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国際協力・交流の推進

文部科学省大臣官房国際課・国際統括官付

はじめに
社会経済のグローバル化が加速する中、我が国は今後も諸外国との協力や交流を一層充実させていくことが重要です。
本年は、日本においてG20サミット、アフリカ開発会議(TICAD)、ラグビー・ワールドカップ等が開催されるほか、フランスにおいてG7教育大臣会合、ユネスコ総会などが予定されているなど、大規模な国際イベント・国際会議が開催されます。当省として、これらの会合において、国際的な議論の形成に積極的に貢献していくほか、今後の日本そして世界の未来を担う若者がグローバル社会で活躍できるよう関係機関とも連携し、引き続き諸施策の取組を進めます。
本章では、文部科学省が実施する国際協力・交流に関する取組を紹介します。

持続可能な開発目標(SDGs)の推進
平成27年9月に開催された国連サミットにおいて持続可能な開発目標(SDGs)が全会一致で採択されたことを受け、日本では、我が国としてのSDGs実施に率先して取り組むべく、平成28年5月に安倍総理を本部長とするSDGs推進本部が設置されるとともに、同年12月にSDGs実施指針が決定されました。さらに、平成29年12月に、日本の「SDGsモデル」を世界に発信することを目指し、その方向性や主要な取組を盛り込んだ『SDGsアクションプラン2018』が決定されました。その後、平成30年6月には『拡大版SDGsアクションプラン2018』、同年12月には『SDGsアクションプラン2019』がそれぞれ決定され、取組の一層の充実が図られています。引き続き、実施指針及び本アクションプランを踏まえ、関係省庁と連携して、教育及び科学技術分野等を中心にSDGsの達成を目指す取組を実施してまいります。

外国人材の受入れ・共生の推進
改正出入国管理法が2019年4月に施行されるところ、政府では、平成30年12月25日に「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」を取りまとめ、政府一体となって日本語教育を含む関連施策の充実に取り組むこととしています。この総合的対応策も踏まえ、引き続き、文部科学省として、外国人の日本語教育環境の整備を着実に実施してまいります。
就労者や配偶者など「生活者としての外国人」に対する日本語教育に関しては、外国人に学習機会が行き渡ることを目指した全国各地の取組の支援や日本語教師のスキルを証明する新たな資格の整備等を進めてまいります。
また、外国人児童生徒等の教育の充実に関しては、日本語指導に必要な教員定数の義務標準法の規定に基づいた改善の着実な推進や、日本語指導等に係るきめ細かな支援の実施、外国人高校生等に対するキャリア教育等を進めてまいります。

国際教育協力の推進
1 日本型教育の海外展開
戦後の復興から経済成長を遂げ、大震災などの困難も乗り越え、成熟した先進国の地位を維持している日本を支える人づくり、日本の教育に対し、新興国をはじめ諸外国からの関心が高まっています。知・徳・体のバランスのとれた力を育むことを目指す初等中等教育や、実験実習を中心とした5年一貫の実践的な技術者教育を行う高等専門学校制度など、我が国の教育制度を取り入れたいとのニーズが各国から寄せられています。
こうした状況を踏まえ、文部科学省は、日本型教育の海外展開に関し、外務省や経済産業省、国際協力機構(JICA)、日本貿易振興機構(JETRO)、民間教育産業等と協力する場(プラットフォーム)の構築や企業や大学等が行う海外展開事業を支援する「日本型教育の海外展開 官民協働プラットフォーム事業(EDU-Portニッポン)」を平成28年度から実施しています。
平成30年度には、重点的に海外展開を行う対象地域を中東・中南米・アフリカに拡大したことに伴い、中東とアフリカを対象に地域別分科会を実施し、地域別のニーズの明確化や機関・企業間の連携の機会の提供等を行いました。また、ICT教育や職業教育等の特定のトピックに関するセミナーを実施し、海外展開をしている事業者やJICAによる事例紹介等を行いました。さらに、アラブ首長国連邦で開催された教育見本市「GESSドバイ」に文部科学省ブースを出展し、日本型教育をPRする機会を設けました。
本事業を通じて官民が連携して諸外国との教育協力の案件形成を行い、海外展開モデルケースの形成や、国内の教育環境・基盤の整備、諸外国との教育に係る人材交流の強化をすることで、日本型教育の海外展開と我が国の教育の国際化の推進を目指します。
2 高等教育分野における国際教育協力
実験・研究を重視した少人数制を取る日本式工学教育は、開発途上国で高く評価されており、文部科学省は、JICAが日本の大学等の協力を得て実施する開発途上国における高等教育機関の機能強化に関する様々な事業に協力してきました。
平成22年2月には、「エジプト日本科学技術大学」(E-JUST)が開学、平成23年9月には「マレーシア日本国際工科院」(MJIIT)が開校、平成28年9月にはベトナムに「日越大学」が開学しました。日本の協力を得て自国に大学を設置したいとの要望は様々な国から寄せられており、今後もトルコ等での大学設立構想に協力していきます。
さらに、ASEAN地域の大学と日本の大学のネットワークを強化する「ASEAN工学系高等教育ネットワーク」(AUN/SEED-Net)にも日本の多くの大学が参画しています。
3 初等中等教育分野における国際教育協力
教員の国際協力への参加促進のため、平成13年度にJICA海外協力隊「現職教員特別参加制度」が創設されました。平成20年度には、同制度が「日系社会青年海外協力隊」にも拡大されました。
本制度では、対照教員が現職の身分を保持したまま活動に参加でき、学年歴に合わせた派遣期間の設定、一次選考(技術選考)の免除など教員の参加を促す様々な措置を講じています。その結果、これまでの17年間で1300名を超える教員が開発途上国に派遣されています。
教育委員会や学校においても、本制度の趣旨と成果を理解の上、国際的な視点や経験を持った人材の育成に、本制度を積極的に活用ください。
4 新時代の教育のための国際協働
平成28年5月に開催したG7教育大臣会合の成果文書である「倉敷宣言」において、G7各国間での教育に関する理念・課題の共有や国際協働の重要性が確認されたことを踏まえ、平成29年度から「新時代の教育のための国際協働プログラム(教員交流)」を実施しています。2019年度からは、平成30年9月にG20の枠組みで初めて教育大臣会合が開催されたことを受け、対象国をG 20に拡大して事業を実施します。本事業を通じて各国の豊かな経験を相互に学び合い、教育分野におけるG7・G20各国間の関係強化を図ります。

国際機関を通じた協力
文部科学省では、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)をはじめとして、OECD(経済協力開発機構)やAPEC(アジア・太平洋経済協力)、国連大学といった国際機関と協力し、様々な取組を行っています。
1 ユネスコ
ユネスコは、教育・科学・文化分野での協力・交流の促進を通じて国際平和に貢献することを目的とする国連の専門機関であり、現在193か国が加盟しています。我が国では、日本ユネスコ国内委員会を通じ、教育、科学、文化等の各分野の関係者と連携しながら、持続可能な開発のための教育(ESD:Education for Sustainable Development)の推進(後述)、ユネスコエコパークやユネスコ世界ジオパークをはじめとした科学事業の推進(後述)など様々な活動を行っています。
また、先述のSDGsの17のゴールのうち、教育、科学技術、文化等に関する計九つのゴールにおいてユネスコが重要な役割を果たすことが表明されています。これを受け、日本ユネスコ国内委員会では、平成28年に設置したSDGs推進特別分科会において、SDGsの実現に向け、教育、科学技術、文化等の分野において、ユネスコ活動を通じて国内外で貢献するための方策について審議を行っています。
2 OECD
OECDでは、PISA(生徒の学習到達度調査)、PIAAC(国際成人力調査)、TALIS(国際教員指導環境調査)等の各種国際比較分析及び調査・研究などの教育事業が行われており、我が国も事業に参加・協力しています。平成30年度には、PISA2018及びTALIS2018の調査が実施され、2019年度にはその結果が公表される予定です。
平成30年度には、約10年ぶりにOECDによる日本の教育政策に対するレビューが実施されたことを受け、「OECDからみる日本の教育政策」をテーマに、文部科学省、OECDの共催により、第20回OECD/JAPANセミナーを東京で開催しました。
現在、OECDでは、2030年の時代に必要となるキー・コンピテンシー(主要な資質・能力)を策定し新たな教育モデルの開発を目指す「Education2030」事業を推進しています。文部科学省では、本事業の運営主体であるインフォーマル・ワーキング・グループ(IWG)への出席や共同研究等を通じて積極的に参画しています。
3 APEC
APECへの参加・協力を通じた、教育及び科学分野での交流を行っています。その一環としてタイとの共同事業としてデジタル社会における算数・数学教育のカリキュラムに関する研究を行い、APEC域内への普及を図っています。
また、平成28年の第6回APEC教育大臣会合では「APEC教育戦略」が採択され、その翌年の平成29年に「APEC教育戦略行動計画」が策定されたことを受け、平成30年から本行動計画の進捗状況を報告する事業に協力しています。
4 国連大学
国連大学は、我が国に本部を置く唯一の国連機関であり、文部科学省は、国連大学本部施設の提供や毎年事業費を拠出し、国連大学の活動に支援・協力を行っています。国内には本部とともに、「サステイナビリティ高等研究所」が設置されています。国連大学では、SDGsをはじめ国連における重要課題の解決に向けて、研究活動を行うほか、大学院プログラムを開設し国内外から学生を受け入れています。国連大学大学院プログラムが授与する学位は、我が国国内法上も学位として認定されています。

国際バカロレアの普及・拡大
国際バカロレア(IB)は、探求型の学習を通じて、生徒に課題発見・解決能力や論理的思考力、コミュニケーション能力など、これからの時代に必要なスキルを獲得させる上で優れた国際的な教育プログラムです。IBの導入は、我が国におけるグローバル人材の育成に資するだけでなく、その特色的なカリキュラムや手法が我が国の初等中等教育に与える積極的な波及効果や、生徒の海外大学を含めた進路の多様化にも資する等の効果も期待されます。平成29年5月には、「国際バカロレアを中心としたグローバル人材育成を考える有識者会議」の提言が示され、今後の推進方策として、コンソーシアムによる関係者間での情報共有体制の構築や、IB導入を検討する学校等に対する支援、IB教育の効果に関する調査研究等の重要性が指摘されました。これを踏まえ、平成30年度より「文部科学省IB教育推進コンソーシアム」を立ち上げ、関係者間における包括的な連携体制、及び効率的な情報共有等を行うためのプラットフォームを構築しています。この枠組みを活用し、教員養成等の支援や、上述の大学入学者選抜における活用促進をはじめ、国際バカロレアの普及を図ることとしています。

持続可能な開発のための教育(ESD)の推進
ESDとは、環境、貧困、人権、開発といった様々な地球規模の課題について、自分のこととして捉え、その解決に向けて自分から行動を起こす力を身に付けるための教育です。ESDは持続可能な社会づくりの担い手の育成を通じて、SDGsの17のゴール全体の達成に貢献するものであり、ESDの果たすべき役割は、国際社会の中で更に大きくなっています。
1 ESDに関する国際的な取組
ユネスコを主導機関として進められてきた「国連ESDの10年(DESD:Decade of ESD)」(2005年~2014年)及び「ESDに関するグローバル・アクション・プログラム(GAP)」(2015年~2019年)を経て、GAP後継枠組みとして、「2030年のための持続可能な開発のための教育:SDGs達成に向けて(ESD for 2030)」が2019年秋のユネスコ総会及び国連総会で採択される予定です。採択後はその新しい枠組みのもとで、国際的ネットワークの強化とともに、ESDの更なる推進に取り組んでいきます。また、優れたESDの取組を世界に広めるために、日本政府の財政支援により創設された「ユネスコ/日本ESD賞」については、2018年には新たに3団体が受賞しました。
また、文部科学省は、平成23年度からSEAMEO-Japan ESD Awardを実施し、SEAMEO(東南アジア教育大臣機構)加盟国において、ESDに関する顕著な取組を行う小中高等学校を表彰しています。
2 ESDに関する国内の取組
文部科学省では、ユネスコスクール(ユネスコ憲章に示されたユネスコの理念を実現するため、ユネスコが認定する平和や国際的な連携を実践する学校)をESDの推進拠点と位置付け、国内外の学校間交流、カリキュラムなど好事例の共有、教師の知見の向上等を通じて、ESDの普及・深化に取り組んでいます。平成30年12月には第10回ユネスコスクール全国大会(ESD研究大会)を開催し、全国から約800名の教育関係者が一堂に会しました。このほか、ESD推進に向けたユース世代による活動の促進にも取り組んでいます。
また、環境省と文部科学省の協力により、持続可能な地域づくりと人づくりの官民協働プラットフォームである「ESD推進ネットワーク」を形成し、その拠点として全国の「ESD活動支援センター」及び「地域ESD拠点」が多様な活動を展開しています。
2019年度は、「SDGsの担い手育成(ESD)推進事業」において、国内の教育現場におけるSDGs達成の担い手を育むための多様な教育活動(ESD)を実施・支援し、SDGs達成の担い手に必要な資質・能力の向上を図ります。

ユネスコの科学事業を通じたSDGs達成への貢献
ユネスコ科学事業においても、SDGsへの貢献は共通の重要課題となっています。
まず、ユネスコの科学分野の登録認定事業として、ユネスコエコパーク及びユネスコ世界ジオパークがあります。ユネスコエコパークとは、自然と人間社会の共生に重点を置き、生態系の保全と持続可能な利活用の調和を目的とした事業であり、我が国では9か所認定されています。また、ユネスコ世界ジオパークは、国際的な地質学的重要性を有する地層、岩石、地形、火山、断層などの地質遺産を保護し、科学・教育・地域振興等に活用することにより、自然と人間との共生及び持続可能な開発を実現することを目的とした事業で、我が国では9か所認定されています。両事業は、人々の生活と自然の調和を通じた、地域レベルでのSDGs達成を体現する取組としても注目されています。
これらの事業のほか、ユネスコの国際科学協力事業である海洋科学及び水科学の分野においても、SDGsの目標として設定されており、その推進は非常に重要なものとなっています。文部科学省では、専門家の派遣や信託基金の拠出等を通じて、政府間海洋学委員会、国際水文学計画等の取組を支援しています。

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