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私立学校の振興

文部科学省高等教育局私学部

私立学校の現状と課題
私立学校は、独自の建学の精神に基づく個性豊かな教育研究活動を積極的に展開し、我が国の学校教育の発展に大きく貢献しています。平成29年度の私立学校に在学する学生生徒などの割合は、大学・短大で約7割、高等学校で約3割、幼稚園で約8割、専修学校・各種学校の9割以上を占めます。
また、知識基盤社会の中で、多様化する国民ニーズに応じた特色ある教育研究を行う私立学校の果たす役割は、今後も重要と考えられます。
一方、近年における少子化の進行等の社会経済情勢の変化により、個々の学校においては、定員の充足が困難になるなど、私立学校をめぐる経営環境が一層厳しさを増しています。そのような中、各学校法人が経営基盤を安定させ、国民の期待に応える個性豊かな魅力あふれる学校づくりを推進することが求められます。文部科学省としても、各種施策を通じて私立学校の支援を行い、私立学校の振興を図っています。また、今後の学校法人におけるガバナンス機能の強化等について検討を行うため、大学設置・学校法人審議会の下に学校法人制度改善検討小委員会を設置し、平成29年11月から議論を行い、平成31年1月7日、「学校法人制度の改善方策について」をとりまとめました。とりまとめでは、我が国の教育において大きな役割を担う私立学校が、今後も社会からの信頼と支援を得て重要な役割を果たし続けるため、学校法人の自律的で意欲的なガバナンスの改善や経営の強化の取組、情報公開の推進により、学生が安心して学べる環境が整備されるよう、改善に向けた考え方と方策が提言されています。このとりまとめの内容を受けて、①役員の職務及び責任の明確化(学校法人や第三者に対する損害賠償責任や、理事の行為の差止め請求をはじめとする監事機能の充実等)②情報公開の充実(財務書類等及び役員報酬基準の一般閲覧及び公表(文部科学大臣所轄法人)、寄附行為・役員名簿の一般閲覧等の情報公開の充実等)③中期的な計画の作成④破綻処理手続の円滑化等について定める私立学校法の改正案が学校教育法等の一部を改正する法律案として閣議決定されました(平成31年2月12日閣議決定)。今後、こうした制度改正や私学団体が自ら定める行動規範である私立大学版ガバナンス・コードの策定などにより、ガバナンスの強化や情報公開を推進するとともに、私立大学の連携・統合を推進していきます。

私立学校への助成
学校教育における私立学校の果たす重要な役割に鑑み、その教育条件の維持向上と修学上の経済的負担の軽減を図り、私立学校の経営の健全性を高めるために、私学助成を行っています。
私立大学等経常費補助は、私立の大学、短期大学、高等専門学校の教育又は研究にかかる経常的経費について補助するものです。
2019年度予算案においては、教育研究の質の向上に取り組む私立大学等や地域に貢献する私立大学等に対する支援、修学の機会の確保に向けた支援等を強化することとして、前年度比5億円増の3159億円を計上しています。そのうち、一般補助では、私立大学等の運営に不可欠な教育研究に係る経常的経費について支援するとともに、アウトカム指標も含めた客観的指標を活用したメリハリある資金配分により、教育の質の向上を促進することとして、2712億円を計上しています。また、特別補助では、2020年度以降の18歳人口の急激な減少や経済社会の急激な変化を踏まえ、自らの特色を生かして改革に取り組む私立大学等を重点的に支援するため、447億円を計上しています。特色ある教育研究の推進や、産業界・他大学等との連携、地域におけるプラットフォームを通じた資源の集中化・共有など、役割や特色・強みの明確化に向けた改革に全学的・組織的に取り組む私立大学等に対して重点的に支援する「私立大学等改革総合支援事業」については、147億円を計上しています。そのほか、経済的に修学困難な学生に対する授業料減免等を行う大学等への支援を充実し、修学の機会の確保を図るため、177億円を計上しています。
私立高等学校等経常費助成費補助は、私立の高等学校、中学校、小学校及び幼稚園等に経常費助成を行う都道府県に対して、国がその一部を補助するものです。
2019年度予算案においては、一般補助の幼児児童生徒数の増減を反映するとともに、一人当たり単価を増額しています。特別補助では、外部人材の活用等による教育の質の向上に取り組む学校への支援を充実するため、「教育の質の向上を図る学校支援経費」について、21億円を計上しています。
また、特別な支援が必要な幼児の受入れ(幼稚園等特別支援教育経費)や預かり保育を実施する園に対する支援を充実させています。このほか、過疎高等学校特別経費、授業料減免事業等支援特別経費に加えて、特別支援学校等に対して国がその教育の推進に必要な経費の一部を補助する、特定教育方法支援事業について、必要な経費を引き続き計上しています。
これらを含めた私立高等学校等経常費助成費等補助の総額は、対前年度10億円増の1031億円となっています。
私立学校施設・設備整備費補助は、建学の精神や特色を生かした質の高い教育研究活動等の基盤となる施設・設備等の整備を支援するものです。
2019年度予算案においては、総額で195億円を計上しており、この中で、最近の災害による被害を踏まえ、平成30年12月14日に閣議決定された「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」において、緊急対策として取り組むこととしている「学校施設等における災害時に落下の危険性のある外壁や天井等の改善整備」及び「学校施設等の構造体の耐震化」のための防災・減災、国土強靭化関係予算(臨時・特別の措置)である86億円を計上しています。平成30年第2次補正予算の108億円と合わせて、耐震改築及び耐震補強等の防災機能強化に対して引き続き重点的に支援し、私立学校施設の耐震化の一層の促進を図ることとしています。
また、引き続き教育研究の質の向上のための装置・設備の高機能化等を支援することにより、多様で特色ある私立大学等の教育及び研究の一層の推進を図ることとしています。
なお、次期学習指導要領等を踏まえ、アクティブ・ラーニング等を推進するため、私立高等学校等におけるICT環境の整備を支援する経費として、24億円を計上しています。
また、日本私立学校振興・共済事業団の貸付事業を活用した耐震改築等事業への利子助成(私立学校施設高度化推進事業費補助)について、耐震化促進等のため、12億円を計上しています。

私立学校に関する税制
私立学校を設置する学校法人については、その公益性を考慮して、収益事業を行う場合などを除き、法人税・所得税などの国税や、住民税・事業税などの地方税が非課税とされています。収益事業から生じた所得についても、法人税の軽減税率が適用されます。また、学校法人に対する寄附についても、税制上の優遇措置が設けられています。特定公益増進法人の証明を受けた学校法人への寄附については、個人の場合には所得控除、企業など法人の場合には一般の寄附金とは別枠の損金算入が認められています。
さらに、寄附実績等一定の要件を満たした学校法人等に対する個人からの寄附については、税額控除制度の適用も認められています。税額控除は、寄附者の所得や寄附金額の多寡にかかわらず、減税効果が一定であるため、学校法人にとっても、より幅広い関係者から小口の寄附金を期待することができます。
また、一定の要件を満たす学校法人に対して相続財産をその申告期限までに寄附した場合には、その相続財産に係る相続税は非課税とされています。加えて、土地や建物をはじめとする資産を学校法人に対して贈与等する場合で一定の要件を満たすものとして国税庁長官の承認を受けた場合は、贈与等がなかったものとみなして所得税を非課税とする措置が設けられており、このうち学校法人が当該資産を基本金として管理する等の一定の要件を満たすものについては、申請手続が簡素化される等の特例が設けられています。平成30年度税制改正では、従来、特例の対象資産とされていなかった株式等についても対象資産とされました。また、特例を用いず国税庁長官の承認を受けた寄附財産を基本金に組み入れる場合には、特例を用いないときでも、資産を売却し、売却益で別の資産を取得することが認められることとなりました。
さらに、平成31年度税制改正では、祖父母等が孫等に対して教育費として一括贈与した資金に関して、贈与税が非課税となる措置について、制度の適用期限を2年延長するとともに、贈与された資金からの教育費の支払は30歳までとされていた受贈者の年齢制限が、在学中であることを条件に40歳まで引き上げられることになり、博士課程学生等への支援が充実されることとなりました。
こうした税制上の優遇措置を活用し、収入源の多様化を通じて、財政基盤の強化を図り、魅力ある教育研究を一層進展させることが期待されます。

学校法人に対する経営支援の充実
日本私立学校振興・共済事業団の調べによると、平成30年度において入学定員の8割を満たしている私立大学は517校(約88.8%)、私立短期大学は193校(約64.1%)であり、入学者が入学定員の半分以下である私立大学は11校(約1.9%)、私立短期大学は16校(約5.3%)です。また、平成29年度決算において学納金、寄附金などの自己収入から人件費、教育研究経費などの支出を差し引いたものがマイナスの学校法人(大学を持つ学校法人)は39.7%となっています。
各学校法人においては、新しい時代の要請に応じた学部・学科の見直しや特色ある教育研究活動の展開はもとより、経費の削減など経営の効率化を図り経営基盤の安定のための努力を積極的に行っていくことが求められています。文部科学省は、学校法人の健全な経営の確保に資することを目的として、学校法人の管理運営の組織及びその活動状況、財務状況等について、学校法人運営調査委員による調査を実施し、必要な指導・助言を行っています。また、経営が悪化傾向にある学校法人に対しては、個別に指導・助言を行っていますが、平成31年度からは、新たな財務指標を設定し、学校法人の自主的な経営改善を一層推進するとともに、日本私立学校振興・共済事業団とも連携の上、経営改善に向けた指導を強化し、著しく経営困難な学校法人に対しては、撤退を含む早期の経営判断を促す指導を実施することとしています。また、学校法人がその自主性及び公共性を十分に発揮できるよう、学校法人の監事を対象とした専門性向上のための研修会の実施や、事務局長等を対象とした高等教育に関する施策の情報提供等を目的とした協議会を行っています。日本私立学校振興・共済事業団においては、各学校法人の理事長・学長等に対し「私学リーダーズセミナー」を、若手職員を対象に「私学スタッフセミナー」を開催したり、専門知識を有する人材を派遣する「専門家人材バンク」を設けたりしています。
また、社会に対する説明責任を果たすため、財務情報の公開は重要であり、近年各学校法人は積極的に取り組んでいます。平成30年度においては、661法人(調査開始以降初めて100.0%)が財務情報をホームページに公開しています。なお、先述のとおり、平成31年2月12日に閣議決定された私立学校法の改正案において、財務書類の一般閲覧及び公表(文部科学大臣所轄法人)について定めており、情報公開を推進してまいります。

私立学校教職員の共済制度
私立学校教職員共済制度は、我が国の学校教育における私立学校の重要性を踏まえ、その教職員に対して、国公立学校教職員と同等の医療及び年金給付をはじめとする福利厚生を保障し、私学振興に資する見地から創設されました。
近年の社会保障に係る動きとしては、医療保険制度において、被扶養者の認定要件について、原則として国内居住要件を追加する等の見直しを行うほか、個人情報保護の観点から、加入者番号の告知要求制限を設ける等を内容とする法律案が国会に提出されています。
年金制度については、社会保障審議会年金部会において、短時間労働者への更なる適用拡大、老齢厚生年金の繰下げ受給年齢の上限の緩和及び在職中の年金(在職老齢年金)の支給停止の緩和が議論されています。
そのほか、平成30年7月以降、マイナンバーの活用により、短期給付関係の手続において添付書類の省略が可能となりましたが、年金関係の手続においても、平成31年度以降、同様に添付書類の省略が可能となる見込みです。
私学共済制度においても、これらの動向に則し、引き続き適切な対応を進めているところです。

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