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初等中等教育の充実

文部科学省初等中等教育局

学校における働き方改革の推進
1 中央教育審議会答申について
これまで高い成果を上げてきた我が国の学校教育を持続可能なものとするには、学校における働き方改革が必要です。平成31年1月25日、中央教育審議会において「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について(答申)」(以下「答申」という)が取りまとめられました。
答申では、
①勤務時間管理の徹底と勤務時間・健康管理を意識した働き方改革の促進
②学校及び教師が担う業務の明確化・適正化
③学校の組織運営体制の在り方
④教師の勤務の在り方を踏まえた勤務時間制度の改革
⑤学校における働き方改革の実現に向けた環境整備
を柱として、これらの施策を総合的に推進することが提言されております。
また、中教審の議論を踏まえて、同日に文部科学省が策定した「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」では、教師の勤務時間を、いわゆる「超勤4項目」以外の業務を行う時間も含めた「在校等時間」として把握することとした上で、その上限の目安を、原則として
•1か月あたりの超過勤務は45時間以内
•1年間あたりの超過勤務は360時間以内
等としています。
教師が我が国の学校教育の蓄積と向かい合って自らの授業を磨くとともに日々の生活の質や教職人生を豊かにすることで、自らの人間性や創造性を高め、子供たちに対して効果的な教育活動を行うことができるようになることが学校における働き方改革の目的であり、これを実現するため、文部科学省としては、答申を踏まえ、取組を推進してまいります。
また、学校における働き方改革を進めるためには、答申でも指摘されているとおり、文部科学省、都道府県・指定都市教育委員会、市町村教育委員会、設置者、校長などの管理職、一人一人の教職員が、自らの権限と責任に基づき、それぞれの立場で取り組むことが必要です。3月18日には「学校における働き方改革に関する取組の徹底について」教育委員会等に対して通知をしたところであり、各地域における業務改善及び勤務時間管理等に係る取組を積極的に進めていただきたいと考えています。
※学校における働き方改革の答申等については、こちらを御覧ください。
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/hatarakikata/index.htm

2 学校における働き方改革推進本部について
学校における働き方改革はここからがスタートです。
このため、文部科学省では1月25日に柴山文部科学大臣を本部長とする「学校における働き方改革推進本部」を設置し、1月29日に第1回本部を開催いたしました。第1回本部では、社会全体に向けた「大臣メッセージ」を発出し、文部科学省として取り組むべき内容をまとめた工程表を作成しました。今後も随時「学校における働き方改革推進本部」を開催し、省を挙げて働き方改革を進めてまいります。
※大臣メッセージや文部科学省工程表については、こちらを御覧ください。
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/hatarakikata/1413144.htm

3 答申を踏まえたこれからの取組について
各教育委員会や学校においては、限られた時間の中で子供たちの成長のために何を重視し、どのように時間を配分するかという観点から、これまで慣習的に行われていた業務であっても、①学校以外が担うべき業務、②学校の業務だが必ずしも教師が担う必要のない業務、③教師の業務のいずれかであるかを仕分けたり、思い切って廃止することなどが求められます。しかし、それは簡単なことではありません。第1回本部における大臣からの冒頭あいさつにもあったように、学校や教育委員会に「お任せ」ということでは、学校における働き方改革は進みません。教師が教師でなければできないことに全力投球できるよう、文部科学省は、引き続き社会全体に対し、何が教師本来の役割であるのかというメッセージを発信し、学校と社会の連携の起点・つなぎ役としての役割を前面に立って果たしてまいります。
具体的な取組として、まず、3月8日には学校における働き方改革の趣旨・目的等を分かりやすく御理解いただけるよう、総勢10名の働き方改革に取り組む当事者と有識者の方々のインタビューを収録した公式プロモーション動画を公開しました。
※公式プロモーション動画については、こちらから御覧ください。
https://youtu.be/yjpehOelPxE

また、これ以外にも、政府広報で学校における働き方改革について取り上げるなど、学校における働き方改革の必要性等について社会全体へのメッセージを発信してまいります。
一人でも多くの皆様に御覧いただきたいと思っておりますが、こうした動画メッセージの発信に加え、更に関係省庁や地域・保護者、教育委員会・学校向けに、それぞれ大臣メッセージを作成しました。これまで紹介した動画やメッセージを活用しながら、関係省庁や関係団体、PTAや地域の皆様に対して、学校における働き方改革の趣旨に御理解・御協力を呼びかけてまいります。
文部科学省としては、これまで述べてきたような取組に加え、2019年度予算に教職員定数の改善や中学校における部活動指導員、スクール・サポート・スタッフに係る経費を計上しており、これを足掛かりに、教職員定数の改善などの一層の条件整備を図るとともに、勤務時間管理の徹底、学校の組織運営体制の確立などを総合的に推進してまいります。また、教育課程や教員免許などの教育制度も必要に応じて、大胆に見直しをする必要があると考えており、こうした中で、教師や子供たち、保護者、地域の方々が学校における働き方改革の成果を実感していただけるよう、引き続きしっかりと取り組んでまいります。

「次世代の学校」創生のための指導体制の強化
◇2019年度予算(学習指導要領の円滑な実施と学校における働き方改革のための指導・運営体制の構築)
1 教職員定数について
2019年度予算においては、新学習指導要領の円滑な実施と学校における働き方改革を目指し、学校における指導・運営体制の効果的な強化・充実を図るため、必要な教職員定数の改善を盛り込んでいます。具体的には、新学習指導要領における小学校外国語教育の早期化・教科化に伴い、一定の英語力を有し、質の高い教育を行う専科指導教員の充実や中学校における生徒指導体制の強化に必要な教員の充実、共同学校事務体制の強化など学校における働き方改革のための定数改善のほか、平成29年の義務標準法改正による基礎定数化関連の改善や貧困等に起因する学力課題解消、統合校・小規模校への支援など複雑化・困難化する教育課題への対応に必要な定数改善、合計1,456人を計上しています。
このほか、東日本大震災により被災した児童生徒に対する心のケアや学習支援のために必要な加配定数を2019年度予算の復興特別会計に引き続き計上しています。

2 その他
退職教職員や教員志望の大学生など多彩な人材がサポートスタッフとして学校の教育活動に参画する取組を支援する「補習等のための指導員等派遣事業」を継続して行っており、①児童生徒一人一人にあったきめ細かな対応を実現するための「学力向上を目的とした学校教育活動支援」をはじめ、②教員がより児童生徒への指導や教材研究等に注力できる体制を整備し、教員の負担軽減を図るための「スクール・サポート・スタッフ」の配置や③適切な練習時間や休養日の設定など部活動の適正化を進めている教育委員会を対象にした「中学校における部活動指導員」の配置に係る予算を計上し、学校全体として指導体制を充実することとしています。

初等中等教育段階における教育費負担軽減
「人生100年時代」を迎え、教育の無償化・負担軽減を進めることにより、誰もが、家庭の経済事情に左右されることなく、希望する質の高い教育を受けられることは、教育政策としてはもとより、少子化対策の観点からも極めて重要です。
平成29年12月に閣議決定された「新しい経済政策パッケージ」及び平成30年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2018」において、幼児教育の無償化や、年収590万円未満世帯を対象とした私立高等学校の授業料の実質無償化など、将来的な教育の無償化・負担軽減の措置について盛り込まれました。
幼児教育の無償化については、平成30年12月に3歳から5歳までの全ての子供たちの幼稚園、保育所、認定こども園等の費用を無償化するとされた「幼児教育・高等教育無償化の制度の具体化に向けた方針」が閣僚合意され、同方針を踏まえ、平成31年2月12日に子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案が第198回通常国会に提出されたところです。
年収590万円未満世帯を対象とした私立高等学校の授業料の実質無償化については、本パッケージの方向性に沿って、政府全体として安定的な財源を確保しつつ、2020年4月から着実に実施ができるよう、しっかりと取り組んでまいります。
さらに、高校生等への修学支援としては、低所得世帯の授業料以外の教育費を支援する「高校生等奨学給付金」について、2019年度において非課税世帯の給付額を増額し、更なる制度の充実を図っています。
また、義務教育段階においては、経済的理由により小中学校への就学が困難と認められる学齢児童生徒の保護者に対して、学用品の給与などの援助を行う就学援助を実施し、教育費の負担軽減に取り組んでいます。2019年度には「修学旅行費」や「新入学児童生徒学用品費等」の予算単価の増額に加え「卒業アルバム代等」を新たに補助対象費目とするなど、更なる制度の充実を図っています。
なお、震災により経済的理由から就学等が困難となった幼児児童生徒の就学支援等については、「被災児童生徒就学支援等事業」を実施しており、2019年度予算においては、大規模災害対応分に従来の熊本地震のほか、平成30年度豪雨及び北海道胆振東部地震を対象に加え、必要な額を計上しています。(2019年度予算 東日本大震災対応分:4,382百万円(復興特別会計)、大規模災害対応分:594百万円)

柴山・学びの革新プランについて
Society5.0の時代においては、人工知能(AI)、ビックデータ等の先端技術が高度化してあらゆる産業や社会生活に取り入れられ、社会の在り方そのものが現在とは「非連続的」と言えるほど劇的に変わると予測されます。
このような急激な社会的変化が進む中で、次代を切りひらく子供たちが、自ら課題を見いだし、その解決に向けて主体的・協働的に学ぶことを通じて、豊かな創造性を備え持続可能な社会の創り手として、社会の形成に参画するための資質・能力を、これまで以上に身につけることが必要と考えます。
公教育や教師の役割の重要性はかわるものではありませんが、ICTを基盤とした遠隔技術などの先端技術を効果的に活用することで、教師の指導や子供の学習の質を更に高め、「子供の力を最大限引き出す学び」を実現していく必要があります。
そのため、文部科学省は、平成30年11月に新時代の学びを支える先端技術のフル活用に向けた基本的な方向性を「柴山・学びの革新プラン」として打ち出しました。この「柴山・学びの革新プラン」を踏まえて、文部科学省では先端技術の活用方策の具体化の検討を進め、一定のとりまとめとして平成31年3月29日に「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策」の中間まとめを公表しました。
中間まとめは、目指すべき次世代の学校・教育現場を具体的に提示するとともに、その現状と課題を整理したものであり、今抱えている課題を解決し、目指すべき次世代の学校・教育現場を実現するための方策として
1遠隔教育の推進による先進的な教育の実現
2教師・学習者を支援する先端技術の効果的な活用
3先端技術の活用のための環境整備
を柱に据えています。

1 遠隔教育の推進による先進的な教育の実現
遠隔教育は、学校同士をつないだ合同授業の実施や外部人材の活用、幅広い科目開設など、教師の指導や子供たちの学習の幅を広げることや、特別な支援が必要な児童生徒等の学習機会の確保を図る観点から重要な役割を果たすものです。
文部科学省では、遠隔教育の普及に向けた具体的な施策の検討に先立ち、各自治体における遠隔教育の実施状況や活用の意向について調査を実施しました。その調査結果も踏まえ、
①遠隔教育の連携先の紹介をはじめとした様々な支援・助言が受けられる環境の整備
②「遠隔教育特例校」の創設を含めた、実証的取組の推進
③遠隔教育を実施するための基盤としての、世界最高速級の学術通信ネットワーク「SINET」の初等中等教育への開放
などの施策を実行していきます。

2 教師・学習者を支援する先端技術の効果的な活用
現在、学校現場においては、遠隔技術をはじめとして、協働学習支援ツールやAIドリルのように様々な民間企業で開発された先端技術を導入している学校も少なくありません。このような先端技術の活用を通じて、教師や児童生徒を支援し、アクティブ・ラーニングを推進し、学習指導要領の目指す資質・能力の育成につなげる必要があります。
そこで、現在の学校現場で使われている先端技術とその効果の整理を行いました。この整理に基づいて、今後どのような場面でどのような先端技術を活用することが効果的かについて基本的な考え方等を整理していきます。

3 先端技術の活用のための環境整備
遠隔技術をはじめとした先端技術を活用するためにはICT環境の整備が急務であり、文部科学省として、「教育のICT化に向けた環境整備5か年計画(2018~2022年度)」を策定し、自治体における学校のICT環境整備の促進に努めているところですが、各自治体におけるICT環境整備は十分に進んでおらず、地域間格差も生じています。
今後、ICT環境整備を加速させるため、
①世界最高速級の学術通信ネットワーク「SINET」の初等中等教育への開放(※1でも言及)
②管理コストの低減、データ連携の促進に向けたパブリッククラウドの利活用も含めた「教育情報セキュリティ」の在り方の検討
③安価な環境整備に向けた具体策の検討・提示
④市町村ごとの整備状況等の更なる「見える化」をはじめとする、関係者の専門性を高める取組の推進
などを実施していきます。

今後は、1から3の施策の更なる具体化を図り、6月を目途に最終まとめを示していきます。
※中間まとめは、写真や図等を使いよりわかりやすく内容を示しておりますので、HP(http://www.mext.go.jp/a_menu/other/1413322.htm)も御覧ください。

新しい学習指導要領について
激しく変化するこれからの社会において、子供たちがしっかりと未来を切り拓くために必要な力を育むことを目指し、文部科学省では平成29・30年に学習指導要領を改訂しました。
学習指導要領とは、全国どこの学校でも一定の教育水準が保てるよう、文部科学省が定めている教育課程(カリキュラム)の基準です。時代の変化などに合わせておよそ10年に一度改訂しており、子供たちが学校で学ぶ教科書や時間割は、これを基に作られています。
今回改訂した小・中・高等学校の新しい学習指導要領は、図にあるように、2020年度以降、小学校から順次実施していくこととしており、概ね2030年頃まで、子供たちの学びを支えることになります。
これまでの学習指導要領は、子供たちに変化の激しい社会を生きるために必要な力である「生きる力」を育むという目標を掲げてきました。新しい学習指導要領は、その目標は引き続き大切にしながら、これからの時代において子供たちに必要となる力を確実に育むことを目指しています。
新しい学習指導要領では、「何を学ぶか」だけでなく、「何ができるようになるか」、「どのように学ぶか」も重視して改善を図っています。
「何ができるようになるか」の点では、全ての教科等において、育成を目指す力を「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力等」「学びに向かう力、人間性等」の三つの柱で整理しました。社会に出てからも学校で学んだことを生かせるよう、子供たちの力をバランスよく育みます。
そうした力をしっかりと育んでいくため、「どのように学ぶか」の点で、「主体的・対話的で深い学び」(いわゆる「アクティブ・ラーニング」)の視点から、授業を改善していくことを目指します。一つ一つの知識がつながり、「わかった!」、「面白い!」と思える授業、周りの人たちとともに考え、学び、新しい発見や豊かな発想が生まれる授業などを目指していくことで、子供たちの力を確実に育みます。
また、各学校において「カリキュラム・マネジメント」を確立し、教育活動の質を向上させ、学習の効果の最大化を図ります。
「何を学ぶか」の点でも、新しい時代を見据えて、左の図にあるような内容を重視しています。
子供たちの「生きる力」を確実に育むためには、新しい学習指導要領の趣旨・内容を多くの方々と共有することが大切です。
保護者や地域の皆様のお力添えをいただきながら、学校教育がこれからも子供たちの「生きる力」を確実に育んでいけるよう、子供たちの学びを社会全体で応援していきたいと考えています。
新しい学習指導要領に関するより詳しい情報は、平成31年2月にリニューアルした「学習指導要領ウェブサイト」(http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/index.htm)を御覧ください。新しい学習指導要領の趣旨・内容を分かりやすく紹介するリーフレットや動画も掲載しています。

情報教育・外国語教育の推進
1 小・中・高等学校を通じた外国語教育の強化
社会のグローバル化が進展する中で、外国語によるコミュニケーション能力はこれまでのように一部の業種や職種だけではなく、生涯にわたる様々な場面で必要とされることが想定されます。そのため、初等中等教育段階から外国語によるコミュニケーション能力を育成していくことが重要になります。
平成28年12月21日に、中央審議会より新学習指導要領の方向性が示され、それを基に、平成29年3月に小・中学校学習指導要領を、平成30年3月に高等学校学習指導要領を改訂しました。
新学習指導要領においては、これまでの成果・課題を踏まえながら、
•学校段階間の学びを接続するため、国際基準を参考に、小・中・高等学校一貫した五つの領域(「聞くこと」「読むこと」「話すこと[やり取り]」「話すこと[発表]」「書くこと」)別の目標を設定する
•小学校では、中学年から「聞くこと」「話すこと」を中心とした外国語活動を導入し、外国語に慣れ親しんだ上で、高学年から「読むこと」「書くこと」を加え、「教科」として系統的な指導を行う
•中学校では、対話的な言語活動を重視し、授業は外国語で行うことを基本とする
•高等学校では、五つの領域を総合的に扱う科目群やディベートやディスカッションを行い発信能力を高める科目群などを設定する
こと等としています。
文部科学省では、新学習指導要領の全面実施へ向け、小学校外国語教育の早期化・教科化に対応した新教材や教師用指導書等の配布、小・中・高等学校の授業実践例や学習指導要領改訂のポイントをまとめた有識者・現場教員へのインタビュー動画の作成など、新学習指導要領を踏まえた授業改善に向けて支援を行っています。
また、教師の指導力向上や小学校における専科指導の充実、外国語指導助手(ALT)などの英語が堪能な地域人材の活用促進など、全国の教育委員会等と連携しながら必要な環境の整備に努めてまいります。

2 情報活用能力の育成
今後、「Society5.0」の到達が予想されるなど、将来の予測が難しい社会において、情報や情報技術を受け身で捉えるのではなく、手段として活用していく力が求められることから、新学習指導要領において、情報活用能力を言語能力などと同様に「学習の基盤となる資質・能力」と位置付け、教科等横断的な視点から教育課程の編成を図り、育成することとしています。
また、各学校においてコンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境を整え、これを適切に活用した学習活動の充実を図ることを明記しています。
●情報活用能力の教科等横断的な育成
新学習指導要領の実施に向け、文部科学省では、情報活用能力を育む教科等横断的なカリキュラム・マネジメントの在り方に関する実践的な研究等を行っており、2019年度においても情報活用能力の確実な育成に引き続き取り組んでまいります。
●プログラミング教育の充実
また、新学習指導要領において、2020年度から小学校で新たにプログラミング教育を必修とするなど、小・中・高等学校を通じたプログラミング教育の充実を図ったところです。文部科学省では、新学習指導要領の趣旨の周知・徹底を図るため、「小学校プログラミング教育の手引」を公表しました。さらに、総務省・経済産業省と連携して民間企業等とともに設立した「未来の学びコンソーシアム」との連携も図りつつ、プログラミング教育に関する優れた指導事例の創出等、2020年度からの円滑な実施に向けた取組を進めてまいります。
●情報モラル教育について
加えて、昨今、スマートフォンやSNSが子供たちにも急速に普及する中で、児童生徒が、自他の権利を尊重し情報社会での行動に責任を持つとともに、犯罪被害を含む危険を回避し、情報を正しく安全に利用できるようにするため、学校における情報モラル教育は極めて重要となっており、文部科学省では、インターネットやスマートフォン利用者の低年齢化や、最新のトラブルや被害の状況等を踏まえて教師用指導資料の改善を行うとともに、児童生徒向け啓発資料の作成・配布、教員等を対象としたセミナーの実施等により、情報モラル教育の一層の充実を図ることとしています。

3 遠隔教育の推進
遠隔教育は、多様性のある学習環境や専門性の高い授業の実現など、教育の質の向上に資することが期待されます。文部科学省では、平成30年9月に「遠隔教育の推進に向けた施策方針」を取りまとめました。また、11月に公表した「新時代の学びを支える先端技術のフル活用に向けて~柴山・学びの革新プラン~」では、「遠隔教育の推進等による先進的な教育の実現」を政策の柱の一つとして位置づけています。
平成30年度からは、「遠隔教育システム導入実証研究事業」を行い
•ALT等を活用した外国語教育、専門家による専門性の高い授業を実現する「専門性を育む教育における遠隔教育」
•特別な配慮を必要とする児童生徒へのきめ細かな指導の充実のための授業や、外国人の児童生徒に対する支援のための授業を実現する「個々の児童生徒の状況に応じた遠隔教育」
•極小規模校と他の学校との遠隔合同授業、国内外の学校との支援授業を実現する「多様性のある学習環境の遠隔教育」
などをテーマとした実証事業に取り組んでおり、遠隔教育システムの効果的な活用方法に関するノウハウの収集・整理とその効果及び情報通信技術等に関する検証を行っています。

4 学校のICT環境整備について
文部科学省では、新学習指導要領の実施を見据え、自治体における学校のICT環境整備を促進するため、①「教育のICT化に向けた環境整備5か年計画」に基づく、単年度1,805億円の地方財政措置の積極的な活用の促進、②市区町村単位ごとのデータ公表による整備状況の見える化(「学校における教育の情報化の実態等に関する調査」)、③自治体の要請に応じた「ICT活用教育アドバイザー」の派遣(平成30年度派遣実績:33自治体)等の取組を実施してきました。
しかしながら、学校のICT環境の整備状況については、自治体間で大きな格差があるなどの課題があり、新学習指導要領の全面実施を間近に控え、このままの状況では児童生徒の学習に支障をきたす恐れも懸念され、危機感を持っています。
文部科学省としては、各自治体で整備が進まない要因の調査及び分析を進めており、今後、自治体におけるICT環境整備推進のための具体的な取組を進めてまいります。
各自治体においては、2020年度からの新学習指導要領の全面実施に向け、前述の地方財政措置も活用しつつ、学校のICT環境の整備に万全を期していただきますようお願いします。

高校教育改革
高等学校への進学率は、約99%まで上昇するなど、今日では高等学校は中学校を卒業したほぼ全ての子供たちが進学する教育機関として、極めて重要な役割を果たしています。特に、選挙権年齢や成人年齢が18歳に引き下げられる等の状況を踏まえると、高等学校は、社会の中で自立し、他者と連携・協働しながら社会を生き抜く力を育成していくことが一層求められます。
また、今日の高等学校を取り巻く我が国の状況を見ると、人口減少を伴う少子高齢化や、就業構造の急速な変化、グローバル化、人工知能・IoT等の技術革新の急速な進展によるSociety5.0の到来など、大きな社会変化が予測されています。
昨年6月には、文部科学大臣のもとで、Society5.0における人材像や学びの在り方、今後の教育政策の方向性(「Society5.0に向けた人材育成~社会が変わる、学びが変わる~」)を取りまとめました。高等学校においては、
①義務教育を終えた子供たち一人一人がSociety5.0を生き抜くために必要となる「共通して求められる力」の育成
②将来、技術革新や価値創造の源となる飛躍知を発見・創造したり、それらの成果と社会課題をつなげ、プラットフォームを元とした新たなビジネスを創造したりする「新たな社会を牽引する人材」として活躍するための基盤となる力の育成
③各地域への課題意識や貢献意識を持ち、Society5.0を地域から分厚く支えていく人材の育成
等を重視して改革を進めていくことが求められています。
こうしたことを踏まえ、文部科学省においては昨年10月16日付けで高等学校行政をつかさどる組織である「参事官(高等学校担当)」を新たに設置しました。Society5.0 という新しい時代の到来に向け、高校教育改革を引き続き、推進します。

1 Society5.0に向けたリーディングプロジェクトの実施
今年は、高等学校教育にとって、極めて重要な年となります。まずは、4月から新学習指導要領の移行措置が始まり、総則、「総合的な探究の時間」、特別活動等、教科書の対応を要しない部分については先行して進められます。
また、Society5.0に向けたリーディングプロジェクトとして、今年度の予算において、
•高等学校等と国内外の大学、企業、国際機関等が協働し、高校生へより高度な学びを提供する仕組みを構築し、「WWL(ワールド・ワイド・ラーニング)コンソーシアム」における拠点校を整備
•高等学校と自治体、高等教育機関、産業界等が協働してコンソーシアムを構築し、地域課題の解決等の探究的な学びを実現する取組
に必要な経費を計上しています。
これらの取組を通じ、①「共通して求められる力」の育成、②「新たな社会を牽引する人材」として活躍するための基盤となる力の育成、③Society5.0を地域から分厚く支えていく人材の育成を推進してまいります。

2 「高校生のための学びの基礎診断」の仕組みの構築について
昨年3月、「高校生に求められる基礎学力の確実な習得」と「学習意欲の喚起」を図るため、文部科学省が一定の要件を示し、民間の試験等を認定する制度を創設しました。
昨年12月末には、認定基準に基づき、9事業者25ツールを「高校生のための学びの基礎診断」として認定し、各ツールの詳細情報を文部科学省ホームページにて公表しています。
本制度において、多様な民間の試験等の開発・提供、その利活用を促進することにより、高校生の基礎学力の定着に向けたPDCAサイクルの取組を促進します。

3 教育再生実行会議における検討
さらに、現在、総理の下で開催される教育再生実行会議において、高等学校教育について検討が行われているところであり、1月には中間報告がとりまとめられました。中間報告には、高校教育全般についての改革の提言事項が盛り込まれており、約7割の生徒が通う普通科について、学習の方向性に基づき類型化することや、文系・理系をバランス良く学ぶ方策について、最終提言のとりまとめに向け、更に検討を深めることとされています。文部科学省においても、提言を踏まえ、新しい時代に対応した高等学校改革に取り組んでまいります。

公立小・中学校の適正規模・適正配置等
今後、少子化等の更なる進展による学校の小規模化に伴い、児童生徒が集団の中で切磋琢磨しながら学んだり、社会性を高めたりすることが難しくなる等の課題の顕在化が懸念されており、公立小・中学校の設置者である市町村においては、教育的な視点からこうした課題の解消を図っていく必要があります。
その際、参考となるよう、基本的な方向性や考慮すべき要素、留意点等に加え、全国の教育委員会や学校現場の優れた取組事例や近年の政策動向等を踏まえつつ、少子化に対応した活力ある学校づくりに関わる具体的な工夫やアイデアの例を盛り込んだ「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引」を作成し、文部科学省のウェブサイトで公表するとともに、教育委員会の担当者が集まる会議等で周知しているところです。
地域コミュニティの核としての学校の機能を重視する観点からは、①学校統合により魅力ある学校づくりを行い、地域の活性化を図ることを選択する場合や、②地域の総力を挙げ、創意工夫をいかして小規模校のメリットの最大化やデメリットの克服を図りつつ、学校の存続を選択する場合等の複数の選択があると考えられ、市町村のいずれの選択も尊重されるべきものです。
文部科学省としては、各市町村が学校の小規模化に伴う諸課題に正面から向き合い、保護者や地域住民とともに課題を精緻に分析して、その結果の共有を行った上で、それぞれの地域の子供たちを健やかに育んでいくための「最善の選択」につなげていただきたいと考えています。
また、公立小学校・中学校の設置の在り方を最終的に判断するのは学校の設置者である市町村ですが、広域の教育行政を担う各都道府県においても、域内全体の学校教育の充実発展に責任を持つ立場から、市町村のニーズや実情を踏まえ、次に示すような適切な指導・助言・援助を行うことが期待されるところです。
(適正規模・適正配置に関する支援)
① 基準やガイドライン、手引等の策定
② 情報提供機能の強化
③ カリキュラム開発の支援
④ 財政面・人事面での支援
(統合困難な小規模校への支援の充実)
① 教職員配置の充実
② 教職員研修の充実
③ モデル事業の実施

幼児教育の振興
平成30年度から実施されている「幼稚園教育要領」では、幼稚園教育において育みたい資質・能力の明確化や小学校教育との接続の推進に関する内容の充実を図っています。
また、「幼児教育実践の質向上総合プラン」として、幼児教育アドバイザーの配置・育成など地方公共団体における幼児教育の推進体制の充実・活用強化、幼稚園等における人材確保の取組や質向上のための評価の実施への支援などの予算を計上しました。
「子ども・子育て支援新制度」は、消費税財源を活用して、「量」と「質」の両面から子供の育ち、子育てを支えており、新制度移行後も、幼稚園教諭等の処遇改善を進めております。また、「子育て安心プラン」に基づく幼稚園における待機児童の受入れについては、従来の預かり保育等の取組に加え、幼稚園のまま、保育を必要とする2歳児を定期的に預かる仕組みを創設しており、引き続き推進を図っております。

特別支援教育の推進
我が国では、平成26年1月に批准した「障害者の権利に関する条約」等を踏まえ、障害のある子供について、その能力や可能性を最大限に伸ばし、自立と社会参加に必要な力を培うため、一人一人の教育的ニーズに最も的確に応える指導や支援を行うことができるよう、特別支援学校、小・中学校の特別支援学級、通級による指導といった多様な学びの場の整備や、教師の専門性の向上、障害のある子供に対する合理的配慮の提供の促進などに精力的に取り組んでいます。
現在、特別支援学校や小・中学校の特別支援学級、通級による指導(大部分の授業を通常の学級で受けながら、一部の授業について障害に基づく種々の困難の改善・克服に必要な特別の指導を特別な場で受ける指導形態)においては、特別の教育課程や少人数の学級編制の下、特別な配慮により作成された教科書、専門的な知識・経験のある教職員、障害に配慮した施設・設備等を活用して指導が行われています。
特別支援教育の現状としては、平成29年5月1日現在、特別支援学校及び小・中学校の特別支援学級の在籍者並びに通級による指導を受けている幼児児童生徒の総数は約49万人となっており、増加傾向にあります。このうち義務教育段階の児童生徒については、約41万7,000人で、これは全体の約4.2%に当たります。
平成30年度からは、高等学校段階における通級による指導が開始され、平成30年度は45都道府県において実施、平成31年度からは全都道府県において実施される予定となっています。
また、文部科学省では、平成29年4月に特別支援学校幼稚部教育要領、小・中学部学習指導要領、平成31年2月に特別支援学校高等部学習指導要領の改訂を行い、①重複障害者である子供や知的障害者である子供の学びの連続性、②障害の特性等に応じた指導上の配慮の充実、③キャリア教育の充実や生涯学習への意欲向上など自立と社会参加に向けた教育等を充実させました。
さらに、障害のある子供やその保護者が、乳幼児期から学齢期、社会参加に至るまで、地域で切れ目なく支援が受けられるよう、文部科学省と厚生労働省の両省連携による、家庭と教育と福祉の連携「トライアングル」プロジェクトにおいて、平成30年3月に報告書を取りまとめ、各自治体の積極的な取組を促しています。文部科学省では、各自治体の福祉サービス等の情報を掲載する保護者向けハンドブックのひな型を作成したり、学校教育法施行規則を改正し、個別の教育支援計画について規定したりするなどの取組を行っています。
こうした取組を通じて、障害のある児童生徒が、障害の状態に応じた十分な教育を受けることができるよう、引き続き、切れ目ない支援体制構築のための特別支援教育の充実を進めています。

より良い教科書のために
教科書は、学校における教科の主たる教材として、児童生徒が学習を進める上で重要な役割を果たすものです。教育の機会均等を実質的に保障し、全国的な教育水準の維持向上を図るため、小・中・高等学校、特別支援学校等においては、文部科学省検定済教科書又は文部科学省著作教科書を使用しなければならないこととされています。

1 教科書検定
教科書検定は、民間の発行者の創意工夫による多様な教科書の発行を期待するとともに、①全国的な教育水準の維持向上、②教育の機会均等の保障、③適正な教育内容の維持、④教育の中立性の確保などの要請に応えるため実施しているものです。
平成31年度には、主に、平成29年に公示された新学習指導要領に基づく中学校用の教科書検定を行うこととしています。

2 教科書採択
教科書採択は、児童生徒が学校の授業や家庭における学習活動において用いる教科書を決定する重要な行為です。平成27年度及び平成28年度に、複数の教科書発行者による、採択の公正性・透明性に疑念を生じさせかねない事案が相次いで発覚したことを受けて、文部科学省は、教科書採択の公正性・透明性がしっかりと確保されるよう取り組んでいます。
平成31年度には、新学習指導要領に基づく小学校用教科書の初めての採択が行われる予定です。

3 教科書無償給与・教科用特定図書
文部科学省では、憲法第26条に掲げる義務教育無償の精神をより広く実現する施策として教科書無償給与制度を実施するとともに、障害のある児童及び生徒が検定済教科書等に代えて使用する拡大教科書や、通常の検定済教科書では文字等の認識が困難な発達障害児等の児童生徒向けの音声教材など、教科用特定図書等について、その普及を図っています。具体的には、拡大教科書の標準的な規格を定めるなど、教科書発行者による拡大教科書の発行を促しているほか、全国5ブロックで、都道府県教育委員会等を対象とした音声教材の普及促進のための会議を開催するとともに、その整備充実を図るため、ボランティア団体の協力等を得ながら、調査研究などを行っています。

4 学習者用デジタル教科書の制度化
教育の情報化が進展する中、新学習指導要領を踏まえた「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善や、特別な配慮を必要とする児童生徒等の学習上の困難低減のため、学習者用デジタル教科書を制度化する「学校教育法等の一部を改正する法律」等関係法令が施行され、平成31年4月から学習者用デジタル教科書を導入することができるようになります。あわせて、文部科学省では、その効果的な活用の在り方等に関するガイドラインや実践事例集を公表するなど、学習者用デジタル教科書の円滑な導入に取り組んでいるところです。

いじめ対策、不登校児童生徒への支援
いじめは決して許されないことですが、どの学校でもどの子供にも起こり得るものです。いじめの問題については、まず、「いじめは絶対に許されない」との意識を日本全体で共有し、子供を「加害者にも、被害者にも、傍観者にもしない」教育を実現することが必要です。そして、いじめの問題に対しては、全ての関係者が、その兆候をいち早く把握し、迅速に対応する必要があり、いじめの問題を隠さず、学校・教育委員会と家庭・地域が連携して対処していくことが重要です。
文部科学省では、これまでも、いじめ防止対策推進法や国のいじめ防止基本方針に基づく対応が徹底されるよう、学校や教育委員会等に対する指導や研修会の実施、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置等による教育相談体制の充実などの取組を進めてきました。また平成29年に、基本方針の改定及び「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」の策定を行いました。
さらに、文部科学省では、夜間・休日を含め24時間いつでも子供のSOSを受け止めることができるよう、通話料無料の「24時間子供SOSダイヤル」を整備しています。一方、近年、若年層の多くが、SNSを主なコミュニケーション手段として用いているとともに、SNS上のいじめへの対応も大きな課題となっています。こうした状況を受け、文部科学省では、平成29年に有識者会議を立ち上げ、いじめを含む様々な悩みに関する児童生徒の相談に関して、SNS等を活用する利点・課題等について検討を行い、平成30年3月、「SNS等を活用した相談体制の構築に関する当面の考え方(最終報告)」を取りまとめました。また、平成30年から地方公共団体に対し、SNS等を活用した児童生徒向けの相談体制の構築を支援しており、平成31年度には新たにSNS等を活用した相談体制の在り方に関する調査研究を実施することとしています。
また、不登校は、様々な要因や背景により、結果として不登校状態になっているということであり、その行為を「問題行動」と判断することなく、個々の状況に応じた支援を行うことが必要です。
こうした認識の下、平成28年12月の、「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」の成立を受け、教育の機会の確保等に関する施策を総合的に推進するための基本指針を定めるなど、文部科学省として不登校児童生徒への支援体制の充実を図っており、平成29年度には、教育支援センターの設置促進やフリースクールなど民間団体との連携による支援を推進するため、学校以外の場における教育機会の確保等に関する調査研究等も実施し、平成31年度においても、同調査研究を実施することとしています。
引き続き、個々の不登校児童生徒の状況に応じた必要な支援の推進を図ってまいります。

夜間中学の設置・充実
夜間中学は、義務教育未修了者のほか、不登校などにより十分な教育を受けられないまま中学校を卒業した者(入学希望既卒者)や、本国又は我が国において義務教育を修了できなかった外国籍の者などの、義務教育を受ける機会を実質的に保障するための様々な役割が期待されています。
しかしながら、本年4月に新たに開校した2校を含めても、夜間中学は全国9都府県27市区に33校の設置にとどまっています。
文部科学省では、平成28年12月に成立した「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律(以下「法」という。)」第7条に基づき策定した基本指針において、全ての都道府県に少なくとも一つは夜間中学が設置されるよう促進するとともに、既存の夜間中学における多様な生徒の受入れ拡大を図ること等を目標に掲げて、様々な取組を行っているところです。
平成22年の国勢調査の結果からも全国に未就学者が存在することは明らかであることから、未設置の自治体においては、法の趣旨を踏まえ、2019年度政府予算を活用するなどして、文部科学省が取りまとめたガイドラインなども参考に、夜間中学設置に係るニーズ調査を実施する、法15条に基づく協議会を設置し、都道府県と市町村は夜間中学設置に係る役割分担等に関する協議を開始することが望まれます。
また、文部科学省においては、昨年度から「夜間中学における日本語指導研修会」を開催するなどして、既存の夜間中学の教育活動の充実にも取り組んでいるところです。
平成30年6月に閣議決定された「第3期教育振興基本計画」においては、初めて「夜間中学の設置・充実」に関する項立てがなされたほか、同年12月に関係閣僚会議が取りまとめた「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」にも「全ての都道府県における夜間中学の設置促進等」が盛り込まれるなど、今後も政府一丸となって、夜間中学の設置推進・充実に係る取組を実施してまいります。
夜間中学未設置の自治体に在住の潜在的入学希望者(当事者)御自身に加えて、その家族や友人(支援者)、潜在的入学希望者をサポートしている福祉関係者や外国人支援者(応援者)などは、お住まいの教育委員会にお問合せ、御相談ください。

学校健康教育の充実
学校健康教育は、学校保健、学校安全、食育・学校給食に関する取組を充実することにより、子供の心身の健やかな育成を図るものです。朝食欠食の増加等の食生活の乱れや、アレルギー疾患等の現代的な健康課題が顕在化しており、文部科学省では、このような現状も踏まえ、各施策に取り組むこととしています。(学校安全に関する施策についてはP34「○学校安全の確保」参照)

1 学校保健の推進
近年、アレルギー疾患やメンタルヘルスに関する問題等、子供の健康課題が多様化・複雑化していることから、学校保健に関する学校内の体制整備を促進するとともに、地域の医療機関等の専門性を取り入れるなど地域と一体となった学校保健を推進することが重要となっています。
文部科学省では、地域の医療機関等との連携による学校保健の課題解決に向けた取組を支援するとともに、「第3期がん対策推進基本計画」(平成29年10月閣議決定、平成30年3月一部変更)を踏まえ、各地域の実情に応じたがん教育総合支援事業を展開しています。
また、経験の浅い養護教諭の配置校等で指導助言を行うスクールヘルスリーダーを学校へ派遣する取組を行うとともに、アレルギー疾患やメンタルヘルス等の現代的な健康課題に関する教職員向け研修会等を開催するなど、教職員の学校保健に関する資質向上を図っています。
さらに、「第五次薬物乱用防止五か年戦略」を受け、薬物乱用防止教室の開催を推進するとともに、薬物乱用防止に関する効果的な指導の方法や内容の検討・実施の支援を行うなど薬物乱用防止教育の充実強化を図っています。

2 学校における食育・学校給食の推進
子供に食に関する正しい知識や望ましい食習慣を身に付けさせるため、各学校においては、学校給食法や学習指導要領等に沿って、各教科等、学校の教育活動全体を通じて食に関する指導が行われています。
文部科学省では、平成29年度から、「つながる食育推進事業」を実施し、学校を核として地域や生産者等と連携しつつ家庭を巻き込んだ取組を推進することで、子供の食に関する自己管理能力の育成を目指しています。2019年度においては、栄養教諭を中核とした全校体制による食育の指導・評価方法の開発や、栄養教諭間の連携強化、研修の充実も併せて推進します。
また、学校給食においては、平成28年度から、食品ロスの削減、地産地消の推進、伝統的食文化の継承などの社会的課題に対応するため、食品の生産・加工・流通等の関係者と連携しつつ、学校給食をより効果的かつ効率的に運用するための手法を検討する「社会的課題に対応するための学校給食の活用事業」を実施しています。

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