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2019年度文部科学関係予算の概要

文部科学省大臣官房会計課

2019年度文部科学関係予算
2019年度文部科学関係予算については、教育再生、科学技術イノベーション、スポーツ・文化の振興により、「人づくり革命」を断行し、「生産性革命」を実現するための予算として、総額5兆5,287億円の予算を計上しています。2018年度予算と比較すると2,349億円の大幅な増額(4.4%増)となっており、文部科学行政を推進するに当たって必要な予算を確保できたと考えています。

教育関係予算について
我が国が持続的に成長・発展するには、一人一人の能力や可能性を最大限引き出し、多様な個性を伸ばす教育が不可欠です。2019年度文教関係予算(いわゆる教育分野)については、対前年度2,093億円増(5.2%増)の4兆2,348億円の予算を確保しました。

教育政策推進のための基盤の整備
新学習指導要領の円滑な実施と学校における働き方改革のための指導運営体制の構築
教職員定数については、学校における働き方改革や複雑化・困難化する教育課題へ対応するため、小学校専科指導の充実や共同学校事務体制の強化など、1,456人の定数改善を図ります。
また、教師が児童生徒への指導や教材研究等に注力できる体制を整備し、教師の負担軽減を図るためのスクールサポートスタッフの拡充(3,600人(対前年度600人増))や、中学校における部活動指導員の配置拡充(9,000人(対前年度4,500人増))を図ります。さらに、学校の業務改善に向けて、業務改善の取組を加速するための実践研究事業を実施します。

国立大学改革の推進
国立大学法人運営費交付金については、教育研究力の基盤である運営費交付金を確保(1兆971億円(前年同))しつつ、新しい評価・資源配分の仕組みの導入を通じて、評価のわかりやすさや透明性の向上、各大学の主体的な取組の推進、教育研究の安定性・継続性への配慮のもとでの改革インセンティブの向上を図ることにより、挑戦する国立大学を支援します。
また、大学間連携や産学連携の推進等による地域イノベーションの創出や、世界最高水準の教育研究の展開を進める、学長の経営改革構想の実現の加速を支援するため、国立大学経営改革促進事業として45億円(対前年度5億円増)を計上しています。

私立大学等改革の推進等
私学助成関係では、私立大学等経常費補助について、アウトカム指標も含めた客観的指標を活用したメリハリある資金配分により、教育の質の向上を促進するとともに、大学等の運営に不可欠な教育研究に係る経常的経費について支援します。また、各大学の役割や特色・強みの明確化に向けた改革に全学的・組織的に取り組む大学等を重点的に支援します。
私立高等学校等経常費助成費等補助については、都道府県による私立高等学校等の基盤的経費への助成を支援するとともに、各私立高等学校等の特色ある取組を支援します。

学校施設整備の推進
学校施設は、我が国の将来を担う児童生徒等の学習・生活の場であり、災害時には地域住民の避難所としても使用される極めて重要な施設です。近年多発している大規模災害の教訓を踏まえ、防災・減災に万全を期すため、「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」(2018年12月14日閣議決定)として取りまとめられました。これを踏まえ、学校施設の強靱化を図るために必要となる耐震化や非構造部材の耐震対策、防災機能強化などを推進します。

夢と志を持ち、可能性に挑戦するために必要となる力の育成
地域と学校の連携・協働と学校安全等の推進
コミュニティ・スクールや地域学校協働活動など、学校を核とした地域力強化の仕組みづくりを推進するとともに、地域の活性化につながる多様な取組を展開することにより、まち全体で地域の将来を担う子供たちを育成するとともに、一億総活躍社会や地方創生の実現を図ります。また、学校種・地域特性に応じた地域全体での学校安全推進体制の構築を目指します。

新しい時代に求められる資質・能力の育成
2020年度から実施される新学習指導要領を踏まえ、「情報活用能力」の育成、特に小学校プログラミング教育の円滑な実施などを推進するとともに、生徒の発信力強化のための英語指導力の向上をはじめとして、小中高等学校を通じた外国語教育の強化のための取組を総合的に実施します。
また、「特別の教科 道徳」として位置づけられた道徳教育について、「道徳教育アーカイブ」の充実をはじめとして、抜本的改善・充実を図ります。

いじめ・不登校対応等の推進
いじめ対策や不登校支援については、スクールカウンセラーの全公立小中学校への配置(27,500校(対前年度800校増))、スクールソーシャルワーカーの全中学校区への配置(10,000人(対前年度2,500人増))など、学校における専門スタッフの配置を充実します。また、いじめを含め、様々な悩みを抱える児童生徒に対するSNS等を活用した相談体制の構築を図ります。

高大接続改革の推進
変化の激しい時代において、子供たちが新たな価値を創造する力を育成するため、2020年度から始まる「大学入学共通テスト」や「高校生のための学びの基礎診断」の実施等、高等学校教育改革、大学教育改革、大学入学者選抜改革を一体的に推進します。

社会の持続的な発展をけん引するための多様な力の育成
グローバル社会における児童生徒の教育機会の確保・充実
在外教育施設で学ぶ児童生徒が増加する中、国内と同様の教育を行うために派遣教師数を拡充(1,299人(対前年度25人増))するとともに、高度グローバル人材育成拠点としての日本人学校等の教育機能を強化します。また、アジア諸国で日本語を学ぶ優秀な高校生を日本全国の高校に招へいするとともに、地方公共団体や学校、民間団体等が実施する留学プログラムへの参加に対する支援を実施し、高校生の国際交流の促進を図ります。

卓越大学院プログラム
世界の学術研究やイノベーションなどあらゆるセクターをけん引する卓越した博士人材(「知のプロフェッショナル」)の養成像を明確に設定した上で、その育成に必要となる世界最高水準の教育・研究力を結集した学位プログラムを構築するとともに、各大学において大学院教育全体の改革を推進します。

生涯学び、活躍できる環境の整備
リカレント教育等社会人の学び直しの総合的な充実
リカレント教育等社会人の学び直しの抜本的拡充を図るため、大学や専修学校におけるリカレントプログラムの開発促進、産学連携人材育成システムの構築、女性の学びとキャリア形成・再就職支援を一体的に行う仕組みづくり、社会人の学びの情報アクセスの改善、放送大学の実務型プログラム等の充実などを実施します。

特別支援教育の生涯学習化プラン
障害者権利条約の批准や障害者差別解消法の施行等も踏まえ、障害者が、学校卒業後も含めたその一生を通じて、自らの可能性を追求できる環境を整え、地域の一員として豊かな人生を送ることができるよう、生涯を通じて教育やスポーツ、文化芸術等の様々な機会に親しむための関係施策を横断的かつ総合的に推進します。また、学校における医療的ケアのための看護師配置については拡充(1,800人(対前年度300人増))を図ります。

誰もが社会の担い手となるための学びのセーフティネットの構築
教育費の負担軽減
幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであることから、質の高い教育を提供するため、2019年10月から全面的な無償化措置を実施し、幼児教育無償化を一気に加速します。
また、高校生等への修学支援の充実を図るとともに、大学生等への給付型奨学金制度の着実な実施や、無利子奨学金の希望者全員に対する貸与の着実な実施など、各教育段階の負担軽減により学びのセーフティネットの構築を図ります。

日本語教育・外国人児童生徒等への教育の充実
我が国における深刻な人手不足を踏まえ、出入国管理及び難民認定法等が改正され、新たに就労を目的とした在留資格として「特定技能」が創設されることとなりました。外国人の受入れ拡大に向けて、地域における日本語教育の総合的な体制づくりや、日本語教室空白地域解消の推進、学校における日本語指導体制の整備などを実施するための予算として、総額14億円(対前年度9億円増)を確保しました。これを通じて、外国人が日本社会の一員として円滑に生活できる環境を整備し、外国人との共生社会を実現するため、日本語教育・外国人児童生徒等に向けた教育の充実を図ります。

Society 5.0に向けた人材育成
「Society 5.0に向けた人材育成~社会が変わる、学びが変わる~」(2018年6月5日)において取りまとめられた方向性に基づく施策を実施します。
具体的には、「公正に個別最適化された学び」の実現に向けて学校教育において効果的に活用できる、教師を支援するツールとしての先端技術の導入に関する実証研究や、国内外の大学、企業、国際機関等が協働して高校生へより高度な学びを提供する仕組みの構築、地域課題の解決等探究的な学びを実現する取組の推進などを通じて、Society 5.0という新たな時代に向けた施策を推進します。

スポーツ関係予算について
全ての人々がスポーツを「する」、「みる」、「ささえる」機会の確保や、国民に誇りと喜び、夢と感動を与えてくれるトップアスリートの育成・強化など、スポーツ立国の実現を目指したスポーツの振興を図るための予算として、対前年度10億円増(3.1%増)の350億円を計上しています。
2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会、2019年ラグビーW杯等に向けた準備としては、各競技団体が行う日常的・継続的な強化活動等への支援、ナショナルトレーニングセンターの拡充整備、ドーピング防止活動の推進などに取り組みます。
このほか、2019年3月1日に設立した大学スポーツ協会(UNIVAS)の活動への支援、スポーツ・インテグリティの体制整備なども合わせて、スポーツ施策の総合的な推進を図ります。

文化芸術関係予算について
文化芸術立国の実現に向けて、文化資源の“磨き上げ”による好循環の創出や、文化芸術の創造・発展と人材育成、文化財の確実な継承に向けた保存・活用の推進などに必要な予算として、対前年度85億円増(7.8%増)の1,167億円を計上しています。
この中には、2019年1月から運用が開始された国際観光旅客税財源を充当する事業も含めて計上されています。日本博を契機とした観光コンテンツの拡充や、文化財に対する多言語解説の整備をはじめとして、文化資源を活用した観光インバウンドのための環境整備を推進します。

科学技術予算について
第5期科学技術基本計画を踏まえ、未来の大きな社会変革や生産性革命に対応し、超スマート社会(Society 5.0)を実現するため、イノベーションの創出に向けた取組を推進します。
また、我が国の研究力向上に向けた研究開発、人材育成を進めるとともに国家戦略上、重要な技術の研究開発を推進します。
このため、2019年度科学技術予算については、対前年度235億円増(2.4%増)の9,861億円を計上しています。

Society 5.0を実現し未来を切り拓くイノベーション創出とそれを支える基盤の強化
未来社会の実現に向けた先端研究の強化
未来社会実現の鍵となるビッグデータ等を活用した革新的な人工知能の研究開発を推進するとともに、新たに開始する材料の社会実装に向けたプロセスサイエンス構築事業や革新的材料開発力強化プログラム(M-cubeプログラム)等のナノテク・材料分野、経済・社会的な重要課題に対し量子科学技術を駆使して非連続な解決を目指す光・量子飛躍フラッグシッププログラム(Q-LEAP)をはじめとした光・量子技術分野等の先端的な研究開発を推進します。

世界最高水準の大型研究施設の整備・利活用の推進
我が国における世界最高水準の大型研究施設や学術研究基盤等の整備・利活用を推進します。
特に、2021~2022年の運用開始を目標とした世界最高水準の汎用性のあるスーパーコンピュータ(ポスト「京」)の開発として、対前年度比43億円増となる99億円の予算を計上し、本格的な製造に着手します。
また、研究力強化と生産性向上に貢献する次世代放射光施設の整備として、13億円の予算を計上し、官民地域パートナーシップによる役割分担により整備に着手します。
あわせて、大型放射光施設(SPring-8)等の我が国が世界に誇る最先端の大型研究施設の整備・共用を促進します。

オープンイノベーションの推進と、ハイリスク・ハイインパクトな研究開発の推進
「組織」対「組織」の本格的産学官連携を通じたオープンイノベーションの加速により、企業だけでは実現できない飛躍的なイノベーションの創出を実現し、大学等の研究シーズを基に地域内外の人材・技術を取り込みながら、地域から世界で戦える新産業の創出に資する取組を推進するほか、民間の事業化ノウハウを活用した大学等発ベンチャー創出の取組等を推進します。
また、経済・社会的にインパクトのある出口を明確に見据え、挑戦的な目標を設定したハイリスク・ハイインパクトな研究開発として、未来社会創造事業の拡充やムーンショット型研究開発制度の創設を行います。

我が国の抜本的な研究力向上と優秀な人材の育成
若手研究者を中心としたリソースの重点投下や、若手研究者が海外で挑戦するための支援等の拡充
我が国の研究力向上に向け、科研費の抜本的拡充を行います。
具体的には対前年度比86億円増となる2,372億円の予算を計上し、若手研究者への支援を重点的に強化するとともに、国際共同研究種目を充実させます。
また、戦略的創造研究推進事業において、「さきがけ」の充実や、より若手の研究者を育成する「ACT-X」の新設等により、若手研究者の挑戦的な研究を支援します。
さらに、海外特別研究員事業の拡充や、国際競争力強化研究員事業の創設等により若手研究者等が海外で研さんを積み挑戦する機会の拡充を行います。

科学技術イノベーション人材の育成・確保等の推進
科学技術イノベーションを担う多様な人材の育成や活躍促進を図るための取組を重点的に推進します。特に、新たな研究領域に挑戦するような優秀な若手研究者やアントレプレナー(起業家)の育成・確保、初等中等教育段階から児童生徒の才能を伸ばす機会等の提供、科学技術イノベーションを担う女性の活躍促進等の取組を推進します。

国家的・社会的重要課題の解決に貢献する研究開発の推進
健康・医療分野の研究開発の推進
日本医療研究開発機構において、iPS細胞等による世界最先端医療の実現や、精神・神経疾患の克服に向けた脳科学研究、がんや感染症等の疾患対策に向けた取組などの健康・医療分野の基礎的な研究開発を推進します。
また、理化学研究所や量子科学技術研究開発機構等において、それぞれのポテンシャルを活用し、健康・医療を支える基礎・基盤研究を実施します。

防災・減災分野の研究開発の推進
南海トラフ地震の想定震源域のうち、観測網が設置されていない海域(高知県沖~日向灘)に新たな海底地震・津波観測網の構築を進める予算として16億円を新規で計上しています。
また、防災ビッグデータの収集・整備・解析、官民一体となった総合防災力向上のための研究、地震、津波、火山、豪雨災害等に関する研究開発を推進することで、自然災害に対して強靭かつ安全・安心な社会の実現に貢献します。

クリーンで経済的なエネルギーシステム実現に向けた研究開発の推進
エネルギー制約の克服・エネルギー転換・脱炭素化に挑戦し、温室効果ガスの大幅な排出削減と経済成長の両立や気候変動への適応等に貢献するため、窒化ガリウム半導体等による省エネルギー社会の実現、気候変動メカニズムの解明、環境・エネルギー問題の根本的解決が期待できる核融合エネルギーの実現に向けたITER(国際熱核融合実験炉)計画等の実施など、クリーンで経済的なエネルギーシステムの実現に向けた研究開発を推進します。

国家戦略上重要な技術の研究開発の推進
宇宙・航空分野の研究開発の推進
宇宙・航空分野の予算は、対前年度比15億円増の1,560億円を計上しています。
具体的には、2020年度の初号機打ち上げに向けて開発を進めているH3ロケットや次世代人工衛星等による防災を含む広義の安全保障(安全・安心)、産業振興等につながる技術開発の積極的な推進に加え、我が国が世界的にリードしている宇宙科学・宇宙探査等の科学技術の振興に貢献するフロンティアの開拓、更に、安全性・環境適合性・経済性といった重要なニーズに対応する次世代航空科学技術の研究開発等を推進します。

海洋・極域分野の研究開発の推進
海洋科学技術は、地球環境問題をはじめ、災害への対応を含めた安全・安心の確保や資源開発といった我が国が直面する課題と密接に関連しています。
このため、地球環境の状況把握と変動予測のための研究開発等を行う海洋研究開発機構の運営に必要な経費や北極関連の予算等を計上しており、関係省庁や研究機関、産業界と連携を図りながら、調査観測及び研究開発を推進します。

原子力分野の研究開発・安全確保対策等の推進
原子力が抱える問題に正面から向き合い、原子力の再生を図るため、高温ガス炉に係る国際協力を含めた原子力基盤技術開発や共用促進等の取組を着実に進めます。
また、東京電力(株)福島第一原子力発電所の安全な廃止措置等を着実に進めるため、国内外の英知を結集した先端的技術の研究開発及び人材育成に加え、原子力の安全研究、高速炉や加速器を用いた放射性廃棄物の減容化・有害度低減のための研究開発等を着実に進めるとともに、原子力施設の安全確保対策を行います。

最後に
文部科学省としては、「人生100年時代」や「Society 5.0」の到来を見据えながら、日本を誰にでもチャンスがあふれる国へと変えていくため、引き続き、教育再生、科学技術イノベーション、スポーツ・文化の振興に全力で取り組んでまいります。

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