代への教育を強化するとともに、学校教育課程においてドーピング防止を含むスポーツの価値教育の促進にも取り組んでいます。これに加えて、2019年度からは、アスリートを「意図しないドーピング」から守るため、医療従事者に対する情報提供等にも取り組む予定としています。

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