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安全・安心で質の高い学校施設等の整備の推進

文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部

文部科学省では、誰もが安心して利用できる安全な学校施設づくりを目指し、耐震化や防災機能強化を推進するとともに、災害復旧を支援しています。
また、豊かな教育環境を実現するために、老朽化対策・長寿命化改修、環境を考慮した学校施設(エコスクール)の整備を推進し、地方公共団体が学校施設を整備する際の参考となる指針や手引、事例集などの作成を通じて、安全で質の高い学校づくりを進めています。
国立大学等施設についても、安全・安心な教育研究環境の整備や機能強化等への対応のため、耐震化や老朽施設の改善整備を中心とした戦略的なリノベーションなど、重点的・計画的な整備を進めています。
このような学校施設の整備を担ってきた「文教施設企画部」について、平成30年10月16日に組織再編を実施しました。具体的には、文教施設の防災に係る対応を強化するため、文教施設の防災を主担当とする課長級職として「参事官(施設防災担当)」を創設し、「文教施設企画・防災部」に再編しました。今後とも、新体制の下、安全・安心で質の高い学校施設等の整備を推進していきます。

災害に強い学校施設整備
●学校施設の防災対策
学校施設は、子供たちの学習・生活の場であるとともに、災害時には地域住民の避難所としての役割も果たすことから、その安全性の確保と防災機能の強化は極めて重要です。
そのため、文部科学省では、公立学校施設の構造体の耐震化について、平成27年度までの完了を目標に、制度の充実を図りながら重点的に推進してきました。また、屋内運動場等の吊り天井の落下防止対策についても支援を行ってきました。
その結果、平成30年4月1日現在で公立小中学校の構造体の耐震化率は99.2%、屋内運動場等の吊り天井等の落下防止対策実施率は98.2%となり、おおむね完了した状況です。文部科学省としては、構造体の耐震化及び屋内運動場等の吊り天井の落下防止対策が未完了の地方公共団体に対して、引き続き、必要な財政支援を行うとともに、速やかに対策を完了するよう要請しています。
平成28年4月に発生した「平成28年熊本地震」では、2度に及ぶ震度7の地震や4,000回を超える余震にもかかわらず、公立学校施設においては、先述のように耐震化や吊り天井の対策が進んでいたため、倒壊・崩壊等に至る大きな被害はありませんでした。一方で、外壁や窓などの吊り天井以外の非構造部材において、落下などの被害が目立ち、避難所としての使用ができない学校も発生し、課題となりました。このような状況を踏まえ、文部科学省では、これまでの学校施設整備の効果を検証するとともに、学校施設の安全性の確保などの課題について検討するため、有識者会議を設置し緊急提言を取りまとめました。その緊急提言において、吊り天井以外の非構造部材に関し、古い工法のものや経年劣化が進んでいるものの被害が顕著であるとの提言を踏まえ、安全対策の観点から優先順位をつけて計画的に老朽化対策を行うこととしています。
加えて、緊急提言においては、学校施設の防災機能に関して、学校施設ごとに避難所として求められる役割・備えるべき機能等を明確化すること、優先順位を付けて整備すること等の課題が提示されました。これら熊本地震における課題を踏まえ、平成29年度に、学校施設における防災機能の向上の観点から、避難所に必要な防災機能の保有状況等の調査を実施したところ、断水時のトイレ使用が可能な学校が5割弱にとどまるなど、避難所としての防災機能の整備が不十分であることが判明しました。これらを受け、防災担当部局等と教育委員会の連携協力体制の構築を図るとともに、避難所となる学校施設の防災機能の強化を一層推進するよう教育委員会等に周知しています。
また、平成30年6月18日に発生した大阪府北部を震源とする地震では、学校のブロック塀が倒壊し、女子児童が亡くなられるという大変痛ましい事故が発生しました。当該事故を受けて、文部科学省では、6月19日に全国の学校設置者に対して、ブロック塀等の安全点検等の要請を行うとともに、その進捗状況を調査し、8月10日に結果を取りまとめました 。この調査により、「安全性に問題があるブロック塀等を有する学校」が、全国の学校(5万1,082校)の約4分の1に当たる1万2,652校にのぼることが判明しました。この結果を受け、文部科学省としては、各学校設置者に対して、速やかに安全点検や、注意喚起を行う等の応急対策を実施するとともに、安全性に問題があると判明したブロック塀等については、速やかに改善を図るよう通知しました。さらに、各学校設置者が速やかにブロック塀等の安全対策が行えるよう、調査結果を踏まえ、平成30年度第1次補正予算において必要な予算を措置しました。具体的には、今回のブロック塀倒壊事故や昨夏の猛暑に起因する健康被害の発生状況等を踏まえ、子供たちの安全・安心を確保するため、「ブロック塀・冷房設備対応臨時特例交付金」を創設し、公立学校における倒壊の危険性があるブロック塀等の安全対策や、熱中症対策のための空調設置を支援しています。
さらに、「平成30年7月豪雨」や「平成30年北海道胆振東部地震」など、最近の災害による被害を踏まえ、重要インフラが自然災害時にその機能を維持できるよう、特に緊急に実施すべき対策について、3年間で集中的に実施するものとして、「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」が平成30年12月14日に閣議決定されました。この中で、文部科学省関係の緊急対策として、学校施設等における、災害時に落下の危険性のある外壁や天井等の改善整備及び構造体の耐震化を行うこととされました。文部科学省としては、地震や津波などの大規模な災害時において、学校施設の機能維持を図るため、財政支援など必要な支援に取り組んでおり、今後も、学校施設の耐震化や非構造部材等の耐震対策、防災機能強化等をより一層推進してまいります。
●学校施設の災害復旧
文部科学省では、自然災害により被害を受けた公立学校施設の復旧に要する経費の一部を国庫負担(補助)しています。特に、激甚災害(国民経済に影響を及ぼし、かつ、地方財政の負担緩和や被災者への特別の助成を行うことが特に必要な災害)に指定された災害に関しては、地方公共団体ごとにその財政規模に応じて国庫負担率が引き上げられます。
また、国立大学等施設についても、自然災害により被害を受けた施設の復旧に要する経費を国庫補助しています。
さらに、私立学校施設についても、激甚災害に指定された災害により被害を受けた施設の復旧に要する経費の一部を国庫補助しています。
これらの取組により、平成23年に発生した「東日本大震災」により被災した学校施設については、国からの支援を得て復旧する公立学校2,339校のうち2,313校(98.9%)、国立学校25法人全て(100.0%)、私立学校790校のうち782校(99.0%)の復旧が完了しました。
東日本大震災以降も、最大震度7の地震が2回発生した「平成28年熊本地震」、平成30年度においては、西日本を中心に全国的に広い範囲で記録的な大雨となった「平成30年7月豪雨」や「平成30年北海道胆振東部地震」など相次ぐ災害により、多くの学校施設が被害を受けました。これらの災害の被災地でも、国からの支援を得て、仮設校舎の設置や校舎の本復旧などが現在も進められています。
文部科学省では、引き続き、自然災害により被害を受けた学校施設の早期復旧に向けて、支援してまいります。

豊かな学校施設環境の構築
●学校施設整備指針の策定等
文部科学省では、学校教育を進める上で必要な施設機能の確保のため、施設計画及び設計における基本的な考え方や留意事項を示した「学校施設整備指針」を学校種ごとに策定するとともに、社会状況の変化等を踏まえ、これまで数次にわたり見直しを行ってきました。平成29年2月からは、学習指導要領の改訂等に対応するため「学校施設の在り方に関する調査研究協力者会議」を開催し、今後の学校施設の在り方及び学校施設整備指針の改訂に関する調査研究を開始しています。平成31年3月には、小学校及び中学校施設整備指針の改訂を行い、今年度は、高等学校施設整備指針の改訂を予定しています。
学校施設整備指針や調査研究報告は、文部科学省ホームページにおいて公表しています。
(参考)学校施設の在り方に関する調査研究協力者会議
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shisetu/044/index.htm

●環境を考慮した学校施設づくり
地球環境問題への対応が喫緊の課題となっている中、再生可能エネルギー設備の導入や校舎や体育館等の断熱性の向上、校庭の芝生化などの環境を考慮した学校施設(エコスクール)の整備が進められています。
エコスクールの整備によって、児童生徒にとって健康的で快適な学習・生活空間を維持しながら施設の環境負荷低減を図ることができます。また、エコスクールは、児童生徒が環境について学ぶ教材としての側面を持つとともに、地域の環境教育の発信拠点としての機能を果たすこともできます。
エコスクールの整備を推進するため、文部科学省では、関係省庁と連携してエコスクールパイロット・モデル事業を平成9年度から28年度まで実施し、1,663校認定してきました。平成29年度からは「エコスクール・プラス」に改称し、エコスクールとして整備する学校を143校認定しています。
また、文部科学省ホームページにおいて、エコスクールの効果や積極的な取組事例などについて情報提供をしています。

●学校における省エネルギー対策の推進
「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」に基づき、学校はエネルギーの使用の合理化(省エネルギー)に努めることが求められています。省エネルギーは、我慢によるエネルギー使用量の削減を求めることではなく、児童生徒の学習環境を確保した上でエネルギーを無駄なく使用することです。
文部科学省では、学校事務職員と意見交換を行い、学校で活用できる省エネルギー対策に関する資料「学校でできる省エネ」を作成するとともに、実地調査や講習会の開催など、学校における省エネルギー対策を推進しています。
さらに、学校施設の高機能化・多機能化等によるエネルギー使用量の増加もあり、学校においては省エネルギーの推進に苦慮している状況が見受けられます。そこで、平成30年1月から「学校等における省エネルギー対策に関する検討会」を開催して、学校等における省エネルギー推進のための基本的事項をまとめた手引きを作成し公表しました。
今後、この手引きを活用して、引き続き学校における省エネルギー対策を推進してまいります。
また、学校設置者等に対し、エネルギー使用量が増加する夏季と冬季に省エネルギーの取組への協力を呼び掛けています。
(参考)省エネ法、グリーン購入法等への取組
http://www.mext.go.jp/a_menu/shisetu/green/index.htm

●木材を活用した学校施設づくり
学校施設における木材の利用は、木材の柔らかで温かみのある感触や優れた吸湿効果から、豊かで快適な学習環境づくりを行う上で大きな効果が期待できます。また、地場産業の活性化、地球環境の保全などの観点からも大きな意義があります。
このため、文部科学省では、木材を利用した公立学校施設の整備について、財政支援を行うとともに、木材利用に関する事例集の作成・配布、講習会の実施など、学校施設における木材利用の取組を推進しています。また、平成26年度に日本工業規格である「木造校舎の構造設計標準(JIS A 3301)」について、近年の学校施設に求められる機能の変化などに対応するよう全面改正するとともに、JIS A 3301の解説書となる技術資料を作成しました。
平成27年度には、建築基準法の一部改正により、これまで耐火建築物としなければならなかった木造3階建て学校施設が、一時間準耐火構造で整備できるよう規制緩和されたことを受け、整備する際のポイントや留意事項をまとめた「木の学校づくり-木造3階建て校舎の手引-」を作成しました。
平成27年度から29年度まで、JIS A 3301を活用した木造校舎、木造3階建て学校施設、CLT(直交集成板)を用いた木造校舎等を整備する地方公共団体の先導的な取組を支援する、「木の学校づくり先導事業」を実施しました。
平成30年度には、木の学校づくりについて、分かりやすくまとめた「木の学校づくり―その構想からメンテナンスまで―(改訂版)」を日本建築学会の協力を得て、作成しました。

●学校施設における維持管理の徹底
学校施設は、児童生徒等の学習・生活の場であるとともに、非常災害時には避難所として地域住民の避難生活の拠点としての役割も担うものであるため、日常のみならず災害時においても十分な安全性・機能性を有することが求められます。建築当初には確保されているこれらの性能も、経年劣化等により必要な性能を満たさなくなっているおそれがあることから、学校施設の管理者は、当該施設が常に健全な状態を維持できるよう、適切に維持管理を行っていくことが必要です。
文部科学省では、学校設置者に対して学校施設の維持管理の必要性・重要性を周知するため、平成28年3月に「子供たちの安全を守るために―学校設置者のための維持管理手引―」を作成・公表しています。また、平成29年5月には体育館の床板の剥離による負傷事故の防止を目的として、学校の設置者等に対し、適切な清掃(ワックス掛け・水拭きの禁止)や日常点検を要請する通知を発出しています。今後も安全・安心な教育環境確保のため、維持管理の適切な実施を推進していきます。

●アスベストへの対策
文部科学省では、平成17年度に「学校施設等における吹き付けアスベスト等使用実態調査」を実施し、以降、毎年度フォローアップ調査を実施しています。この吹き付けアスベスト等の対策については、少数の機関を除き、ほぼ完了している状況です。
また、平成26年3月に石綿障害予防規則が改正され、石綿含有保温材等(保温材、耐火被覆材、煙突用断熱材等)が新たに規制対象に加えられたことを受け、児童生徒等の安全性を確保する観点から、教室や廊下等の児童生徒・教職員等が通常立ち入る場所及び煙突を対象とし、その使用状況及び劣化、損傷等の状況について、調査を実施しています。
平成28年度の調査結果の公表時には、学校設置者等に対して、調査の早期完了と、劣化、損傷等がある石綿含有保温材等を保有する機関に対しては専門業者等に相談の上、適切な対策を早急に講じるよう要請しました。
また、建物には多種多様なアスベスト含有建材が使用されていることから、各機関においては、引き続き当該部分の適切な維持管理が必要であり、改修や取壊し工事を行う際には、関係法令等に基づいた適切な対応をするよう、お願いしています。
児童生徒等の安全対策に万全を期すため、今後も引き続き、アスベストに係る対策について取り組んでまいります。

●公立学校の老朽化対策、長寿命化改修の推進
公立学校施設については、これまで耐震化を最優先に進めてきましたが、その一方で、老朽化が進行した学校施設の割合が増加しており、安全面や機能面で不具合が生じています。
平成29年度に文部科学省が実施した調査によれば、全国の公立小中学校で、外壁・窓枠の落下など建物の老朽化が主因の安全面における不具合は年間約3万2,000件発生しており、約1万4,000件であった平成24年度調査に比べて2倍以上となっています。
また、家庭や社会の環境の変化に伴い、学校施設の機能・性能の向上が求められています。例えば、少人数指導等に対応した学習環境やICT環境の整備、バリアフリー化、空調設備の設置、トイレの洋式化、省エネルギー化など、学習環境の改善が必要です。さらに、公立学校の約9割が避難所に指定されており、防災機能の強化も求められています。
厳しい財政状況の下、これらの課題を解決するためには、中長期的な視点の下、計画的な整備を行うとともに、コストを抑えながら改築(建て替え)と同等の教育環境を確保することができ、排出する廃棄物量も少ない「長寿命化改修」に重点を移していくことが必要です。
長寿命化改修は、建物の耐久性を高めることに加え、学校施設に対する現代の社会的事情に応じるよう、建物の機能や性能を引き上げるものです。適切なタイミング(おおむね築後45年程度まで)で長寿命化改修を行うことで、技術的には、70~80年程度に耐用年数を延ばすことが可能です。
平成25年11月、政府において「インフラ長寿命化基本計画」(以下、「基本計画」)が策定されました。基本計画は、国民の安全・安心を確保し、中長期的な維持管理・更新等に係るトータルコストの縮減や予算の平準化を図るための方向性を示すものです。
基本計画では、各地方公共団体において、域内の公共施設等の総合的かつ計画的な管理を推進するための計画(公共施設等総合管理計画)を策定するとともに、個別施設ごとの長寿命化計画(個別施設計画)を策定することが求められています。
文部科学省では、地方公共団体による中長期的な整備計画の策定や長寿命化改修の導入を推進するため、必要な支援を行っています。個別施設計画策定の推進に当たっては、平成27年4月に「学校施設の長寿命化計画策定に係る手引」を作成するとともに、平成29年3月には、手引きに基づき、学校施設の長寿命化計画の標準的な様式を示すとともに、より具体的な留意点を解説した「学校施設の長寿命化計画策定に係る解説書」を作成し、この解説書に基づく説明会等を開催しています。
長寿命化改修の推進に当たっては、平成25年度から「長寿命化改良事業」を創設し、地方公共団体が行う長寿命化改修について経費の3分の1を補助するとともに、地方財政措置により、実質的な地方の負担割合を26.7%に軽減しています。
また、平成29年3月には、長寿命化改修の先導的事例や留意事項を記載した「学校施設の長寿命化改修に関する事例集」を作成しました。
今後も引き続き、各地方公共団体が、長寿命化改修などの老朽化対策をそれぞれの実情に応じて適切に進めることができるよう支援してまいります。

●公立特別支援学校の教室不足への対応
公立特別支援学校については、平成28年10月1日現在、全国で3,430教室が不足しています。
文部科学省では、各地方公共団体に対し特別支援学校への受入れが想定される児童生徒数を的確に把握し、教室不足の解消計画を策定・更新するとともに、学校の新設や校舎の増築、分校・分教室の整備、廃校・余裕教室等の既存施設の活用等によって、教育上支障が生じないよう適切な対応を求めています。

●公立学校の廃校・余裕教室の活用
近年、少子化に伴う児童生徒数の減少により、廃校や余裕教室が増加しており、その有効活用が課題となっています。こうした状況を受けて、文部科学省では次のような取組を実施しています。
①活用事例等の情報提供
廃校・余裕教室の活用事例や、活用用途を募集している廃校施設の一覧、活用に当たって利用可能な各省庁の補助制度等について、パンフレットや文部科学省のホームページを通じて情報提供しています。
(参考)~未来につなごう~
「みんなの廃校」プロジェクト、ホームページ
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyosei/1296809.htm
②財産処分手続の弾力化
国庫補助金により整備した学校施設を学校以外に転用等する場合、国庫補助事業完了後10年以上経過した建物等の無償による財産処分であれば、原則として国庫納付を不要にするなど、財産処分手続を大幅に弾力化しています。
(参考)廃校施設・余裕教室の有効活用ホームページ
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyosei/yoyuu.htm

国立大学等の施設整備
●国立大学等施設の現状と課題
国立大学等の施設は、教育研究活動に不可欠な基盤であるとともにイノベーション創出や人材育成の拠点となる重要な施設です。
現在、国立大学等の施設は、建築後25年以上を経過した施設が約6割を占めるとともに、建築後50年以上を経過した改修を要する施設が今後5年間で大幅に増加(約147万㎡→約241万㎡)するなど、老朽化が深刻な課題となっています。安全面に問題があることはもちろんのこと、大学の機能強化、大学教育の質的転換、グローバル化への対応など機能面でも様々な支障が生じています。また、キャンパス内に敷設されている給排水管や電気設備などのライフラインの老朽化も著しく進行しており、今後、故障や事故が増加することが危惧されているほか、漏水等の支出の原因となるなど経営面にも影響する課題となっています。さらには、国立大学等の社会的責任として省資源・省エネルギー、環境負荷の低減に一層貢献していくことが必要となっています。
こうした中、文部科学省では、第5期科学技術基本計画(平成28年1月22日閣議決定)を踏まえ、「第4次国立大学法人等施設整備5か年計画(平成28年度~32年度)(平成28年3月29日文部科学大臣決定)」(以下、「第4次5か年計画」という。)を策定し、計画的・重点的な整備を推進しています。
加えて、最近の災害による被害を踏まえ策定された、「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」(平成30年12月14日閣議決定)の中で、国立大学等施設において、災害時に落下の危険性のある外壁や天井等の改善整備や、研究活動継続や安全確保対策等のためのインフラ設備更新等を行うこととしています。

●第4次5か年計画に基づく整備の推進
文部科学省は第4次5か年計画における重点整備として、①安全・安心な教育研究環境の基盤の整備、②国立大学等の機能強化等変化への対応、③サステイナブル・キャンパスの形成を推進することとしています。
「安全・安心な教育研究環境の基盤の整備」では、耐震対策や防災機能強化、老朽化した基盤整備の更新を推進しています。「国立大学等の機能強化等変化への対応」では、機能強化に伴い必要となる新たなスペースの確保や戦略的なリノベーションによるアクティブ・ラーニングスペース等の導入とともに、大学附属病院の再開発整備の着実な実施を推進しています。「サスティナブル・キャンパスの形成」では、省エネルギー対策や社会の先導モデルとなる取組を推進しています。
また、同計画では、国立大学法人等に対して、長期的な視点に立って、大学の基本理念やアカデミックプラン、経営戦略等を踏まえたキャンパス全体の整備計画(キャンパスマスタープラン)を策定・充実するとともに、当該プランに基づいた計画的で、より効果的かつ効率的な施設整備を行うよう求めています。
さらに、施設マネジメントの推進のための仕組みの構築や施設の有効活用、適切な維持管理の実施等戦略的な施設マネジメントや、民間資金等の活用等多様な財源を活用した施設整備をより一層推進するよう求めています。

●戦略的な施設マネジメントの推進
国立大学の基本理念やアカデミックプランの実現のためには、経営的視点から、施設の整備や維持管理、既存施設の有効活用、省エネルギー対策、これらに必要な財源の確保などの施設全般に係る施設マネジメントの取組をより一層推進することが求められます。
このため、文部科学省では、施設マネジメントの基本的な考え方、具体的な実施方策や先進的な取組事例等を示した報告書や事例集等を作成し、国立大学法人等における戦略的な施設マネジメントの取組を推進しています。
報告書や事例集等は、文部科学省のホームページにおいて公表しています。
(参考)施設マネジメントの推進ホームページ
http://www.mext.go.jp/a_menu/shisetu/kokuritu/1318421.htm
また、国立大学法人等の施設の老朽化が深刻な課題となる中、施設の長寿命化により既存施設を有効活用し、トータルコストの縮減や予算の平準化を図ることが求められています。
このため、文部科学省では、平成29年11月に「国立大学法人等施設の長寿命化に向けたライフサイクルの最適化に関する検討会」を設置し、施設の長寿命化に向けた基本的な考え方や具体的な推進方策等について検討を行うとともに、施設の各部位ごとの改修・更新実績や劣化状況の整理、施設の長寿命化を図るために有効な取組事例の収集を行い、平成31年3月に報告書を取りまとめました。
また、「インフラ長寿命化基本計画」において、個別施設ごとの長寿命化計画(個別施設計画)の策定が求められているところであり、これらを含め、国立大学法人等において施設の長寿命化が適切に行われるよう、普及・啓発を行うなど必要な支援を行っていきます。

●国立大学附属病院施設整備の推進
今後の国立大学附属病院の整備については、施設の耐震化に加えて、大規模災害時における電気・水の確保など、医療継続のための防災機能強化が重要な課題となっています。
平成26年6月に閣議決定された「国土強靱化基本計画」においても、「災害拠点病院となる国立大学附属病院における防災・減災機能(水の確保・浸水対策等)の充実を図る」旨、言及されています。
このため、文部科学省では、現状を踏まえた今後の附属病院施設における防災機能強化の在り方について検討するため、「国立大学附属病院施設の防災機能強化に関する検討会」を設置し、平成28年11月に報告書を取りまとめました。
本報告書では、附属病院施設の防災機能強化に関する実態調査の結果や、平成28年4月に発生した熊本地震における熊本大学医学部附属病院の被災状況等も踏まえ、今後附属病院が災害時の医療拠点として防災機能の充実・強化を図る際に求められる取組をまとめています。
あわせて、国公私立大学附属病院において近年整備された主な防災関連設備の中から先導的と考えられる整備事例や、防災機能強化を図るための組織的な取組事例についても紹介しています。
また、平成30年度より、「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」(平成30年12月14日閣議決定)として、災害発生後の医療継続のための浸水対策等を行うこととしています。

多様な文教施設整備
●文教施設への民間活力の導入
効率的かつ効果的であって良好な公共サービスを実現するため、多様なPPP/PFI(Public Private Partnership / Private Finance Initiative)を推進することが重要であることから、平成30年6月15日、民間資金等活用事業推進会議において「PPP/PFI推進アクションプラン(平成30年改定版)」(以下「アクションプラン」という。)が決定されました。
アクションプランでは、施設の所有権は公共が有したまま、施設の運営権を民間事業者に認定することが可能となる公共施設等運営権制度を活用した事業(以下「コンセッション事業」という。)等の重点分野が設定され、文教施設(スポーツ施設、社会教育施設及び文化施設をいう。以下同じ。)について、「平成28年度から平成30年度までの集中強化期間中に3件のコンセッション事業の具体化を目標とする」こととなっています。
このような状況を踏まえ、文部科学省では、平成28年4月に「文教施設における公共施設等運営権の導入に関する検討会」を設置し、文教施設において公共施設等運営権制度を活用するメリット等を整理した報告書を平成29年3月に取りまとめるとともに、地方公共団体におけるコンセッション事業導入の検討が円滑に行われるよう、実務的な手引きを平成30年3月に作成し、地方公共団体に周知しました。
また、平成29・30年度には、文教施設におけるコンセッション事業の案件形成を図るため、「文教施設におけるコンセッション事業に関する先導的開発事業」を実施したところです。
今後とも本報告書や実務的な手引きを地方公共団体に周知するとともに、コンセッション事業を検討する地方公共団体の支援に取り組んでいきます。

●文教施設整備への技術的支援
文部科学省では、教育、学術、スポーツ及び文化の活動等の推進のため、これら文教行政と密接な関わりを持つ施設の整備を行っており、近年ではナショナルトレーニングセンターの建設や第一次大極殿正殿復原などの整備を実施しました。
ナショナルトレーニングセンター拡充整備については、オリンピック競技とパラリンピック競技の共同利用施設として、2020年東京オリンピックに向け、平成29年度から工事に着手しており、2019年6月末に完成予定です。
また、文教施設の質的水準の確保・向上、施設整備業務の効率化等を図るため、施設整備に必要な技術的基準を策定しています。さらに、国立大学等の機能を活性化する教育研究空間づくりを推進するため「国立大学等施設設計指針」を策定するとともに、事例集の作成等を行っています。今後も引き続き大学等の施設整備を支援してまいります。
(参考)国立大学等の特色ある施設(事例集等)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shisetu/kokuritu/1404577.htm

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